アルバムレビュー:Love + Pop Pt. 2 by Current Joys

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※本記事は生成AIを活用して作成されています。

cover

発売日: 2023年12月15日
ジャンル: インディー・ロック、ノイズ・ポップ、ポスト・インターネット、ローファイ


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概要

Love + Pop Pt. 2』は、Current Joysことニック・ラスプーリ(Nick Rattigan)が2023年に発表した、
前作『Love + Pop』の続編であり、愛とポップの分裂、過剰、断絶をさらに深く探求する音響詩篇である。

本作は、単なる“パート2”にとどまらず、ポップという記号の変質に対する批評的応答としての意味を持つ。
サウンドは前作同様にジャンル横断的で、チップチューン、ドラムンベース、グリッチ、インダストリアルまでを取り入れつつ、
同時にCurrent Joys本来のメランコリックなギターサウンドと詩的語り口も保たれている。

また、今作では**自己模倣、アルゴリズム、ポップの死後性(Post-Pop)**といったテーマが強調されており、
楽曲の構造自体も断片的で実験的、TikTok世代的な“感情の短命性”インターフェイス越しの恋といった現代性を強く反映している。


全曲レビュー(抜粋)

1. “Post-Love Intro”

前作の余韻を引き継ぐような、電子ノイズと断片的なボイスメモが交錯する導入曲。
“これはもう愛じゃない”という囁きが、アルバム全体のトーンを決定づける。
愛の廃墟を歩くような感覚がここにある。

2. “Crybaby Online”

スピード感あるビートとボコーダー加工されたボーカルが交差。
“泣き虫”という言葉がネット上の自意識の象徴として機能し、
可視化された悲しみがコンテンツ化される現代を鋭く突く。

4. “Algorithm Romance”

アルバムの中核を担う1曲。
愛すらも“レコメンド”される時代に、選択の自由と感情の真偽を問うラブソング。
タイトル通り、AIやSNSアルゴリズムが恋の媒介となるアイロニーを孕む。

6. “Delete My Heart”

ノイジーで重たいベースに乗せて、“心を削除してくれ”と歌う。
感情そのものをオーバーフローさせた現代の失恋歌として非常にユニーク。
サウンド的にはNine Inch Nailsに接近したインダストリアル色が濃い。

7. “I’m Not Real”

最も静謐で、最も痛烈な自己否定の歌。
“現実じゃない”というフレーズが繰り返されるなか、
ギターの反復がまるで存在の確認行為のように響く。
アンドロイド的なボーカル処理が自己喪失感をさらに際立たせる。

10. “Love + Pop Reprise”

前作のテーマを再提示するリプリーズ曲。
ただし今回はより抽象化され、感情ではなく“構造”としての愛とポップが浮かび上がる。
終盤には実際のファンの声を加工して織り込むという、“共同幻想としてのポップ”の提示がなされる。


総評

『Love + Pop Pt. 2』は、ポップの輪郭を壊しながら、その本質をより鮮明に露呈させる試みである。
それは愛を歌うでも、ポップを楽しむでもなく、
“ポップとはなぜ愛を語り続けるのか?”という根源的問いに対する実験的返答と呼べるだろう。

ニック・ラスプーリはこの作品で、アーティストとしての自己イメージすらも脱構築し、
Current Joysという存在そのものをポスト・アーティスト的に再定義しようとしている

これは音楽ではあるが、メディア社会における感情の断片アーカイブでもあり、
“ラブソングの終わり方”を模索する記録でもあるのだ。


おすすめアルバム(5枚)

  1. James BlakeAssume Form (2019)
     感情とテクノロジーの交錯点を模索する作品。人工的でありながら深く人間的。

  2. Oneohtrix Point Never – Age Of (2018)
     ポストポップ/AI時代の音楽像を描いた現代の寓話的アルバム。

  3. FKA twigsMAGDALENE (2019)
     身体と声、破壊と再生をテーマにした感情の再構築作品。『Pt.2』と通底する詩性。

  4. Dean Blunt – Black Metal (2014)
     ラブソングの不在と不安定なアイデンティティの融合。断片性と静謐さが類似。

  5. SOPHIE – OIL OF EVERY PEARL’S UN-INSIDES (2018)
     ジェンダー、ポップ、身体、ノイズの境界線を破壊した革命的作品。音響設計の先鋭さが響き合う。

歌詞の深読みと文化的背景

本作の歌詞は、**「愛とは何か」「ポップとは何を信じさせるか」**という問いに正面から挑んでいる。
“Crybaby Online”“Algorithm Romance”“Delete My Heart”といった語句に代表されるように、
SNS時代における恋愛の非実在性、感情の消耗、記号化された自己が濃密に語られる。

特に「I’m Not Real」や「Post-Love Intro」では、
“本当の自分”がどこにもいないという感覚が全編を貫き、
それはZ世代以降が抱える“感情の現実感の希薄さ”を映し出す鏡としても機能している。

『Love + Pop Pt. 2』は、単なる続編ではなく、
“ポップカルチャーという病”に感染しながらも、それをどう生き延びるかという命題に対する、
ニックなりのラディカルで静かな答えなのである。

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