アルバムレビュー:Inamorata by Poco

※本記事は生成AIを活用して作成されています。

発売日:1984年4月

ジャンル:Country Rock / Pop Rock / Soft Rock

概要

Inamorataは、Pocoが1984年に発表したスタジオ・アルバムである。1970年代にカントリー・ロックの形成を担ったPocoだが、1978年のLegend以降は「Crazy Love」「Heart of the Night」などの成功を背景に、より滑らかなポップ/AORへ比重を移していた。本作はその流れの先にあり、Rusty Young、Paul Cottonを中心に、Steve Chapman、Kim Bullardを含む当時の編成で制作された。

初期Pocoを特徴づけたペダル・スティール・ギターやカントリー的な軽快さは残っているものの、本作では1980年代らしいキーボード、整えられたドラム、厚いコーラスの比重が大きい。Paul Cottonのロック寄りのギターとRusty Youngの柔らかな歌唱や弦楽器が対照を作り、ウェストコースト・ロックからAORへ接近した時期のバンド像を伝えている。

さらに本作には、かつてPocoに在籍したRichie Furay、Timothy B. Schmit、George Granthamがゲストとして参加している。初期メンバーを呼び戻しながらサウンド自体は過去へ戻らず、当時のポップ・ロックとしてまとめたところが興味深い。商業的な勢いが落ち着いていた時期の作品ではあるが、初期のカントリー・ロックと80年代型の洗練を一枚の中で接続した、キャリア上の節目となるアルバムである。

全曲レビュー

1. 「Days Gone By」

過ぎた時間へ視線を向ける題名通り、長いキャリアを持つバンドが歌うことで自然な重みが生まれる。演奏は懐古的なカントリーへ戻るのではなく、キーボードと整ったリズム隊を使った80年代型のポップ・ロックが中心だ。明快なメロディとコーラスの重なりによって過去を暗く扱わず、失われた時間を認めながら現在から眺めるような落ち着きを作っている。

2. 「This Old Flame」

消えきらない恋愛感情を「古い炎」に重ねた、カントリーやポップで馴染み深い比喩を使う。Pocoはそれを土臭いカントリー・バラードにはせず、滑らかなボーカルと厚いバックコーラスでウェストコースト的に処理している。過去の関係を振り切るより、時間が経っても残る感情として描くため、「Days Gone By」に続いて記憶が現在へ入り込む感覚がアルバム序盤をまとめている。

3. 「Daylight」

明るく開けたメロディと安定したリズムが前に出る曲で、冒頭2曲の回想的な空気を軽くする。ギターは重いリフを押し出すのではなく、ボーカルの周囲へ短いフレーズを置き、キーボードが音の広がりを補う。Pocoがこの時期に得意としていた、カントリーの名残を持ちながらラジオ向けのポップとして成立するアレンジが分かりやすく表れている。

4. 「Odd Man Out」

周囲になじめない人物という題材に対して、演奏には比較的強いロックの感触がある。Paul Cotton側の持ち味であるエレクトリックギターの存在感が増し、柔らかな曲が続くアルバムに輪郭を与える。Pocoはもともと複数のソングライターが異なる音楽性を持ち込むバンドだったが、本作でもこうしたロック寄りの曲を挟むことで、AOR一色になることを避けている。

5. 「How Many Moons」

時間や距離を測るイメージとして月を使い、離れた相手への思いを広い景色の中へ置く。テンポを抑えた伴奏では声とハーモニーが中心となり、楽器は感情を大げさに説明しない。Rusty Young周辺の楽曲に見られる柔らかなメロディ感覚とPoco伝統のコーラスがよく合い、派手なサビよりも旋律がゆっくり残るタイプのバラードになっている。

6. 「When You Love Someone」

愛することによって生まれる喜びだけでなく、相手に対して無防備になる感覚まで含んだラブソングとして聞ける。キーボードを使った滑らかな伴奏とコーラスは当時のソフトロック/AORに近く、初期Pocoのカントリー色はかなり薄い。その一方で、複数の声を自然に重ねてサビを広げる方法にはバンドの昔からの特徴が残っており、新旧のスタイルが無理なく交わっている。

7. 「Brenda X」

アルバム後半にテンポとロックの硬さを戻す曲で、ギターとリズム隊の直接的な動きが中心になる。タイトルに人物名を置くことで歌詞にも具体的な相手の存在を感じさせ、抽象的な恋愛論より一つの関係へ焦点を絞る。キーボード主体の曲との対比によってPaul Cottonのギターが際立ち、Pocoが完全なソフトロック・バンドになったわけではないことを示す。

8. 「Standing in the Fire」

「火の中に立つ」という強いイメージに合わせ、演奏にも緊張感を持たせている。恋愛や人生の困難から逃げるのではなく、その中に留まる姿勢を思わせる歌詞を、厚いバンドサウンドが支える。ギターとキーボードを競わせるのではなく、両方を重ねてサビを大きくするのが80年代のPocoらしく、初期の乾いたカントリー・ロックとは異なる重量感がある。

9. 「Save a Corner of Your Heart」

相手の心の一部だけでも自分のために残してほしいという、控えめだが切実な願いを中心にした曲である。柔らかなメロディとハーモニーを生かしたPocoらしいバラードで、声を張り上げて悲しみを強調するより、抑えた歌唱によって距離のある関係を表現する。アルバム終盤で音の密度を下げ、最後の曲へ向けて感情を整理する役割も果たしている。

10. 「The Storm」

最後は「嵐」という題名にふさわしく、穏やかなラブソングだけでは終わらない広がりを持たせる。Pocoのコーラスとロックバンドとしての演奏を組み合わせ、静かな部分と力を増す部分の差によって終幕らしい起伏を作る。嵐を人間関係や人生の困難として読むこともでき、アルバムに多かった時間、愛情、変化という題材を、直接的な結論ではなく自然現象のイメージへ置き換えて締めくくる。

総評

Inamorataを初期Pocoの延長として聞くと、ペダル・スティールやカントリーの跳ねるリズムが後退したことがまず耳につく。しかし1970年代末以降の流れから見ると、この変化は突然ではない。Legendで大きく開かれたポップ路線をさらに1980年代の録音へ適応させ、キーボードや厚いコーラスを中心にしたソフトロックへ進んだ作品である。カントリー・ロックの開拓者という過去より、当時活動していた現役バンドとしての音を優先している。

それでもPocoらしさが失われていない最大の理由は、メロディとハーモニーにある。楽器の種類や録音方法が変わっても、一人のリードボーカルから複数人のコーラスへ自然に広がるサビの作り方は一貫している。また、Rusty Youngの柔らかな曲とPaul Cottonのロック寄りの曲を並べることで、同じテンポや音色が延々と続くことも避けている。派手な演奏技術より、異なるソングライターの曲を一枚へまとめるバンドとしての経験が生きている。

旧メンバーの参加も本作を興味深いものにしている。Richie Furay、Timothy B. Schmit、George GranthamというPocoの歴史に深く関わった人物が戻っているものの、それを理由に初期サウンドを再現する作品にはしていない。過去の人脈と現在の音を同じ録音の中へ置くことで、15年ほどの活動を経たバンドが自分たちの歴史とどう付き合うかを示す形になった。

一方、1984年のポップ・プロダクションへの適応を優先した結果、初期Pocoにあったカントリーとロックが衝突するような鮮烈さは弱い。曲によっては当時の一般的なAORとの距離も近く、音色だけからPoco固有の個性を見つけにくい場面もある。それでもInamorataは、1960年代末のカントリー・ロックから出発したバンドが、ウェストコースト・ポップを経て80年代まで変化を続けたことを記録する作品である。革新性より継続と適応に意味を持つ、Pocoの中期キャリアを理解するうえで興味深い一枚だ。

おすすめアルバム

Ghost Town by Poco

1982年作で、Inamorataへ直接つながるキーボード主体のポップ/ソフトロック路線を聞ける。初期のカントリー色を残しながら80年代型の録音へ移行する過程が、本作との比較でより明確になる。

Legend by Poco

「Crazy Love」「Heart of the Night」を収録した1978年作。Pocoがカントリー・ロックから洗練されたウェストコースト・ポップへ大きく踏み出した作品であり、Inamorataの音楽的な方向を理解する重要な起点となる。

A Good Feelin’ to Know by Poco

1972年の初期作ではペダル・スティール、ギター、複数人のハーモニーがより生々しく鳴っている。Inamorataと比べれば、同じバンドが約12年間でカントリー・ロックからポップへどう変化したのかがよく分かる。

Airplay by Point Blank

Paul Cottonのロック寄りの曲に惹かれる場合、同時代のAOR/ハードロックがギターと洗練されたスタジオ録音をどう結びつけたかを比較できる。Pocoとはルーツが異なる分、1980年代的な音作りの共通性が見えやすい。

One on One by Cheap Trick

よりハードなパワーポップ作品だが、70年代型のギターバンドが80年代の明瞭なドラムやスタジオ処理へ適応した例として比較できる。Inamorataとは音楽性が異なる一方、時代に合わせてロックの音像を更新するという課題を共有している。

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