アルバムレビュー:Primal Scream by Primal Scream

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※本記事は生成AIを活用して作成されています。

cover

発売日: 1989年9月11日
ジャンル: サイケデリックロック、オルタナティヴロック、インディーポップ、グラムポップ


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概要

Primal Scream』は、グラスゴー出身のバンド、プライマル・スクリームが1989年に発表したセルフタイトルの2作目のアルバムであり、ダンスロック以前”の彼らが最後に放った“純粋なロックバンド”としての作品である。

1987年のデビュー作『Sonic Flower Groove』では、ネオアコと60年代サイケデリアの融合を試みた彼らだが、本作では方向性を大きく転換。
MC5ローリング・ストーンズ、ニュー・ヨーク・ドールズなどに影響を受けた、グラム/ガレージ色の濃いロックンロール・アティチュードを前面に打ち出している。

当時のUKインディシーンは、セカンド・サマー・オブ・ラブ(1988〜1989)によるレイヴカルチャーへの傾倒が進みつつあり、
本作はそうした時代の節目における“古き良きロックンロールへの憧れ”と“現代的インディ感覚”が衝突するような、不思議なタイミングでリリースされた。

のちに1991年の『Screamadelica』でレイヴとロックを融合し、UK音楽史に革命を起こすことになるプライマル・スクリームだが、
このアルバムはその前夜にあたる存在であり、ボビー・ギレスピーというフロントマンのロックンロール的理想主義が最も純粋に鳴り響いている作品なのである。


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全曲レビュー

1. Ivy Ivy Ivy

オープニングから飛ばしまくるガレージロックナンバー。
ディストーションを効かせたギターと、ボビーのシャウトが絡み合い、60年代ストーンズ的エネルギーが炸裂する。
アルバムのタイトルと同じように、“プリマルスクリームの名刺代わり”といえる曲。

2. You’re Just Dead Skin to Me

よりハードなトーンで展開される、パンク色の濃いトラック。
攻撃的なタイトル通り、別離の冷たさを痛烈に描く。
ギターはラモーンズ的、しかしヴォーカルにはどこかラグドールな魅力も。

3. She Power

グラムロック的なミドルテンポと“女性崇拝”をテーマにしたリリックが印象的。
マーク・ボランやイギー・ポップに連なる、ユースカルチャーの神話性をまとった一曲。

4. You’re Just Too Dark to Care

ザラついたアコースティックギターとディレイの効いたボーカルが浮遊感を演出。
ロー・ファイながらメランコリックで、サイケフォーク的な面影も感じさせる。

5. I’m Losing More Than I’ll Ever Have

後にリミックスされて『Loaded』となり、プライマル・スクリーム最大のヒットを生む曲のオリジナル版。
この時点ではソウルフルでミディアムテンポなロックバラードとして収録。
「誰よりも失ってしまった」という哀切と、ギターの切なさが沁みる名演。

6. Gimme Gimme Teenage Head

タイトル通り、ニューヨーク・ドールズへのオマージュ的ガレージロック。
スラップ気味のリフと、カラフルなロックンロール感が濃厚なライブ向け楽曲。

7. Lone Star Girl

ややポップ寄りのメロディと、トゥワンギーなギターが特徴。
アメリカン・ルーツロックやオルタナ・カントリーにも通じる要素があり、アルバムの中では異色の存在感。

8. Kill the King

ヘヴィでドラマティックな構成。
反抗と権力否定の精神が色濃く、ギターの鋭さとボーカルのトーンがソニック・ユース的な影も感じさせる。

9. Sweet Pretty Thing

60年代ガレージの香り漂う、甘くてダーティなラブソング。
ギターのループとヴォーカルの粘りが、中毒性を生む隠れた佳曲。

10. Jesus Can’t Save Me

宗教的なテーマをタイトルに冠しながらも、その内容はむしろ“救済なき世界”への絶望と快楽主義の表明。
スローなテンポと幻想的なギターが、サイケデリック・ブルースのような雰囲気を醸す。


総評

Primal Scream』は、のちの『Screamadelica』での“変身”を予期させながらも、あくまでロックンロールの理想と退廃を追い求めた“ギリギリの時代精神”が詰まった作品である。

グラム、パンク、サイケ、ブルース──それらの引用が無秩序に混ざり合いながらも、
そこには「ロックとは何か?」という問いをストレートにぶつけるような**誠実な“雑音”**が鳴っている。

その音は決して完璧でも洗練でもない。だが、**「何かが始まろうとしている」**という予感だけは確かにある。
そして実際、このアルバムを経て彼らは『Loaded』でブレイクを果たし、『Screamadelica』でロック史に名を刻むことになる。

そう考えると、『Primal Scream』とは、まだ夜が明ける前、汗と酒にまみれた夢のような“前夜”の記録なのかもしれない。


おすすめアルバム(5枚)

  • Primal Scream / Screamadelica
     本作からの進化が劇的すぎる歴史的名盤。『I’m Losing More Than I’ll Ever Have』のリミックス曲も必聴。

  • The Jesus and Mary Chain / Psychocandy
     ギレスピーがかつて在籍していたノイズポップの先駆。荒々しさとポップ感の融合が共通点。

  • MC5 / Back in the USA
     本作のガレージロック的スピリットに直結する、デトロイトの元祖ロックンロール革命。

  • New York Dolls / New York Dolls
     グラム×ガレージの文脈で聴くべき、退廃と若さの美学を象徴するアルバム。

  • The Rolling Stones / Exile on Main St.
     “汚れたロック”の極北。プライマル・スクリームの精神的ルーツの一つ。


後続作品とのつながり

Primal Scream』を語るとき、どうしても避けられないのが次作『Screamadelica』(1991)との対比である。
本作で描かれたギター主体の“古典的ロック回帰”は、マンチェスター以降のクラブカルチャーと融合することで、“新しいロックのかたち”へと変貌していく。

だがそれは、過去のロックを突き詰めたからこそ見えた“未来”だったとも言える。
本作はその“準備体操”でもあり、崩壊前の“最後のロック神話”のようでもあるのだ。

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