アルバムレビュー:Going Blank Again by Ride

※本記事は生成AIを活用して作成されています。

発売日:1992年3月9日

ジャンル:シューゲイズ、オルタナティブ・ロック、インディー・ロック、ネオ・サイケデリア、ドリームポップ、ブリットポップ前夜のギター・ロック

概要

Rideの2作目『Going Blank Again』は、1990年代初頭の英国インディー・ロックにおいて、シューゲイズの轟音美学と、より明快なギター・ポップ/ロックのソングライティングが交差した重要作である。1990年のデビュー・アルバム『Nowhere』によって、RideはMy Bloody ValentineSlowdive、Chapterhouse、Lushなどと並び、シューゲイズ・シーンの中心的存在となった。『Nowhere』では、厚いギターの壁、浮遊するヴォーカル、反復的なリズム、青春の不安と曖昧な夢が結びつき、シューゲイズの代表作として高く評価された。

しかし『Going Blank Again』は、単純に『Nowhere』の続編ではない。本作では、Rideはシューゲイズ的な音響の厚みを残しながら、よりリズムを前に出し、曲の輪郭を明確にし、サイケデリック・ロックや1960年代的なギター・ポップの要素を強めている。つまり本作は、ノイズの海に沈むアルバムというより、轟音の中をスピードを上げて走り抜けるアルバムである。前作が深い水中や霧の中にいるような作品だったとすれば、『Going Blank Again』は高速道路、太陽光、めまい、反復する風景を連想させる。

アルバムの冒頭を飾る「Leave Them All Behind」は、その変化を象徴する。8分を超える長尺でありながら、モータリックなビート、シンセの持続音、重なり合うギター、サイケデリックな上昇感によって、Rideの音楽が単なるシューゲイズの静的な轟音から、よりダイナミックなロックへ進んだことを示している。続く「Twisterella」では、明るく跳ねるギター・ポップが展開され、後のブリットポップへつながるようなメロディの明快さも感じられる。

Rideの特徴は、Mark GardenerとAndy Bellのツイン・ヴォーカル/ツイン・ギターにある。二人の声はどちらも過度に前へ出るタイプではなく、ギターの層の中に溶け込みながら、柔らかくメロディを支える。ギターは、ノイズの壁を作るだけでなく、きらめくアルペジオ、鋭いコード、サイケデリックな反復、疾走するリフとして多彩に機能する。Steve Queraltのベースは曲に安定した低音の軸を与え、Loz Colbertのドラムは本作に非常に重要な推進力をもたらしている。特に『Going Blank Again』では、ドラムの存在感が前作以上に強く、バンド全体をよりロック的な方向へ引っ張っている。

1992年という時代も重要である。英国ではマンチェスター・ムーブメントの余韻が残り、シューゲイズがインディー・シーンの中で注目を集めていた一方で、数年後にはOasis、Blur、Suede、Pulpなどによるブリットポップが主流となる。Rideは、その過渡期に位置していたバンドである。『Going Blank Again』には、My Bloody Valentine以降の音響的なギター表現と、The ByrdsThe BeatlesThe Who、The Stone Rosesなどに通じるメロディ志向が同居している。そのため本作は、シューゲイズの名盤であると同時に、ブリットポップ前夜の英国ギター・ロックの転換点としても聴くことができる。

歌詞の面では、Rideは必ずしも明確な物語や政治的な主張を前面に出すバンドではない。『Going Blank Again』の歌詞には、逃走、変化、退屈、記憶の空白、関係の不安、内面の混乱、都市的な速度感が断片的に現れる。タイトルの「Going Blank Again」は、「また頭が真っ白になる」「空白に戻る」といった感覚を持つ。これは、情報や刺激に満ちた時代の中で、感覚が麻痺していく状態とも読めるし、若者が未来を見ようとしてもうまく言葉にならない心理とも読める。Rideの歌詞は、明確な意味を提示するよりも、音とともに浮かぶイメージとして機能する。

本作の魅力は、シューゲイズ特有の美しい曖昧さを保ちながら、アルバム全体に強い推進力を与えている点にある。My Bloody Valentineの『Loveless』がギター音響を極限まで溶かし、Slowdiveの『Souvlaki』が夢のような沈静へ向かったのに対し、Rideの『Going Blank Again』は、よりバンド・アンサンブルとしての力強さを持つ。轟音はあるが、曲は走る。声は霞むが、メロディは残る。ノイズは厚いが、リズムは前へ進む。このバランスが本作を特別なものにしている。

『Going Blank Again』は、Rideのキャリアにおいて最も完成度の高い作品の一つである。デビュー作『Nowhere』の水中的な美しさを愛するリスナーも多いが、本作にはより開かれたエネルギーと、アルバム全体を駆動するロック・バンドとしての自信がある。シューゲイズを単なる内向的な音響実験としてではなく、疾走感とポップ・メロディを持ったギター・ロックとして発展させた作品として、本作は非常に重要である。

全曲レビュー

1. Leave Them All Behind

「Leave Them All Behind」は、『Going Blank Again』の冒頭を飾るだけでなく、Rideのキャリア全体でも屈指の重要曲である。8分を超える長尺にもかかわらず、曲はだれることなく、むしろアルバムの世界へ一気に聴き手を引き込む。タイトルは「彼らをすべて置き去りにする」という意味であり、過去、ライバル、古い価値観、停滞した場所から離れていくような強い前進感がある。

曲は、シンセの持続音とモータリックなリズムによって始まる。ここにはクラウトロック、特にNeu!やCanの影響を感じさせる反復性がある。そこへギターが重なり、音は次第に巨大な壁となる。しかし、この曲の本質は単なる轟音ではない。ドラムとベースが強い推進力を保ち、ギターの層がその上で広がるため、音は沈むのではなく前へ進む。

歌詞は断片的だが、タイトル通り、何かを後ろに置いて進む感覚が中心にある。シューゲイズはしばしば内向的で静的な音楽として語られるが、この曲は非常に外向きで、ほとんどアンセム的である。音響の厚さ、サイケデリックな反復、ロック・バンドとしての疾走感が高いレベルで融合した、アルバムの出発点にふさわしい大作である。

2. Twisterella

「Twisterella」は、本作の中でも特にポップで、明るく、メロディアスな楽曲である。前曲「Leave Them All Behind」が巨大なサイケデリック・ロックとしてアルバムを開いた後、この曲はRideのギター・ポップ的な魅力を一気に提示する。タイトルは「Twist」と女性名風の響きが組み合わされたような造語で、軽やかな動き、恋愛、めまい、ポップな遊び心を感じさせる。

サウンドは非常に爽快で、ギターはきらめき、リズムは軽快に進む。シューゲイズの濃い残響はあるが、曲の輪郭は明確で、サビのメロディも非常に覚えやすい。ここにはThe Byrds的なジャングリーなギター、The Stone Roses以降の英国インディーの開放感、そしてRide特有の轟音の余韻が混ざっている。

歌詞では、恋愛や高揚、感覚の回転のようなイメージが描かれる。言葉の意味を細かく追うよりも、曲全体の浮かれたエネルギーが重要である。「Twisterella」は、Rideが単なる音響派ではなく、優れたポップ・ソングを書くバンドでもあったことを示す名曲である。後のブリットポップ的な明快さを先取りしている点でも重要である。

3. Not Fazed

「Not Fazed」は、タイトル通り「動じない」「平気でいる」という姿勢を持つ楽曲である。『Going Blank Again』の中では比較的コンパクトで、ギター・ロックとしての直線性が強い曲である。前2曲の大きな展開と明るいポップ性を受けた後、この曲はより硬質なバンド・サウンドを提示する。

サウンドは、厚いギターの中にも明確なリズムの切れがある。ドラムは力強く、ベースは曲をしっかり支える。ヴォーカルは淡々としており、感情を大きく爆発させるのではなく、曲名通り冷静さを保っているように響く。Rideの魅力は、音が非常に大きくても、声が過剰に感情的になりすぎない点にある。

歌詞では、周囲の変化や圧力に対して動じない態度が示される。だが、その平静は完全な自信というより、感情をあえて表に出さないような若者的な防衛にも聞こえる。『Going Blank Again』には、熱狂と空白、前進と麻痺が同時にある。「Not Fazed」は、そのクールな表面をよく表した楽曲である。

4. Chrome Waves

「Chrome Waves」は、本作の中でも特に美しい浮遊感を持つ楽曲である。タイトルは「クロームの波」を意味し、金属的な光沢と流動する波という、硬さと柔らかさが混ざったイメージを持つ。Rideの音楽におけるギターの質感をよく表す言葉でもある。ギターは光を反射する金属のようでありながら、波のように揺れ続ける。

サウンドは比較的穏やかで、メロディには夢のような透明感がある。ギターは厚いが、攻撃的というより、広がりを作る役割が強い。ヴォーカルは音の中に溶け込み、聴き手を柔らかな残響の中へ導く。前半の疾走感から少し離れ、アルバムに内省的な余白を与える曲である。

歌詞では、光、波、記憶、遠い感覚が曖昧に漂う。Rideの歌詞は、しばしば具体的な物語よりも、音と結びつく視覚的なイメージとして機能する。この曲では、その性質が特に強い。「Chrome Waves」は、シューゲイズ的な美しさと、Rideらしいギター・ポップのメロディが静かに融合した名曲である。

5. Mouse Trap

「Mouse Trap」は、タイトルからして閉じ込められる感覚、罠、逃げ場のなさを連想させる楽曲である。アルバム全体の疾走感の中で、この曲はより神経質で、やや不穏な空気を持つ。Rideの明るいギター・サウンドの裏にある緊張感が表れている。

サウンドは比較的タイトで、ギターの反復が曲を引っ張る。シューゲイズ的な広がりよりも、ポストパンク的な硬さを感じる部分もある。ドラムは曲に鋭い推進力を与え、ベースも緊張したグルーヴを作る。ヴォーカルは淡々としているが、その淡さが逆に不安を強める。

歌詞では、何かに捕らえられている感覚や、抜け出したいのに抜け出せない心理が読み取れる。タイトルの「Mouse Trap」は小さな罠であり、巨大な悲劇というより、日常的に人を閉じ込める小さな構造を示しているようにも聞こえる。『Going Blank Again』の中で、明るい疾走感に影を加える楽曲である。

6. Time of Her Time

「Time of Her Time」は、リズムの跳ねとサイケデリックなギターが印象的な楽曲である。タイトルは「彼女の時間の時」といった反復的で少し奇妙な響きを持ち、時間、女性像、記憶、関係性の曖昧さを連想させる。Rideらしい言葉のぼかし方が表れている。

サウンドは、ややグルーヴィーで、アルバムの中でも身体性が強い。ギターは厚いが、リズムが前へ出ているため、曲は重く沈まずに動き続ける。ここにはマンチェスター以降のダンス的なインディー・ロックの影響も感じられる。シューゲイズとダンス・ロックの境界にあるような曲である。

歌詞では、特定の女性との時間や、過ぎ去った瞬間の記憶が曖昧に描かれる。意味を明確に固定するより、曲全体の反復とグルーヴが時間の感覚を作っている。過去なのか現在なのか、現実なのか記憶なのかが曖昧になるところが魅力である。「Time of Her Time」は、本作のリズム面での豊かさを示す楽曲である。

7. Cool Your Boots

「Cool Your Boots」は、タイトルから「落ち着け」「熱を冷ませ」といったニュアンスを感じさせる楽曲である。Rideの中でもサイケデリックで、ややルーズな雰囲気を持つ曲であり、アルバム後半に独特のゆらぎを与えている。タイトルの軽い口語感も、曲の少しリラックスした空気と合っている。

サウンドは、ギターの反復と浮遊感が中心である。曲は急いで結論へ向かわず、ゆっくりと展開する。『Going Blank Again』の前半には強い疾走感があったが、この曲ではもう少し余白があり、サイケデリックな酩酊感が前に出る。ドラムとベースは安定した土台を作り、ギターはその上で揺れる。

歌詞では、興奮や焦りを抑えるような感覚、あるいは状況を少し距離を置いて眺める姿勢が感じられる。Rideの音楽は、若さのエネルギーを持ちながらも、しばしば感情を直接叫ばず、霞の中へ逃がす。「Cool Your Boots」は、そのクールでサイケデリックな側面をよく示している。

8. Making Judy Smile

「Making Judy Smile」は、タイトルからしてより人間的で親密な印象を持つ楽曲である。「Judyを笑顔にする」という言葉には、特定の人物との関係や、誰かを喜ばせたいというシンプルな感情がある。『Going Blank Again』の中では比較的明るく、ポップな性格を持つ曲である。

サウンドは軽快で、ギターの響きにも柔らかさがある。前曲のサイケデリックな揺れから、再びメロディの明快さが戻ってくる。Rideは轟音の中にメロディを埋めるバンドだが、この曲ではそのメロディが比較的前へ出ている。ヴォーカルも穏やかで、曲全体に温かみがある。

歌詞では、Judyという人物を中心にした小さな物語や感情が描かれる。大きな社会的テーマや抽象的な幻想ではなく、誰かの笑顔という身近な対象がある点が印象的である。アルバムの中で、柔らかな人間味を加える楽曲として機能している。

9. Time Machine

「Time Machine」は、時間を移動する装置をタイトルに持つ楽曲であり、記憶、過去、後悔、未来への想像を連想させる。1990年代初頭のギター・ロックにおいて、時間感覚の歪みや過去の音楽への参照は重要なテーマだった。Rideもまた、1960年代サイケデリアやジャングリーなギター・ポップを引用しながら、現代的な轟音へ変換していた。

サウンドはやや重く、アルバム終盤に向けて深いトーンを作る。ギターは厚く、曲にはどこか内省的なムードがある。タイトルのように時間を飛び越えるような派手な効果ではなく、むしろ記憶の中をゆっくり移動するような感覚がある。

歌詞では、過去へ戻りたい、あるいは時間の中で自分の位置を見失うような感覚が暗示される。『Going Blank Again』というアルバム・タイトルとも関連し、ここでは時間と記憶が曖昧になる。白紙に戻ること、記憶が消えること、過去へ行くこと。これらがゆるやかにつながる楽曲である。

10. OX4

アルバムを締めくくる「OX4」は、Rideの出身地オックスフォードの郵便番号を示すタイトルであり、本作の終曲として非常に重要な意味を持つ。抽象的なタイトルが多いアルバムの中で、「OX4」は具体的な場所を指している。つまり、長い音の旅の最後に、バンドは自分たちの地理的な原点へ戻るのである。

サウンドはゆったりとしており、アルバムを大きな余韻の中で閉じる。ギターは広がりを持ち、ヴォーカルは穏やかに響く。前半の疾走感とは異なり、ここには終わりを受け入れるような落ち着きがある。Rideの轟音は、最後に穏やかな光の中へ溶けていく。

歌詞では、場所、記憶、帰属、時間の感覚が漂う。OX4という具体的な記号があることで、アルバム全体の抽象的な浮遊感に現実の土地が与えられる。『Going Blank Again』は、前へ進み、空白へ向かい、時間を飛び越えようとするアルバムだが、最後には出発点のような場所へ戻る。「OX4」は、その静かな帰還として機能する美しい終曲である。

総評

『Going Blank Again』は、Rideがシューゲイズの枠を超え、より広いギター・ロックの可能性へ踏み出したアルバムである。『Nowhere』で確立した轟音と浮遊感は本作にも残っているが、ここではリズムの推進力、サイケデリックな反復、明快なメロディ、ポップ・ソングとしての輪郭がより強調されている。シューゲイズの夢幻性と、ロック・バンドとしての疾走感が高い水準で融合している。

本作の最大の魅力は、冒頭の「Leave Them All Behind」に象徴されるスケール感である。この曲は、Rideが単なる内向的なノイズ・ギター・バンドではなく、巨大な音の流れを作れるバンドであることを示している。クラウトロック的な反復、サイケデリックな上昇、シューゲイズ的な音響、ロック・アンセムとしての力が一体となり、アルバム全体の方向性を決定づけている。

一方で、「Twisterella」や「Making Judy Smile」のような楽曲では、Rideのポップ・センスがはっきり表れている。彼らはメロディを犠牲にして音響へ沈むのではなく、メロディをギターの層の中で輝かせる。これはMy Bloody ValentineやSlowdiveとは異なるRideの個性である。彼らの音楽は、夢の中に沈むだけでなく、光の中を走る。

Mark GardenerとAndy Bellのツイン・ヴォーカル/ツイン・ギターは、本作の音を決定づけている。二人の声は強烈な個性を前面に出すタイプではないが、だからこそギターの響きと自然に溶け合う。ギターは時に轟音となり、時にきらめくアルペジオとなり、時にサイケデリックな反復となる。その多彩さが、本作を単調なシューゲイズ作品にしていない。

Loz Colbertのドラムも非常に重要である。『Going Blank Again』は、ドラムが弱ければ成立しないアルバムである。特に「Leave Them All Behind」や「Time of Her Time」では、リズムが曲を前へ押し出し、ギターの厚い層を動的なものにしている。シューゲイズがしばしば音の霞として語られる中で、Rideはリズムの強さによって独自の位置を築いた。

歌詞の面では、本作は明確な物語よりも、感覚の断片を重視している。置き去りにすること、空白になること、時間を移動すること、罠にかかること、誰かを笑顔にすること、場所へ戻ること。これらの言葉は、具体的な意味よりも、音と結びついてイメージを作る。『Going Blank Again』というタイトル自体が、意味の消失や感覚の麻痺を示しているようであり、1990年代初頭の若者的な倦怠と高揚を同時に表している。

シューゲイズ史の中で見ると、本作は非常に特異な位置にある。My Bloody Valentineの『Loveless』が音響そのものの革命であり、Slowdiveの『Souvlaki』が夢と沈静の美学であるなら、『Going Blank Again』はシューゲイズをよりロック・バンド的な力へ接続した作品である。ギターは厚いが、曲は明確に走る。声は霞むが、メロディは強い。音響美とロックの推進力のバランスにおいて、本作は非常に優れている。

また、本作はブリットポップ前夜の作品としても重要である。数年後、英国のギター・ロックはより言葉とメロディ、バンドのキャラクターを前面に出す方向へ向かう。Ride自身も後に『Carnival of Light』などでよりクラシック・ロック寄りの方向へ進むが、『Going Blank Again』にはその変化の兆しがすでにある。「Twisterella」のような曲は、シューゲイズの枠を越えて、1990年代英国ギター・ポップの流れに接続している。

一方で、本作は『Nowhere』ほど純粋なシューゲイズの幻想性を求めるリスナーには、やや外向きすぎると感じられるかもしれない。音の美しさよりもバンドの推進力が前に出る場面が多く、曲によってはガレージ的、サイケデリック・ロック的な要素も強い。しかし、その混ざり方こそが本作の魅力である。Rideは同じ場所に留まらず、自分たちのギター・サウンドを前へ進めようとしていた。

日本のリスナーにとって『Going Blank Again』は、シューゲイズ入門としても、1990年代英国インディー・ロックの名盤としても非常に聴きやすい作品である。『Loveless』のような極端な音響処理に圧倒される前に、Rideのようなメロディと疾走感を持つ作品から入ることで、シューゲイズの魅力を自然に理解できる。特に「Leave Them All Behind」「Twisterella」「Chrome Waves」は、本作の核を知るうえで重要な楽曲である。

『Going Blank Again』は、空白へ向かうアルバムでありながら、音は非常に豊かである。ギターは幾重にも重なり、ドラムは前へ進み、声は霞み、メロディは光る。何かを置き去りにしながら、どこかへ走っていく。その速度と眩しさこそが、本作の本質である。Rideはこのアルバムで、シューゲイズの美学を保ちながら、より大きなギター・ロックの地平へ踏み出した。その瞬間を記録した『Going Blank Again』は、1990年代英国ロックの重要な名盤である。

おすすめアルバム

1. Nowhere by Ride

Rideのデビュー・アルバムであり、シューゲイズを代表する名盤の一つである。『Going Blank Again』よりも水中的で、夢幻的なギター・サウンドが強く、代表曲「Vapour Trail」を収録している。Rideの原点を理解するうえで欠かせない作品である。

2. Loveless by My Bloody Valentine

シューゲイズの最重要作であり、ギター音響を極限まで変形させた歴史的アルバムである。Rideよりも抽象的で、音の輪郭はさらに溶けているが、轟音とメロディの融合という点で本作と強い関連性を持つ。

3. Souvlaki by Slowdive

シューゲイズ/ドリームポップの代表作であり、沈み込むような美しさ、アンビエント的な空間、繊細なメロディが特徴である。Rideの疾走感とは対照的に、より内省的で浮遊感の強い作品として比較できる。

4. Whirlpool by Chapterhouse

1990年代初頭のシューゲイズを代表する作品の一つであり、ダンス・ビート、サイケデリックなギター、ドリームポップ的な浮遊感が結びついている。Rideのリズム感や明るいギター・サウンドと近い文脈で聴くことができる。

5. A Storm in Heaven by The Verve

初期The Verveによるサイケデリックなギター・ロック作品であり、シューゲイズ以後の英国ロックがよりスケールの大きなサイケデリック表現へ向かう流れを示している。Rideの『Going Blank Again』と同様、轟音、浮遊感、バンドのダイナミズムが重要な作品である。

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