DiscoVery by Warpaint(2014)楽曲解説

1. 歌詞の概要

「Disco//Very」は、ロサンゼルスを拠点とするオルタナティブ・ロックバンドWarpaintが2014年にリリースした2ndアルバム『Warpaint』に収録された楽曲であり、女性性・自信・挑発・闘志を爆発的かつ挑発的に表現した、バンドの中でも異色かつエネルギッシュなナンバーである。

歌詞の表面には一見、意味が曖昧な単語やフレーズが並ぶが、その裏にあるのは**「私は私」「誰にも媚びない」「この世界に自分のルールで立つ」という強烈な意思表示**だ。「Disco//Very(ディスコヴェリー)」という造語的なタイトルも、“ディスコ”のような開放的で身体的な世界と、“ディスカバリー=発見”という意識的行為の融合として解釈でき、自分自身を発見し、肯定するという意志の象徴でもある。

この楽曲は、歌詞だけでなく、音の構造、リズム、ヴォーカルのアプローチすべてが“攻めている”Warpaintの持つドリーミーな側面を封印し、代わりに切り裂くようなギター、跳ねるビート、そして女性たちによる挑発的なコーラスが全編に展開される。

2. 歌詞のバックグラウンド

「Disco//Very」は、Warpaintのセルフタイトルアルバムの中でも異彩を放つ楽曲であり、特にリズムと語感を重視した“言葉の武器化”が印象的な一曲である。制作中、メンバーたちはこの曲について「どこかヒップホップのビート感覚と女性的な呪詛のようなものを融合させた」と語っており、Warpaintの音楽的多様性が最も前景化された例でもある。

曲のタイトルにある「//」の記号(スラッシュ)は、単なる視覚的装飾ではなく、意味の断絶・接続・並列を示すものとして使われている。つまり、「Disco」と「Very」は一体化しつつも別の意味を持ち、**複数の文脈を同時に内包する“女性の多面性”や“自己の中の矛盾”**を象徴している。

この楽曲は、同アルバムの「Keep It Healthy」とツインMVとして制作され、映像ではスケートボーダーの少女たちが登場し、自由で、野蛮で、媚びない女性像を視覚的にも提示するなど、Warpaintのアティチュードが強く打ち出された楽曲となっている。

3. 歌詞の抜粋と和訳

以下に、「Disco//Very」の印象的なフレーズを抜粋し、日本語訳を併記する。

I’ve got a friend with a melody that will kill
殺しのメロディーを持った友達がいるの

She’ll eat you alive
彼女はあなたを食い尽くすわ

Don’t you battle, we’ll kill you
逆らわないで、殺されるわよ

Be a good little boy
いい子にしてなさい

I’ll ruin you
壊してあげる

I’ll take you down
叩きのめしてあげる

Don’t you fight now
今さら抵抗しないで

出典:Genius – Warpaint “Disco//Very”

4. 歌詞の考察

「Disco//Very」は、**女性の怒り、攻撃性、自信、連帯を強烈に音と詩に落とし込んだ“戦闘的フェミニズム・アンセム”**として読むことができる。

まず、「I’ve got a friend with a melody that will kill」というラインに見られるように、音楽=武器という比喩が中心的なモチーフとなっている。ここで語られる“友人”は、バンドの他のメンバーか、あるいは自分自身の中の“強い部分”とも捉えられ、女性たちが連帯し、自らの武器で世界に立ち向かう姿勢が表現されている。

「Be a good little boy」「Don’t you battle, we’ll kill you」など、子供のように見下されがちな女性が、むしろ逆に権威的な存在を脅かす立場に転じているのも興味深い。これは、“従順であることを求める社会”に対しての挑戦的な言葉の返答であり、Warpaintが女性アーティストとしての存在意義を明確に提示した箇所だ。

また、この曲においては意味の通った物語というよりも、言葉の音、反復、勢い、響きそのものが持つ攻撃性や感情にフォーカスされており、詩というよりは**“音の咒文”のような感触がある。語感の強さ、スピード感、咆哮するようなハーモニーは、Warpaintというバンドの音楽がリズムと直感に根差した身体的表現であること**を改めて感じさせる。

5. この曲が好きな人におすすめの曲

  • Heads Will Roll by Yeah Yeah Yeahs
    女性的な支配性とダンスビートを融合させた、カリスマ的パーティー・アンセム。

  • Fembot by Robyn
    テクノロジーと女性性をユーモラスかつ鋭く描いたエレクトロ・フェミニズム。

  • Oblivion by Grimes
    恐怖とポップの境界をあえて曖昧にし、聴き手を深みに引き込む名作。

  • Kill V. Maim by Grimes
    性別・暴力・支配性をめぐるカオティックでパワフルなダンスロック。

  • What’s Your Pleasure? by Jessie Ware
    身体と欲望、支配と被支配を官能的に問いかける現代ディスコの極北。

6. “攻めのWarpaint”——女性性を咒文に変えるディスコと革命の交差点

「Disco//Very」は、それまでのWarpaintのイメージ——内省的で、ドリーミーで、感情の波に身を委ねるような音楽性——を打ち壊すような、挑発的でパーカッシブな“声を上げる”楽曲である。ここには、フェミニズムという言葉を掲げずとも、自らの音楽と身体で権威に立ち向かう意思表示があり、それが実に痛快だ。

この曲が特別なのは、怒りを怒りのままではなく、ダンスと詩の中で昇華させている点にある。踊り、叫び、笑いながら、ルールを破壊する。Warpaintは「Disco//Very」において、女であることを武器に変える強さと、その強さを共有する喜びを音楽に変えた。

つまり、この曲は“戦いの歌”でありながら、同時に“祭りの歌”でもある。自分を縛るものを壊し、自分を肯定し、他者とも連帯する——そのためのリズム。Warpaintはこの曲で、女性が笑いながら世界を変えていく瞬間を、見事に音楽に刻み込んだのである。踊る準備はできてる? この戦いのディスコに、ようこそ。

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