アルバムレビュー:Nantucket Sleighride by Mountain

※本記事は生成AIを活用して作成されています。

Spotifyジャケット画像

発売日: 1971年1月
ジャンル: ハードロック、プログレッシブ・ブルース、サザンロック


概要

Nantucket Sleighride』は、Mountainが1971年に発表した2作目のスタジオ・アルバムであり、ブルースに根ざした彼らのサウンドをよりダークかつドラマチックな方向へと発展させた作品である。
デビュー作『Climbing!』の荒々しいグルーヴはそのままに、構成や楽曲テーマにおいては一層のスケール感と叙情性が加わり、ハードロックからプログレッシブな領域へと踏み出した転換点でもある。

アルバムタイトルは、19世紀の捕鯨船がクジラに引きずられる様子を表す「ナンタケット・スレイライドNantucket Sleighride)」に由来し、その比喩的意味合いからも“暴力的な旅路”や“制御不能な運命”といった壮大なテーマ性が暗示されている。
この作品では、リーダーであるレスリー・ウェストのギターはよりヘヴィに、フェリックス・パパラルディのヴォーカルとプロダクションはより叙情的かつ精緻に、そしてリリックには歴史や個人的悲劇といったモチーフが色濃く表れている。


全曲レビュー

1. Don’t Look Around

アルバム冒頭を飾るスピード感あふれるハードロック・ナンバー。
レズリー・ウェストのギターとコーキー・レイングのドラムが切れ味鋭く、シンプルなコード進行に対して強烈なグルーヴを与えている。
“振り返るな”というフレーズには、前作の成功を越えて進む決意が滲む。

2. Taunta (Sammy’s Tune)

短いインストゥルメンタルで、続く表題曲へのイントロダクション的役割を果たす。
雪景色のような静謐さがあり、アルバムに詩的な緩急を与える小品。

3. Nantucket Sleighride (To Owen Coffin)

本作の核を成す10分に及ぶ大作。
実在の人物オーウェン・コフィン(捕鯨船エセックス号で殺され食された少年)に捧げられており、歴史的悲劇と哲学的な問いが交錯する。
パパラルディの哀切なヴォーカル、ウェストのダイナミックなギター、壮大な展開と終盤の劇的インストパートが印象的。
“暴力と美”が交錯する、Mountain史上もっとも詩的な一曲。

4. You Can’t Get Away!

ブルースに根差したアップテンポなロック・チューン。
“どこにも逃げ場はない”というフレーズが繰り返される、焦燥と閉塞をテーマにしたリフ主導型の佳曲。

5. Tired Angels (To J.M.H.)

“J.M.H.”=ジミ・ヘンドリックスへのトリビュートとされるバラード。
静かなピアノと哀愁漂うギターが、失われた天才への哀悼を丁寧に描く。
感傷的でありながら決して甘くない、Mountainの誠実な美意識がにじむ。

6. The Animal Trainer and the Toad

寓話的なタイトルにふさわしく、リズミカルかつシアトリカルな雰囲気を持つ一曲。
人間の本性や社会的支配関係を風刺するようなリリックと、ファンキーなアンサンブルが組み合わさっている。

7. My Lady

サザン・ロック的な叙情が光るラブソング。
アコースティック・ギターとパパラルディの柔らかな歌声が穏やかな空気を生み出す。
短くも印象的なトラック。

8. Travellin’ In The Dark (To E.M.P.)

“E.M.P.”=パパラルディの母親への追悼曲。
移動中の孤独感と喪失感が、ブルース調の旋律とともにしみじみと語られる。
ハードロックとパーソナルな感情表現が絶妙に融合。

9. The Great Train Robbery

アルバム終盤に配置されたブルージーで荒々しいロックンロール。
1963年の英国列車強盗事件をテーマにし、犯罪と自由への願望が入り混じる。
歪んだギターとラフなヴォーカルが、Mountainのルーツ感を強く打ち出す。


総評

『Nantucket Sleighride』は、Mountainが単なる“重いブルースロック・バンド”で終わらないことを証明した、芸術的野心と人間味あふれる名盤である。
ハードロックのダイナミズムに加え、歴史的・神話的・個人的テーマを内包した楽曲構成は、プログレッシブ・ロックにも匹敵する知的深度と物語性を獲得している。

本作では、レズリー・ウェストのパワフルなギターと、フェリックス・パパラルディの繊細なプロデュース&ヴォーカルが完璧なバランスで共存し、“重厚と叙情”というMountainの二面性を極限まで引き出している。
それはまさに、轟音に乗って語られるロック詩のようであり、当時のアメリカン・ロックが到達し得たひとつの頂点といえるだろう。


おすすめアルバム(5枚)

  1. Cream – Wheels of Fire (1968)
     パパラルディが手掛けたCreamの名作。『Nantucket Sleighride』と精神的に地続きの一枚。
  2. Blue Öyster Cult – Tyranny and Mutation (1973)
     知的で暗く、かつハードなロック。Mountainの幻想性と通じる世界観を持つ。
  3. The Allman Brothers Band – At Fillmore East (1971)
     同年発表のライヴ名盤。Mountainと同様、南部ブルースとハードロックの交差点を提示。
  4. Wishbone Ash – Argus (1972)
     歴史的・叙事詩的テーマとハードロックの融合という観点で好対照。
  5. Uriah Heep – Salisbury (1971)
     オーケストラとハードロックの融合。Mountainの叙情性をシンフォニックに聴きたい人におすすめ。

コメント

タイトルとURLをコピーしました