発売日: 2004年6月7日
ジャンル: ダンスパンク、ファンク、エクスペリメンタルロック
Louden Up Nowは、アメリカのダンスパンクバンド!!! (Chk Chk Chk)による2作目のアルバムで、ファンク、ディスコ、パンクを独自に融合させたサウンドで話題を集めた作品だ。政治的なメッセージや挑発的な歌詞、ダンスフロアを意識したエネルギッシュなリズムが特徴で、当時のポストパンク・リバイバルシーンを代表する重要な一枚である。
アルバムは、ディスコビートとファンクのグルーヴを基調に、バンドならではの攻撃的で実験的なサウンドが展開される。特に繰り返しを重視したループ的な構造が、聴く者を没入感のある体験へと誘う。さらに、政治や社会に対する辛辣な批評をユーモラスに表現しており、ダンスミュージックの楽しさと社会的メッセージを見事に融合している。
トラック解説
1. When the Going Gets Tough, the Tough Get Karazzee
ファンキーなベースラインと歪んだギターが楽曲をリードするオープニングトラック。バンドのエネルギーが詰まったダンサブルなサウンドに、挑発的な歌詞が重なる。
2. Pardon My Freedom
「I’m sorry for being such an a**hole」というラインが繰り返される挑発的な楽曲。カッティングギターとエレクトロなビートが絡み合い、攻撃的な歌詞とダンスフロア向けのサウンドが共存している。
3. Dear Can
ダブとファンクが融合した一曲。浮遊感のあるシンセサウンドと繰り返されるリズムがトランス状態を生み出す。アルバム全体の流れに緩急を与える重要なトラック。
4. King’s Weed
ファンキーで軽快なインストゥルメンタル。シンセサウンドが楽曲を支配し、短いながらもアルバムにアクセントを加えている。
5. Hello? Is This Thing On?
キャッチーなメロディが印象的なトラック。ディスコ調のビートと重厚なグルーヴが楽曲を支え、ライブでも人気の高い楽曲として知られる。
6. Shit Scheisse Merde Pt. 1 & Pt. 2
10分を超える大作で、ダブとディスコ、ファンクの要素が混ざり合った実験的な一曲。反復するリズムとダークな雰囲気が楽曲を支配し、アルバムの中でも特にトランス的な体験を提供する。
7. Me and Giuliani Down by the School Yard (A True Story)
アルバムのハイライトとなるリードシングルで、9分を超えるダンスパンクの名曲。ニューヨーク市長ルドルフ・ジュリアーニの政策を皮肉った歌詞が注目され、シンセとカッティングギターが生み出す絶妙なグルーヴが圧巻。
8. Theme from Space Island
スペーシーなサウンドスケープを持つインストゥルメンタル。アルバム全体の流れを締めくくる余韻を残すトラックとして機能している。
アルバム総評
Louden Up Nowは、!!! (Chk Chk Chk)のエネルギーと実験精神が詰まったアルバムで、ダンスパンクというジャンルを代表する重要な作品である。ディスコとファンクのリズムを基盤にしながら、社会的メッセージをユーモアと攻撃性で包み込み、ダンスフロアと政治的批評の境界を曖昧にしている点が特筆される。
特に「Me and Giuliani Down by the School Yard」や「Shit Scheisse Merde Pt. 1 & Pt. 2」のような長尺のトラックでは、繰り返しとグルーヴを重視した構造が、リスナーを没入感のある体験へと誘う。また、攻撃的な歌詞や挑発的な態度が、ダンスミュージックを単なる娯楽に終わらせない深みを与えている。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
LCD Soundsystem – LCD Soundsystem
エレクトロとパンクを融合させたサウンドが、Louden Up Nowのファンにも響く。
The Rapture – Echoes
同じくダンスパンクの代表的な作品で、!!! (Chk Chk Chk)と同じ時代を象徴する。
Talking Heads – Remain in Light
ファンクとポストパンクの融合が、Louden Up Nowのルーツを感じさせる。
Gang of Four – Entertainment!
社会批評的な歌詞とファンキーなサウンドが、!!! (Chk Chk Chk)の音楽性に通じる。
Out Hud – Let Us Never Speak of It Again
!!!のメンバーが関与する別プロジェクトで、ダブやディスコの要素をさらに追求した作品。
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