発売日: 1971年8月14日
ジャンル: ロック、ハードロック、アートロック
Who’s Nextは、The Whoの5作目のスタジオアルバムであり、ロック史上屈指の名盤として知られる作品だ。もともとピート・タウンゼントが構想した壮大なコンセプトプロジェクト「Lifehouse」から派生したこのアルバムは、個別の楽曲を中心に構成され、コンセプトアルバムとしての要素を持ちながらも独立した名曲が並ぶ。ロジャー・ダルトリーの力強いボーカル、タウンゼントの革新的なソングライティング、ジョン・エントウィッスルのベース、そしてキース・ムーンのエネルギッシュなドラムが、圧倒的な完成度で一体化している。
アルバムの制作にはシンセサイザーが大きく取り入れられ、ロックの新しい音楽的可能性を示した点でも画期的だ。中でも「Baba O’Riley」と「Won’t Get Fooled Again」はロックのアンセムとして時代を超えて愛され続けている。
トラック解説
1. Baba O’Riley
アルバムのオープニングを飾る名曲。シンセサイザーによる反復フレーズが楽曲の基盤を作り、ジョン・エントウィッスルのベースラインとダルトリーの力強いボーカルが絡み合う。歌詞は孤独や反抗をテーマにしつつ、世代間の葛藤を描いている。エンディングのフィドルソロが牧歌的な雰囲気を加え、印象的な締めくくりを見せる。
2. Bargain
自己犠牲をテーマにした楽曲で、タウンゼントの哲学的な歌詞が際立つ。力強いギターリフとエモーショナルなボーカルが楽曲をドラマチックに盛り上げる。ダイナミックな演奏が光る名曲。
3. Love Ain’t for Keeping
アコースティックギターを中心にした短く爽やかな楽曲。アルバム全体の中で穏やかなひとときを提供する一曲で、愛の温かさを歌うリリックが印象的だ。
4. My Wife
ジョン・エントウィッスルが作詞・作曲・ボーカルを担当した楽曲。妻とのトラブルをユーモラスに描いた歌詞が特徴的で、エントウィッスルのベースとブラスアレンジが楽曲を豊かに彩る。
5. The Song Is Over
ピート・タウンゼントとロジャー・ダルトリーが交互にリードボーカルを務める感動的なバラード。歌詞には終わりと新たな始まりへの期待が込められており、タウンゼントのピアノとシンセサイザーがドラマチックな雰囲気を作り上げている。
6. Getting in Tune
音楽を通じて自己を表現することをテーマにしたトラック。タウンゼントのピアノとダルトリーのボーカルが絶妙な調和を生み出し、バンドのエモーショナルな一面を示している。
7. Going Mobile
タウンゼントがリードボーカルを務めた軽快なトラック。移動の自由や旅の楽しさを歌った歌詞が明るい雰囲気を醸し出す。ギターエフェクトが遊び心を加えた楽曲。
8. Behind Blue Eyes
静かなアコースティックセクションから始まり、後半で激しく展開する構成が特徴のバラード。孤独や内面の葛藤を歌った歌詞が深い感情を呼び起こす。ダルトリーの感情的なボーカルが圧巻。
9. Won’t Get Fooled Again
アルバムのクライマックスを飾る大作。シンセサイザーの大胆な使用と、タウンゼントのギターワークが圧倒的なスケール感を生む。歌詞には政治的な変化や反抗への皮肉が込められており、ダルトリーの叫び「YEAHHH!!!」がロック史上最も象徴的な瞬間の一つとして記憶されている。
アルバム総評
Who’s Nextは、ロックアルバムの中でも特に完成度が高く、革新的な作品である。コンセプトアルバムの要素を持ちながらも、各曲が独立して聴き応えのある名曲ぞろいである点が特徴だ。シンセサイザーの導入やタウンゼントの深遠な歌詞、そしてメンバー全員の卓越した演奏力が融合し、時代を超えた普遍的な魅力を持つ一枚となっている。
特に「Baba O’Riley」や「Won’t Get Fooled Again」のような曲は、世代を超えたロックのアンセムとして愛され続けており、アルバム全体を通してリスナーを圧倒するエネルギーを放っている。The Whoの創造性と技術が凝縮された最高傑作の一つだ。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
Led Zeppelin – Led Zeppelin IV
ロックのスケール感と革新性が共通しており、「Stairway to Heaven」など名曲が並ぶ名盤。
Pink Floyd – The Dark Side of the Moon
シンセサイザーを駆使した壮大なサウンドスケープが、Who’s Nextのファンに響く。
Deep Purple – Machine Head
パワフルなギターワークとダイナミックな楽曲が共通する、ハードロックの名作。
Yes – Fragile
プログレッシブロックの名盤で、技術的な完成度と実験精神がWho’s Nextに通じる。
David Bowie – The Rise and Fall of Ziggy Stardust and the Spiders from Mars
ストーリーテリングとロックの革新性が、Who’s Nextのドラマチックな要素とリンクする。
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