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アルバムレビュー:Rough Diamonds by Bad Company

※本記事は生成AIを活用して作成されています。

Spotifyジャケット画像

発売日: 1982年8月2日
ジャンル: ハードロック、ブルースロック、アリーナロック


輝きを秘めた“未研磨の結晶”——崩壊寸前に刻まれた最後のオリジナル・グルーヴ

『Rough Diamonds』は、1982年にリリースされたBad Companyの6作目のスタジオ・アルバムであり、ポール・ロジャース在籍時のオリジナル・ラインナップによる最後の作品である。
前作『Desolation Angels』から3年ぶりとなるこのアルバムは、バンド内の軋轢と方向性の違いが表面化する中で制作された“終わりの始まり”とも言える作品である。

タイトルに込められた「ラフ・ダイアモンド=未研磨の原石」は、不完全でありながらも内に秘めた価値を象徴する。
本作は決して完成度の高い一枚とは言い切れないが、そこには成熟した演奏者たちが最後に振り絞ったエネルギーと、どこか諦観まじりのリアリズムが刻まれている。


全曲レビュー

1. Electricland

本作唯一のヒット曲にして、最も印象的なナンバー。
ロジャースのヴォーカルが冴え渡り、ラルフスのギターが湿度を帯びた都会の夜を描き出す。
“エレクトリックな都市”への愛憎をにじませた、クールで叙情的なロックバラード。

2. Untie the Knot

社会や感情のしがらみからの解放を歌う、ブルース色濃いロック・チューン。
中盤のギターとキーボードのユニゾンが緊張感を生み、重たいグルーヴがアルバム全体のムードを象徴している。

3. Nuthin’ on the TV

風刺的なユーモアを交えたロックンロール。
“テレビには何も映らない”というフレーズに、情報過多時代の空虚さがにじむ。
音数は少なめだが、その分メッセージが強く届く。

4. Painted Face

ロジャースのパーソナルな歌詞が印象的なナンバー。
“仮面を被って生きること”への皮肉と苦悩が、抑制された演奏に滲む。ソウルフルなボーカルが冴える。

5. Kickdown

ブルース・ブギー調のリズムが心地よい、アッパーな楽曲。
アルバム中では珍しく明るさが際立つトラックで、ライヴ映えしそうな骨太なロックンロール。

6. Ballad of the Band

バンドという存在のアイデンティティを静かに見つめ直す、ある種の自伝的トラック。
内省的なコードと繰り返しが、“過去への回想と未来への問い”を浮かび上がらせる。

7. Cross Country Boy

移動と逃避をテーマにしたアップテンポな曲。
自由を求める若者の孤独な旅を、シンプルなギターリフとドライなリズムで描き出す。

8. Old Mexico

ラテンの香りが漂う変化球的ナンバー。
荒涼とした風景と、どこかノスタルジックな逃避感が融合した独特の一曲。

9. Downhill Ryder

タイトル通り、“下り坂を滑り落ちる”ような切迫感のあるブルースロック。
人生やキャリアの失速を描いているようにも聴こえる、メタファーに満ちた一曲。

10. Racetrack

アルバムのラストを飾る、スロウで退廃的なムードを湛えたナンバー。
レース=人生をモチーフに、過去の栄光と現在の迷走を同時に描き出すような、印象的な幕引き。


総評

『Rough Diamonds』は、栄光の背後にある葛藤と疲弊、そしてそれでも鳴らされる音楽への誠実さを映し出した、Bad Companyオリジナル期のラスト・ドキュメントである。
このアルバムには、大ヒット曲も派手なプロダクションもない。だがその代わり、音楽と向き合う者たちの“最後の意地”と“人間的な脆さ”が、静かに焼き付けられている。

“粗削りなダイヤモンド”というタイトルは、このアルバムそのものを的確に言い表している。
完璧ではないが、だからこそリアル。
時代の終わりに差し掛かった70年代ロックバンドが、磨かれないままの美しさを残してくれた一枚である。


おすすめアルバム

  • Paul Rodgers『Cut Loose』
     バッド・カンパニー後期のムードと内省性が色濃く継承されたソロ作品。
  • The Rolling Stones『Emotional Rescue』
     成熟と迷い、時代とのズレが共存する80年代初頭のロック。
  • Free『Free at Last
     緊張感と倦怠のあいだにある“バンドの内的葛藤”を描いた名盤。
  • Fleetwood Mac『Mirage』
     解散の予感と音楽的洗練の狭間に生まれた、儚く美しいロック作品。
  • Eric Clapton『Another Ticket』
     人生の痛みとギターの温度が響き合う、孤高のブルースロック。

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