アルバムレビュー:Loveworm by Beabadoobee

※本記事は生成AIを活用して作成されています。

発売日:2019年4月26日

ジャンル:インディー・ポップ、ベッドルーム・ポップ、ドリーム・ポップ、アコースティック・ポップ、シンガーソングライター

概要

Beabadoobeeの『Loveworm』は、彼女の初期キャリアを語るうえで欠かせない作品であり、同時に2010年代末のベッドルーム・ポップ以後の感覚が、どのように90年代的なオルタナ/ギター・ポップの記憶と結びついていったかを示す重要なEPである。BeabadoobeeことBeatrice Lausは、最初期から“部屋の中でひとり、気持ちをそのまま歌っている”ような親密さを武器に注目を集めたアーティストだった。だが彼女の魅力は、単なるローファイな親密さに留まらない。アコースティック・ギターの素朴さの背後には、すでに90年代オルタナティヴ・ロック、シューゲイズ、フォーク、さらには甘く歪んだ恋愛感情を音にするセンスが芽生えており、『Loveworm』はその萌芽がはっきりと形になった作品である。

タイトルの『Loveworm』は非常に示唆的だ。“bookworm”のような言い回しを思わせつつ、“love”が頭につくことで、恋愛に取り憑かれた状態、恋することそのものに寄生されているような状態、あるいは恋愛の中で自分が少しずつ食い破られていくような感覚まで含んでいるように聞こえる。単なる“恋する女の子のEP”ではなく、“恋愛が心の中を這い回っている状態”をタイトルにしているところに、この作品の本質がある。実際、『Loveworm』に収められた曲たちは、かわいらしく親しみやすい表面を持ちながら、その奥に依存、不安、理想化、執着、傷つきやすさが濃く漂っている。ここでは恋愛は美しいだけのものではなく、気分や自己像を簡単に乱してしまうものとして鳴っている。

『Patched Up』が、より素朴でアコースティックな“部屋の中の歌”だったとすれば、『Loveworm』はそこへもう少し色彩と浮遊感が加わった作品だ。依然として音の距離は近く、Beabadoobeeの声は親密だが、曲によってはバンド的な広がりやドリーム・ポップ的な柔らかな膜が加わることで、感情が少しだけロマンティックに膨らんでいる。この“膨らみ”が重要で、彼女のラヴソングは単なる日記ではなく、恋愛の中で現実が少し幻想化して見える瞬間まで捉えている。そのため『Loveworm』は、ベッドルーム・ポップの親密さを保ちながら、もう少し夢の側へ足を踏み出した作品として響く。

2019年というタイミングもまた重要である。この時期のインディー・ポップは、ローファイなDIY感覚とSNS時代の親密な自己表現を武器にしながら、一方で90年代的なギター・サウンドやノスタルジアを新たなかたちで取り戻しつつあった。Beabadoobeeはその流れの中心にいたが、彼女の音楽がただの“時代の空気”で終わらなかったのは、曲の骨格がきわめて強かったからだ。『Loveworm』においても、各曲は非常にシンプルな構造を持ちながら、メロディにしっかりとした引力があり、声の置き方にも自然な個性がある。そのため、サウンドの質感だけで聴かせる作品ではなく、ソングライターとしての芯が最初から感じられる。

また、本作に通底する魅力は、“若い感情の未熟さを未熟なまま残している”ことにある。ここで歌われる恋愛は、大人の視点から整理されていない。好きになることの幸福も、相手に依存してしまうことの危うさも、傷つくことの惨めさも、どれもまだ途中の状態のまま置かれている。そのため『Loveworm』は、ときに少し幼く、少し過剰で、少し痛い。だが、その痛さこそがこの作品の価値である。Beabadoobeeはそれを隠さず、むしろそのまま歌にしてしまう。その率直さが、多くのリスナーにとって切実なものとして響いたのだろう。

キャリア上で見ると、『Loveworm』はBeabadoobeeの初期を代表する作品であり、のちの『Fake It Flowers』で本格化する90年代オルタナ路線や、『Beatopia』で広がる夢想的世界観の手前にある、極めて重要な接点のような作品である。ここにはまだ大きなバンド・サウンドはないし、コンセプトの壮大さも薄い。だが、そのぶんだけ感情は近く、曲はシンプルで、声は直接届く。『Loveworm』は、Beabadoobeeが“かわいくてローファイな新人”で終わらず、もっと長いキャリアを持つ作家へ育っていく理由を、すでに十分に示していた作品なのである。

全曲レビュー

1. Apple Cider

EPの幕開けを飾るこの曲は、『Loveworm』全体の甘さと不安定さを非常に自然に提示している。タイトルの“アップルサイダー”という言葉には、爽やかさ、日常性、少しのかわいらしさがあるが、Beabadoobeeの歌にかかるとそれは単なる明るい小道具ではなく、恋愛の中の具体的な記憶の断片として響く。サウンドは比較的軽やかで、ギターも柔らかく、入り口として親しみやすい。しかしその親しみやすさの奥には、すでに“好きでいることの落ち着かなさ”がある。何でもないような瞬間ほど記憶に残ってしまう、その感じがよく出ているオープナーだ。

2. Ceilings

このEPの中核をなす一曲であり、Beabadoobee初期の代表曲のひとつ。タイトルどおり“天井”を見つめるような、部屋の中の静かな時間が曲の中心にある。恋愛をめぐる思考が止まらず、身体は動いていないのに感情だけが部屋の中を行き来しているような感覚が、この曲にはある。ドリーミーなサウンドは心地よいが、その心地よさは眠気や癒やしではなく、考えすぎて少し現実感が薄れていく感じに近い。Beabadoobeeの魅力は、こうした“動きのない時間”の感情を歌にできるところにあるが、この曲はその代表例だろう。

3. Angel

“天使”というタイトルが示すように、この曲には相手を理想化する視線が強くある。だが、その理想化は純粋な賛美というより、好きな相手をそう呼ばずにはいられない不安定な感情として響く。つまりここでの“angel”は、相手が本当に完璧だからというより、自分がそう見てしまっていることの証でもある。サウンドは甘く、浮遊感があり、EPの中でもかなりロマンティックなトラックだが、そのロマンティシズムにはきちんと危うさがある。理想化の裏返しとしての依存、その気配が美しく残る曲である。

4. You Lie All The Time

ここでEPは、甘さだけではない陰りをはっきり見せる。タイトルの“あなたはいつも嘘をつく”という言葉は非常に直接的で、若い恋愛の中で信頼が崩れていく瞬間の痛さを、そのまま投げてくるようだ。Beabadoobeeは怒りを派手に爆発させるタイプではないが、だからこそこの曲の静かな失望は強い。サウンドは依然として柔らかいが、その柔らかさが逆に言葉の刺々しさを際立たせている。『Loveworm』が単なるドリーミーな恋愛EPではなく、恋愛の中にある不信や傷もちゃんと抱えた作品であることが、この曲で明確になる。

5. Lovesong

タイトルはあまりにもストレートだが、だからこそ面白い。この曲は“ラヴソング”そのものを歌うようでいて、実際にはラヴソングの中に入りきれない感情を歌っているように聞こえる。Beabadoobeeの初期作品には、恋愛を美しく歌いながら、その美しさをどこかで信じきれていない感じがあるが、この曲はまさにその揺れを体現している。メロディは柔らかく、歌も親密で、表面だけをなぞれば非常に愛らしい曲だ。だが、そのやわらかさの下には、恋愛を歌うことそのものへの戸惑いが微かに残っているようでもある。

6. 1999

EP終盤に置かれたこの曲は、ノスタルジーや時代感覚を含み込んだ重要なトラックである。“1999”というタイトルは、Beabadoobeeの音楽に漂う90年代的な空気を、もっとも明示的に言語化している。とはいえ、これは単純な時代再現やレトロ趣味ではない。むしろ“少し前の時代に対する曖昧な憧れ”や、“自分がそこにいたわけではないのに懐かしいと感じてしまう空気”を歌っているように聞こえる。サウンドもこのEPの中では比較的印象が強く、Beabadoobeeがのちに広げていく90年代オルタナ路線の種がここにすでにあることが分かる。

7. Dye It Red

ラストを飾るこの曲は、タイトルからして非常に象徴的だ。“赤く染める”という行為には、恋愛、痛み、怒り、成熟、あるいは何かを強く意識してしまうことが重なっているように聞こえる。サウンドはこのEPの中でもやや余韻が深く、終曲として非常にふさわしい。ここでのBeabadoobeeは、恋愛の中で揺れ続けたあとに何かを言い切るわけではない。むしろ、色だけが濃く残っていくような終わり方をする。この“はっきり解決しないまま感情の色だけが残る”感じが、『Loveworm』という作品全体の性格をよく表している。

総評

『Loveworm』は、Beabadoobeeの初期を代表する重要作であり、彼女の魅力がもっとも分かりやすく、しかももっとも生々しく出た作品のひとつである。ここには、ベッドルーム・ポップ的な親密さがある。アコースティックな素朴さもある。だが、それだけではない。曲によってはドリーム・ポップ的な広がりがあり、90年代オルタナ的な感触もあり、すでにBeabadoobeeが単なるローファイな日記作家では終わらないことを示している。その意味で『Loveworm』は、原点であると同時に、次の展開の予兆でもある。

本作の最大の魅力は、若い恋愛感情の未熟さを過不足なく残していることだろう。ここで歌われる好きという気持ちは、決して安定していない。相手を理想化し、信じきれず、依存し、傷つき、少し恥ずかしいほどに振り回されている。だが、その未熟さをBeabadoobeeは隠さない。むしろ、そのまま歌にする。その率直さが、このEPを非常に強くしている。感情がまだきれいに整理されていないからこそ、曲が聴き手の生活に近いところへ届くのである。

また、『Loveworm』は短い作品でありながら、単なるスケッチ集にはなっていない。各曲には明確な輪郭があり、甘さ、不安、依存、ノスタルジーといったテーマがしっかりと流れている。その統一感は、Beabadoobeeが早い段階から、単発のムードだけでなく、作品としてのまとまりを感覚的に掴んでいたことを示している。のちのアルバム作品ほどのスケールはないが、そのぶん、曲と感情の距離が近く、ひとつひとつの表情がはっきり見える。

Beabadoobeeのディスコグラフィを後から辿ると、『Loveworm』は非常に若い作品に聞こえるだろう。実際そうだ。だが、その若さは弱さではない。むしろ、まだ世界との距離が近すぎる時期にしか作れない音楽の強さがここにはある。『Loveworm』は、恋愛に少し食い破られながら、それでも歌にすることでどうにか自分を保っている作品だ。その不安定な美しさこそが、このEPを長く残るものにしている。

おすすめアルバム

よりアコースティックで素朴な初期EP。『Loveworm』の感情的な原型がさらにむき出しの形で味わえる。
– Beabadoobee『Loveworm (Bedroom Sessions)』

本作の楽曲をより親密で裸に近い形で再提示した作品。曲そのものの強さと感情の輪郭がさらによく分かる。
– Beabadoobee『Fake It Flowers』

のちのフルアルバムで、90年代オルタナ/グランジ的サウンドを本格化させた重要作。『Loveworm』の種子がどう開花したかを確認できる。
Clairo『Immunity』

同時代インディー・ポップの代表作。親密さと広がり、若い感情の揺れをどう作品化するかという点で深く共鳴する。
Snail MailLush

若い恋愛感情の切実さとギター・ポップ/インディー・ロックの美しさを高い水準で両立した名作。『Loveworm』が好きなら強く響く。

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