アルバムレビュー:Loveworm (Bedroom Sessions) by Beabadoobee

※本記事は生成AIを活用して作成されています。

発売日:2020年7月13日

ジャンル:インディー・ポップ、ベッドルーム・ポップ、アコースティック・ポップ、シンガーソングライター、ローファイ

概要

Beabadoobeeの『Loveworm (Bedroom Sessions)』は、2019年のEP『Loveworm』を、より私的で、より素の手触りを残したかたちで再提示した作品であり、同時に彼女の初期表現の核がどこにあったのかをあらためて明瞭に示す重要作である。BeabadoobeeことBeatrice Lausは、2010年代末から2020年代初頭にかけてのインディー・ポップ/オルタナティヴ・ポップの流れの中で、90年代オルタナやシューゲイズ、フォーク、シンガーソングライター的親密さを、Z世代的な率直さとDIY感覚で鳴らす存在として急速に注目を集めた。とりわけ「Coffee」に象徴されるような、ささやくような歌唱と、日記の延長のような歌詞、そして部屋の空気ごと録音したような親密さは、彼女の初期イメージを決定づけるものだった。

そのBeabadoobeeにとって『Loveworm』は、甘さと不安、恋愛への没入と自己意識の揺れを、ドリーミーなバンド・サウンドとアコースティックな親密さの両方で描いた初期の重要作である。そして『Loveworm (Bedroom Sessions)』は、その楽曲群を“より本来の場所”へ戻したような作品として響く。ここではバンドの色彩やプロダクションの広がりが後退し、その代わりに、声、ギター、部屋鳴り、息づかい、沈黙のあいだにある微妙な揺れが前景化している。つまり本作は、単なるアコースティック再録ではない。Beabadoobeeのソングライティングが、どれだけ“近い距離”で成立していたかを示す、いわばデモと完成形の中間にあるような作品なのである。

“Bedroom Sessions”という副題は、この作品の本質をほとんど言い表している。ベッドルームという空間は、2010年代以降のインディー/ポップ文脈において、単なる録音環境以上の意味を持つ。それは低予算やDIYの象徴であると同時に、他人の視線が届く前の感情、まだ公的な作品へ整えられていない心の状態、そして生活空間そのものの延長としての音楽制作を意味している。Beabadoobeeの初期作品が多くのリスナーに刺さった理由の一つは、まさにその“部屋の中で生まれた感じ”にあった。『Loveworm (Bedroom Sessions)』は、その魅力を意識的に強調した作品であり、曲がうまく整理される前の、少し不安定で、少し恥ずかしい、しかしそのぶん本当に近い感情を残している。

Beabadoobeeのキャリア全体で見ると、本作は少し特別な位置にある。のちの彼女は『Fake It Flowers』で90年代オルタナやグランジ的なダイナミズムを大きく取り入れ、『Beatopia』ではより内面的かつ音響的に豊かな世界へ進んでいく。その流れを知ったあとで本作を聴くと、『Loveworm (Bedroom Sessions)』には、そうした拡張以前の“声とメロディだけで成立してしまう魅力”が確かにあったことがよく分かる。ここにあるのは、まだ大きなサウンドで自分を守る前のBeabadoobeeであり、恋愛や孤独をそのまま小さな歌へ落とし込んでいた時期の彼女である。

また、本作の面白さは、オリジナル版『Loveworm』が持っていた甘く夢見心地な質感を、より骨組みの見える形へ変えているところにある。オリジナル版では、ギターの重なりやバンド・アレンジによって、感情が少しだけロマンティックに膨らませられていた。しかしBedroom Sessionsでは、その膨らみが削がれ、曲はより個人的で、より脆く聞こえる。これは単に“シンプルになった”という話ではない。むしろ、ラヴソングの幻想が少し剥がれ落ちた結果、そこにある感情の未熟さや執着や依存の気配が、いっそうはっきりするのである。その意味で本作は、“かわいいアコースティック版”ではなく、“感情の輪郭がより裸に近づいた版”として聴くべきだろう。

全曲レビュー

1. Apple Cider

『Loveworm』の冒頭を飾ったこの曲は、Bedroom Sessionsでもやはり作品全体のトーンを決定づける。オリジナル版では、少しドリーミーで浮遊するようなバンド感があり、甘酸っぱい恋愛の入り口として機能していたが、ここではそのムードがもっと私的なものになっている。アコースティックな響きが前に出ることで、曲は“かわいいラヴソング”というより、“誰かを好きになってしまった時の独り言”に近づく。Beabadoobeeの声もより近く、飾り気が少なく、そのぶん感情の揺れが直接届く。タイトルの軽やかさに対して、実際の気持ちは意外と不安定であることが、このヴァージョンではよりよく分かる。

2. Ceilings

この曲はBeabadoobee初期の代表曲の一つであり、Bedroom Sessions化によってその魅力がさらに明瞭になった楽曲である。天井を見上げる、という非常に静的なイメージを持つタイトルどおり、この曲には部屋の中にひとりでいる時間の感覚が強くある。オリジナル版では夢見心地の揺れがあったが、ここではその揺れがもっと現実に近い。恋愛のことを考えすぎて、思考が部屋の中でぐるぐる回る感じ、その閉じた空気がよく出ている。Beabadoobeeの歌の強さは、こうした“動きのない時間”をちゃんと歌にできるところにあるが、このアレンジではそれがいっそう際立つ。

3. Angel

タイトルから受ける印象どおり、この曲には理想化や神聖化の感覚がある。好きな相手を“天使”のように見てしまう、その若い恋愛特有の過剰さが核にある曲だ。だが、Bedroom Sessionsではその理想化が少し危うく聞こえる。なぜなら、音の余白が増えたことで、相手を持ち上げることと、自分がそれだけ不安定であることが、同時に見えてしまうからだ。オリジナル版の柔らかな包み込みが後退したぶん、理想化の背後にある依存や不安がより露出している。非常に短くて淡い曲だが、感情の輪郭は思いのほか鋭い。

4. You Lie All The Time

『Loveworm』の中でも比較的はっきりとした不信や苛立ちを含んだ曲であり、Bedroom Sessionsではその苦味が増している。オリジナル版では、バンドの柔らかい音の中でこの怒りが少し丸く聞こえる部分もあったが、ここでは言葉がそのまま前に出るぶん、タイトルの刺々しさが強く残る。“あなたはいつも嘘をつく”という非常にストレートなフレーズは、若い恋愛の被害感覚としてだけでなく、信頼が崩れた瞬間の生々しさとして響く。Beabadoobeeは怒りを大声で表現するタイプではないが、だからこそ、この種の静かな失望はよけいに重い。

5. Sorry

この曲は、Beabadoobeeの初期ソングライティングにおける“謝罪の仕方の曖昧さ”がよく出ている。タイトルは「ごめん」と言っているが、その謝罪は必ずしも完全な反省の形ではない。むしろ、自分でも整理しきれない感情の中で、とりあえず相手に向かって差し出された言葉として響く。Bedroom Sessionsでは、その不完全さがさらに際立つ。アコースティックな裸の音の中で聴くと、この曲の“うまく言えなさ”そのものが魅力であることがよく分かる。若い感情はしばしば、きれいに決着しない。そのリアルさが、この曲にはある。

6. Dance with Me

『Loveworm』において最も広く知られた曲のひとつであり、Beabadoobeeの初期を象徴する楽曲でもある。オリジナル版では、軽やかな跳ね方と甘い高揚感が印象的だったが、Bedroom Sessionsではこの曲がいかに“願いの歌”だったかがよく見える。“私と踊って”という呼びかけは、実際には“私のところへ来て”“私をちゃんと見て”という、もっと根深い欲望の変形でもある。アレンジがシンプルになることで、その願いの切実さがいっそう強くなる。ダンスの歌というより、近づきたいのに近づけない距離の歌として聞こえてくるのが、このヴァージョンの面白さだ。

7. 1999

本作の中でもやや異質で、ノスタルジーや時代イメージが前に出る楽曲。Beabadoobeeの音楽にはしばしば90年代的な空気が漂うが、この曲はそれをより明示的にタイトル化している。とはいえ、ここでの“1999”は実際の歴史的考証ではなく、“少し前の、もっと無垢だったように感じられる時間”の象徴として機能している。Bedroom Sessionsでは、そのノスタルジーがさらに個人的なものになる。時代への憧れというより、自分の感情がまだ今ほど複雑でなかった頃への憧れのように響くのだ。過去を飾るための曲ではなく、今との距離を測るための曲として印象深い。

総評

『Loveworm (Bedroom Sessions)』は、Beabadoobeeの初期表現の魅力を、より裸に近いかたちで提示した重要作である。オリジナル版『Loveworm』が、甘く夢見心地な恋愛の気分をバンド・サウンドの柔らかい膜で包んだ作品だったとすれば、こちらはその膜を薄くして、歌そのもの、言葉そのもの、息づかいそのものに近づいた作品と言える。その結果、ラヴソングとしてのかわいらしさや親しみやすさの背後にあった不安、執着、未熟さ、依存の感覚が、よりはっきり見えるようになっている。

音楽的には非常に簡素で、音の情報量は少ない。だが、その少なさは決して物足りなさにはならない。むしろ、Beabadoobeeのメロディや声がどれだけ強いかを証明している。バンド・アレンジがなくても曲が成立するどころか、曲によってはむしろこちらの方が本質に近いと感じさせる瞬間すらある。それは彼女が、当時まだ“ベッドルーム・ポップ”という文脈の中で注目されていたことを思えば、ある意味当然でもある。『Loveworm (Bedroom Sessions)』は、その原点の力をあらためて浮かび上がらせる。

また、本作はBeabadoobeeというアーティストの初期イメージを理解する上でも非常に重要だ。のちの彼女はより大きなバンド・サウンドや90年代オルタナ的ダイナミズムを身につけ、表現の幅を広げていく。しかし、その拡張の前にあったのは、こうした小さな部屋の中で、自分の恋愛や孤独をそのまま歌へ変えていたシンプルな強さだった。本作を聴くと、その出発点がいかに確かなものだったかがよく分かる。

『Loveworm (Bedroom Sessions)』は、豪華な再構築ではないし、劇的な再解釈でもない。むしろ逆で、曲をいったん“部屋の中”へ戻し、その場所でしか鳴らない感情の輪郭を残した作品である。その控えめさこそが、この作品の価値だ。Beabadoobeeの初期をただ可憐なベッドルーム・ポップとして消費するのではなく、その中にあった生々しい若さや危うさまで感じ取りたいなら、本作は非常に重要な一枚である。

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