Love + Pop by Current Joys(2023)楽曲解説

※本記事は生成AIを活用して作成されています。

楽曲の概要

「LOVE + POP」は、Nick RattiganによるプロジェクトCurrent Joysが2023年に発表した楽曲で、同名アルバム『LOVE + POP』のタイトル曲である。ゲストボーカルにはYOUR ANGEL名義で活動するMaddy Boydが参加している。6月にアルバム発表と同時に先行公開され、アルバムは8月4日にSecretly Canadianからデジタルリリースされた。演奏時間は約1分半と非常に短く、従来のCurrent Joysに多かった陰影のあるインディーロックとは違い、歪んだビート、加工された声、ヒップホップやハイパーポップを思わせる荒い電子音を前面に出している。

この曲を理解するうえで重要なのは、Rattiganが『LOVE + POP』そのものを完成されたスタジオ作品として磨き込むより、アイデアが発生した瞬間の勢いを残すことを重視していた点である。彼はアルバムの曲について、デモがそのまま始まりであり完成形でもあるという趣旨の説明をしている。タイトル曲もその思想がよく表れており、イントロ、ヴァース、サビを丁寧に積み上げる通常のポップソングというより、強烈なフックを見つけた瞬間をそのまま切り取ったような曲になっている。

歌詞の概要

歌詞の中心にあるのは、恋愛の幸福そのものというより、誰かへの欲望や執着によって感情が急激に振り回される状態である。Current Joys側とYOUR ANGELの声が交差することで、一人の人物が内面を説明する従来型のCurrent Joysとは異なり、二人の感情が互いを刺激しているような構図が生まれている。相手を求める気持ちは甘く安定したものではなく、興奮、苛立ち、不安、依存がほとんど区別できない状態に近い。

タイトルにある「LOVE」と「POP」も、この曲ではきれいに分離できない。「LOVE」は親密さや欲望を指す一方、「POP」はポップミュージックだけでなく、短時間で爆発して消える感覚まで連想させる。曲自体が約1分半で急速に展開し、十分な説明をしないまま終わるため、恋愛感情も完成された物語ではなく、その瞬間だけ強烈に存在する刺激として聞こえる。永続する愛を落ち着いて描くのではなく、デジタルな音と短いフレーズの中で、愛情が衝動へ変わる瞬間を捕まえた曲として解釈できる。

制作背景・時代背景

『LOVE + POP』制作の直接的なきっかけの一つは、RattiganがLil Peepのドキュメンタリー映画『Everybody’s Everything』を見たことだった。彼はその後、Lil Peepの「walk away as the door slams」をカバーし、そこから制作への衝動がさらに広がった。Rattiganが惹かれたのは音楽だけでなく、ジャンルの境界を気にせず、身近な環境で素早く作品を作っていく制作方法だった。『LOVE + POP』も自宅で録音され、RattiganはそれをDIYな空間で創作するプロセスへのトリビュートとして説明している。

もう一つ、この作品には日本映画からの具体的な影響がある。アルバム名は庵野秀明が監督した1998年の実写映画『ラブ&ポップ』から取られている。Rattiganは同作について、物語だけでなく、ビデオカメラを使った大胆な撮影方法や独特な視点に強く刺激されたと日本でのインタビューで説明している。彼はその映像感覚を「ハイパーポップ」と表現し、そのDIY的な方法が自宅でアルバムを制作する発想にもつながったと語っている。

その結果、『LOVE + POP』はCurrent Joysの過去の作風を単純に更新する作品ではなくなった。Lil Peep的なエモとヒップホップの接続、ハウス、ノイズ、インディーロック、現代的な電子音が同じアルバムに混在し、Lil Yachty、Slow Hollowsらも参加している。Rattigan自身、以前にも共同制作を目指したことはあったものの、結果的には自分中心の作品になりがちだったのに対し、このアルバムでは他人が作ったインストゥルメンタルを受け取って加工するなど、制作方法そのものがより共同的になったと説明している。

歌詞の抜粋と和訳

この曲では短い言葉や声の反復が大きな役割を持つため、歌詞を長く引用して意味を追うより、タイトルの「LOVE + POP」という組み合わせを見るほうが曲の性格をつかみやすい。「and」ではなく「+」という記号で二つを接続していることも、アルバムのデジタルで断片的な感触によく合っている。

ここでの愛は静かに育つ感情としてではなく、ポップソングと同じように突然現れ、強烈な刺激を残すものとして聞こえる。声も自然な会話として提示されず、加工や重なりによって音響の一部へ変えられている。誰が何を考えているのかを明確に説明するより、二人の間で発生している感情の速度そのものを聴かせる歌詞になっている。

サウンドと歌詞の考察

「LOVE + POP」で最初に耳を引くのは、従来のCurrent Joysのイメージを意図的に崩すプロダクションである。「New Flesh」や「Kids」などで知られるCurrent Joysには、反復するギター、ローファイな録音、孤独感を帯びたRattiganの歌声という分かりやすい特徴があった。しかしこの曲では、ギター中心のバンドサウンドを聴かせるより、ビートと加工された音の塊が前へ出る。音はきれいに分離されず、歪みや飽和感を残したまま押し寄せるため、小さなスピーカーから過剰な音量で音楽が鳴っているような圧迫感がある。

この粗さは単にローファイ時代へ戻ったものではない。初期Current Joysの粗い録音が、限られた機材で一人の感情を記録したような親密さを持っていたのに対し、「LOVE + POP」の粗さはもっと攻撃的である。低音や電子的な音色をあえて飽和させ、デジタル録音なのに整いすぎない状態を作っている。Secretly Canadianがアルバムを「fast, loud, moody and a little dangerous」と説明したように、音質そのものが興奮や不安定さを伝える要素になっている。

YOUR ANGELの参加によって、ボーカルの扱いも変化している。Rattigan一人の声を中心にすれば、歌詞は内省的なモノローグとして聞こえやすい。しかし二つの声が短い曲の中で現れることで、音楽には会話や衝突に近い動きが生まれる。しかも声はアコースティックな空間に自然に置かれるのではなく、電子的なトラックへ密着している。そのため「誰かに恋をしている」という出来事を外から説明するのではなく、二人の間に発生した刺激の中へ聴き手が直接放り込まれるような感覚が強い。

曲の短さも重要である。約1分半という長さでは、一般的なポップソングのように二番のヴァースで状況を深めたり、ブリッジで別の視点を加えたりする余裕がほとんどない。だがRattiganはこのアルバムで、デモから完成品へ段階的に磨いていく考え方自体を弱めている。思いついた音、ビート、メロディが十分に強ければ、その瞬間を作品として確定させる。「LOVE + POP」は短いから未完成なのではなく、これ以上説明すると最初の衝動が薄まる地点で終わっているのである。

この方法はLil Peepから受けた影響ともつながる。ここで重要なのは、Current Joysが単純にエモラップへ転向したということではない。Rattiganが取り入れたのは、ロック、ヒップホップ、エモ、電子音楽といったジャンルを厳密に分けず、自分の感情に必要な音をその場で組み合わせる姿勢だった。だから「LOVE + POP」にはCurrent Joysらしい傷つきやすさが残っている一方、その表現方法だけが大きく変わっている。以前ならギターの残響や震える歌声で示していた不安定さを、ここでは歪んだビートや声の加工、過密な音像で表している。

さらに庵野秀明の『ラブ&ポップ』から受けた影響を考えると、この断片性にも別の意味が見えてくる。Rattiganが特に注目したのは、同作の大胆なカメラ位置やビデオ的な質感だった。通常の映画らしい安定した視点を崩し、身近な機材から奇妙な映像を作る方法と、自宅録音で既存のCurrent Joys像を壊す今回の制作には共通する部分がある。「LOVE + POP」はジャンル変更を宣言する曲というより、自分がこれまで使ってきた表現方法を一度解体し、現在の刺激をそのまま記録しようとした曲なのである。

この曲が好きな人におすすめの曲 5曲

「CIGARETTES」 by Current Joys

同じ『LOVE + POP』の中でも、激しいビートとRattiganらしいメランコリーの接続が分かりやすい曲。「LOVE + POP」の短く爆発的な感触を引き継ぎながら、より感情的なボーカルへ重点を置いている。

「My Shadow Life」 by Current Joys feat. Oddbody

同じアルバムのコラボレーション志向をよく示す一曲。従来のCurrent Joysの孤独なインディーロックから距離を取り、電子的なプロダクションと複数の作り手によるアイデアを混ぜる方法が表れている。

「walk away as the door slams」 by Lil Peep & Lil Tracy

『LOVE + POP』制作の出発点となった楽曲。Current Joysはアルバム冒頭でこの曲をカバーしている。エモ的な傷つきやすさとヒップホップの制作方法を自然に同居させる感覚が、アルバム全体への重要な刺激となった。

「New Flesh」 by Current Joys

初期Current Joysを代表する一曲で、「LOVE + POP」と比較すると変化がよく分かる。反復するギターと簡素なリズムによる孤独感は、後年の電子的で過剰なプロダクションとは対照的だが、感情の直接性は共通している。

「Hollywood Baby」 by 100 gecs

歪んだデジタル音、ポップパンク的なメロディ、過剰な音圧を一つの曲へ押し込む方法で「LOVE + POP」と比較しやすい。Rattigan自身も100 gecsへの関心を語っており、ジャンルの境界をユーモラスに壊す姿勢にも共通点がある。

まとめ

「LOVE + POP」は、Current Joysがそれまで培ってきたメランコリックな感情表現を捨てるのではなく、その表現手段を大胆に入れ替えた曲である。約1分半の中で、歪んだビート、加工されたボーカル、YOUR ANGELとの掛け合いを衝動的に重ね、恋愛を安定した物語ではなく瞬間的な刺激として描いている。その背後にはLil Peepから受けたDIYな制作姿勢と、庵野秀明『ラブ&ポップ』の実験的な映像感覚がある。デモを磨き上げて完成品にするのではなく、アイデアが発生した瞬間を完成形として残す。その方法によって「LOVE + POP」は、Current Joysらしい感情の生々しさを、2020年代の断片的でジャンル横断的な音楽へ置き換えた作品になっている。

参照元

  • Secretly Canadian『LOVE + POP』
  • Secretly Canadian「Current Joys Announce New Album ‘LOVE + POP’」
  • Current Joys公式Bandcamp『LOVE + POP』
  • TURN「カレント・ジョイズが語った──庵野秀明からの啓示、100ゲックスのユーモア、そして叫ばずにいられないわけ」
  • WECB「Interview with Current Joys」

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