Second Bite of the Apple by Beady Eye(2013)楽曲解説

1. 歌詞の概要

「Second Bite of the Apple(セカンド・バイト・オブ・ジ・アップル)」は、Beady Eyeが2013年にリリースした2作目のアルバム『BE』からのセカンド・シングルであり、彼らの音楽的変化と実験的姿勢がもっとも色濃く表れた楽曲である。

タイトルは「禁断の果実(Apple)」を再びかじる、つまり“一度失敗したことに再挑戦する”という意味合いを持ち、同時に旧約聖書のアダムとイブのモチーフとも重なってくる。
歌詞では、「他人の目を気にせず、もう一度リスクを冒して生きてみろ」というメッセージが込められており、ビート詩人のような散文的フレーズとともに、スピリチュアルで内省的なリアムの姿が見え隠れする。

「お前が信じることに意味がある。だから、もう一度、禁断の実に手を伸ばせ」と鼓舞するような楽曲なのだ。

2. 歌詞のバックグラウンド

この曲が収録された『BE』は、プロデューサーにTV on the Radioのデイヴ・サイトックを迎えたことで、前作とは一転し、よりサイケデリックでスモーキーな音像、ソウルやR&Bの要素を取り入れたサウンドへと変化を遂げている。

「Second Bite of the Apple」はその象徴的な楽曲であり、ファズギター、管楽器、打楽器、ルーズなリズム感などが混然一体となり、“オルタナティヴなリアム像”が提示された。

Oasisの残像から脱却し、自らの声を、よりスピリチュアルでソウルフルな表現へと広げていく過渡期の作品でもあり、ファンの間では賛否両論を巻き起こしたが、現在ではリアムの音楽的拡張の重要な一歩と評価されつつある。

3. 歌詞の抜粋と和訳

引用元:Genius Lyrics – Beady Eye “Second Bite of the Apple”

You’ve got the will of a wild / A wild bird
君の意志は野生の鳥のようだ

You’ve got the faith of a child / Before the world gets in
君の信念は 世界に汚される前の子供のよう

Take what you want / But you can’t have it all
好きなものを選べばいい
だが、全部を手に入れることはできない

Second bite of the apple / You get what you bring
リンゴを2度かじるなら
自分の持ち込んだものが そのまま返ってくるのさ

4. 歌詞の考察

この曲で描かれているのは、明らかに“再挑戦”への哲学である。
たとえ過去に失敗しても、もう一度挑んでみること——その勇気が人生を形作るのだと語る。

「Second bite of the apple」というフレーズは、“もう一度罪を犯すこと”という解釈もできる。
だが、それは単なる失敗の繰り返しではなく、“成長した今だからこそ手に入れられる何か”への渇望でもある。
そこには、自分の運命に正面から向き合い、受け入れ、再びその世界に飛び込もうとするリアム・ギャラガーの姿が重なる。

また、宗教的なイメージを織り交ぜながらも、説教臭くならないのは、詩的な言い回しの妙と、リアムの“荒々しい祈り”のようなボーカルによるところが大きい。

5. この曲が好きな人におすすめの曲

  • The Death of You and Me by Noel Gallagher’s High Flying Birds
    リアムと対をなす兄ノエルの、再出発の旅の始まりを歌った曲。ビートルズ愛と再生が交差する。
  • Wanna Be Adored by The Stone Roses
    欲望と自己肯定、スピリチュアリティの混ざり合うイントロ名曲。Second Biteと通じる深層。
  • Let Forever Be by The Chemical Brothers ft. Noel Gallagher
    サイケデリックとポップの境界を行く楽曲。リアムのスモーキーな変化と共振する音世界。

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