アルバムレビュー:IV by Veruca Salt

※本記事は生成AIを活用して作成されています。

発売日:2006年9月12日

ジャンル:Alternative Rock / Hard Rock

概要

IVは、Veruca Saltが2006年に発表した4作目のスタジオアルバムである。Louise PostとNina Gordonのツインボーカル/ギターを軸に成功した1990年代の編成はすでに変化しており、本作ではPostを唯一のオリジナルメンバーとして、Stephen Fitzpatrick、Kellii Scott、Nicole Fiorentinoらと制作された。前作Resolverから約6年を経た作品で、初期のパワーポップ的な甘いメロディを残しながら、ギターの低音と歪みを強調したハードロック寄りのサウンドへ重心を置いている。

プロデュースを担当したのはRae DiLeo。ギターは左右へ厚く重ねられ、ドラムも強いアタックを持つため、1990年代のVeruca Saltより音像そのものが大きい。一方でPostの作曲は重量感だけに頼らず、静かなヴァースから大きなサビへ移る落差や、声を重ねたコーラスによってポップな輪郭を保っている。ハードな演奏と覚えやすいメロディを衝突させるという、バンドがもともと持っていた特徴をより重い音で組み直した作品である。

歌詞には壊れた関係、欲望、怒り、依存、自己防衛といった感情が多く現れる。Postの歌唱も甘い高音から荒々しい叫びまで振れ幅が大きく、同じ人物の中で親密さと攻撃性が入れ替わるような感覚を作る。1990年代オルタナティブロックの再現ではなく、その時代から活動してきたバンドが2000年代半ばの重量感あるギターロックへ自分たちの作曲法を移したアルバムとして聴くと、本作の位置が分かりやすい。

全曲レビュー

1. 「So Weird」

短い導入から歪んだギターとドラムが勢いよく入り、アルバムが以前より重い音へ向かったことを最初から示す。ヴァースではPostの声を比較的近くに置きながら、サビではギターとコーラスを一気に広げるため、音量以上に大きな落差を感じる。タイトル通り相手との関係に違和感を覚える視点があり、親密さの中に苛立ちが混ざる。複雑な構成よりもリフとサビの即効性を優先した、導入として明快な一曲である。

2. 「Centipede」

低く這うようなギターリフを中心に据え、タイトルのムカデを思わせる不穏な動きを作る。ドラムは細かな装飾より一打一打の重さを優先し、Postの声も柔らかな旋律から荒れた発声へ変化するため、曲には常に爆発寸前の緊張がある。相手への嫌悪や執着がきれいに切り分けられず、離れたいのに意識してしまうような感覚も聞き取れる。初期の軽快なパワーポップとは異なる、本作の粘り気のあるハードロック面がよく出ている。

3. 「Innocent」

タイトルに反して、ここで描かれる「無垢」は単純な安心を意味しない。抑えたヴァースと厚いサビを往復しながら、誰が傷つけ、誰に責任があるのかという関係の曖昧さを残している。Postは声量だけで感情を示すのではなく、静かな部分では少し脆い響きを使い、サビに入ってから強さを増す。激しい曲が続いた序盤でメロディを前へ出すことで、アルバムが単なる重量級ロックではないことを示す役割も持つ。

4. 「Circular Trend」

同じ場所へ戻ってくるような感覚を、反復の強いギターとリズムで表現する。関係や行動のパターンから抜け出せない状態を思わせる歌詞に対して、演奏も前進と停滞が同時に感じられる作りだ。ギターは長いソロで目立つより、短いフレーズと厚いコードを何度も差し込み、ドラムがその下で強い骨格を維持する。タイトルと曲構造の感触が自然につながった、本作の中でもリズムの存在感が強い曲である。

5. 「Perfect Love」

「完璧な愛」という言葉をそのまま幸福の宣言として扱わず、理想と現実の距離を感じさせるところにこの曲の面白さがある。ギターの重量を少し抑えてボーカルの旋律を前へ出し、Postの甘い声質を生かしたサビを作る。その一方で演奏にはざらつきが残り、恋愛を完全に美化する雰囲気にはならない。アルバム前半の攻撃的な曲に対して柔らかな表情を加え、Veruca Saltの核にあるメロディ志向を改めて聞かせる。

6. 「Closer」

ギターとリズム隊を密集させたサウンドの中で、誰かとの距離を縮めたいという欲求が切迫した形で現れる。近づくことが安心へ直結するのではなく、欲望が強いほど不安も大きくなるような歌唱が特徴だ。ヴァースでは音を抑え、サビで歪みを広げるおなじみの方法を使いながら、Postの声を何層にも重ねてクライマックスを作る。前半を締める位置で、本作の「親密さと攻撃性」という二面性を強く押し出している。

7. 「Sick as Your Secrets」

秘密を抱えることが人間関係そのものを傷めていくという感覚を、暗いギターと抑えた歌唱から徐々に膨らませる。タイトルには、隠しているものによって自分自身まで蝕まれるという意味合いがあり、単純に相手を非難するだけではない苦さが残る。演奏は急いでサビへ進まず、低い位置で鳴るギターを長めに維持するため、閉塞感が強い。アルバム後半へ入るところで、序盤とは違う内向きな緊張を作る曲だ。

8. 「Wake Up Dead」

死と覚醒という反対方向の言葉を並べたタイトルからして、本作らしい不穏さがある。ギターは鋭い高音より低いリフを中心に組み立てられ、ドラムも重く、身体を引きずるような感覚を作る。Postの歌唱はその重量に埋もれず、メロディをはっきり保ちながら要所で声を荒らす。キャッチーなサビと暗い題材を同居させることで、Veruca Saltが得意としてきた甘さと毒の組み合わせを2000年代的な音圧で聞かせる。

9. 「Damage Done」

題名が示す通り、すでに起きてしまった損傷を前にした感情が中心となる。怒りを爆発させ続けるより、取り返せないものを確認するような歌唱が目立ち、その抑制によってかえって痛みが伝わる。ギターも常に最大音量で鳴るのではなく、声のための余白を残しながら必要なところで厚くなる。アルバム後半ではこうした感情の整理へ向かう曲が増え、前半の直接的な攻撃性とは違う重さが現れてくる。

10. 「Blissful Queen」

華やかな題名とは対照的に、演奏には歪みと不安定さが残る。Postの高い声を生かした旋律には初期Veruca Saltを思わせる甘さがあるが、その周囲を厚いギターが囲むことで、無邪気なパワーポップには戻らない。理想化された人物像と、その裏側にある不安を並べているようにも読め、声の明るさと伴奏の暗さが歌詞の曖昧さを支える。終盤に向けてアルバムのメロディックな側面をもう一度強める一曲である。

11. 「The Sun」

ここでは重いリフを前面に出す曲から離れ、より広がりのある音像へ移る。タイトルの太陽が持つ明るいイメージに合わせるようにギターの響きにも空間が生まれるが、Postの歌声には完全な解放とは言い切れない陰りがある。光を単純な幸福ではなく、暗い状態から外へ出ようとする動きとして感じさせるところが重要だ。終盤まで続いてきた閉塞した人間関係の歌から視界を広げ、最終曲へ向かう流れを作っている。

12. 「Save You」

最後は「救う」という直接的な言葉を掲げながら、誰かを救うことが本当に可能なのかという不確かさを残す。Postのボーカルを中心に感情を積み上げ、演奏が大きくなる部分でもメロディを見失わないため、アルバムの重量感とポップ性が最後に一つへまとまる。相手を支えたい気持ちと、その関係によって自分も傷つく危険が同居しているように聞こえ、本作で繰り返された親密さの複雑さにもつながる。派手な勝利ではなく、感情を抱えたまま終わるクロージングである。

総評

IVの中心にあるのは、Veruca Saltの初期から存在した「甘いメロディと荒いギター」という対比を、2006年のバンドに合った重量へ変換する試みである。初期作品では軽快なリズムの上に突然巨大なギターが現れる落差が魅力だったが、本作では最初からギターの重心が低く、ドラムにも強い圧力がある。そのため全体としてハードロックへ近づいているものの、サビを一度で覚えさせるメロディ感覚は失われていない。

特にPostの声が、この二つの方向をつなぐ役割を果たしている。高く甘い声を使えば厚いギターの中に明るい線が生まれ、荒れた発声へ切り替えると演奏の攻撃性と一体になる。一人のボーカリストが両方を担うため、現在の感情が安定しているのか、それとも崩れかけているのかが声色だけでも伝わる。Nina Gordonとの対照的なツインボーカルを特徴としていた初期とは異なる方法で、声の変化そのものを曲の起伏へ利用している。

歌詞では恋愛や人間関係が繰り返し扱われるものの、幸福な結びつきより、執着、秘密、損傷、救済の難しさに焦点が当たる。誰かを求めることと、その人物から身を守ることが同時に必要になるような状況が多く、それが静かなヴァースと爆発するサビの構造にもよく合う。演奏の重さは単なる時代への適応ではなく、こうした感情に身体的な圧力を与える手段として働いている。

弱点は、低く歪んだギターと大きなサビという基本形がアルバムを通して頻繁に使われるため、初期作品ほど曲ごとの色彩が鮮明ではないことだ。それでも、軽いパワーポップへ戻るのではなく、Postを中心とする別のVeruca Saltとして音を作り直した点には意味がある。後にNina Gordonが復帰した編成で発表されるGhost Notesとは性格が大きく異なり、IVはバンド名を引き継ぎながらLouise Postが2000年代に築いたVeruca Saltを記録した作品として、ディスコグラフィーの中でも独特の位置を占めている。

おすすめアルバム

Resolver by Veruca Salt

Louise Post主導となった2000年の前作で、初期のパワーポップからより攻撃的なギターロックへ移る過程を確認できる。IVの重量感や暗い感情表現がどこから発展したのかを追ううえで最も直接的な一枚だ。

American Thighs by Veruca Salt

「Seether」を含むデビュー作。Louise PostとNina Gordonの声、甘いメロディ、突然大きくなるファズギターの対比が鮮明で、IVまで残ったVeruca Saltの作曲上の基本形をより軽快な音で聴くことができる。

Eight Arms to Hold You by Veruca Salt

初期のメロディ感覚を残しながらギターを大型化し、ハードロックへ接近した2作目。IVより色彩豊かでツインボーカルの存在も大きいが、ポップなフックと重量級の演奏を両立させる方向では重要な前段階にあたる。

Celebrity Skin by Hole

荒々しいオルタナティブロックと明快なポップメロディを結びつけた作品。IVよりサウンドは明るく整理されているが、強いギターを維持しながら大きなコーラスを作る方法には共通する感覚がある。

Ghost Notes by Veruca Salt

Nina Gordonが復帰し、オリジナルメンバー4人が再集結して制作した2015年作。IVの重く攻撃的な路線とは異なり、初期のツインボーカルとギターの関係を成熟した形で取り戻しており、バンドの二つの時代を比較するのに適している。

コメント

タイトルとURLをコピーしました