発売日: 1994年3月29日
ジャンル: ジャム・バンド、ロック、ファンク、ブルース、カントリーロック
Hoistは、フィッシュの5作目にあたるスタジオアルバムで、バンドがポップで聴きやすい楽曲にも挑戦し、より幅広い層にアピールする内容となっている。フィッシュはその複雑なジャムセッションと実験的な楽曲で知られているが、このアルバムでは親しみやすいメロディとしっかりとした構成の楽曲が多く、ジャム・バンドという枠にとらわれない音楽性が感じられる。さらに、アリス・コルトレーンのハープやホーンセクションなど、多彩なゲストが参加していることも特徴だ。アルバム収録曲「Down with Disease」や「Julius」はライブでも人気の高い楽曲で、バンドのクラシックとして定番化している。フィッシュのエネルギッシュなパフォーマンスと、ジャンルの枠を超えた多彩な音楽性が魅力のアルバムだ。
各曲解説
- Julius
ブルースとファンクをミックスした、フィッシュらしいエネルギッシュな一曲で、ホーンセクションが楽曲に豪華さを加えている。キャッチーなリフとアナスタシオの力強いボーカルが印象的で、ライブでも盛り上がりを見せる定番曲。 - Down with Disease
フィッシュの代表曲の一つで、ファンキーなベースラインとシンセが特徴的。曲はアップテンポで、エネルギッシュなサウンドとともに、歌詞には人生の葛藤が描かれている。ライブでの即興演奏も頻繁に行われ、ジャムバンドとしてのフィッシュの魅力が最大限に発揮される一曲。 - If I Could
美しいバラードで、カントリーロックの要素が含まれている。アルバムではアリス・コルトレーンがハープで参加しており、神秘的な雰囲気を作り出している。トレイ・アナスタシオの優しいボーカルが心に響き、フィッシュの繊細な一面が垣間見える。 - Riker’s Mailbox
1分半程度の短いインストゥルメンタルで、どこか不穏で幻想的なムードが漂う。曲のタイトルからも分かるように、遊び心と実験精神が感じられる。 - Axilla (Part II)
ハードロック調のサウンドが印象的なエネルギッシュなナンバー。シンプルなリフとリズムが強調されており、バンドのパワフルな一面が際立つ。 - Lifeboy
静かなアコースティックサウンドと深みのある歌詞が特徴のバラードで、スピリチュアルなメッセージが込められている。しっとりとした雰囲気の中で、フィッシュのシリアスな一面が感じられる。 - Sample in a Jar
キャッチーなギターフックとメロディアスなボーカルが印象的な一曲で、フィッシュの中でも親しみやすいポップロックの要素が感じられる。ライブでも人気の高い楽曲で、歌詞には人間関係の複雑さが描かれている。 - Wolfman’s Brother
ファンキーなリズムとグルーヴィーなベースラインが特徴で、歌詞には独特のユーモアが詰まっている。フィッシュのライブでも長尺のジャムが展開される曲で、即興演奏が存分に楽しめる。 - Scent of a Mule
ブルーグラスの要素を取り入れたユニークな楽曲で、軽快なリズムとユーモラスな歌詞が特徴的。途中から即興演奏に展開し、リスナーに驚きを与える展開がフィッシュらしい。 - Dog Faced Boy
シンプルでミニマルなアコースティックナンバーで、穏やかなメロディが心地よい。アナスタシオのボーカルが静かに語りかけるような、落ち着いたトーンの楽曲。 - Demand
ダークでエッジの効いた曲で、アルバムの中でも異色の一曲。緊張感のあるリズムと重厚なサウンドが印象的で、アルバム全体の流れに対して刺激的なアクセントを加えている。
アルバム総評
Hoistは、フィッシュがさらに幅広い音楽ジャンルを取り入れ、彼らの音楽的レンジを広げたアルバムである。ホーンセクションやハープといった多彩な楽器が加わり、ポップさとキャッチーさが増した一方で、ファンクやブルースといったルーツに根ざしたサウンドも強化されている。特に「Down with Disease」や「Julius」は、フィッシュのライブの定番として定着し、バンドのファンにとっても重要な楽曲となっている。バンドの実験的でユーモアに満ちた側面と、親しみやすいメロディが両立したこのアルバムは、フィッシュの持つ多様性を楽しめる名作だ。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
Grateful Dead – Wake of the Flood
グレイトフル・デッドの多様な音楽性が詰まったアルバムで、フィッシュのファンにも響くサウンド。特にジャズとブルースの要素が共通している。
Little Feat – Dixie Chicken
ファンクやカントリーロックを取り入れたサウンドが特徴で、フィッシュのHoistに近い音楽的レンジを楽しめる。
Steely Dan – Aja
ジャズロックとポップスを融合させた名盤で、フィッシュのポップな側面と実験精神が好きなリスナーにおすすめ。複雑なアレンジと高度な演奏が堪能できる。
Blues Traveler – four
同じジャム・バンド系のブルース・トラベラーの代表作で、フィッシュと同様のブルースやロックの融合が楽しめる一枚。即興性とキャッチーなメロディが魅力。
Widespread Panic – Ain’t Life Grand
サザンロックとジャムの要素を持つアルバムで、フィッシュのファンにも愛されるバンド。幅広いジャンルの影響を受けたサウンドが特徴的。
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