
1. 歌詞の概要
Milk Manは、Deerhoofの2004年作Milk Manの冒頭を飾る楽曲である。
アルバムMilk Manは2004年3月9日にKill Rock Stars、ATP Recordings、5 Rue Christineからリリースされた作品で、Deerhoofにとって7作目のアルバムとして扱われる。Bandcampの公式ページでも、1曲目にMilk Manが置かれている。(Deerhoof Bandcamp)
この曲は、かわいらしい。
そして、かなり不気味である。
タイトルのMilk Manは、直訳すれば牛乳配達人。
普通なら、朝の住宅街にやってくる素朴な存在を思い浮かべるかもしれない。
しかしDeerhoofのMilk Manは、そんな穏やかな人物ではない。
屋根の上で眠り、月の下で家に忍び込み、奇妙な言葉を口にし、子どもたちを夢の国へ誘う。
しかも、その身体にはバナナが突き刺さっている。
歌詞はまるで子どもの絵本のように単純だ。
言葉は短く、反復が多く、メロディも耳に残りやすい。
しかし、内容はどこか悪夢である。
子ども向けの歌のように始まりながら、気づけば誘拐譚、仮面の男、奇妙な身体、逃げられない夢の国へと変わっていく。
この落差こそが、Milk Manという曲の魅力だ。
Deerhoofは、かわいいものと怖いものを分けない。
むしろ、かわいさの中に怖さを混ぜ、怖さの中にポップな甘さを入れる。
Satomi Matsuzakiのボーカルは、軽く、明るく、どこか無邪気に響く。
だが、その無邪気さが歌詞の不穏さを中和するのではなく、逆に強めている。
笑顔で怖いことを言われると、かえって背筋が冷える。
Milk Manには、その感覚がある。
サウンドはDeerhoofらしく、予測不能でありながら非常に緻密だ。
ギターは跳ね、リズムは急に角度を変え、ドラムは小さな爆発のように鳴る。
ポップソングの骨格はある。
しかし、まっすぐには進まない。
曲は子どもの行進のようでもあり、壊れたロックオペラの幕開けのようでもある。
PitchforkはアルバムMilk Manについて、Deerhoofがそれまでの実験性を凝縮し、より密度の高い、よく考えられたソングライティングへ向かった作品だと評している。特に、以前よりも従来型の楽曲らしさを持ちながら、バンドの奇妙さを失っていない点を指摘している。(Pitchfork)
Milk Manという曲は、その方向性をはっきり示すオープニングである。
ポップである。
でも、普通ではない。
物語がある。
でも、意味は完全にはつかめない。
子どもっぽい。
でも、子ども向けではない。
Deerhoofは、この曲でリスナーを作品世界の入口へ連れていく。
その入口には、牛乳配達人が立っている。
笑っている。
でも、顔の下には仮面がある。
2. 歌詞のバックグラウンド
Milk Manというアルバムは、Deerhoofの作品の中でもコンセプトが強い。
アルバムは、日本人アーティスト加賀美健が作ったMilk Manというキャラクターをもとにしたコンセプト・アルバムとして紹介されている。加賀美健はバンドの友人であり、一時期ハウスメイトでもあった人物とされる。(Wikipedia)
この設定が、作品全体の奇妙な質感を作っている。
Milk Manは、ただの曲名ではない。
アルバム全体を動かすキャラクターの名前でもある。
つまりこの曲は、そのキャラクターの登場シーンのような役割を持っている。
彼はどこから来たのか。
何者なのか。
なぜ子どもたちを誘うのか。
なぜバナナが身体に刺さっているのか。
歌詞は説明しない。
むしろ、説明しなさによって、Milk Manという存在を神話のように立ち上げる。
民話や都市伝説には、理由のわからない怖さがある。
なぜその妖怪は夜に来るのか。
なぜ子どもを連れていくのか。
なぜその姿をしているのか。
理由がわからないから、怖い。
Milk Manも同じである。
PopMattersのレビューは、牛乳配達人という存在が本来は郊外的で古い時代の記号であるにもかかわらず、このアルバムでは奇妙な悪夢のような存在として作り替えられていることに触れている。(PopMatters)
この変換が非常にDeerhoofらしい。
日常的で古びた存在を、ナンセンスな怪物へ変える。
牛乳、バナナ、子ども、夢の国。
本来ならやわらかく親しみやすいモチーフが、少しずつ異物化していく。
Deerhoofの音楽には、よくこの感覚がある。
かわいい音。
短いフレーズ。
童謡のようなメロディ。
でも、曲の構造は複雑で、リズムは不安定で、歌詞は妙に怖い。
Milk Manは、そのDeerhoof的な美学がもっともわかりやすい形で表れた曲のひとつである。
アルバムMilk Manは、バンドのメンバーとしてSatomi Matsuzaki、John Dieterich、Chris Cohen、Greg Saunierが参加した時期の作品である。公式Bandcampのクレジットでも、彼らの名前が確認できる。(Deerhoof Bandcamp)
この編成のDeerhoofは、非常に鋭いアンサンブルを持っていた。
Greg Saunierのドラムは、単なるリズムの土台ではない。
曲の中で暴れ、止まり、跳ね、音楽を別方向へねじ曲げる。
John DieterichとChris Cohenのギターは、ロックのリフとして鳴ることもあれば、切り刻まれた線のように機能することもある。
Satomi Matsuzakiの声とベースは、奇妙な世界をポップに見せる中心にある。
この4人の組み合わせが、Milk Manの童話性と暴力性を支えている。
Tiny Mix Tapesのレビューでは、Milk Manについて、Deerhoofの作品の中でも集中的で引き込まれるリリースだと評し、ポップとアヴァンギャルドを無理なく混ぜるバンドの能力に触れている。(Tiny Mix Tapes)
Milk Manという曲にも、それがはっきり出ている。
実験的なのに、聴きづらいだけではない。
むしろ、かなりキャッチーだ。
メロディは覚えやすく、コーラスも強い。
しかし、そのキャッチーさは安全ではない。
口ずさみたくなる。
でも、何を口ずさんでいるのか考えると少し怖い。
Deerhoofは、そのズレを楽しんでいる。
3. 歌詞の抜粋と和訳
歌詞の全文は、歌詞掲載サービスや配信サービスで確認できる。ここでは権利に配慮し、短い一部のみを引用する。
引用元:Dork Milk Man Lyrics、LyricFind Milk Man
作詞・作曲:Deerhoof
収録アルバム:Milk Man
リリース:2004年3月9日
ミルクマン sleeps on the roof
和訳:
ミルクマンは屋根の上で眠っている
この冒頭から、すでに奇妙だ。
牛乳配達人なら、普通は玄関先に来る。
しかしMilk Manは屋根の上にいる。
日常の役割から少し外れた場所にいることで、彼は最初から現実の人物ではなく、妖怪や夢の中の存在のように見える。
しかも、昼に眠る。
太陽の下のはずなのに、行動は夜の怪物のようだ。
Milk Man sneaks in the house
和訳:
ミルクマンは家の中へ忍び込む
ここで曲は、はっきりと不穏になる。
sneaksという言葉には、こっそり入る、忍び込む、というニュアンスがある。
牛乳を届けるのではない。
勝手に入ってくる。
親しみやすい配達人のイメージが、侵入者へ変わる瞬間である。
Come closer
和訳:
もっと近くへおいで
これは優しい誘いにも聞こえる。
しかし、この曲では危険な呼び声である。
童話には、近づいてはいけない存在がよく出てくる。
甘い声で呼びかけ、子どもを森や家や夢へ誘い込む。
Milk ManのCome closerも、その系譜にある。
I’ll take you to my dream land
和訳:
君を僕の夢の国へ連れていく
dream landは、夢の国である。
一見すると、楽しい場所のように聞こえる。
しかし、Milk Manが連れていく場所だと思うと、急に怖くなる。
夢の国は、遊園地ではないかもしれない。
眠りの中に閉じ込められる場所かもしれない。
あるいは、Milk Manの支配する奇妙な世界かもしれない。
この曖昧さが、曲の不気味さを強めている。
he’s masked man
和訳:
彼は仮面の男
最後に示される仮面のイメージは、Milk Manの正体不明さを決定づける。
顔が見えない。
笑っていても、その下に何があるかわからない。
親しげな声も、実は演技かもしれない。
Milk Manは、かわいいキャラクターでありながら、同時に怪人でもある。
4. 歌詞の考察
Milk Manの歌詞は、童話、悪夢、ナンセンス、ポップソングが混ざったような構造を持っている。
まず、言葉が非常にシンプルである。
難しい比喩はほとんどない。
屋根、家、月、子ども、夢の国、仮面。
どれも視覚的で、すぐに絵が浮かぶ。
しかし、その絵はまともな物語にはならない。
Milk Manは屋根で眠る。
腕にはバナナが刺さっている。
月の下で家に忍び込む。
子どもたちを夢の国へ連れていこうとする。
そして彼は仮面の男である。
この出来事を普通の論理でつなげようとすると、破綻する。
だが、夢の論理なら成立する。
夢では、屋根で眠る男も、腕に刺さったバナナも、突然の誘いも、すべて自然に見える。
目が覚めてから考えると意味不明なのに、夢の中では疑わない。
Milk Manは、その夢の論理で書かれた曲である。
そして、その夢は子どもっぽいのに、どこか危険だ。
ここで重要なのは、Milk Manが子どもたちに向かって呼びかけることだ。
Boys and girlsという呼びかけは、まるで童謡や子ども番組の司会者のようである。
しかし彼は、子どもたちを自分の夢の国へ連れていこうとする。
これは、誘拐の物語として読める。
Pitchforkのレビューでも、アルバム全体のテーマとして、Milk Manが子どもたちをさらう不穏なストーリーがあると紹介されている。(Pitchfork)
ただし、Deerhoofはそれをリアルな犯罪の物語として描かない。
むしろ、絵本の怪物のように描く。
この距離感が重要だ。
現実の恐怖ではなく、童話的な恐怖。
血や暴力を直接見せるのではなく、かわいいメロディの中に危ない存在を置く。
すると、怖さはもっと抽象的になる。
Milk Manは、子どもをさらう怪物であると同時に、音楽そのもののようにも見える。
彼は言う。
近くへおいで。
美しい音を奏でる。
君を夜から逃がしてあげる。
夢の国へ連れていく。
これは、音楽の誘惑そのものではないか。
音楽は人を現実から連れ出す。
夜を逃がす。
別の世界へ運ぶ。
しかし、その世界に入ったら、もう戻れないかもしれない。
Milk Manは、音楽家であり、怪物であり、誘惑者である。
Deerhoof自身も、リスナーに対して同じことをしている。
かわいい音で誘う。
変なリズムで混乱させる。
奇妙な物語へ連れていく。
気づくと、普通のロックソングの感覚から遠い場所にいる。
Milk Manというキャラクターは、Deerhoofの音楽の化身のようでもある。
バナナが刺さった変な男。
でも、どこか魅力的。
怖い。
でも、近づきたい。
この矛盾が、Deerhoofの魅力そのものだ。
サウンド面でも、この曲は歌詞の奇妙さを見事に支えている。
冒頭から、曲はきっちりしたロックの安定感ではなく、少しズレた行進のように進む。
ドラムは複雑だが、軽やか。
ギターはノイズ的な鋭さを持ちながら、フレーズはポップ。
ボーカルは無邪気だが、背景の演奏は妙に忙しい。
この組み合わせが、リスナーの感覚を不安定にする。
子ども向けの歌のように聞こえる瞬間がある。
次の瞬間、ノイズロックの断片のようになる。
そしてまた、キャッチーなコーラスへ戻る。
Deerhoofの音楽は、よく壊れたおもちゃ箱のように形容したくなる。
だが、それは単に散らかっているという意味ではない。
実際には、かなり精密に組まれている。
PitchforkはMilk Manについて、Deerhoofが実験性を制御し、個々のパートを精密かつ邪魔にならない形で配置していると評している。(Pitchfork)
まさにこの曲も、混沌として聞こえるのに、全体としては非常にまとまっている。
Milk Manの怖さは、混乱の中にあるのではない。
むしろ、奇妙なものが整然と歌われていることにある。
狂っているのに、曲としてはポップ。
怪物なのに、メロディはかわいい。
意味不明なのに、構成はよくできている。
このバランスが、Milk Manをただの変な曲ではなく、Deerhoofの代表的な楽曲にしている。
歌詞の中のバナナも興味深い。
バナナは本来、明るく、滑稽で、子どもっぽいイメージを持つ。
だが、ここでは身体に刺さっている。
かわいいものが、暴力的なイメージへ変わる。
しかも、血や痛みが大きく描かれるわけではない。
ただ、バナナが刺さっていると歌われる。
このナンセンスさが怖い。
痛みが痛みとして扱われない。
身体の異常が、冗談のように置かれる。
聴き手は笑っていいのか、怖がればいいのかわからない。
Deerhoofは、その判断不能の場所を作るのが非常にうまい。
Milk Manの歌詞は、深いメッセージを一つに固定しようとすると逃げていく。
これは子どもの誘拐の話なのか。
音楽の誘惑の話なのか。
夢と現実の境界の話なのか。
かわいさと暴力の関係の話なのか。
それとも、ただの変なキャラクターソングなのか。
おそらく、その全部であり、同時にどれでもない。
Deerhoofの魅力は、意味を閉じないところにある。
Milk Manは、考察できる。
でも、考察しきれない。
その余白が、曲を何度も聴きたくさせる。
5. この曲が好きな人におすすめの曲 5曲
- Giga Dance by Deerhoof
Milk Manと同じアルバムの2曲目で、作品世界をさらに奇妙なダンスへ広げる曲である。A.V. Clubのレビューでは、Giga Danceについて、教会の賛美歌とお化け屋敷のテーマの中間のようなオルガンリフを持つ曲として触れている。(A.V. Club)
Milk Manの童話的な不気味さが好きなら、この曲の跳ねる不穏さもよく響く。
- The Perfect Me by Deerhoof
2007年のFriend Opportunity収録曲。Milk Man期よりもさらにポップな輪郭を持ちながら、リズムと展開はDeerhoofらしく予測不能である。かわいさ、ノイズ、ひねくれたメロディが一瞬で爆発するような曲で、Milk Manから入った人にも相性がいい。
- Panda Panda Panda by Deerhoof
Deerhoofの持つ子どもっぽい反復とノイズ感がよく出た楽曲。Milk Manのように、短い言葉と妙な中毒性で世界を作る。意味よりも音の手触り、反復の快感、キャラクターの奇妙さを楽しみたい人に向いている。
かわいらしいキャラクター性と、少し奇妙な物語性を持つオルタナティブ・ポップとして並べて聴きたい曲。Milk Manほど尖ってはいないが、ファンタジーとインディーロックの接点という意味では近い。The Flaming Lipsは2011年にDeerhoofと同じイベントでアルバム全演奏を行ったこともあり、Pitchforkがその公演文脈を報じている。(Pitchfork)
- Oh Bondage Up Yours!
Milk Manのような奇妙なポップ性とは違うが、子どもっぽくも鋭いボーカル、パンクの勢い、社会的な違和感の爆発という点で通じるものがある。Deerhoofのかわいさの奥にある攻撃性が好きな人には、X-Ray Spexの明るく尖ったパンクも響くだろう。
6. かわいい怪物が連れていく夢の国
Milk Manは、Deerhoofというバンドの入口としてかなり理想的な曲である。
なぜなら、この曲にはDeerhoofの多くの要素が詰まっているからだ。
ポップなメロディ。
奇妙なキャラクター。
変則的なリズム。
かわいい声。
不穏な物語。
ナンセンスなユーモア。
そして、何度聴いても完全には意味がつかめない余白。
この曲を聴くと、Deerhoofが普通の意味でのインディーロック・バンドではないことがすぐにわかる。
彼らは、曲をまっすぐ届けることよりも、曲の中に小さな世界を作ることに長けている。
Milk Manでは、その世界が絵本のように始まる。
ミルクマンがいる。
屋根にいる。
月の下で家に入ってくる。
子どもたちを呼ぶ。
夢の国へ連れていく。
場面だけを見ると、子どもの悪夢である。
しかし音は、怖がらせるためだけに作られていない。
むしろ、楽しい。
跳ねる。
歌える。
身体が動く。
そこが本当に面白い。
怖いものを怖い音で鳴らすのは、ある意味では簡単だ。
暗いコード、重いビート、低い声、ゆっくりしたテンポ。
そうすれば不気味になる。
しかしDeerhoofは、怖いものを明るく鳴らす。
その結果、怖さはもっと複雑になる。
Milk Manが本当に危険なのか、それともただの変な友達なのか、最後までわからない。
彼についていったら楽しいのか、戻れなくなるのか。
夢の国は楽園なのか、檻なのか。
この曖昧さが、曲の中心にある。
そして、この曖昧さは音楽体験そのものにも重なる。
Deerhoofの音楽に近づくことは、少し勇気がいる。
普通のポップソングのつもりで聴くと、リズムのズレや展開の急変に戸惑う。
ロックとして聴くと、かわいすぎる。
実験音楽として聴くと、妙に歌える。
どこに置けばいいのかわからない。
でも、そこがいい。
Milk Manは、ジャンルの安全な家の中へ忍び込んでくる曲である。
ロックの家にも、ポップの家にも、アヴァンギャルドの家にも、童謡の家にも、勝手に入ってくる。
そして、にこにこしながらバナナを見せる。
かなり変だ。
でも、その変さが忘れられない。
アルバムMilk Manは、2011年にATP Recordingsによってリマスター再発され、Pitchforkも同年の全曲演奏や再発について報じている。(Pitchfork)
それだけ、この作品がDeerhoofのカタログの中でも重要な位置を占めていることがわかる。
Milk Manという曲は、その作品の扉である。
扉を開けると、普通の物語は始まらない。
かわいい声が聞こえる。
でも、歌っているのは仮面の男の話だ。
この出だしだけで、Deerhoofの世界へ十分に連れていかれる。
Milk Manの魅力は、子どもっぽさを本気で使っているところにもある。
大人が子どもっぽさを使うと、しばしば懐かしさや癒しに向かう。
子どものころはよかった。
純粋だった。
無邪気だった。
しかしDeerhoofの子どもっぽさは、そんなに単純ではない。
子どもの世界には、怖さもある。
理由のわからない怪物。
夜の廊下。
知らない大人。
変な夢。
言葉の響きだけが面白くて、意味がわからない歌。
Milk Manは、その子どもの世界の不安定さをよく知っている。
かわいいものと怖いものは、子どもの感覚では意外と近い。
人形はかわいいが、夜に見ると怖い。
ピエロは楽しいが、顔が笑いすぎていて怖い。
牛乳配達人は日常的だが、仮面をつけて夢の国へ誘うなら怖い。
Deerhoofは、その境界を音楽にしている。
だからMilk Manは、大人が聴くほど不思議に感じる曲かもしれない。
子どもの歌のように聞こえるのに、子ども向けではない。
悪夢のようなのに、楽しい。
ナンセンスなのに、妙に筋が通っている。
このねじれが、何度も聴きたくなる理由である。
そして、最終的にはこの曲のMilk Manに少し惹かれてしまう。
危ないとわかっている。
仮面の男だとわかっている。
家に忍び込む存在だとわかっている。
それでも、彼の夢の国が少し気になる。
音楽の力とは、そういうものでもある。
現実から連れ出してくれる。
でも、どこへ連れていかれるかはわからない。
美しい音が鳴る。
でも、その美しさは安全とは限らない。
Milk Manは、その危うい魅力を持った曲である。
Deerhoofは、ここでポップソングを怪物にしている。
そして、その怪物にとてもかわいい声で歌わせている。
だからMilk Manは怖い。
だから楽しい。
だから、忘れられない。

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