発売日: 2024年4月12日
ジャンル: インディーロック、ポップロック、ガレージポップ
概要
『Good Boy』は、イギリス・ブライトン出身のデュオ、ARXXが2024年にリリースしたシングルであり、
彼女たちの持つ大胆なロックサウンドと、鋭い社会的メッセージが見事に融合した楽曲である。
ARXX(ハンニ・ピドックとクララ・タウンゼント)は、デビューアルバム『Ride Or Die』で確固たる存在感を示した後、
本作『Good Boy』でさらに音楽的冒険心を広げた。
シンプルなギターリフと爆発力のあるドラムを軸に、
フェミニズム、ジェンダー規範への皮肉、そして”良い子”でいることへの反骨心をエネルギッシュに表現している。
リリース直後から、ライブでも観客を巻き込むようなアンセミックな盛り上がりを見せ、
ARXXの「全力で叫び、笑い、泣けるロックバンド」としてのポジションをさらに強固なものにした。
全曲レビュー
Good Boy
曲は、乾いたギターリフとダイレクトなドラムビートでスタートする。
荒々しくもタイトな演奏が、まるでバンドのエネルギーそのものを体現しているかのようだ。
リリックは、
「従順で、いい子でいることを期待される女性像」への痛烈な皮肉をこめたもので、
サビでは “I’m not your good boy, I’m not your toy” と力強く叫び、
押し付けられるロールモデルに対して、毅然とした拒否の姿勢を打ち出している。
サウンド面では、ガレージロックのラフなエッジと、ポップロックのキャッチーな構成を巧みにブレンド。
特にブリッジ部分での緩急のつけ方や、爆発的なサビへの入り方は、
ライブパフォーマンスでの盛り上がりを意識した作りになっている。
ヴォーカルは、生々しく、そしてどこか遊び心も感じさせ、
怒りとユーモアを絶妙なバランスで共存させている点が印象的である。
総評
『Good Boy』は、ARXXの”自分たちらしさ”をさらに研ぎ澄ませた一曲である。
彼女たちは、怒りや違和感をただストレートに叫ぶだけではない。
そこに必ず、笑い飛ばすような軽やかさや、”私たちはこんなにも自由だ”という誇りが込められている。
それゆえ、『Good Boy』は単なる抗議ソングではない。
これは、笑いながら抵抗し、歌いながら戦うための賛歌なのだ。
サウンド面でも、ラフでありながら非常にタイトにまとまっており、
たった数分の中で、感情の高まりと解放をきちんと感じさせる構成力には、
彼女たちのバンドとしての成長を強く感じさせる。
『Good Boy』は、”誰かの期待に応えなくていい”と迷っているすべての人に向けた、
軽やかで、痛快で、そして本気のエールである。
おすすめアルバム(5枚)
- Dream Wife『Social Lubrication』
フェミニズムをテーマにした攻撃的かつポップなロックサウンドが共鳴する。 - Wet Leg『Wet Leg』
ウィットに富んだリリックとガレージポップ的エネルギーが似ている。 - Nova Twins『Supernova』
ラウドなサウンドと社会的メッセージの融合という点で響き合う。 - MUNA『Saves The World』
個人の葛藤と連帯をテーマにした、エモーショナルなポップロック作品。 - Beabadoobee『Fake It Flowers』
90年代的なロックサウンドに現代的な感情を乗せるスタイルが共通する。
ファンや評論家の反応
『Good Boy』はリリース直後から、SNS上で「これこそARXX」「ライブで絶対盛り上がる!」といった絶賛の声が相次ぎ、
インディーロック系メディアからも「キャリアハイの一曲」「ARXXの未来がさらに楽しみになった」と高く評価された。
フェスティバルや小規模なライブでも、この曲が新たなアンセムとして親しまれつつあり、
ARXXは”次にブレイクするべきバンド”として、確実にリストアップされる存在となっている。
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