アルバムレビュー:Last Time Around by Buffalo Springfield

※本記事は生成AIを活用して作成されています。

発売日:1968年7月30日

ジャンル:フォーク・ロック、カントリー・ロック、サイケデリック・ロック、ポップ・ロック、ウエストコースト・ロック

概要

バッファロー・スプリングフィールドの『Last Time Around』は、1968年に発表された通算3作目にして最後のスタジオ・アルバムである。1966年のデビュー作『Buffalo Springfield』、1967年の『Buffalo Springfield Again』によって、彼らはロサンゼルスのフォーク・ロック/サイケデリック・ロック・シーンにおける重要バンドとしての地位を確立した。しかし、その活動期間は非常に短く、内部の人間関係、マネジメント上の問題、メンバーの逮捕や移民問題、音楽的方向性の違いなどが重なり、バンドはわずか2年ほどで崩壊へ向かった。

『Last Time Around』は、その崩壊の過程で作られた作品である。アルバム完成時には、すでにバッファロー・スプリングフィールドはバンドとしての一体感をほとんど失っていた。スティーヴン・スティルス、ニール・ヤング、リッチー・フューレイという複数の才能あるソングライターが在籍していたことは、このバンドの最大の強みだった。しかし同時に、それぞれの音楽的個性が強くなりすぎたことで、バンドとしての統合は難しくなっていた。本作は、そうした才能の分岐点を記録したアルバムである。

前作『Buffalo Springfield Again』は、バンドの最高傑作とされることが多い。フォーク・ロック、カントリー、ブルース、サイケデリア、ポップが高い水準で混ざり合い、「Mr. Soul」「Bluebird」「Expecting to Fly」「Broken Arrow」など、各メンバーの個性が強く表れた楽曲が並んでいた。それに比べると『Last Time Around』は、バンド全体で作り上げた統一的な作品というより、各メンバーの未発表曲や個別の録音を集めたような性格が強い。そのため、アルバムとしての一体感には欠けるが、解散寸前のバンドだからこそ生まれた、過渡期の美しさがある。

本作の重要性は、バッファロー・スプリングフィールドの終幕であると同時に、メンバーそれぞれの次のキャリアへの入口になっている点にある。スティーヴン・スティルスは、後にクロスビー、スティルス&ナッシュ、さらにクロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤングで、フォーク・ロックとハーモニー・ロックを大きく発展させる。ニール・ヤングはソロ・アーティストとして、フォーク、カントリー、ハードロック、ノイズ、グランジの先駆的要素を横断する長いキャリアを築く。リッチー・フューレイは、ポコを結成し、カントリー・ロックの発展に大きく貢献する。『Last Time Around』には、こうした未来の方向性がすでに分かれて現れている。

特にリッチー・フューレイの存在感は、本作で非常に大きい。ニール・ヤングの参加が限定的で、スティルスもすでに別の方向へ向かいつつある中、フューレイは「Kind Woman」などでカントリー・ロック的な感覚を明確に示している。この曲は、後のポコへ直結する重要曲であり、バッファロー・スプリングフィールドが単にフォーク・ロックやサイケデリック・ロックのバンドだっただけでなく、カントリー・ロックの母体でもあったことを示している。

音楽的には、『Last Time Around』は非常に多彩である。「On the Way Home」にはニール・ヤングらしい切ないメロディと、フューレイの明るい歌唱がある。「It’s So Hard to Wait」にはスティルスのソウルフルな感覚が表れている。「Pretty Girl Why」ではジャズやラテンの響きも感じられる。「Four Days Gone」には内省的なフォーク・バラードの質感があり、「Questions」は後にスティルスがCSN&Yの「Carry On」へ発展させる素材としても重要である。曲ごとの方向性は散らばっているが、その散らばりが1960年代後半のアメリカン・ロックの豊かさを反映している。

歌詞面では、旅、別れ、待つこと、恋愛、孤独、過ぎ去った時間、次の場所へ向かう感覚が繰り返し現れる。これは偶然ではない。『Last Time Around』は、バンドが終わりへ向かう中で作られたアルバムであり、曲の多くがどこか「移行期」の空気を持っている。ここには、若いバンドの初期衝動よりも、短い時間の中で燃え尽きた関係への余韻がある。タイトルの「Last Time Around」自体が、最後の巡回、最後の一回、最後にもう一度回ることを示しており、アルバム全体に別れの感覚を与えている。

日本のリスナーにとって本作は、バッファロー・スプリングフィールドを単体のバンドとして聴くうえでも、またその後のCSN&Y、ニール・ヤング、ポコ、イーグルスへ続くウエストコースト・ロック/カントリー・ロックの流れを理解するうえでも重要な作品である。完成された名盤というより、偉大な才能が別々の方向へ歩き出す直前の記録として聴くべきアルバムである。

全曲レビュー

1. On the Way Home

「On the Way Home」は、ニール・ヤング作の楽曲でありながら、リード・ヴォーカルはリッチー・フューレイが担当している。アルバム冒頭にふさわしい明るさと切なさを併せ持つ曲であり、『Last Time Around』の持つ別れと移動の感覚を最初に提示している。

音楽的には、軽快なフォーク・ロックを基調としながら、メロディにはニール・ヤング特有の哀愁がある。フューレイの透明感のある声が、曲を親しみやすく、温かいものにしている。もしニール自身が歌っていれば、もっと孤独で不安定な印象になった可能性があるが、フューレイの歌唱によって、曲は柔らかい希望を持つ。

歌詞では、家へ帰る途中の感覚、過去を振り返りながら次の場所へ向かう気持ちが描かれる。「home」は単なる場所ではなく、記憶や安心、あるいは戻れない過去の象徴でもある。アルバム冒頭でこの曲が鳴ることは象徴的である。バンドは終わりへ向かっているが、曲はまだどこかへ帰ろうとしている。その矛盾が、本作の美しい入り口になっている。

2. It’s So Hard to Wait

「It’s So Hard to Wait」は、スティーヴン・スティルスとリッチー・フューレイによる楽曲で、ソウルフルで柔らかな雰囲気を持つ。タイトルは「待つのはとてもつらい」という意味で、恋愛や関係における焦り、期待、距離の感覚を示している。

音楽的には、フォーク・ロックの枠にありながら、リズムや歌唱にはソウル的な滑らかさがある。スティルスは、バッファロー・スプリングフィールドの中でも最も幅広い音楽語彙を持つメンバーの一人であり、ブルース、ラテン、ソウル、フォークを自然に混ぜる力があった。この曲にも、その柔軟さが表れている。

歌詞では、待たされる側の不安と切実さが描かれる。相手を待つことは、ただ時間が過ぎるのを我慢することではない。そこには疑い、期待、自己制御、感情の揺れが含まれる。曲全体は穏やかに聞こえるが、タイトルが示すように、その内側には落ち着かない感情が流れている。

3. Pretty Girl Why

「Pretty Girl Why」は、スティーヴン・スティルス作の楽曲であり、本作の中でも特に洗練された音楽的質感を持つ。タイトルは「かわいい人よ、なぜ」といった意味で、問いかけの形を取りながら、恋愛における戸惑いや不可解さを描いている。

音楽的には、フォーク・ロックだけでなく、ジャズやラテンの要素も感じられる。コード進行やリズムの揺れには、スティルスの洗練された感覚が表れており、単純なギター・ロックとは異なる大人びた響きを持つ。彼が後にCSNで展開する都会的で複雑なフォーク・ロックの予兆も感じられる。

歌詞では、美しい相手に対する問いかけが中心にあるが、その問いは単なる恋愛の疑問ではなく、相手の心を理解できないことへのもどかしさを含んでいる。「why」という言葉が重要で、語り手は相手の行動や感情の理由を知りたいが、完全には届かない。曲の音楽的な複雑さが、その心理の複雑さとよく合っている。

4. Four Days Gone

「Four Days Gone」は、スティーヴン・スティルス作の内省的な楽曲である。タイトルは「4日が過ぎた」「4日間いなくなった」といった意味を持ち、時間の経過、逃避、移動、過去からの距離を感じさせる。

音楽的には、静かなフォーク・バラードとして展開される。派手なアレンジではなく、歌とメロディの情感が中心にある。スティルスの声には、ここでは力強いロック的な表情よりも、疲れた語り手としての落ち着きがある。

歌詞では、何かから離れて過ぎた時間、戻れない感覚、過去を整理しようとする心情が描かれる。4日という具体的な時間が使われていることで、曲には抽象的な喪失ではなく、実際に時間が流れた重みがある。『Last Time Around』というアルバム全体が終わりへ向かう中、この曲は時間の経過そのものを静かに意識させる。

5. Carefree Country Day

「Carefree Country Day」は、リッチー・フューレイ作の楽曲であり、タイトル通り「気楽な田舎の日」を思わせる穏やかな曲である。本作の中で、フューレイのカントリー・ロック志向がよく表れた一曲といえる。

音楽的には、軽やかで牧歌的な雰囲気がある。ギターやリズムは大きく主張しすぎず、風通しのよいサウンドが曲を支えている。後にポコで本格的に展開されるカントリー・ロックの柔らかい響きが、ここではすでに聴こえる。

歌詞では、都会的な緊張やバンド内部の混乱から離れ、自然や田舎の時間の中で過ごすような感覚が描かれる。タイトルの「carefree」は、心配のない状態を意味するが、アルバム全体の背景を考えると、その気楽さはどこか一時的な避難場所のようにも響く。バンドが崩壊へ向かう中で、フューレイはより穏やかなカントリー的世界へ向かっていた。この曲はその方向性を示す重要な一曲である。

6. Special Care

「Special Care」は、スティーヴン・スティルス作の楽曲であり、本作の中では比較的力強いロック色を持っている。タイトルは「特別な注意」「特別な扱い」を意味し、関係の中で何かを慎重に扱う必要があることを示している。

音楽的には、ギターとリズムがやや前に出ており、アルバム中盤にアクセントを与える。スティルスのブルース/ロック的な感覚が表れており、フォーク・ロックの穏やかさだけではないバンドの側面を示している。演奏には緊張感があり、曲全体に少し硬い感触がある。

歌詞では、相手や関係を特別に扱う必要がある一方で、その重さや面倒さも感じられる。愛情や信頼は自然に続くものではなく、注意深く守らなければ壊れてしまう。このテーマは、バンドの状況にも重ねて聴くことができる。バッファロー・スプリングフィールドという関係そのものも、特別な注意を必要としていたが、結局は維持できなかった。その意味で、曲には意図せずバンドの終焉を映すような響きがある。

7. The Hour of Not Quite Rain

「The Hour of Not Quite Rain」は、リッチー・フューレイが作曲し、歌詞にはミック・ミルズの詩が用いられた楽曲である。タイトルは「まだ雨とは言えない時間」といった非常に詩的な表現であり、本作の中でも幻想的で、やや異色の雰囲気を持つ。

音楽的には、フォーク・ロックというよりも、詩の朗読的な感覚やバロック・ポップ的な陰影がある。雨が降りそうで降らない、天候が変わる直前の曖昧な空気が、曲全体に漂っている。メロディも大きく開けるというより、繊細に揺れる。

歌詞では、明確な物語よりも、自然、時間、空気の状態が描かれる。「not quite rain」という表現は、非常に象徴的である。何かが起こりそうで、まだ起きていない。別れが近づいているが、まだ完全には終わっていない。バンドの状態を考えると、この曖昧な気象表現は、アルバム全体の空気ともよく重なる。美しいが、どこか不安定な楽曲である。

8. Questions

「Questions」は、スティーヴン・スティルス作の楽曲であり、後にクロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤングの「Carry On」に一部が転用されることでも重要な曲である。つまりこの曲は、バッファロー・スプリングフィールドの終幕と、次の時代のCSN&Yをつなぐ橋のような存在である。

音楽的には、明るいギターの響きとリズムの推進力があり、スティルスらしいポップでありながら複雑な構成感がある。曲の中には、後の「Carry On」に通じるメロディや展開がすでに含まれており、彼のソングライティングが次の段階へ向かっていたことがよく分かる。

歌詞では、疑問を持つこと、相手や自分自身に問いかけることが中心にある。1960年代後半は、社会的にも個人的にも、既存の価値観が問い直された時代である。この曲の「questions」は、恋愛の問いであると同時に、未来への問いでもある。バンドが終わる直前にこの曲が収録されていることは非常に象徴的である。答えはまだ出ていないが、問いは次の音楽へ持ち越される。

9. I Am a Child

「I Am a Child」は、ニール・ヤング作の楽曲であり、本作の中でも最も素朴で、後のソロ作品へ直結する重要曲である。タイトルは「私は子どもだ」という意味で、幼さ、純粋さ、無力さ、世界への問いかけを含んでいる。

音楽的には、シンプルなフォーク・ソングとして展開される。大きなバンド・アレンジではなく、ニール・ヤングの初期ソロ作品に通じる親密で素朴な響きがある。彼の歌唱は不安定でありながら、非常に個性的で、フューレイやスティルスとは異なる孤独な魅力を持つ。

歌詞では、子どもの視点から大人や世界を見つめるような言葉が並ぶ。子どもであることは、無知であることだけではない。むしろ、世界に対して率直に問いかけ、まだ決まった答えを持たない状態を意味する。ニール・ヤングの作品には、後年もこのような素朴さと深い孤独が繰り返し現れる。「I Am a Child」は、その原型として非常に重要な楽曲である。

10. Merry-Go-Round

「Merry-Go-Round」は、リッチー・フューレイ作の楽曲であり、タイトルは回転木馬を意味する。回転木馬は、子どもの遊具でありながら、同じ場所を回り続けること、進んでいるようで進んでいないことの象徴としても読める。

音楽的には、軽やかでポップな雰囲気があり、フューレイの明るいメロディ感覚が表れている。バンドの終盤作品でありながら、この曲にはどこか無邪気な響きがある。しかし、タイトルの回転性を考えると、その明るさの中にも少し切なさがある。

歌詞では、同じ場所を回るような感覚、恋愛や人生の繰り返しが描かれているように聞こえる。バッファロー・スプリングフィールドは短い活動期間の中で何度も問題を繰り返し、結局抜け出せないまま終わりへ向かった。そう考えると、「Merry-Go-Round」は単なる明るい曲ではなく、終わりの近いバンドの循環を映すようにも響く。

11. Uno Mundo

「Uno Mundo」は、スティーヴン・スティルス作の楽曲で、タイトルはスペイン語で「一つの世界」を意味する。スティルスはラテン音楽や多文化的なリズムに関心を持っており、この曲にもその感覚が表れている。

音楽的には、軽いラテン風味とフォーク・ロックが組み合わされている。リズムには弾みがあり、アルバム終盤に明るく開放的な感触を与える。スティルスの音楽的好奇心がよく分かる曲であり、彼が単なるフォーク・ロックの作家ではなかったことを示している。

歌詞では、「一つの世界」というタイトルから、統合や連帯、広がりの感覚が読み取れる。ただし、バンドの現実は分裂へ向かっていたため、このタイトルには皮肉な響きもある。一つの世界を歌いながら、バンドは一つではいられなかった。そうした背景を考えると、この曲は明るさの裏に複雑な意味を持つ。

12. Kind Woman

アルバム最後を飾る「Kind Woman」は、リッチー・フューレイ作の楽曲であり、本作の中でも最も重要な一曲である。カントリー・ロックの美しさがはっきりと表れた曲であり、後のポコへ直結する作品として音楽史的にも大きな意味を持つ。

音楽的には、ペダル・スティール風の響き、穏やかなリズム、温かいメロディが印象的である。フューレイの声は非常に柔らかく、曲全体に誠実な感情を与えている。バッファロー・スプリングフィールドの中では、最もカントリー・ロック的な完成度を持つ曲の一つである。

歌詞では、優しい女性への感謝と愛情が歌われる。大げさなロマンティシズムではなく、相手の存在が自分を支えているという静かな感情が中心にある。アルバムの最後にこの曲が置かれることで、『Last Time Around』は騒がしい崩壊ではなく、穏やかな感謝と別れの余韻を残して終わる。

「Kind Woman」は、バッファロー・スプリングフィールドの終曲であると同時に、ポコの始まりでもある。バンドの終わりが、新しい音楽の始まりへつながることを象徴する、美しいラストである。

総評

『Last Time Around』は、バッファロー・スプリングフィールドの最後のアルバムであり、完成されたバンド作品というより、解散寸前の才能の断片をまとめた作品である。そのため、アルバムとしての統一感は前作『Buffalo Springfield Again』に及ばない。曲ごとに録音状況や参加メンバーの濃淡が異なり、バンド全員が同じ方向を向いていたとは言い難い。しかし、その不完全さこそが本作の魅力でもある。

本作には、スティーヴン・スティルス、ニール・ヤング、リッチー・フューレイという三者の未来が、ほぼ別々の形で刻まれている。スティルスは「Questions」「Pretty Girl Why」「Four Days Gone」などで、後のCSN/CSN&Yへつながる複雑で洗練されたフォーク・ロックの感覚を示している。ニール・ヤングは「On the Way Home」や「I Am a Child」で、素朴でありながら深い孤独を持つソングライターとしての道をすでに歩き始めている。フューレイは「Kind Woman」「Carefree Country Day」などで、ポコへつながるカントリー・ロックの方向性を明確にしている。

つまり『Last Time Around』は、バッファロー・スプリングフィールドの終わりであると同時に、1970年代アメリカン・ロックの複数の流れの始まりでもある。CSN&Y、ニール・ヤングのソロ、ポコ、そしてその先のイーグルスやウエストコースト・ロックを考えると、本作は非常に重要な分岐点に位置している。

音楽的には、フォーク・ロック、カントリー・ロック、ポップ、ソウル、ラテン、サイケデリアの要素が混在している。統一されたコンセプトはないが、1960年代後半のロサンゼルス・シーンの豊かさが自然に表れている。バンドが一つにまとまっていないからこそ、逆に各メンバーの志向がはっきり見えるアルバムである。

歌詞面では、別れや移動の感覚が強い。「On the Way Home」「Four Days Gone」「Questions」「I Am a Child」「Kind Woman」などには、過去を振り返りながら次の場所へ向かうような空気がある。これは、アルバム制作時のバンド状況と深く重なる。『Last Time Around』というタイトルは、単に最後のアルバムであることを示すだけでなく、メンバーたちが最後に同じ名前のもとで一周することを意味しているように響く。

本作の最大の聴きどころは、「終わりの美しさ」である。バンドとしての緊張感や一体感は失われつつあるが、その代わりに、曲ごとに静かな余韻がある。特に「Kind Woman」で終わる構成は非常に象徴的である。怒りや混乱ではなく、優しさと感謝を残してアルバムが閉じる。これは、実際のバンド内部の混乱とは対照的だが、音楽としては非常に美しい終幕である。

日本のリスナーにとって本作は、バッファロー・スプリングフィールドの代表作として最初に聴くべきアルバムではないかもしれない。入門には『Buffalo Springfield Again』の方が分かりやすく、代表曲を知るにはデビュー作も重要である。しかし、メンバーそれぞれのその後に関心があるなら、『Last Time Around』は非常に興味深い作品である。ここには、ニール・ヤング、スティルス、フューレイが別々の道へ向かう直前の空気が保存されている。

総じて『Last Time Around』は、不完全で、散漫で、しかし歴史的に重要なアルバムである。偉大なバンドが崩れていく途中で残した、別れの記録であり、同時に新しいアメリカン・ロックの出発点でもある。バッファロー・スプリングフィールドの短い活動が、なぜその後の音楽史に大きな影響を与えたのかを理解するうえで、欠かせない一枚である。

おすすめアルバム

1. Buffalo Springfield『Buffalo Springfield Again』(1967年)

バッファロー・スプリングフィールドの最高傑作とされることが多い2作目である。スティーヴン・スティルス、ニール・ヤング、リッチー・フューレイの個性が最も豊かにぶつかり合い、フォーク・ロック、サイケデリア、カントリー、ポップが高い水準で結びついている。『Last Time Around』の前にあるバンドの完成形を知るために重要である。

2. Crosby, Stills & Nash『Crosby, Stills & Nash』(1969年)

スティーヴン・スティルスがバッファロー・スプリングフィールド解散後に参加したグループのデビュー作である。美しいハーモニー、洗練されたフォーク・ロック、都会的な内省が特徴で、『Last Time Around』の「Questions」などに見られるスティルスの方向性が大きく開花している。

3. Neil Young『Everybody Knows This Is Nowhere』(1969年)

ニール・ヤングがクレイジー・ホースとともに発表した初期代表作である。『Last Time Around』の「I Am a Child」に見られる素朴な孤独とは別に、荒々しいギター・ロックの側面が大きく展開されている。後のニール・ヤングを理解するうえで欠かせない作品である。

4. Poco『Pickin’ Up the Pieces』(1969年)

リッチー・フューレイとジム・メッシーナらによるポコのデビュー作である。『Last Time Around』の「Kind Woman」で明確になったカントリー・ロックの方向性が、本格的に発展している。バッファロー・スプリングフィールドからカントリー・ロックへの流れを理解するために重要である。

5. The Byrds『Sweetheart of the Rodeo』(1968年)

カントリー・ロックの歴史的名盤であり、ロック・バンドが本格的にカントリーへ接近した重要作である。『Last Time Around』に含まれるカントリー的要素や、後のポコ、イーグルスへ続く流れを理解するうえで非常に関連性が高い作品である。

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