アルバムレビュー:Methodrone by The Brian Jonestown Massacre

※本記事は生成AIを活用して作成されています。

発売日:1995年

ジャンル:サイケデリック・ロック、シューゲイザー、ネオ・サイケデリア、ドローン・ロック、オルタナティヴ・ロック

概要

Methodroneは、The Brian Jonestown Massacreが1995年に発表した初期の重要作である。アントン・ニューカムを中心とするこのバンドは、1960年代サイケデリック・ロック、The Rolling StonesThe Velvet UndergroundThe Jesus and Mary Chain、Spacemen 3、シューゲイザー、ガレージ・ロックなどの要素を吸収しながら、1990年代アメリカのインディー・ロック・シーンにおいて特異な位置を築いた。彼らは、懐古的な60年代再現バンドではなく、過去のロックの亡霊を90年代のノイズ、ドラッグ的な反復、ローファイな質感、精神的な不安定さの中で再生させた存在である。

Methodroneは、The Brian Jonestown Massacreのディスコグラフィの中でも、特にシューゲイザー/ドローン・ロック色が強い作品として位置づけられる。後のTheir Satanic Majesties’ Second RequestやTake It from the Man!では、より60年代ガレージ・ロックやブリティッシュ・ビートへの傾倒が強くなるが、本作では、ギターの反復、厚く霞むノイズ、浮遊するヴォーカル、ゆっくりとした陶酔感が中心にある。The Jesus and Mary Chainのノイズ・ポップ、Spacemen 3のミニマルなドラッグ・ロック、My Bloody Valentine以降のシューゲイザーの音響美が、アントン・ニューカムの退廃的なソングライティングと結びついている。

アルバム・タイトルのMethodroneは、「method」と「drone」を組み合わせたような言葉に見える。「方法」と「持続音」、あるいは「薬物的な沈み込み」を連想させる造語的な響きを持つ。実際、本作の音楽はドローン的である。曲は明確な目的地へ向かって進むというより、同じコードやリフの反復の中で、意識を少しずつ溶かしていく。ロックの快感は、サビで爆発することよりも、音の霧の中に長く滞在することに置かれている。

このアルバムの大きな特徴は、メロディが存在しながらも、それが音響の中に埋もれている点である。The Brian Jonestown Massacreは、単なるノイズ・バンドではない。彼らの曲には、60年代ポップやフォーク・ロックに由来するメロディ感覚がある。しかしMethodroneでは、そのメロディは明るく前景化されず、ギターの壁、リバーブ、ディレイ、揺らぐリズムの中に沈められる。結果として、楽曲は甘く、暗く、ぼやけた夢のように響く。

歌詞の面では、愛、喪失、孤独、依存、自己崩壊、現実逃避が繰り返し描かれる。ただし、言葉は明確な物語として前に出るより、音の中に溶け込む。ヴォーカルはしばしば遠く、感情は直接的に叫ばれず、眠気や麻酔のような質感を持つ。これは、シューゲイザーやドローン・ロックに共通する美学でもある。感情を説明するのではなく、音響そのものによって精神状態を作り出すのである。

The Brian Jonestown Massacreは、後にドキュメンタリー映画『DIG!』によって、アントン・ニューカムの破滅的なカリスマ性やバンド内部の混乱とともに語られることが多くなった。しかしMethodroneを聴くと、彼らの本質が単なる騒動や奇人性ではなく、ロックの歴史を深く掘り下げ、それを自分たちの不安定な時代感覚へ変換する音楽的才能にあったことが分かる。本作は、The Brian Jonestown Massacreの初期衝動と音響的な野心が濃く刻まれた、重要なアルバムである。

全曲レビュー

1. Evergreen

オープニング曲「Evergreen」は、アルバム全体の浮遊感を静かに提示する楽曲である。タイトルは「常緑」「永遠に青々としたもの」を意味し、時間が経っても変わらない感情や記憶を連想させる。しかし、曲の響きは力強い永続性というより、遠い記憶の中で揺れる淡い光のようである。

サウンドはゆったりとしており、ギターのリバーブと反復が夢のような空間を作る。ヴォーカルは前面に強く出るのではなく、楽器の一部として漂う。ここでのThe Brian Jonestown Massacreは、ロックンロールの攻撃性よりも、サイケデリックな滞留感を重視している。

歌詞では、永続するものへの憧れや、失われない感情への執着が感じられる。だが、それは明るい希望ではなく、過去に取り残されたような感覚を伴う。常緑という言葉が示す不変性は、救いであると同時に、変われないことの苦しさにもつながる。

「Evergreen」は、Methodroneの入口として非常に効果的である。アルバムはここから、明快なロックの時間ではなく、音がゆっくり伸び続ける時間へと入っていく。聴き手は曲の始まりから、現実の輪郭が少しずつぼやけていく感覚を味わう。

2. Wisdom

「Wisdom」は、タイトルが示す通り「知恵」を意味する楽曲である。しかし、この曲で感じられるのは、安定した悟りや成熟というより、知りすぎたことによる疲労、あるいは経験が人を重くする感覚である。The Brian Jonestown Massacreの音楽における知恵は、明るい導きではなく、退廃的な自己認識として響く。

サウンドは、反復するギターと霞んだ音像によって構成されている。シューゲイザー的な音の厚みがありながら、曲の骨格にはサイケデリック・ロックのミニマルな反復がある。音は大きく展開するというより、同じ場所でゆっくり回転し続ける。

歌詞では、何かを理解することの代償が暗示される。若さや無知は時に自由を与えるが、知恵は人に現実を見せる。現実を見ることは、必ずしも幸福ではない。この曲の陰りは、そうした知ることの重さと関係している。

「Wisdom」は、Methodroneにおける内省的な側面を示す楽曲である。音響は甘く漂うが、その内側には醒めた感覚がある。陶酔と覚醒が同時に存在する点が、このアルバムの魅力である。

3. Crushed

「Crushed」は、タイトル通り「押しつぶされた」「砕かれた」という感覚を持つ楽曲である。The Brian Jonestown Massacreの音楽では、愛や欲望はしばしば救済ではなく、精神を圧迫するものとして描かれる。この曲も、傷ついた感情や自己の崩れを音響化している。

サウンドは厚く、ギターの層が曲全体を覆う。シューゲイザー的なノイズの中で、ヴォーカルは遠くから聞こえるように配置される。感情は直接叫ばれるのではなく、音の圧力として聴き手に伝わる。これは、タイトルの「crushed」という感覚と非常によく合っている。

歌詞では、相手との関係や内面の痛みによって、自分が押し潰されていくような感覚が描かれる。重要なのは、悲しみがドラマティックに爆発するのではなく、重さとして持続する点である。これはドローン・ロック的な感情表現であり、痛みが瞬間ではなく状態として存在する。

「Crushed」は、Methodroneの暗い情緒をよく示す楽曲である。甘いメロディの残像がありながら、音は重く、沈んでいる。美しさと圧迫感が同時にある。

4. That Girl Suicide

「That Girl Suicide」は、本作の中でもタイトルからして強い印象を残す楽曲である。「あの少女の自殺」という言葉は、直接的で不穏であり、The Brian Jonestown Massacreの退廃的なロマンティシズムを象徴している。ただし、この曲は単純に死を美化するというより、破滅的な存在に惹かれる心理を描いているように響く。

サウンドはサイケデリックでありながら、比較的明確なロックの輪郭も持っている。ギターの反復と浮遊するヴォーカルが、現実感を薄める。曲にはどこか60年代のフォーク・ロックやサイケデリック・ポップの残響があるが、それは90年代の暗いノイズによって曇らされている。

歌詞では、少女、死、欲望、距離感が曖昧に絡み合う。タイトルの衝撃性は強いが、曲全体はむしろ夢のようにぼやけている。この曖昧さが重要である。死や破滅は明確な事件としてではなく、魅力と不安が混ざるイメージとして現れる。

「That Girl Suicide」は、The Brian Jonestown Massacreの美学をよく示している。甘く、危うく、破滅的で、どこか古いロックの香りを持ちながら、現代的な不安に覆われている。アルバムの中でも特に印象的な一曲である。

5. Wasted

「Wasted」は、タイトルが示す通り、浪費、酩酊、消耗、無駄にされた時間をテーマにした楽曲である。The Brian Jonestown Massacreの音楽において「wasted」という言葉は、単に酔っている状態だけでなく、人生や感情がすり減っていく感覚とも結びつく。

サウンドはゆったりとしており、ギターの反復が酩酊感を作る。ドラムやベースは曲を強く前進させるより、音の中に沈み込ませる役割を持つ。ヴォーカルもまた、輪郭を曖昧にしており、意識がぼやけていくような印象を与える。

歌詞では、失われた時間や、自分自身を使い果たしていく感覚が描かれる。これはドラッグ的な陶酔としても読めるし、恋愛や精神状態による消耗としても読める。重要なのは、曲がその状態を批判するのではなく、内側から体験させることにある。

「Wasted」は、Methodroneのタイトルにも通じる薬物的な時間感覚を強く持つ曲である。ロックの快活なエネルギーではなく、ゆっくりと崩れていく意識が中心にある。

6. Everyone Says

「Everyone Says」は、「誰もが言う」というタイトルを持つ楽曲である。ここには、周囲の声、噂、一般論、他人の判断に囲まれる感覚がある。The Brian Jonestown Massacreの歌詞では、自分と他者、内面と外部の声の間にある摩擦がしばしば重要になる。

サウンドは比較的メロディアスで、ギターの響きにも柔らかさがある。しかし、音像はやはり霞んでおり、明るいポップ・ソングにはならない。メロディの親しみやすさと、音の曖昧さが共存している。

歌詞では、他人が何かを言うこと、それに対して自分がどう反応するかがテーマになっているように聞こえる。誰もが何かを言うが、それが真実であるとは限らない。むしろ、他者の声が多すぎることで、自分の感情や判断が見えにくくなる。

「Everyone Says」は、アルバムの中で比較的ポップな入り口を持つ曲である。しかし、その内側には疎外感がある。人の声に囲まれながら孤独である、という感覚が静かに漂っている。

7. Short Wave

「Short Wave」は、短波放送を意味するタイトルを持つ楽曲である。短波という言葉は、遠くから届く電波、ノイズ混じりの通信、曖昧な受信状態を連想させる。これはMethodroneの音楽性そのものと非常に近い。音は遠くから届き、雑音にまみれ、意味は完全には掴めない。

サウンドは実験的で、曲というより音響の断片に近い印象を与える。ギターやノイズ、声の処理が、電波のように揺らぐ。アルバムの中で、通常のロック・ソングの流れを一度中断し、より抽象的な空間へ移行させる役割を持っている。

歌詞というより、音の質感が中心である。短波放送は、遠い場所とつながる技術でありながら、常にノイズや断絶を含んでいる。The Brian Jonestown Massacreの音楽におけるコミュニケーションも同じで、つながろうとするが、完全には届かない。

「Short Wave」は、Methodroneが単なるサイケデリック・ロック・アルバムではなく、音響的な実験性も持つ作品であることを示している。短い曲ながら、アルバムのムードを深める重要なインタールード的存在である。

8. She Made Me

「She Made Me」は、相手によって自分が作られた、あるいは変えられたという感覚を持つ楽曲である。タイトルは非常に簡潔だが、そこには依存、支配、愛、自己形成が含まれる。誰かを愛することは、自分の形を変えられることでもある。

サウンドはドリーミーで、ギターの重なりが甘く暗い空間を作る。ヴォーカルはやや遠く、感情を直接伝えるより、音の霧の中に溶けている。曲全体には、相手に飲み込まれていくような感覚がある。

歌詞では、女性的な存在が語り手に影響を与える。彼女が自分を作った、あるいは壊したのかもしれない。その関係は明確な幸福ではなく、自己を奪われるような不安も含んでいる。The Brian Jonestown Massacreの恋愛表現は、しばしばこのように甘さと危険が重なっている。

「She Made Me」は、本作の中でもメロディの魅力が比較的分かりやすい楽曲である。しかし、そのメロディは明るいポップとして開かれるのではなく、霞んだ音響の中でゆっくり沈んでいく。アルバムの美しさを代表する一曲である。

9. Hyperventilation

「Hyperventilation」は、「過呼吸」を意味するタイトルを持つ楽曲である。身体のコントロールが崩れ、呼吸が速くなり、不安やパニックが身体症状として現れる状態を示している。これは、Methodroneの精神的な緊張を非常によく表すタイトルである。

サウンドは不安定で、反復の中に焦燥感がある。一般的なロックの疾走感とは異なり、ここでの速さや揺れは快楽ではなく、不安の身体化として機能している。ギターやリズムは、呼吸の乱れのように聴こえる瞬間がある。

歌詞では、精神的な圧迫や、制御できない内面の反応が描かれる。過呼吸は、心の状態が身体へ直接出てしまう現象である。The Brian Jonestown Massacreの音楽もまた、精神の不安定さを音の質感として表す。この曲では、その対応関係が特に明確である。

「Hyperventilation」は、アルバムの中で不安の強度を高める楽曲である。陶酔的な浮遊感だけでなく、身体的なパニックの感覚が加わることで、Methodroneはより危うい作品になっている。

10. Records

「Records」は、音楽、記録、記憶、レコードそのものを連想させるタイトルを持つ楽曲である。The Brian Jonestown Massacreは過去のロック史への深い愛着を持つバンドであり、その音楽はレコード文化への執着とも結びついている。この曲のタイトルは、その自己言及的な側面を感じさせる。

サウンドは、60年代的なメロディ感覚と90年代のノイズ感覚が混ざっている。音はローファイで、まるで古いレコードが部屋で鳴っているような質感もある。だが、それは単なる懐古ではなく、過去の音が現在の不安定な意識の中で再生されているように響く。

歌詞では、レコードが記憶や感情の保存媒体として機能しているように感じられる。音楽は一度録音されると残るが、それを聴く人間の状態によって意味は変わる。The Brian Jonestown Massacreの音楽も、過去のロックを引用しながら、それを現在の歪みの中で再解釈している。

「Records」は、本作の中でバンドの音楽観を暗示する楽曲である。レコードとは、過去を保存するものだが、同時に何度も再生されることで別の意味を帯びるものでもある。この反復性は、アルバムのドローン的な美学ともつながっている。

11. I Love You

「I Love You」は、非常にシンプルで普遍的なタイトルを持つ楽曲である。しかし、The Brian Jonestown Massacreが「I Love You」と歌うとき、それは素直で明るい愛の告白としては響かない。むしろ、言葉の単純さの裏に、依存、距離、喪失、自己欺瞞がにじむ。

サウンドは甘く、ゆったりとしている。ギターの反復とリバーブが、愛の言葉を夢の中に沈める。ヴォーカルは近くにいるようで遠く、愛を告げているにもかかわらず、相手に本当に届いているのか分からない。

歌詞はタイトルと同様に直接的な感情を扱うが、音の曖昧さによって、その言葉は不安定になる。「愛している」という言葉は、最も分かりやすい言葉であると同時に、最も誤解されやすい言葉でもある。この曲は、その不確かさを音響の中で表現している。

「I Love You」は、Methodroneの中でロマンティックな面を示す楽曲である。しかし、そのロマンティシズムは清潔でも幸福でもなく、ぼんやりとした悲しみを伴う。愛の言葉が、音の霧の中で溶けていくような曲である。

12. End of the Day

「End of the Day」は、「一日の終わり」を意味するタイトルを持つ楽曲である。アルバム後半に置かれることで、疲労、諦め、夜の到来、感情の整理が連想される。The Brian Jonestown Massacreの世界における一日の終わりは、穏やかな安息というより、意識がさらに暗い場所へ沈んでいく時間である。

サウンドは落ち着いているが、明るさは少ない。ギターはゆっくり鳴り、ヴォーカルは疲れたように漂う。曲全体に、長い一日を終えた後の倦怠感がある。だが、それは安心ではなく、解決されなかった感情が残る状態である。

歌詞では、終わりの時間に何が残るのかが問われる。日中の出来事、他者との関係、自分の消耗。すべてが過ぎた後に残るのは、静けさだけではない。後悔や孤独もまた、夜に浮かび上がる。

「End of the Day」は、アルバムの流れの中で、精神的な疲労を表す重要曲である。Methodroneの陶酔は、快楽だけではなく、消耗と表裏一体であることを示している。

13. Outback

「Outback」は、荒野、辺境、外部の空間を連想させるタイトルを持つ楽曲である。オーストラリアの内陸部を指す言葉でもあり、都市や文明から離れた場所のイメージを持つ。The Brian Jonestown Massacreの音楽において、このような外部空間は、精神的な孤立や逃避とも結びつく。

サウンドは広がりがあり、ギターの反復が空間を作る。閉じた部屋の中のような曲が多い本作の中で、「Outback」は少し外へ開かれた感覚を持つ。ただし、それは明るい開放ではなく、広すぎる場所で自分を見失うような孤独である。

歌詞では、遠くへ行くこと、外部へ向かうこと、しかしそこでも完全には救われない感覚が漂う。逃げる場所が広大であっても、自分自身からは逃げられない。この曲は、そのようなサイケデリックな孤独を表現している。

「Outback」は、アルバム後半に空間的な変化を与える楽曲である。音は広がるが、精神は解放されない。その矛盾が、The Brian Jonestown Massacreらしい。

14. She’s Gone

「She’s Gone」は、喪失を直接的に扱う楽曲である。タイトルは「彼女は去った」という意味で、恋愛の終わり、相手の不在、残された者の空虚を示している。The Brian Jonestown Massacreの楽曲において、誰かが去ることは単なる失恋ではなく、世界の輪郭が変わる出来事として描かれる。

サウンドはメランコリックで、ギターの響きが失われたものの余韻を作る。ヴォーカルは強く嘆くのではなく、すでに諦めたように遠い。感情が爆発した後ではなく、すべてが終わった後の静けさが中心にある。

歌詞では、相手の不在が繰り返し意識される。彼女がいないという事実は、説明や物語を必要としない。それだけで十分に大きい。The Brian Jonestown Massacreは、この喪失を過度にドラマ化せず、音の中に沈める。

「She’s Gone」は、Methodroneの後半に深い悲しみを与える楽曲である。愛の言葉が届かず、相手が去り、残された音だけが漂う。このアルバムのロマンティックな暗さを象徴する曲である。

15. Methodrone

表題曲「Methodrone」は、アルバムのタイトルを担う重要曲である。タイトルは造語的であり、方法、反復、ドローン、薬物的な沈み込みを同時に連想させる。この曲は、アルバム全体の音楽的思想を最も明確に示している。

サウンドはドローン的で、反復が中心にある。曲は明確な劇的展開を目指すのではなく、同じ音の層を積み重ねながら、聴き手の意識をゆっくり変化させる。ここではロックは物語ではなく、状態である。音の中に長くいること自体が体験になる。

歌詞もまた、明確なメッセージより、音の質感と結びつく。Methodroneという言葉自体が、アルバムの精神状態を表す。一定の方法によって、反復する音へ身を委ね、意識を麻痺させる。これは快楽でもあり、自己消失でもある。

「Methodrone」は、本作の核心にある楽曲である。The Brian Jonestown Massacreがこの時期に目指していたのは、単に良い曲を書くことではなく、音によって意識の状態を作ることだった。この曲はその目的を最も強く体現している。

16. Untitled

ラストに置かれる「Untitled」は、タイトルを持たないこと自体が重要な楽曲である。名前がないということは、意味づけを拒むということでもある。アルバム全体を通じて、言葉やタイトルは強いイメージを持っていたが、最後にはその名前すら消える。

サウンドは余韻を重視しており、アルバムを明確な結論へ導くのではなく、音の中へ消えていくように終わる。これはMethodroneにふさわしい締めくくりである。ドローン的な音楽は、はっきり終わるというより、聴き手の意識の中で続いていく。

歌詞や構成の明確さよりも、残された感覚が重要である。ここまでアルバムは、愛、喪失、消耗、陶酔、反復を描いてきた。最後に名前のない曲が置かれることで、それらの感情は特定の意味から解放され、純粋な余韻として残る。

「Untitled」は、アルバムをきれいに閉じる曲ではない。むしろ、聴き手をまだ音の中に置いたまま終わる。Methodroneという作品が、曲の集まりであると同時に一つの精神状態であることを示すラストである。

総評

Methodroneは、The Brian Jonestown Massacreの初期作品の中でも、最もシューゲイザー/ドローン・ロック的な性格が強いアルバムである。後の作品で顕著になる60年代ガレージ・ロックへの傾倒よりも、本作では音響の霞、反復、長い陶酔、メロディの埋没が中心にある。The Jesus and Mary Chain、Spacemen 3、My Bloody Valentine、The Velvet Undergroundの影響を、アントン・ニューカム独自の退廃的なロマンティシズムへ変換した作品といえる。

本作の最大の魅力は、音の霧の中にメロディが存在する点である。曲は完全に抽象化されているわけではない。「That Girl Suicide」「She Made Me」「I Love You」「She’s Gone」などには、明確なソングライティングの芯がある。しかし、その芯は前面に出されず、ギターの反復、リバーブ、ディレイ、ドローンの中へ沈められる。これにより、曲はポップでありながら遠く、甘くありながら暗い。

Methodroneの音楽は、サビで感情を解放するタイプのロックではない。むしろ、同じような音の波の中に長く身を置くことで、感情が少しずつ変化していく。これはSpacemen 3的なドラッグ・ロックの影響を強く感じさせる。反復は退屈ではなく、意識を変える手段である。ギターの持続音や霞んだヴォーカルは、聴き手を日常の時間から切り離し、別の精神状態へ導く。

歌詞面では、愛と喪失が大きな軸になっている。しかし、それは明るい恋愛や分かりやすい失恋として描かれない。愛は依存と隣り合い、喪失は音の余韻として残り、自己は相手や薬物的な陶酔の中で溶けていく。「I Love You」という最も単純な言葉でさえ、本作では不安定で、相手に届かず、音の霧に消えていくように響く。

本作は、1990年代インディー・ロックにおけるネオ・サイケデリアの重要な例でもある。90年代のアメリカでは、グランジやオルタナティヴ・ロックが大きな潮流となる一方で、60年代サイケデリアやガレージ・ロックを再解釈する地下の動きも続いていた。The Brian Jonestown Massacreは、その中でも特に過去への執着と現在の不安定さを強く結びつけたバンドである。Methodroneは、その初期の証拠である。

一方で、本作は聴き手を選ぶ。曲調は似た温度で続き、音像は霞み、ヴォーカルは前に出すぎず、派手な展開は少ない。明確なフックやロックンロールの勢いを求めるリスナーには、長く、ぼんやりしているように感じられる可能性がある。しかし、この均質さこそが本作の意図である。Methodroneは、一曲ごとの強い個性よりも、アルバム全体を通じて一つの酩酊状態を作ることを目指している。

The Brian Jonestown Massacreの後の作品と比べると、本作はまだバンドのイメージが完全に固まる前の作品でもある。後年の作品では、よりガレージ・ロック、フォーク・ロック、ブリティッシュ・サイケ、ストーンズ的な要素が強くなるが、Methodroneではシューゲイザーとドローンの影響が濃い。そのため、バンドのディスコグラフィの中でも独自の位置を占めている。

日本のリスナーにとって、MethodroneはThe Brian Jonestown Massacre入門としてはやや内向的な作品かもしれない。より分かりやすいガレージ・ロック的な魅力を知るならTake It from the Man!やTheir Satanic Majesties’ Second Requestが聴きやすい。しかし、バンドの音響的な側面、シューゲイザーやドローン・ロックとの接点、アントン・ニューカムの退廃的な美意識を理解するには、本作は非常に重要である。

Methodroneは、音の中でゆっくり沈んでいくアルバムである。そこには愛があり、喪失があり、ドラッグ的な陶酔があり、過去のロックへの執着があり、現実から遠ざかりたいという強い願望がある。The Brian Jonestown Massacreは本作で、サイケデリック・ロックを90年代のノイズとシューゲイザーの霧の中へ沈め、独自の退廃的な音響世界を作り上げた。美しく、暗く、曖昧で、長い余韻を残す初期の重要作である。

おすすめアルバム

60年代サイケデリック・ロックへの傾倒がより明確になった代表作。Methodroneの霞んだ音響から、よりレトロでガレージ色の強い方向へ進んだ作品として重要。
– Take It from the Man! by The Brian Jonestown Massacre

The Rolling Stonesや60年代ガレージ・ロックの影響が強い作品。Methodroneとは異なる、よりロックンロール的なBJMを理解できる。
– Psychocandy by The Jesus and Mary Chain

甘いポップ・メロディとノイズ・ギターを結びつけた重要作。Methodroneのノイズ・ポップ的な背景を理解するうえで欠かせない。
– Playing with Fire by Spacemen 3

ミニマルな反復、ドラッグ的な陶酔、ドローン・ロックの美学が際立つ作品。Methodroneの反復的で酩酊感のある側面と強く響き合う。
– Loveless by My Bloody Valentine

シューゲイザーの代表作。ギターの霞、音の壁、ヴォーカルの埋没という点で、Methodroneの音響的な位置づけを理解するための重要な比較対象である。

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