アルバムレビュー:Powerglide by New Riders of the Purple Sage

※本記事は生成AIを活用して作成されています。

Spotifyジャケット画像

発売日: 1972年3月
ジャンル: カントリーロック、ウェストコーストロック、アメリカーナ


概要

『Powerglide』は、New Riders of the Purple Sage(NRPS)が1972年に発表したセカンド・アルバムであり、彼らが“グレイトフル・デッドのサイドプロジェクト”という枠を超え、自立したバンドとしての地位を確立した作品である。
前作ではジェリー・ガルシアがペダル・スティールを担当していたが、本作ではバディ・ケイジが正式加入し、よりプロフェッショナルで洗練された演奏が実現している。

『Powerglide』は、カントリーロックの枠にとどまらず、ブルース、ロカビリー、フォーク、ロックンロールといった多様なアメリカン・ルーツ音楽を自在に横断するアルバムである。
また、NRPSの持つ“風来坊的ユーモア”と“陽気な孤独感”が楽曲全体に流れており、1970年代初頭のアメリカ西海岸の空気感を鮮やかにパッケージしている。
ラグのかかったカウボーイ・ブーツで荒野を歩くような、そんな味わいがある一枚だ。


全曲レビュー

1. Dim Lights, Thick Smoke (And Loud, Loud Music)

カントリー界の名曲カバーで、酒場の喧騒と逃避を描いた内容。
ロンサムで土臭いリズムと、ケイジのペダル・スティールが心地よく響く。
開幕から“ツアー・ライフ”の匂いが漂う。

2. Rainbow

優しく、明るいメロディに乗せたスロウ・チューン。
“虹”という象徴的なモチーフが、希望と儚さの両方を漂わせる。
ドーソンの声がとても人間味を帯びて響く。

3. California Day

カリフォルニア賛歌的な内容で、西海岸の爽やかな空気をストレートに表現。
フォークポップ調のサウンドと、多幸感あるコーラスワークが印象的。
同時代のPocoやAmericaにも通じる作風。

4. Sweet Lovin’ One

軽快なカントリー・ブギーで、ダンスホールを意識したかのような仕上がり。
恋の喜びをストレートに歌うが、どこか“すれ違い”の空気が潜む。

5. Lochinvar

叙事詩的な語り口を持ったバラード。
“Lochinvar”はスコットランドの詩人ウォルター・スコットの登場人物にちなんでおり、NRPSの文学的教養が垣間見える一曲。
バンドのフォーク的側面が強調されている。

6. I Don’t Need No Doctor

アレサ・フランクリンやレイ・チャールズでも知られるソウル・ナンバーのカバー。
NRPS流にロックンロール化されており、バンドのラフでワイルドな一面が発揮される。
リード・ギターが熱く、カントリーロックの範疇を超える迫力。

7. Contract

音楽業界や社会との“契約”についての風刺ソング。
アイロニカルなリリックと、のどかなサウンドとの対比が絶妙。
時代への不信と自己肯定が交差する、NRPSらしいナンバー。

8. Runnin’ Back to You

哀愁を帯びたラブソング。
再び戻ってきた恋人への感情が、穏やかなテンポとともに描かれる。
ペダル・スティールが物語を包み込むように響く。

9. Hello Mary Lou

リッキー・ネルソンのオールディーズ・クラシックをNRPS流にリメイク。
原曲の軽快さを維持しつつ、ルーズなグルーヴで“旅するカウボーイの恋”に変換されている。

10. Duncan and Brady

アメリカの伝統的フォークソングを、ガレージ感覚で再構築。
銃撃事件をテーマにした物騒な物語だが、リズミカルな演奏が軽やかさを加える。
土着的で反骨精神に満ちた仕上がり。

11. Willie and the Hand Jive

ジョニー・オーティスのリズム&ブルース・ナンバーをファンキーにカバー。
ロカビリーとカントリーの融合体のようなテンションで、アルバムを躍動感たっぷりに締めくくる。


総評

『Powerglide』は、New Riders of the Purple Sageが真に“自分たちの足で立った”ことを示すアルバムであり、カントリーロックというジャンルの中における自由度と創造性を見事に体現した作品である。
それはカントリーの文脈を尊重しながらも、ブルースやソウル、フォーク、ガレージといった雑多なアメリカン・ルーツ音楽を受け入れる“寛容さ”によって支えられている。

また、NRPS特有の飄々とした語り口と、リラックスした演奏スタイルは、本作でも終始一貫しており、それが聴き手に安心と共感を与える。
“うまくまとまりすぎない”そのラフさこそが、1970年代カリフォルニアのロックの真髄であり、『Powerglide』はその時代性を最良の形でパッケージしている。


おすすめアルバム(5枚)

  1. Poco – From the Inside (1971)
     叙情性とカントリーロックの融合。『Powerglide』の洗練された側面と共鳴。
  2. Grateful DeadAmerican Beauty (1970)
     NRPSと同時代・同系統の傑作。フォーク・ロック的側面を深めたい方に。
  3. The BandStage Fright (1970)
     アメリカン・ミュージックの深みと陰影。NRPSの“軽さ”と好対照でおすすめ。
  4. Commander Cody – Country Casanova (1973)
     NRPSの陽気な部分と共鳴。ウェスタンスウィング+ユーモア満載。
  5. Neil Young – Harvest (1972)
     孤独と自然、アメリカーナの美学を詩的に描いた名作。『Rainbow』などの楽曲と響き合う。

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