アルバムレビュー:72 Seasons by Metallica

※本記事は生成AIを活用して作成されています。

発売日:2023年4月14日

ジャンル:スラッシュ・メタル、ヘヴィメタル、グルーヴ・メタル、ハードロック

概要

メタリカの『72 Seasons』は、2016年の『Hardwired… to Self-Destruct』以来、約7年ぶりに発表された通算11作目のスタジオ・アルバムである。1980年代にスラッシュ・メタルの中心的存在として登場し、『Kill ’Em All』『Ride the Lightning』『Master of Puppets』『…And Justice for All』によってヘヴィメタルの表現領域を大きく拡張したメタリカは、1991年の『Metallica』(通称ブラック・アルバム)でメインストリームへ進出した。その後もオルタナティヴ・ロック、ブルース・ロック、ガレージ・ロック、シンフォニックな試みを経ながら、巨大なロック・バンドとして活動を続けてきた。

『72 Seasons』は、そうした長いキャリアを経た後の作品でありながら、バンドの核にあるヘヴィメタルの身体性と心理的な暗さを再確認するアルバムである。プロデュースは、前作に続きグレッグ・フィデルマン、ジェイムズ・ヘットフィールド、ラーズ・ウルリッヒが担当。サウンドは近年のメタリカらしく、重く、明瞭で、各楽器の輪郭がはっきりしている。特にギター・リフとドラムの押し出しは非常に強く、現代的な音圧の中でクラシックなメタリカの攻撃性を再提示している。

アルバム・タイトルの「72 Seasons」は、人間の最初の18年間を表す言葉として提示されている。1年に4つの季節があるとすれば、18年は72の季節にあたる。つまり本作の中心にあるのは、幼少期から青年期までに形成される人格、トラウマ、怒り、自己認識、そしてその後の人生を縛る内面的な構造である。ジェイムズ・ヘットフィールドはこれまでも、家庭環境、依存、怒り、宗教的抑圧、孤独、自己破壊を繰り返し歌ってきたが、本作ではそれらがより明確に「形成期の記憶」と結びつけられている。

メタリカのアルバムとして見ると、『72 Seasons』は過去作の要素を幅広く含んでいる。長尺曲と複雑な構成は『Master of Puppets』や『…And Justice for All』を思わせ、重厚なグルーヴはブラック・アルバム以降のメタリカに通じる。荒々しいテンポ感やストレートなリフには『Kill ’Em All』から続くスラッシュ・メタルの血脈もある。一方で、全体の音作りは現代的であり、単なる過去への回帰ではない。メタリカが自分たちの歴史を総合し、現在の肉体性で鳴らした作品といえる。

また本作は、メタリカが高齢化したロック・バンドとしてどのようにヘヴィネスを維持するかという問いにも応えている。若い頃の暴力的なスピードや反抗心をそのまま再現するのではなく、長い人生経験を経たうえで、怒りや不安をより深い心理的テーマとして扱っている。ここでのヘヴィネスは、単なる速度や音量ではなく、記憶の重さ、自己破壊の反復、過去から逃れられない感覚として機能している。

歌詞面では、自己との対決が中心である。「自分の中にある闇をどう扱うか」「過去の傷が現在の行動をどのように支配するか」「破壊的な衝動をどう理解するか」といった問題が、アルバム全体を通じて繰り返される。社会批判や戦争批判を扱ってきた過去のメタリカ作品に比べると、本作はより内面に向かっている。ただし、それは個人的告白に閉じるものではなく、多くのリスナーが抱える怒り、依存、自己嫌悪、孤独を重いリフの中で共有する作品となっている。

全曲レビュー

1. 72 Seasons

冒頭曲「72 Seasons」は、アルバムのテーマを直接提示する長尺のスラッシュ・メタル曲である。鋭いギター・リフ、力強いドラム、急速に進行する構成によって、アルバムは一気に高い緊張感へ突入する。約7分半という長さを持ちながら、曲はだれることなく、リフの変化とテンポの押し引きによって進んでいく。

歌詞では、人間の最初の18年間が、その後の人生に深い影響を与えるという主題が扱われる。形成期に刻まれた恐怖、怒り、刷り込み、痛みが、成人後の自己認識を支配する。これは単なる青春回顧ではなく、過去が現在の人格を作るという重い心理的テーマである。

音楽的には、初期メタリカを思わせる疾走感と、近年のメタリカらしい重厚なプロダクションが合わさっている。ジェイムズ・ヘットフィールドのヴォーカルは年齢を重ねた深みを持ちながら、依然として鋭い攻撃性を保っている。アルバムの入口として、作品全体の核心である「過去から逃れられない現在」を強く提示する楽曲である。

2. Shadows Follow

「Shadows Follow」は、重いグルーヴとメタリカらしいリフの反復が印象的な楽曲である。タイトルが示す通り、影がどこまでもついてくるという感覚が中心にある。ここでの影は、過去の記憶、罪悪感、自己嫌悪、抑圧された感情の象徴と考えられる。

サウンドは非常に力強く、ミドル・テンポの重量感とスラッシュ的な鋭さが共存している。ジェイムズのリズム・ギターは分厚く、リフの刻みが身体的な圧力を生む。ラーズ・ウルリッヒのドラムは、曲の推進力を支えながら、展開ごとにアクセントを加えている。

歌詞では、逃げようとしても自分の影が追いかけてくるという構図が描かれる。これは外部の敵ではなく、自分自身の内側にあるものとの闘いである。メタリカはこれまでも内面の怪物を多く描いてきたが、本曲ではその怪物が「影」として表現され、日常的にまとわりつく存在として提示されている。

3. Screaming Suicide

「Screaming Suicide」は、自殺念慮や自己破壊的思考を正面から扱った重要曲である。タイトルは非常に直接的だが、楽曲の狙いはショック効果ではなく、内面で叫び続ける破壊衝動を言語化することにある。

歌詞では、自殺という言葉を避けずに扱いながら、その声がどのように人を追い詰めるかが描かれる。メタリカはこの曲で、暗い思考を隠すのではなく、それを外に出し、名前を与えることの重要性を示している。ヘヴィメタルにおける暗いテーマは、単なる絶望の演出ではなく、苦しみを共有するための表現になりうる。本曲はその典型である。

音楽的には、比較的明快なリフとキャッチーな構成を持っている。重いテーマを扱いながらも、曲そのものには推進力があり、リスナーを沈み込ませるだけではない。ジェイムズのヴォーカルには怒りと励ましの両方があり、自己破壊的な声に対して立ち向かう姿勢が感じられる。

4. Sleepwalk My Life Away

「Sleepwalk My Life Away」は、鈍くうねるベースの導入が印象的なミドル・テンポ曲である。ロバート・トゥルージロの低音が曲の空気を作り、そこにギターとドラムが重なっていく。アルバムの中でもグルーヴ感が強く、スラッシュの速度よりも重量感を重視した楽曲である。

歌詞では、夢遊病のように人生を過ごしてしまう感覚が描かれる。自分の人生を生きているはずなのに、意識がはっきりせず、何かに操られるように時間が過ぎていく。これは依存、無気力、自己喪失、精神的な麻痺の比喩として読める。

音楽的には、ブラック・アルバム以降のメタリカに通じる重厚なグルーヴが中心である。テンポは速くないが、リフの反復によって圧力が増していく。歌詞の「眠ったまま人生を歩く」というテーマと、重く引きずるようなサウンドがよく結びついている。内面の停滞を身体的な重さとして表現した曲である。

5. You Must Burn!

「You Must Burn!」は、アルバムの中でも特に重く、ドゥーム的な感触を持つ楽曲である。テンポは比較的遅く、リフは低く沈み込み、曲全体に暗い圧迫感が漂う。メタリカのルーツにはブラック・サバス的な重さもあるが、本曲ではその影響が強く感じられる。

歌詞では、裁き、怒り、集団的な糾弾、燃やされる者と燃やす者の関係が描かれる。タイトルの「お前は燃えなければならない」という言葉は、魔女狩りや社会的制裁のイメージを喚起する。現代的に読めば、他者を断罪する集団心理や、怒りが暴走する社会への批判とも解釈できる。

中盤ではロバート・トゥルージロのヴォーカルも印象的に使われ、曲に呪術的な雰囲気を加えている。メタリカの中でも異質な重さを持つ曲であり、スピードではなく圧力によってヘヴィネスを生み出している。アルバムの心理的な暗さを深める重要な楽曲である。

6. Lux Æterna

「Lux Æterna」は、アルバムの先行シングルとして発表された、非常にコンパクトで疾走感のある楽曲である。タイトルはラテン語で「永遠の光」を意味する。メタリカの初期作品を思わせるスピード、シンプルな構成、鋭いリフが特徴で、アルバムの中でも最も即効性のある曲のひとつである。

音楽的には、NWOBHMからの影響が強く感じられる。ダイヤモンド・ヘッドやモーターヘッドに通じるスピード感と、初期メタリカの若々しい突進力が現代の音で再構成されている。長尺曲が多い本作の中で、この曲の短さと直線性は大きなアクセントになっている。

歌詞では、光、結束、熱狂、音楽による一体感が描かれる。アルバム全体には内面的な闇が多いが、この曲ではメタルそのものが持つ解放感が前面に出ている。ライブで観客と共有されるエネルギーを想定したような楽曲であり、重いテーマの中に一瞬の光を差し込む役割を果たしている。

7. Crown of Barbed Wire

「Crown of Barbed Wire」は、タイトルからして苦痛と権力が結びついた楽曲である。「有刺鉄線の冠」というイメージは、王冠のような権威と、傷つける金属の痛みを同時に含んでいる。これは名声、責任、罪悪感、自己処罰の象徴として読める。

サウンドはミドル・テンポを中心に展開し、重くねじれたリフが曲全体を支配する。派手なスピードよりも、陰鬱な雰囲気と粘着質なグルーヴが強い。カーク・ハメットのギター・ソロは、楽曲の暗い質感に鋭い切れ込みを入れる。

歌詞では、痛みを伴う支配、身に着けたくない冠、逃れられない役割が描かれる。メタリカのような巨大なバンドにとって、成功そのものが重荷になるという読みも可能である。称賛や権威が、同時に自分を傷つける有刺鉄線になる。この二重性が、本曲の重さを生んでいる。

8. Chasing Light

「Chasing Light」は、タイトル通り光を追い求める姿を描いた楽曲である。ただし、その光は簡単に手に入る救済ではなく、暗闇の中で必死に探し続ける対象として提示される。アルバムの中では、比較的前向きなエネルギーを持ちながらも、根底には強い切迫感がある。

音楽的には、リフの推進力が強く、メタリカらしい重さとスピード感がバランスよく配されている。コーラス部分にはアンセム的な響きもあり、ライブでの一体感を生みやすい構成になっている。ジェイムズのヴォーカルは、命令形や呼びかけに近い力強さを持つ。

歌詞の中心にあるのは、闇に飲み込まれそうな者に対して、光を探し続けるよう促す姿勢である。これは「Screaming Suicide」ともつながるテーマであり、自己破壊的な思考への対抗として読める。メタリカのヘヴィネスが、単なる暗黒ではなく、暗闇の中で光を探す運動として機能している曲である。

9. If Darkness Had a Son

「If Darkness Had a Son」は、アルバムの中でも特に印象的なタイトルを持つ楽曲である。「もし闇に息子がいるなら」という表現は、悪や破壊衝動を人格化し、それが人間の中に受け継がれるものとして描いている。先行公開曲としても注目された。

音楽的には、リフの反復が非常に強く、儀式的な雰囲気を持つ。冒頭から積み重ねられるリズムとギターのパターンは、聴き手をじわじわと曲の内部へ引き込む。テンポの速さよりも、反復による緊張感が重視されている。

歌詞では、誘惑、欲望、闇への引力が中心となる。闇の息子とは、自分自身の中にある破壊的な部分であり、完全に外部化できない存在である。メタリカはここで、悪を単純な敵としてではなく、人間の内部に住む衝動として描いている。ジェイムズのヴォーカルには、抗う声と引き寄せられる声が混在しており、曲全体に心理的な緊張を与えている。

10. Too Far Gone?

「Too Far Gone?」は、タイトルに疑問符が付いている点が重要である。「もう手遅れなのか」という問いは、絶望の宣言ではなく、まだ答えが確定していない状態を示している。アルバムの中でも比較的コンパクトで、メロディの強さが際立つ楽曲である。

歌詞では、自己崩壊、依存、孤独、精神的な限界が描かれる。だが、その問いは完全な敗北ではない。むしろ、「本当に手遅れなのか」と問い直すことで、回復の可能性が開かれている。メタリカの暗い歌詞の中でも、この曲には救済へ向かう意志が比較的はっきりと存在する。

音楽的には、疾走感とメロディアスな展開が合わさり、初期メタリカのエネルギーと後期メタリカの歌心が共存している。コーラスは力強く、ライブ映えする構成である。アルバム後半において、闇の中から抜け出そうとする動きを担う重要曲である。

11. Room of Mirrors

「Room of Mirrors」は、鏡の部屋というイメージを通じて、自己認識と自己嫌悪を描く楽曲である。鏡は自分を見るための道具であると同時に、無数に反射することで自己像を歪める装置でもある。タイトルは、過剰な自己分析や、自分自身から逃れられない感覚を象徴している。

音楽的には、スピード感があり、アルバム終盤の高揚を作る楽曲である。リフは鋭く、ドラムも前へ前へと進む。終盤にはメロディアスなギターの重なりが現れ、メタリカのクラシックなツイン・ギター感覚を思わせる場面もある。

歌詞では、自分のすべての姿が鏡に映し出されるような恐怖が描かれる。隠していた弱さ、怒り、欺瞞、傷が逃げ場なく可視化される。だが、同時にそれを認めることが自己解放につながる可能性もある。メタリカが長年扱ってきた「内面の怪物との対面」が、ここでは鏡の部屋という明確なイメージで表現されている。

12. Inamorata

アルバム最後を飾る「Inamorata」は、約11分に及ぶ大作であり、メタリカ史上でも特に長いスタジオ楽曲のひとつである。タイトルの「Inamorata」は、女性の恋人や愛人を意味する言葉だが、ここでは苦しみや悲しみを擬人化した存在として扱われている。

歌詞では、苦悩をまるで愛人のように抱きしめてしまう心理が描かれる。人は自分を傷つける感情から逃れたいと願いながら、同時にそれに慣れ、依存し、手放せなくなることがある。本曲は、そのような悲しみとの危険な親密さを中心テーマにしている。これはアルバム全体の総括として極めて重要である。形成期の傷、影、自己破壊、闇、鏡像といった主題が、最後に「苦しみを愛してしまう」という形で統合される。

音楽的には、重いリフ、ミドル・テンポの展開、静かな中間部、再び大きく広がる後半という構成を持つ。長尺でありながら、単なるリフの連続ではなく、感情の段階が変化していく。中間部ではベースが大きな役割を担い、曲に広がりと深みを与える。終盤の展開には、メタリカが得意としてきた叙事詩的なスケールがある。

「Inamorata」は、本作を単なるリフ重視のヘヴィメタル・アルバムではなく、心理的なテーマを持つ作品として締めくくる。若い頃のメタリカが外部の暴力や社会の腐敗を描いたとすれば、ここでは自分自身の内側に住み続ける苦悩が最終的な相手となる。アルバムの終曲として非常に重く、深い余韻を残す楽曲である。

総評

『72 Seasons』は、メタリカが長いキャリアの中で蓄積してきた音楽的要素と心理的テーマを、現在の姿で再構成したアルバムである。スラッシュ・メタルの速度、ブラック・アルバム以降の重厚なグルーヴ、長尺曲の構築力、ストレートなヘヴィメタルのアンセム性が一枚の中に共存している。過去のどれか一時期に戻るのではなく、メタリカというバンドの全時代を現代のサウンドで統合した作品といえる。

本作の中心にあるのは、幼少期から青年期にかけて形成された傷が、その後の人生にどのように影響し続けるかというテーマである。タイトル曲「72 Seasons」はその問題を直接提示し、「Shadows Follow」では影として追いかける過去が描かれ、「Screaming Suicide」では自己破壊的な声が言語化される。「Sleepwalk My Life Away」では無意識のまま人生を進む感覚が描かれ、「Room of Mirrors」では自己像との対面が行われる。そして「Inamorata」では、苦しみそのものへの依存が壮大な形で表現される。アルバム全体は、外部の敵を倒す物語ではなく、自分自身の内部に刻まれたものと向き合う物語である。

音楽的には、前作『Hardwired… to Self-Destruct』の延長線上にありつつ、より一貫したトーンを持っている。『Death Magnetic』以降のメタリカは、初期のスラッシュ・メタル的な要素を再び取り戻そうとしてきたが、『72 Seasons』ではそれがより自然に鳴っている。若い頃の速度を単純に再現するのではなく、現在の体格、声、演奏力に合った重さとして提示している点が重要である。

ジェイムズ・ヘットフィールドのヴォーカルと歌詞は、本作の大きな核である。彼の声には、怒りだけでなく、疲労、後悔、自己認識、回復への意志が含まれている。初期メタリカのジェイムズが怒れる若者の声だったとすれば、『72 Seasons』のジェイムズは、怒りがどこから来たのかを見つめる人物として歌っている。その変化は、メタリカが成熟したバンドであることを強く示している。

ラーズ・ウルリッヒのドラムは、複雑さよりも曲全体の推進力を重視している。カーク・ハメットのギター・ソロは、近年のメタリカらしい即興性と荒々しさを持ち、リフ中心の楽曲に鋭い色彩を加える。ロバート・トゥルージロのベースは、特に「Sleepwalk My Life Away」や「Inamorata」で存在感を示し、バンドの低音の厚みを支えている。個々の技巧を前面に押し出すというより、巨大なメタリカ・サウンドを構築するために各メンバーが機能している。

本作には、過去の名盤群のような革命性はない。『Master of Puppets』がスラッシュ・メタルを芸術的な領域へ押し上げ、『…And Justice for All』が構築美の極限を示し、ブラック・アルバムがメタルを世界的なメインストリームへ押し出したことを考えると、『72 Seasons』は新しい時代を切り開く作品というより、巨大なバンドが自分たちの本質を再確認する作品である。しかし、そのことは本作の価値を下げるものではない。むしろ、40年以上にわたる活動の後で、これほど強固なヘヴィメタル・アルバムを作り上げたこと自体が重要である。

日本のリスナーにとって『72 Seasons』は、メタリカの歴史をある程度踏まえたうえで聴くと、より深く理解できる作品である。初期のスラッシュ・メタル的な攻撃性、1990年代以降のグルーヴ、2000年代以降の自己再建の流れが一つにまとまっているため、バンドの全体像を映す鏡のようなアルバムでもある。一方で、現代のヘヴィメタル作品としても、リフの強さ、音の厚み、テーマの重さは十分に訴求力を持つ。

総じて『72 Seasons』は、メタリカが過去の栄光に寄りかかるのではなく、過去そのものをテーマ化し、それが現在の自分たちをどう形作っているかを問う作品である。速度と重さ、怒りと内省、闇と光、破壊衝動と回復への意志が交錯する。若き日の怒りを老成した視点で再検証するこのアルバムは、メタリカの後期キャリアにおける重要作であり、ヘヴィメタルが年齢と経験を重ねてもなお強い表現であり続けることを証明している。

おすすめアルバム

1. Metallica『Master of Puppets』(1986年)

メタリカの代表作であり、スラッシュ・メタルを高度な構築美と社会的テーマへ押し上げた名盤である。長尺曲、複雑な展開、依存や支配をめぐる歌詞は、『72 Seasons』の心理的テーマとも深くつながる。メタリカの音楽的基礎を理解するうえで欠かせない作品である。

2. Metallica『…And Justice for All』(1988年)

複雑な曲構成、冷徹なリフ、社会や制度への怒りが前面に出た作品である。音作りは極端に乾いているが、楽曲の構築力は非常に高い。『72 Seasons』に見られる長尺志向や内面的な重さを、より鋭く複雑な形で味わえるアルバムである。

3. Metallica『Metallica』(1991年)

通称ブラック・アルバム。スラッシュ・メタルの複雑さを整理し、巨大なグルーヴと明快なソングライティングによって世界的成功を収めた作品である。『72 Seasons』のミドル・テンポ曲や重厚なリフには、この時期の影響が強く感じられる。メタリカがメインストリームへ到達した理由を理解できる一枚である。

4. Metallica『Death Magnetic』(2008年)

2000年代後半にメタリカがスラッシュ・メタル的な構成力と長尺曲へ回帰した作品である。『St. Anger』以降の再建作として重要であり、『72 Seasons』へ続く現代メタリカの方向性を知るうえで参考になる。初期の攻撃性を再び取り戻そうとする姿勢が明確に表れている。

5. Megadeth『Dystopia』(2016年)

メタリカと同じくスラッシュ・メタルの歴史を背負うメガデスの後期代表作である。鋭いリフ、政治的・社会的な不安、テクニカルな演奏が特徴で、ベテラン・スラッシュ・バンドが現代においてどのように攻撃性を維持するかを示している。『72 Seasons』と比較することで、同世代のメタル・バンドの成熟の違いが見えてくる。

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