アルバムレビュー:IV by Veruca Salt

※本記事は生成AIを活用して作成されています。

cover

発売日: 2006年9月12日
ジャンル: オルタナティヴ・ロックハードロック、パワー・ポップ


概要

『IV』は、Veruca Saltが2006年にリリースした通算4枚目のスタジオ・アルバムであり、Louise Post率いる「Nina Gordon不在期」の集大成とも言える作品である。

2000年の『Resolver』でバンドの再構築を図ったLouiseは、その後もメンバーの入れ替わりを経ながら、地道な活動を継続。
『IV』はその6年後にようやく届けられた、”サバイバルの末に辿り着いた場所”の記録である。

タイトルの“IV”は単純に4作目を意味するが、同時に”静脈注射(intravenous)”の略とも読め、感情を直接血管に注ぎ込むような“剥き出しのロック”を象徴しているようにも思える。
音楽的には、前作よりもメロディの比重が増し、グランジ由来のギターの厚みに、ポップなフックが再び同居しはじめている。

これは、Veruca Saltが“失ったもの”ではなく、“残ったもの”で再び立ち上がろうとする誠実な姿勢を刻んだ、静かなるタフネスの記録である。


全曲レビュー

1. Blood on My Hands

重たいギターとスローなビートで幕を開けるヘヴィなトラック。
罪悪感と怒りが交錯する歌詞が、まるで内なる復讐劇のように響く。

2. Centipede

変則的な構成とグルーヴィーなリフが特徴の中毒性のあるナンバー。
“ムカデ”というグロテスクな比喩が、関係性の複雑さを象徴する。

3. Perfect Love

このアルバムの中でもっともポップな楽曲。
タイトル通り“理想の愛”を歌いながらも、どこか虚無的な余韻が残る。
サビのハーモニーがVeruca Saltらしいキャッチーさを取り戻している。

4. Closer

ダウナーなムードで展開される内省的なバラード。
距離を詰めることの痛みと欲望が、静かに、しかし切実に語られる。

5. Sick

突き刺すようなギターと絶叫型のボーカルが交錯する、最もアグレッシブな一曲。
「私は病んでる、それで?」という開き直りが、サバイバルの証明に聴こえる。

6. Damage Done

静かに始まり、じわじわと迫ってくる構成。
愛や関係性によってもたらされた“取り返しのつかない傷”がテーマ。

7. Wake Up Dead

メロディックでアップテンポなロック・チューン。
皮肉交じりのタイトルとは裏腹に、どこか再生の希望を感じさせる。

8. The Sun

アルバム中でもっとも叙情的なナンバー。
“太陽”をモチーフに、渇望と再生のイメージが交錯する。
Louiseのボーカルが最も繊細に響く瞬間。

9. Save You

一見ラブソングだが、実際は“自分を救うために他者を手放す”という決意の歌。
心理的な二重構造をもつ、重層的なナンバー。

10. Burned

重苦しいイントロから始まる終末的な一曲。
関係性の破綻と、そこに残された感情の灰がテーマ。

11. For Days

ややアコースティック寄りの、シンプルで美しい小品。
“何日も、何年も”という繰り返しが、時間の経過と傷の癒えなさを描く。


総評

『IV』は、Veruca Saltの“第二章”の終着点として、静かだが確かな情熱を秘めた一枚である。

Nina Gordon不在後のLouise Post主導の時代は、怒りと喪失感に満ちた『Resolver』から始まり、本作でようやく安定とバランスを取り戻したかのように思える。
その結果として、本作は激しさとメロディ、絶望とユーモア、傷と再生が絶妙に入り混じった作品となった。

決して派手なアルバムではないが、その内に宿る芯の強さと、聴き手に“寄り添う”ような曲の多さは、前作以上に成熟した印象を与える。
これは、嵐をくぐり抜けたあとに訪れる、平穏な夜のようなアルバムだ。


おすすめアルバム(5枚)

  1. Garbage / Bleed Like Me
    重厚なギターサウンドと女性的な内省の融合。Veruca Saltの本作と非常に近い空気感。

  2. Metric / Live It Out
    緊張感のあるロックと、感情的なリリックが共鳴。

  3. The Cardigans / Long Gone Before Daylight
    明るさの裏に哀しみがある、ポップと痛みの同居。

  4. Juliana Hatfield / In Exile Deo
    自己再生と過去への決別をテーマにした、静かに燃える名盤。

  5. Fiona Apple / Extraordinary Machine
    感情の複雑さを鋭利な言葉で描く女性ソロアーティストの傑作。

制作の裏側(Behind the Scenes)

『IV』は、Louise Postが長年連れ添ったバンドメンバー、Stephen Fitzpatrickと共に自主レーベル「Velveteen Records」からリリースしたセルフプロデュース作品である。
レコーディングはシカゴで行われ、レーベルや外部のプロデューサーに左右されることなく、アーティストとしての自律性が保たれた環境で制作された。

このアルバムには、2000年代前半のVeruca Saltのツアー中に書かれた楽曲が多く含まれており、長期にわたる創作の積み重ねが音に表れている。
結果として、『IV』は商業性から解放された、“自分のために作られたロック・アルバム”として、ファンからの根強い支持を得ている。

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