アルバムレビュー:Revelation(2014)/Fire Doesn’t Grow on Trees by The Brian Jonestown Massacre

※本記事は生成AIを活用して作成されています。

発売日:Revelation:2014年5月19日/Fire Doesn’t Grow on Trees:2022年6月24日

ジャンル:ネオ・サイケデリア/サイケデリック・ロック/ガレージ・ロック/ドローン・ロック/インディー・ロック

概要

The Brian Jonestown MassacreのRevelationとFire Doesn’t Grow on Treesは、バンドの長いキャリアにおける中期以降の成熟と再活性化を示す重要作である。1990年代のThe Brian Jonestown Massacreは、Their Satanic Majesties’ Second Request、Take It from the Man!、Thank God for Mental Illnessなどに象徴されるように、60年代サイケデリア、ガレージ・ロック、フォーク、ドローン、ローファイ録音を混沌とした勢いで噴出させたバンドだった。Anton Newcombeを中心とするこのプロジェクトは、完成度よりも過剰な創作衝動、整然とした構成よりも音楽史への偏愛と不安定な美学を優先し、90年代ネオ・サイケデリアの特異な存在として位置づけられた。

一方、2014年のRevelationと2022年のFire Doesn’t Grow on Treesは、90年代の混沌をそのまま再現する作品ではない。そこには、Anton Newcombeが長年にわたって培ってきた作曲感覚、録音技術、サイケデリック・ロックへの歴史的理解、そしてThe Brian Jonestown Massacre特有の反復と酩酊感が、より整理された形で表れている。特にRevelationは、タイトルが示す通り、啓示、発見、再確認といったニュアンスを持つ作品であり、バンドのサウンドを新たな時代の中で更新するアルバムとして聴くことができる。

Revelationは、全体として非常に多彩である。ガレージ・ロック的な推進力、メロウなサイケデリック・ポップ、クラウトロック的な反復、フォーク的な淡さ、電子音響の薄い膜、そしてBJMらしいリヴァーブの奥行きが混在している。1996年の作品群にあった粗さや無秩序さは薄まり、曲ごとの完成度が高く、音の配置も比較的明瞭である。しかし、整いすぎて安全な作品になっているわけではない。むしろ、Anton Newcombeのサイケデリックな美学が、より洗練された録音空間の中で立ち上がるアルバムである。

対して、Fire Doesn’t Grow on Treesは、タイトルからして荒々しい寓話性を持つ。直訳すれば「火は木に育たない」となるが、これは自然に手に入るものではないもの、衝動や破壊力は簡単には生まれないという感覚を含んでいるように響く。2022年という時代に発表されたこの作品では、The Brian Jonestown Massacreのロック・バンドとしての推進力が再び前面に出ている。Revelationが広がりのあるサイケデリック・コラージュだとすれば、Fire Doesn’t Grow on Treesはよりギター・ロック的で、反復するリフと重心のあるグルーヴを通じて、バンドの肉体性を取り戻した作品である。

両作を並べて聴くと、The Brian Jonestown Massacreの後期における二つの方向性が見えてくる。ひとつは、Revelationに見られる、過去のサイケデリアやドローン・ロックを洗練された形で再配置する方向。もうひとつは、Fire Doesn’t Grow on Treesに見られる、シンプルなリフ、ガレージ的な勢い、反復の快楽を再び前景化する方向である。いずれも90年代のBJMの延長にあるが、単なる懐古ではない。Anton Newcombeは、過去の音楽を参照しながらも、常にその時点の録音環境と自分自身の精神状態を反映させるため、同じサイケデリアでも時期によって質感が変わる。

また、この二作はThe Brian Jonestown Massacreの「長く続くバンド/プロジェクト」としての強さも示している。多くのネオ・サイケデリック系バンドは、特定の時代のムードに強く依存しやすい。しかしBJMは、60年代ロックの亡霊に取り憑かれながらも、90年代、2000年代、2010年代、2020年代と作品を出し続けることで、その亡霊を単なる引用ではなく、自らの言語として使い続けてきた。RevelationとFire Doesn’t Grow on Treesは、その継続性を理解するうえで重要な作品である。

全曲レビュー:Revelation(2014)

1. Vad Hände Med Dem?

「Vad Hände Med Dem?」は、スウェーデン語で「彼らに何が起きたのか」と訳せるタイトルを持つ楽曲であり、アルバム冒頭から異国語の響きと謎めいた空気を提示する。The Brian Jonestown Massacreは、英米ロックの伝統だけでなく、ヨーロッパ的な感覚やクラウトロック的な反復、異文化的な記号を取り込むことが多いが、この曲もその一例である。

サウンドは、ギターの反復と淡いサイケデリックな質感が中心となる。90年代のBJMにあった荒れたローファイ感はやや抑えられ、音像は比較的整理されている。しかし、曲全体には説明されない不穏さが漂う。タイトルが問いの形を取っていることもあり、聴き手は曲の中で何か失われたもの、変わってしまったものを探すような感覚になる。

歌詞のテーマとしては、過去への問い、集団の変化、時間による喪失が考えられる。The Brian Jonestown Massacre自身も、長い年月の中でメンバーや環境、音楽性を変えてきたバンドである。その意味で、この冒頭曲は、アルバム全体に「何が起きたのか」「何が残ったのか」という問いを投げかける役割を持つ。

2. What You Isn’t

「What You Isn’t」は、タイトルからして文法的に崩れた表現を含んでいる。「あなたがそうではないもの」という意味を持ちながら、文法のずれによって、自己認識や他者からの定義に対する違和感が生まれる。BJMの歌詞には、こうした不完全な言葉の響きがしばしばあり、それがサイケデリックな曖昧さを強める。

音楽的には、比較的ストレートなサイケデリック・ロックであり、リズムとギターの反復が曲を支えている。メロディは親しみやすいが、ボーカルはどこか遠く、完全には前面に出てこない。その距離感が、自己の不確かさというテーマとよく合っている。

歌詞のテーマは、自己定義と否定である。人はしばしば「自分が何であるか」よりも、「自分が何ではないか」によって輪郭を作る。この曲は、その否定のプロセスをサイケデリックな音像の中で描いているように聴こえる。BJMらしい、シンプルでありながら不安定なアイデンティティの歌である。

3. Unknown

「Unknown」は、タイトル通り未知のもの、不明なものを扱う楽曲である。The Brian Jonestown Massacreのサイケデリアは、明確に定義された物語よりも、輪郭の曖昧な感覚を重視する。この曲も、未知の対象へ向かう感覚を、反復するギターとぼんやりしたボーカルによって表現している。

音楽的には、穏やかながらも不穏な浮遊感がある。サウンドは大きく爆発せず、同じ空気の中を漂うように進む。これはBJMの得意とする方法であり、曲の中で劇的な展開を作るというより、ムードそのものを持続させる。

歌詞のテーマは、知らないものに引き寄せられる感覚、あるいは相手や自分自身を完全には理解できないことへの不安である。サイケデリック・ロックにおいて「未知」は恐怖であると同時に、魅力でもある。「Unknown」は、その両義性を持つ楽曲である。

4. Memory Camp

「Memory Camp」は、記憶をめぐる楽曲として解釈できる。タイトルの「Camp」は、仮設の場所、野営地、あるいは一時的な共同体を連想させる。記憶が固定された建物ではなく、一時的に設営されるキャンプのようなものだと考えると、このタイトルは非常にBJMらしい。過去は安定したものではなく、思い出すたびに組み立て直される。

音楽的には、淡いメロディと反復するギターが中心で、ノスタルジックな空気を持つ。ただし、そのノスタルジーは温かいだけではない。どこか不確かで、過去が本当にあったのか、あるいは記憶の中で作り替えられたものなのか曖昧になる。

歌詞のテーマは、記憶、回想、過去の共同体として読める。BJMの音楽自体も、60年代ロックの記憶を90年代以降の音で再構築する行為である。その意味で「Memory Camp」は、バンドの音楽的姿勢そのものを象徴している。

5. Days, Weeks and Moths

「Days, Weeks and Moths」は、時間の単位である日や週と、蛾を意味する「moths」を並べた奇妙なタイトルを持つ。月を意味する「months」ではなく「moths」となっている点が重要であり、時間の経過と、光に引き寄せられる夜の虫のイメージが重なる。これは、BJMの言葉遊びとサイケデリックな象徴性がよく表れたタイトルである。

サウンドは、ゆったりとしたグルーヴと淡いギターの響きが特徴である。曲は時間の経過を急がず、同じ感覚の中を漂う。日々や週が過ぎ、蛾が光の周囲を飛び回るように、曲も同じ中心の周囲を反復し続ける。

歌詞のテーマは、時間の経過、反復、そして逃れられない引力である。蛾は光に向かうが、その光は救いであると同時に危険でもある。BJMの音楽における欲望や記憶も同様に、引き寄せる力を持ちながら、破滅の匂いを伴う。この曲は、その感覚を穏やかに表現している。

6. Duck and Cover

「Duck and Cover」は、冷戦時代の核攻撃避難訓練を連想させる言葉であり、「伏せて身を隠せ」という意味を持つ。タイトルの時点で、社会的不安、危機、そして防御のイメージが強い。The Brian Jonestown Massacreは一見すると個人的な酩酊や恋愛を歌うバンドに見えるが、時にこうした社会的・歴史的な不安も音の中へ忍ばせる。

音楽的には、ガレージ・ロック的な硬さとサイケデリックな曇りが共存している。リズムには推進力があり、ギターは鋭いが、全体の音像はやや遠く、危機を直接的なパンクの怒りではなく、ぼんやりした不安として描いている。

歌詞のテーマは、防御、逃避、迫り来る危険である。危機に対して身を隠すことは、必ずしも解決を意味しない。ただその場をやり過ごすだけである。この曲には、現代社会の不安に対して人々が反射的に身を守ろうとする感覚がある。

7. Food for Clouds

「Food for Clouds」は、非常に詩的なタイトルを持つ楽曲である。「雲のための食べ物」という言葉は、具体的な意味を持たないが、サイケデリックなイメージとしては非常に強い。空に浮かぶ雲が何を食べるのかという問いは不条理であり、同時に想像力を刺激する。

音楽的には、柔らかい浮遊感があり、アルバム中盤に幻想的な広がりを与える。BJMのサイケデリアには、地面に足のついたガレージ感と、空へ溶けていくような浮遊感の両方がある。この曲は後者に属する。

歌詞のテーマは、現実離れしたイメージ、想像力、あるいは形のないものへの供物として解釈できる。雲は形を変え、捕まえることができない。そこへ食べ物を与えるという発想は、無意味でありながら美しい。BJMの音楽におけるサイケデリアの本質が、こうした不条理な美しさにある。

8. Second Sighting

「Second Sighting」は、「二度目の目撃」あるいは「再び見ること」を意味するタイトルである。これはアルバム名Revelationとも関係する。啓示とは、隠れていたものが見えるようになることだが、この曲ではそれが一度きりではなく、再び現れるものとして描かれているように感じられる。

サウンドは、反復するリフと淡いメロディによって構成されている。BJMの楽曲では、同じフレーズが繰り返されることで、目撃や記憶が何度も再生されるような感覚が生まれる。この曲も、何かをもう一度見る、あるいは過去のイメージが再び現れる感覚を音楽化している。

歌詞のテーマは、再発見、幻視、過去の再来である。The Brian Jonestown Massacreの音楽そのものが、60年代ロックを「二度目に見る」行為とも言える。過去をそのまま再現するのではなく、現代の歪んだ視点から再び目撃する。この曲はその美学を象徴している。

9. Memorymix

「Memorymix」は、タイトル通り記憶のミックス、混合、再編集を示す楽曲である。Revelationには記憶に関するタイトルが複数あり、アルバム全体を通じて、過去をどう扱うかという問題が浮かび上がる。BJMにとって過去とは、ロック史そのものであり、個人的な記憶であり、録音された音の残響でもある。

音楽的には、コラージュ的な感覚があり、曲がひとつの直線的な物語として進むというより、断片が混ざり合うように響く。これはタイトルにふさわしい。記憶は常に編集され、複数の時代や感情が混ざる。BJMのサウンドもまた、60年代、90年代、2010年代が同じ録音空間で重なっている。

歌詞のテーマは、記憶の再構成、過去の混線、そして自己の不安定さである。記憶が混ざると、自分が何を経験したのか、何をただ聴いたのか、どこからが引用でどこからが現在なのかが曖昧になる。BJMの音楽はその曖昧さを積極的に引き受けている。

10. Fist Full of Bees

「Fist Full of Bees」は、非常に鮮烈なイメージを持つタイトルである。蜂を拳いっぱいに握るという行為は、危険で痛みを伴い、同時に不条理でもある。これは、コントロールできないものを無理に掴もうとする感覚、または美しくも危険なエネルギーを手中に収めようとする行為を連想させる。

サウンドは、アルバムの中でもややざらついた印象を持ち、ガレージ・ロック的な側面が感じられる。リフは鋭く、曲には不安定な勢いがある。タイトルの蜂の群れのように、音が小さな刺し傷を残すような感覚がある。

歌詞のテーマは、制御不能な欲望、危険な所有、痛みを伴う快楽として読める。BJMの音楽には、魅力的なものほど破滅的であるという感覚がしばしばある。「Fist Full of Bees」は、その感覚を非常に身体的なイメージで示している。

11. Nightbird

「Nightbird」は、夜の鳥という詩的なタイトルを持つ楽曲であり、アルバムの中でも暗く美しいムードを持つ。夜に飛ぶ鳥は、孤独、自由、秘密、あるいは暗闇の中での感覚の鋭さを象徴する。BJMのサイケデリアには昼の極彩色だけでなく、夜の深さもある。

音楽的には、落ち着いたテンポと浮遊するギターが印象的で、アルバム後半に叙情的な余韻を与える。ボーカルは遠く、曲全体が夜の空間に溶けていくように響く。

歌詞のテーマは、夜、孤独、自由、または現実から離れた時間である。夜は社会的な秩序が弱まり、個人の内面や欲望が浮かび上がる時間である。「Nightbird」は、その夜の感覚をBJMらしい反復とリヴァーブで表現した楽曲である。

12. Xibalba

「Xibalba」は、マヤ神話における冥界の名である。タイトルだけで、アルバムは神話的・死生観的な領域へ広がる。The Brian Jonestown Massacreは、宗教や神秘主義、古代的なイメージをしばしばサイケデリックな文脈で取り込むが、この曲もその一例である。

音楽的には、暗く、儀式的な響きを持つ。曲は明るいポップ・ソングとしてではなく、冥界へ降りていくような空気を作る。反復する音や低いトーンは、単なる装飾ではなく、神話的な空間を作るための手段となっている。

歌詞のテーマは、死、冥界、意識の下降、あるいは精神的な試練として読める。サイケデリアにおいて、意識の拡張は必ずしも上昇だけを意味しない。暗い場所へ降りていくことも、啓示の一部である。「Xibalba」は、Revelationというアルバムにおける暗い啓示の場として機能している。

13. Goodbye (Butterfly)

「Goodbye (Butterfly)」は、アルバムの終盤にふさわしい別れの感覚を持つ楽曲である。蝶は変容、儚さ、美しさ、短い生命を象徴する存在であり、「Goodbye」と結びつくことで、変化や喪失のテーマが強く浮かび上がる。

音楽的には、淡く、メロディアスで、アルバムの最後に余韻を与える。BJMの中でも比較的美しい側面が出ているが、そこにはやはり薄い悲しみがある。ボーカルは遠く、まるで別れの言葉が風の中に消えていくように聴こえる。

歌詞のテーマは、別れ、変容、過ぎ去る美しさである。蝶は一度姿を変えた存在であり、同時に長く留まらない。この曲は、アルバム全体に流れていた記憶、再発見、啓示のテーマを、儚い別れとして締めくくる役割を持つ。

全曲レビュー:Fire Doesn’t Grow on Trees(2022)

1. The Real

「The Real」は、アルバム冒頭からThe Brian Jonestown Massacreのロック・バンドとしての力を前面に出す楽曲である。タイトルは「本物」「現実」を意味し、サイケデリックな曖昧さを得意とするBJMが、あえて「real」という言葉を掲げる点が興味深い。これは、幻覚と現実、過去の引用と現在の音、その境界を問うような曲である。

サウンドは、比較的ストレートなギター・ロックとして鳴っている。リフは力強く、リズムは前へ進み、Revelationよりもロック的な即効性が強い。2022年のBJMが、再びバンドの肉体性へ接近していることを示す冒頭曲である。

歌詞のテーマは、現実性の確認、自己の確かさ、あるいは偽物と本物の区別である。BJMの音楽は常に過去のロック史を引用してきたが、この曲では、その引用の中で何が本当に現在の音なのかを問うように響く。

2. Ineffable Mindfuck

「Ineffable Mindfuck」は、タイトルからしてBJMらしい挑発性と精神的混乱を持つ楽曲である。「ineffable」は言葉では言い表せないという意味であり、「mindfuck」は精神を混乱させる経験を指す。つまりこの曲は、言語化不能な精神的混乱を扱っている。

音楽的には、反復するギターと重いグルーヴが中心となり、聴き手をじわじわと巻き込む。サイケデリアはここで、幻想的な美しさというより、意識を揺さぶる圧力として機能している。BJMの音楽における反復は、快楽であると同時に、思考を混乱させる装置でもある。

歌詞のテーマは、言葉にできない精神的衝撃、現実感の崩壊、あるいは音楽による意識の撹乱である。タイトルがあまりにも直接的であるため、曲そのものもBJMのサイケデリックな美学を自己言及しているように聴こえる。

3. It’s About Being Free Really

「It’s About Being Free Really」は、タイトルが非常に説明的でありながら、BJMらしい皮肉も感じさせる楽曲である。「結局、それは自由であることについてなのだ」という言葉は、ロック・ミュージックの古典的なテーマをあまりにも直接的に述べている。しかし、その直接性が逆に奇妙な響きを持つ。

音楽的には、ゆるやかなグルーヴとギターの反復が中心で、曲は大きく展開するよりも、自由という感覚を持続させる。BJMにとって自由とは、整然とした完成度ではなく、音の中でだらしなく漂い、同じリフを繰り返しながら自分たちの時間を作ることでもある。

歌詞のテーマは、自由の本質である。自由は単に束縛がないことではなく、自分の音や時間を自分で決めることでもある。BJMというバンドの長い活動を考えると、この曲はAnton Newcombeの音楽的姿勢を率直に表したものとしても聴ける。

4. What’s in a Name?

「What’s in a Name?」は、名前の意味やアイデンティティを問う楽曲である。シェイクスピア的な問いを思わせるタイトルであり、名前が本質を決めるのか、それとも名前はただの記号なのかという問題を含んでいる。

The Brian Jonestown Massacreというバンド名自体が、The Rolling StonesのBrian Jonesと集団自殺事件Jonestownを組み合わせた挑発的な名称であることを考えると、この曲は非常に自己言及的に響く。名前は単なるラベルではなく、バンドの神話、印象、歴史を背負う。

音楽的には、ギター・ロックとしての推進力があり、曲は比較的明快に進む。歌詞のテーマは、名前、名づけ、自己像、他者からの認識である。BJMが長年にわたってスキャンダラスな神話やイメージと結びつけられてきたことを考えると、この曲はその名前の重さを問い直す楽曲としても聴ける。

5. Silenced

「Silenced」は、「沈黙させられた」という意味を持つタイトルであり、声を奪われること、表現を遮られることへの不安を示している。The Brian Jonestown Massacreは過剰に喋り、過剰に録音し、過剰に作品を出し続けるプロジェクトであるため、「沈黙」は特に強い意味を持つ。

音楽的には、重く抑制されたサウンドが特徴で、タイトルの持つ圧力とよく合っている。曲は爆発的に叫ぶのではなく、沈黙に抵抗するように低い温度で進む。声を奪われた状態を、あえて抑えた音で表現しているように聴こえる。

歌詞のテーマは、検閲、自己抑圧、外部からの圧力、あるいは伝えたいことが伝わらない感覚である。BJMにおけるサイケデリアはしばしば言葉以前の音の体験だが、この曲では言葉そのものが封じられる不安が前面に出ている。

6. Before and Afterland

「Before and Afterland」は、「前と後の国」というような奇妙なタイトルを持つ楽曲である。過去と未来の間にある架空の場所、あるいは変化の前後を同時に含む場所を連想させる。BJMの音楽には、時代の境界を曖昧にする力があるが、このタイトルはまさにその感覚を示している。

音楽的には、サイケデリックな浮遊感とギター・ロックの骨格が共存している。曲はどこか時間の外に置かれているようで、60年代的でもあり、90年代的でもあり、2020年代的でもある。BJMが長年続けてきた時間の混合が、ここにも表れている。

歌詞のテーマは、変化の前後、時代の移行、記憶と未来の混線として読める。過去と未来が同じ場所にあるという発想は、The Brian Jonestown Massacreの音楽そのものに近い。彼らは常に過去の音を鳴らしながら、それを現在の録音として提示している。

7. You Think I’m Joking?

「You Think I’m Joking?」は、タイトルからして挑発的な楽曲である。「冗談だと思っているのか?」という問いには、相手に軽く見られていることへの苛立ち、真剣さを理解されないことへの怒りがある。Anton Newcombeのキャリアを考えると、このタイトルは非常に彼らしい。

音楽的には、ガレージ・ロック的な勢いがあり、曲には攻撃的なエネルギーがある。BJMはしばしば酩酊した浮遊感で語られるが、この曲ではより直接的なロックの力が前に出ている。リフは鋭く、ボーカルには冷笑的な態度がある。

歌詞のテーマは、誤解、挑発、真剣さの証明である。BJMは長年、音楽以上に混乱やスキャンダルのイメージで語られることも多かった。しかし作品を聴けば、Anton Newcombeが非常に深い音楽的知識と執念を持つ作家であることは明らかである。この曲は、その誤解への反撃としても聴ける。

8. #1 Lucky Kitty

「#1 Lucky Kitty」は、タイトルだけを見ると軽く、ユーモラスで、ポップな印象を与える。しかしBJMの文脈では、こうした奇妙にかわいらしいタイトルも、単純な遊びには留まらない。幸運、マスコット、偶像、軽さと不穏さが混ざり合う。

音楽的には、アルバムの中でも比較的軽やかな雰囲気を持つが、録音のざらつきや反復によって、単なるポップ・ソングにはならない。BJMは明るい曲でもどこか歪ませる。そこに、バンドの持つサイケデリックな視点がある。

歌詞のテーマは、幸運への期待、偶然、あるいはポップな記号への戯れとして読める。招き猫のようなイメージも連想させ、消費文化や幸運の象徴を曖昧に扱う楽曲として響く。

9. Wait a Minute (2:30 to Be Exact)

「Wait a Minute (2:30 to Be Exact)」は、時間そのものをタイトルに含んだ楽曲である。「ちょっと待って、正確には2分30秒」という言葉は、ロック・ソングの長さ、待機、時間管理への皮肉として読める。BJMの曲はしばしば反復や長尺によって時間感覚を歪ませるが、この曲では逆に時間を明示している。

音楽的には、比較的コンパクトで、タイトル通り短い時間の中で曲のアイデアを提示する。BJMの過剰な側面を考えると、このような時間への意識は興味深い。サイケデリアの拡張性と、ポップ・ソングの短さがぶつかっている。

歌詞のテーマは、待つこと、時間の正確さ、あるいはロック・ソングの形式への自己言及である。BJMは無秩序なバンドに見えながら、実際には録音や構成への強い意識を持っている。この曲は、その意識がユーモラスに表れた楽曲である。

10. Don’t Let Me Get in Your Way

「Don’t Let Me Get in Your Way」は、相手の道を邪魔したくない、または自分が障害になっていることを自覚するタイトルを持つ楽曲である。これはBJMの中では比較的感情的に読める曲名であり、関係性の中での距離や自己否定が浮かび上がる。

音楽的には、メロディアスでありながら、どこか苦みがある。BJMのラブソングや関係性の歌は、素直な愛情表現よりも、崩れた距離感や不安を含む。この曲でも、相手を思う気持ちと、自分が邪魔になるかもしれないという意識が同時に存在する。

歌詞のテーマは、自己抑制、関係の中の遠慮、あるいは破壊的な自己への自覚である。Anton Newcombeのキャリアを考えると、自分自身が人間関係やバンドの中で問題を生む存在になり得ることへの意識とも重なる。静かながら重要な楽曲である。

11. Unknown

「Unknown」は、Revelationにも同名曲が存在するため、両作をつなぐようなタイトルである。BJMにとって「未知」は繰り返し現れるテーマであり、自己や他者、音楽の行き先が完全にはわからない状態を象徴している。

Fire Doesn’t Grow on Treesにおける「Unknown」は、よりロック的な文脈の中で響く。アルバム終盤に置かれることで、聴き手はここまで提示されてきた自由、名前、沈黙、時間、関係性といったテーマを、再び未知の状態へ戻される。

歌詞のテーマは、不確かさ、行き先の不明瞭さ、あるいは自己の未定義である。BJMは長いキャリアを持ちながら、常に未完成で、次にどこへ向かうかわからない状態を保っている。この曲は、その不確かさをアルバム終盤に残す役割を持つ。

総評

RevelationとFire Doesn’t Grow on Treesは、The Brian Jonestown Massacreの後期を理解するうえで非常に重要な二作である。Revelationは、サイケデリック・ロック、ドローン、ガレージ、フォーク、記憶のコラージュを、2010年代の洗練された録音感覚の中で展開した作品であり、Anton Newcombeの作曲家としての成熟を示している。一方、Fire Doesn’t Grow on Treesは、よりギター・ロック的で、リフとグルーヴの力を前面に出し、BJMのロック・バンドとしての身体性を再確認する作品である。

両作に共通しているのは、過去のロック史への深い参照である。The Rolling StonesThe Velvet UndergroundThe Byrds、13th Floor Elevators、Spacemen 3、クラウトロック、60年代フォーク・ロックなど、BJMの音楽には常に過去の音楽が幽霊のように漂っている。しかし、Anton Newcombeはそれを単なるレトロ趣味として扱わない。むしろ、過去の音を現在に取り憑かせることで、時間感覚そのものを歪ませる。

Revelationでは、その時間感覚が特に「記憶」と結びついている。「Memory Camp」「Memorymix」「Second Sighting」「Goodbye (Butterfly)」といった曲名が示すように、アルバム全体には過去を再び見る感覚がある。そこでは、記憶は安定したものではなく、混ざり、変形し、再編集される。BJMのサウンドも同様に、60年代の音、90年代のローファイ感、2010年代の録音技術が混ざり合っている。

Fire Doesn’t Grow on Treesでは、より直接的なロックの力が戻っている。「The Real」「Ineffable Mindfuck」「It’s About Being Free Really」「You Think I’m Joking?」などのタイトルからもわかるように、作品全体には自己確認、自由、挑発、誤解への反発が強く表れている。ここでのBJMは、サイケデリックな記憶の中に沈むだけでなく、現在のバンドとして音を鳴らす力を取り戻している。

日本のリスナーにとって、この二作はBJMの90年代作品に比べると入りやすい面もある。録音は比較的整理され、楽曲も聴きやすい。しかし、聴き込むほどに、タイトルの奇妙さ、反復の中毒性、歌詞の曖昧さ、過去のロック史との複雑な関係が見えてくる。BJMはわかりやすいサイケデリック・ポップ・バンドではない。彼らは過去の音楽を愛しすぎるあまり、その愛を歪ませ、時に壊しながら自分たちの音へ変換するバンドである。

総じて、RevelationはThe Brian Jonestown Massacreの記憶と啓示のアルバムであり、Fire Doesn’t Grow on Treesは自由と現実、ロックの再点火をめぐるアルバムである。前者は内省的で多彩、後者はより肉体的で直接的。両作を並べて聴くことで、The Brian Jonestown Massacreが単なる90年代ネオ・サイケデリアの伝説ではなく、長い時間をかけて自分たちのサイケデリックな言語を更新し続けていることがよくわかる。

おすすめアルバム

1. The Brian Jonestown Massacre – Their Satanic Majesties’ Second Request

BJMのサイケデリック志向が最も濃く表れた90年代の代表作である。60年代ロックへの露骨なオマージュ、ローファイな混沌、酩酊したメロディが詰まっており、Revelationの背景にあるサイケデリックな記憶を理解するうえで欠かせない。

2. The Brian Jonestown Massacre – Take It from the Man!

ガレージ・ロック色が強い1996年作であり、BJMの荒々しいロックンロール面を知るために重要である。Fire Doesn’t Grow on Treesのリフ主体の勢いやバンド感を理解するうえで関連性が高い。

3. The Brian Jonestown Massacre – Aufheben

2012年作で、クラウトロック、サイケデリア、中東風の旋律、実験的な音響が混ざった作品である。Revelationへ向かう前段階として、Anton Newcombeが2010年代にどのようにサウンドを整理しつつ拡張していたかを確認できる。

4. Spacemen 3 – The Perfect Prescription

反復、ドローン、ドラッグ的な浮遊感を極限まで突き詰めたネオ・サイケデリアの重要作である。BJMのサウンドにある催眠的な反復や、精神状態を音で変化させる感覚を理解するうえで非常に関連性が高い。

5. The Velvet Underground – The Velvet Underground & Nico

BJMの音楽にある退廃、反復、都市的な冷たさ、甘いメロディと危険な空気の共存を理解するための原点的作品である。The Brian Jonestown Massacreが参照してきたロック史の最重要源流のひとつとして聴く価値がある。

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