
発売日:1974年2月15日
ジャンル:ハードロック、ブルース・ロック、ファンク・ロック、ソウル・ロック、初期ヘヴィメタル
概要
Deep Purpleの『Burn』は、1974年に発表された通算8作目のスタジオ・アルバムであり、バンドの歴史において大きな転換点となった作品である。『Deep Purple in Rock』『Fireball』『Machine Head』『Made in Japan』によって黄金期を築いた第2期Deep Purpleは、Ian Gillan、Ritchie Blackmore、Jon Lord、Roger Glover、Ian Paiceという編成でハードロック史に決定的な足跡を残した。しかし、バンド内の緊張や方向性の違いにより、Ian GillanとRoger Gloverが脱退。『Burn』は、新たにDavid CoverdaleとGlenn Hughesを迎えた第3期Deep Purpleの最初のアルバムである。
このメンバー交代は、単なるヴォーカリストとベーシストの交替以上の意味を持っていた。Ian Gillanは圧倒的なハイトーン・シャウトと劇的な表現力でDeep Purpleのハードロック像を決定づけた存在であり、Roger Gloverはソングライティングと堅実なベースで第2期のサウンドを支えていた。そこに、まだ比較的無名だったDavid Coverdaleと、Trapezeで活動していたGlenn Hughesが加入したことで、Deep Purpleの音楽には新たな要素が流れ込むことになる。
David Coverdaleは、Gillanとは異なるタイプのシンガーである。Gillanが鋭い高音とドラマティックな絶叫で楽曲を切り裂くタイプだったのに対し、Coverdaleはブルース、ソウル、R&Bの影響を感じさせる太く湿った声を持つ。彼の歌唱は、後のWhitesnakeへつながるブルージーなロック・シンガーとしての資質をすでに示している。一方、Glenn Hughesはベーシストでありながら、非常に高い歌唱力を持つソウルフルなヴォーカリストでもある。彼の声は高く、ファンキーで、リズム感が強い。この二人のヴォーカル体制によって、『Burn』は第2期とは明らかに異なる色彩を獲得した。
本作の最大の特徴は、Deep Purple従来のハードロックに、ブルース、ソウル、ファンクの要素が強く加わった点である。Ritchie Blackmoreのクラシカルで鋭いギター、Jon Lordの重厚なハモンド・オルガン、Ian Paiceの強靭でしなやかなドラムは健在だが、そこにCoverdaleとHughesの声が入ることで、音楽はより肉体的で、黒人音楽寄りのグルーヴを帯びる。特に「Sail Away」「Lay Down, Stay Down」「What’s Goin’ On Here」などでは、従来のDeep Purpleには少なかったファンキーな感覚が前面に出ている。
一方で、アルバム冒頭の「Burn」は、Deep Purpleのハードロックとしての威厳を完全に保っている。高速で疾走するリフ、クラシック音楽的な緊張感、BlackmoreとLordの激しい応酬、ツイン・ヴォーカルの迫力は、第2期の名曲群にも劣らない。むしろ、この曲は第3期Deep Purpleが単なる後継体制ではなく、新たな強力なバンドとして成立したことを高らかに宣言する楽曲である。
『Burn』は、バンドのキャリアにおける過渡期の作品でありながら、完成度は非常に高い。第2期の成功をなぞるだけではなく、新メンバーの個性を積極的に取り入れ、新しいDeep Purpleを作ろうとする意志が強く感じられる。特にGlenn Hughesの参加は、後の『Stormbringer』でさらに顕著になるファンク/ソウル路線への布石となっている。ただし、『Burn』ではまだBlackmore主導のハードロック色が強く残っているため、従来のファンにも受け入れやすいバランスになっている。
歌詞面では、魔術的・幻想的なイメージ、恋愛、欲望、旅、孤独、社会的な違和感などが扱われる。第2期Deep Purpleの歌詞が必ずしも深いコンセプト性を重視していたわけではないように、本作も一貫した物語を持つアルバムではない。しかし、全体としては、夜、炎、誘惑、逃避、魂の揺れといったイメージがあり、よりブルージーで官能的な空気が強まっている。
音楽史的に見ると、『Burn』はDeep Purpleがハードロックの枠内で変化しようとした重要作である。1970年代前半のロックは、Led Zeppelin、Black Sabbath、Uriah Heep、UFO、Free、Bad Companyなどが、それぞれ異なる形でブルース、ハードロック、ヘヴィネス、ファンク、ソウルを取り込んでいた。『Burn』は、その中でDeep Purpleが自らのクラシカルなハードロック・サウンドに、よりアメリカ南部的、ソウルフルな要素を接続した作品といえる。
日本のリスナーにとって『Burn』は、『Machine Head』や『Made in Japan』に次いでDeep Purpleを知るうえで重要な作品である。第2期の代表曲とは異なるが、表題曲「Burn」は日本でも非常に人気が高く、ハードロックの名曲として定着している。さらにアルバム全体を聴くと、第3期Deep Purpleが単に過去の再現ではなく、より広い音楽性へ向かっていたことが分かる。
全曲レビュー
1. Burn
「Burn」は、アルバムの冒頭を飾るだけでなく、第3期Deep Purpleの誕生を告げる決定的な楽曲である。高速で駆け抜けるリフ、ドラマティックな展開、クラシカルな緊張感、ツイン・ヴォーカルの迫力が一体となり、Deep Purpleの代表曲のひとつに数えられる名曲である。
音楽的には、Ritchie Blackmoreのギター・リフが中心にある。スピード感と鋭さを兼ね備えたリフは、『Highway Star』や『Speed King』の系譜にありながら、より洗練され、より劇的である。Jon Lordのハモンド・オルガンも重要で、ギターと並ぶリード楽器として曲全体を押し上げる。BlackmoreとLordの掛け合いは、第2期から続くDeep Purpleの最大の魅力であり、この曲でも圧倒的な存在感を放っている。
David CoverdaleとGlenn Hughesのヴォーカルは、この曲の新しさを決定づけている。Coverdaleの太くブルージーな声と、Hughesの高くソウルフルな声が交互に、または重なりながら曲を進めることで、Gillan時代とは異なる厚みが生まれている。特にサビでのヴォーカルの重なりは、第3期Deep Purpleならではの迫力を持つ。
歌詞では、炎、魔女、破滅、超自然的な力を連想させるイメージが描かれる。タイトルの「Burn」は単なる火ではなく、抑えきれない力、破壊、情念、呪術的なエネルギーの象徴として機能している。音楽の激しさと歌詞のイメージが強く結びつき、曲全体に異様な熱量を与えている。
「Burn」は、第3期Deep Purpleが過去の成功に頼らず、新しいラインナップで強力なハードロックを作れることを証明した楽曲である。アルバムの冒頭に置かれることで、本作全体の期待値を一気に引き上げている。
2. Might Just Take Your Life
「Might Just Take Your Life」は、重くうねるリズムとブルージーな雰囲気を持つ楽曲であり、表題曲の疾走感とは異なるDeep Purpleの魅力を示している。ここでは、CoverdaleとHughesの加入によるソウルフルな色合いがより明確に感じられる。
音楽的には、Jon Lordのオルガンが非常に重要な役割を果たしている。重厚なコードと独特のグルーヴが曲全体を支え、Blackmoreのギターはその上で鋭く切り込む。テンポは速すぎず、むしろリズムの重みと粘りが中心である。Ian Paiceのドラムは、シンプルながら非常に力強く、曲にしっかりした推進力を与えている。
歌詞では、相手に人生を奪われるかもしれない、あるいは強い感情や関係に飲み込まれるような危うさが歌われる。恋愛や欲望の歌としても読めるが、そこにはどこか脅迫的なムードもある。Deep Purpleのブルース・ロック的な側面とよく合ったテーマである。
Coverdaleの声は、この曲で特に映える。彼の歌唱には、Gillanとは異なる湿り気と重さがあり、ブルース・ロック的な表現に向いている。Hughesのコーラスや高音も加わることで、楽曲に立体感が生まれている。
「Might Just Take Your Life」は、『Burn』が単なる高速ハードロック・アルバムではなく、よりグルーヴィーでブルージーな作品であることを示す重要曲である。
3. Lay Down, Stay Down
「Lay Down, Stay Down」は、本作の中でも特にファンキーで、リズムの跳ねが強い楽曲である。Deep Purpleの従来のクラシカルなハードロックに、Glenn Hughesの加入によるファンク/ソウル感覚が加わったことを分かりやすく示している。
音楽的には、Ian Paiceのドラムが非常に重要である。彼のプレイは力強いだけでなく、非常にしなやかで、細かいリズムの揺れを持っている。Roger Glover時代の直線的なハードロックとは異なり、Glenn Hughesのベースはより跳ね、曲に黒人音楽的なグルーヴを加えている。
Blackmoreのギターは、ここではリフの鋭さだけでなく、リズム楽器としての切れ味も発揮している。Jon Lordのオルガンも、重厚さよりもグルーヴの一部として機能しており、バンド全体が非常に躍動的に鳴っている。
歌詞は、恋愛や欲望をめぐる直接的なロックンロール的表現が中心であり、深刻な物語性よりも、身体的なエネルギーが重視されている。CoverdaleとHughesのヴォーカルは、曲のファンキーな感覚とよく合っており、Gillan時代にはあまりなかったタイプの表情を作っている。
「Lay Down, Stay Down」は、第3期Deep Purpleの新しい方向性を象徴する楽曲である。ハードロックの重さを保ちながら、よりリズムが柔軟になり、身体的なグルーヴが前面に出ている。
4. Sail Away
「Sail Away」は、『Burn』の中でも特に印象的なミッドテンポ曲であり、Deep Purple第3期のブルージーでファンキーな魅力が凝縮された楽曲である。疾走するハードロックではなく、重くゆったりしたグルーヴによって聴かせるタイプの曲である。
音楽的には、シンコペーションするリズムと、うねるようなベースが大きな特徴である。Glenn Hughesのベースは非常に存在感があり、曲に深いグルーヴを与えている。Blackmoreのギターは鋭くも抑制されており、曲全体のムードを壊さずに緊張感を保つ。Jon Lordのキーボードは、ハードロックの重さよりも、やや幻想的で広がりのある空気を作っている。
歌詞では、船出、逃避、遠くへ行くこと、自由への憧れが描かれる。タイトルの「Sail Away」は、現実から離れ、別の場所へ向かう願望を象徴している。これは単なる旅の歌ではなく、精神的な逃避や新しい人生への欲求としても読める。
Coverdaleのヴォーカルは、この曲で非常に魅力的である。彼の声には、旅や孤独を歌うのに適した渋みがある。Hughesの高音コーラスが加わることで、曲にソウルフルな奥行きが生まれている。
「Sail Away」は、『Burn』の中でも特に第3期らしい楽曲である。従来のDeep Purpleのハードロックを期待すると控えめに聴こえるかもしれないが、グルーヴとムードの完成度は非常に高い。アルバムの隠れた重要曲である。
5. You Fool No One
「You Fool No One」は、ファンキーなリズムとハードロックの攻撃性が結びついた楽曲であり、Deep Purple第3期のバンド・アンサンブルの強さを示す一曲である。タイトルは「誰も騙せない」という意味で、相手の嘘や虚勢を見抜くような内容を持つ。
音楽的には、Ian Paiceのドラムが曲を大きく支配している。複雑でタイトなリズムは、単なるハードロックの直線的なビートではなく、ファンク的な跳ねとロックの力強さを兼ね備えている。ライヴでのドラム・ソロを含む展開でも知られる曲であり、Paiceの技術とセンスがよく表れている。
Blackmoreのギターは鋭く、Lordのオルガンも分厚い音で応える。両者の掛け合いは、曲にスリリングな緊張感を与える。Glenn Hughesのベースも非常に動きがあり、バンド全体のグルーヴを支えている。
歌詞では、相手の欺瞞、虚偽、表面的な態度を見破るような視点が示される。CoverdaleとHughesのヴォーカルは、皮肉と攻撃性を込めながら、曲のリズムに鋭く乗っている。
「You Fool No One」は、本作の中で演奏力が特に際立つ楽曲である。ファンク・ロック的な要素とDeep Purpleらしいハードな即興性が融合し、アルバム後半に強い推進力を与えている。
6. What’s Goin’ On Here
「What’s Goin’ On Here」は、ロックンロール、ブルース、ブギーの要素を強く持つ楽曲であり、『Burn』の中では比較的軽快で親しみやすい曲である。Deep Purpleの重厚な面だけでなく、よりルーズで楽しげな演奏感を示している。
音楽的には、ピアノやオルガンの明るい響きが印象的で、曲全体にブギー調のノリがある。Blackmoreのギターは過度に重くならず、リズムに軽快に絡む。Ian Paiceのドラムも、曲のロックンロール的な軽さを支えながら、しっかりとしたグルーヴを作っている。
歌詞では、状況がよく分からない、何が起きているのかという戸惑いが、軽いユーモアとともに歌われる。タイトルの「What’s Goin’ On Here」は、混乱した場面への反応であり、深刻な哲学的問いというより、ロックンロール的な騒ぎの中での一言として機能している。
Coverdaleのヴォーカルは、こうしたブルージーでくだけた曲調と非常に相性が良い。彼の声には、酒場のロックンロールや南部的なブルースの雰囲気があり、曲に自然な魅力を与えている。
「What’s Goin’ On Here」は、アルバムに軽さと変化をもたらす楽曲である。重厚なハードロックだけではない、第3期Deep Purpleのルーツ・ミュージック的な側面を楽しめる。
7. Mistreated
「Mistreated」は、『Burn』の中でも特にブルース色の強いバラードであり、David Coverdaleの個性が最も強く表れた楽曲である。この曲は、後のWhitesnakeの方向性を予告するようなブルージーなハードロック・バラードであり、第3期Deep Purpleの重要な成果である。
音楽的には、ゆったりしたテンポの中で、Blackmoreのギターが非常に感情的に鳴る。彼のプレイは、速弾きやリフの鋭さではなく、音の間、チョーキング、泣きの表現によって曲を支えている。Jon Lordのオルガンも、背景で荘厳な響きを作り、曲に深い陰影を与える。
歌詞では、愛に傷つけられた人物の痛み、裏切り、孤独が歌われる。タイトルの「Mistreated」は「ひどく扱われた」という意味で、ブルースの伝統的なテーマに深く根ざしている。Coverdaleの声は、このテーマに非常によく合っている。彼は怒りを叫ぶというより、痛みを抱えたまま絞り出すように歌う。
この曲におけるCoverdaleの歌唱は、本作の中でも特に重要である。彼がGillanの後任として単に高音を出すシンガーではなく、まったく異なる表現力を持つヴォーカリストであることを証明している。彼のブルージーな感情表現は、Deep Purpleに新しい深みを与えた。
「Mistreated」は、『Burn』の感情的な核心である。ハードロックの激しさではなく、ブルースの痛みと重さによって聴かせる名曲であり、第3期Deep Purpleを語るうえで欠かせない。
8. “A” 200
アルバムの最後を飾る「“A” 200」は、インストゥルメンタル曲であり、本作の中でもやや異色の存在である。Deep Purpleのハードロックやブルース・ロックから少し離れ、シンセサイザーや実験的な要素を取り入れた曲になっている。
音楽的には、Jon Lordのキーボードが中心で、プログレッシヴ・ロック的な雰囲気も感じられる。リズムは比較的シンプルだが、音色や展開には未来的な感覚があり、アルバムの締めくくりとして独特の余韻を残す。Deep Purpleが単なるリフ中心のハードロック・バンドではなく、実験的な要素も持っていたことを示している。
Blackmoreのギターは控えめながらも効果的に配置され、Lordの鍵盤と対話する。PaiceとHughesのリズム隊も、曲の進行を支えながら、硬質なグルーヴを作る。ヴォーカルがない分、各楽器の音色と配置が前面に出る。
「“A” 200」は、アルバムの終曲としては意外性がある。表題曲「Burn」のような劇的なハードロックで締めるのではなく、やや実験的で未来的なインストゥルメンタルで終わることで、本作の音楽的な幅を示している。第3期Deep Purpleが、単なる過去の延長ではなく、新しい可能性を探っていたことを象徴する曲である。
総評
『Burn』は、Deep Purpleが第2期の黄金時代を経た後、新たなメンバーを迎えて生まれ変わったことを示す重要作である。Ian GillanとRoger Gloverの脱退は、バンドにとって大きな変化だったが、David CoverdaleとGlenn Hughesの加入によって、Deep Purpleは単に穴を埋めるのではなく、新しい音楽的可能性を手に入れた。
本作の最大の魅力は、従来のDeep Purpleらしいハードロックの強さと、新メンバーによるブルース/ソウル/ファンク的な要素が共存している点である。表題曲「Burn」は、第2期にも匹敵するスピード感とドラマ性を持つハードロックの名曲であり、一方で「Sail Away」「Lay Down, Stay Down」「You Fool No One」では、よりグルーヴィーでファンキーな新しい方向性が示される。
David Coverdaleの加入は、本作に深いブルース感をもたらした。彼の声は、Gillanのような鋭いシャウトとは異なり、より土臭く、湿り気があり、官能的である。「Mistreated」はその個性が最もよく表れた楽曲であり、後のWhitesnakeにつながるブルージーなハードロックの原型といえる。
Glenn Hughesの存在も非常に重要である。彼はベーシストとしてバンドのリズムをよりファンキーにし、さらにヴォーカリストとしても高い能力を発揮している。Coverdaleとのツイン・ヴォーカル体制は、第3期Deep Purpleの大きな特徴であり、楽曲に厚みと多様な表情を与えている。
Ritchie Blackmore、Jon Lord、Ian Paiceの演奏は、本作でも圧倒的である。Blackmoreのギターは、表題曲でのクラシカルな疾走感から、「Mistreated」での泣きの表現まで幅広い。Lordのオルガンは、ハードロックの重さとプログレッシヴな広がりを支え、Paiceのドラムは、直線的なロックだけでなくファンキーなリズムにも柔軟に対応している。
アルバムとしての『Burn』は、第2期の『Machine Head』ほど楽曲が完全に整理された作品ではないかもしれない。しかし、その分、新しい編成が持つエネルギーと試行錯誤が鮮明に刻まれている。ハードロック、ブルース、ファンク、ソウル、プログレッシヴな要素が混ざり合い、Deep Purpleが変化しようとしている瞬間が聴ける。
本作の後に発表される『Stormbringer』では、ファンク/ソウル色がさらに強まり、Ritchie Blackmoreとの方向性の違いがより明確になっていく。その意味で、『Burn』は第3期Deep Purpleの中でも、ハードロックと新要素のバランスが最も取れた作品といえる。従来のファンにとっても、新しい音楽性を受け入れやすい構成になっている。
日本のリスナーにとっては、表題曲「Burn」の強烈な印象が非常に大きいが、アルバム全体を聴くことで、第3期Deep Purpleの豊かな音楽性が見えてくる。「Might Just Take Your Life」「Sail Away」「Mistreated」などは、単なるハードロックの名曲というより、Deep Purpleがブルースやソウルへ接近していたことを示す重要曲である。
総じて、『Burn』は、Deep Purpleが大きなメンバー交代を乗り越え、新たな生命力を獲得したアルバムである。表題曲の圧倒的なハードロック、Coverdaleのブルージーな歌唱、Hughesのソウルフルな声とベース、BlackmoreとLordの変わらぬ緊張感が一枚に詰まっている。第2期とは異なるが、Deep Purpleの歴史において欠かせない名盤であり、1970年代ハードロックの多様化を象徴する作品である。
おすすめアルバム
1. Deep Purple – Stormbringer
『Burn』に続く第3期Deep Purpleの作品。ファンク、ソウル、ブルース色がさらに強まり、Glenn HughesとDavid Coverdaleの個性がより前面に出ている。Ritchie Blackmoreとの方向性の違いも感じられるが、第3期の音楽的発展を知るうえで重要である。
2. Deep Purple – Machine Head
第2期Deep Purpleの代表作であり、「Highway Star」「Smoke on the Water」「Lazy」などを収録。『Burn』と比較することで、Ian Gillan時代のクラシカルで直線的なハードロックと、第3期のブルージーでソウルフルな方向性の違いがよく分かる。
3. Deep Purple – Made in Japan
第2期Deep Purpleのライヴ・バンドとしての頂点を記録した歴史的名盤。『Burn』以前のバンドの演奏力と即興性を知るために欠かせない。第3期との比較にも有効である。
4. Whitesnake – Ready an’ Willing
David CoverdaleがDeep Purple脱退後に率いたWhitesnakeの代表的作品のひとつ。『Burn』の「Mistreated」で示されたブルージーなハードロックの方向性が、より明確に発展している。Coverdaleのヴォーカリストとしての魅力を知るために重要である。
5. Trapeze – Medusa
Glenn HughesがDeep Purple加入前に在籍していたTrapezeの重要作。ファンク、ソウル、ハードロックが結びついたサウンドを持ち、『Burn』以降のDeep PurpleにGlenn Hughesが持ち込んだ要素を理解するうえで非常に有効である。



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