アルバムレビュー:Crusade by John Mayall & the Bluesbreakers

※本記事は生成AIを活用して作成されています。

発売日:1967年9月

ジャンル:ブリティッシュ・ブルース、ブルース・ロック、シカゴ・ブルース、エレクトリック・ブルース、リズム・アンド・ブルース

概要

John Mayall & the Bluesbreakersの『Crusade』は、1960年代英国ブルース・ロックの発展を語るうえで欠かせない作品であり、特に若きMick Taylorの登場を記録した重要なアルバムである。John Mayallは、単なるブルース・シンガー/バンドリーダーにとどまらず、英国ロック史における才能の発掘者としても大きな役割を果たした人物である。彼のBluesbreakersには、Eric Clapton、Peter Green、Mick Taylor、John McVie、Aynsley Dunbarなど、後にロック史の中核を担うミュージシャンたちが在籍した。『Crusade』は、その系譜の中でMick Taylor時代の出発点となる作品である。

本作の前には、Eric Claptonを擁した『Blues Breakers with Eric Clapton』、Peter Greenが参加した『A Hard Road』という重要作が存在する。『Blues Breakers with Eric Clapton』は、レスポールとマーシャル・アンプによる太く歪んだギター・サウンドを前面に出し、ブリティッシュ・ブルース・ロックの金字塔となった。一方、『A Hard Road』では、Peter Greenの深いトーンと抑制された表現が、より陰影に富んだブルースを作り上げた。『Crusade』は、その二作に続く作品であり、Mick Taylorという新たなギタリストの個性を示す場となった。

Mick Taylorは当時まだ十代でありながら、非常に滑らかで流麗なギター・プレイを聴かせている。Claptonの力強いアタックや、Peter Greenの沈み込むようなトーンとは異なり、Taylorのギターは細かいフレーズの連続、歌うような伸び、素早い反応、明晰な音の運びが特徴である。後にRolling Stonesへ加入し、『Let It Bleed』『Sticky Fingers』『Exile on Main St.』『Goats Head Soup』などの時期に大きな存在感を示すことになる彼の才能は、この『Crusade』の時点ですでに明確に現れている。

アルバム・タイトルの「Crusade」は「十字軍」「聖戦」を意味する。もちろん、ここでの意味は宗教的な戦いというより、John Mayallがブルースという音楽を英国の若いリスナーに伝え、広めようとした使命感を象徴していると考えられる。1960年代の英国では、アメリカ黒人音楽であるブルースが、若い白人ミュージシャンたちによって熱心に研究され、再解釈されていた。Mayallはその中心にいた人物であり、Bluesbreakersはブルースの伝統を学びながら、それをロック世代の音量、エネルギー、表現力へ接続する役割を担っていた。

本作は、オリジナル曲とカバー曲が混在している。Freddie King、Albert King、Otis Rush、Sonny Boy Williamson、Willie Dixonなど、アメリカン・ブルースの重要なレパートリーを取り上げながら、John Mayall自身の曲も収録されている。この構成は、Bluesbreakersのアルバムに共通する特徴である。彼らはブルースの古典をそのまま保存するのではなく、英国の若いバンドとして再演し、自分たちの音へ変換していく。

音楽的には、『Crusade』は非常にストレートなエレクトリック・ブルース・アルバムである。前作『A Hard Road』と比べても、全体としてはブルースの基本形式に忠実であり、シカゴ・ブルース、ジャンプ・ブルース、スロー・ブルース、シャッフル、ブギーがバランスよく配置されている。ホーン・セクションも一部で用いられ、単なるギター・アルバムではなく、ブルース・バンドとしての厚みも出している。ただし、やはり聴きどころの中心はMick Taylorのギターであり、彼の若々しくも完成度の高いフレージングがアルバム全体を強く印象づけている。

John Mayallのヴォーカルは、アメリカ黒人ブルース・シンガーのような深い声量や泥臭さとは異なる。彼の歌は、やや硬質で、英国的な明晰さを持つ。しかし、それは欠点というより、ブリティッシュ・ブルース独自の個性でもある。Mayallは、ブルースを単に模倣するのではなく、学び、分析し、自分の声とバンドのサウンドに合わせて組み替える。彼のハーモニカ、オルガン、ピアノも、アルバム全体のブルース感を支える重要な要素である。

『Crusade』は、同時代のサイケデリック・ロックやハード・ロックの派手な実験性と比べると、比較的地味に聴こえるかもしれない。しかし、この作品は、ブリティッシュ・ブルースの基礎体力を示すアルバムである。演奏は堅実で、楽曲の形式は伝統的であり、派手なコンセプトはない。だが、その中に、若きギタリストがブルースの語法を吸収し、自分の表現へ変えていく過程が刻まれている。

日本のリスナーにとって『Crusade』は、John MayallのBluesbreakersを理解するうえで、『Blues Breakers with Eric Clapton』『A Hard Road』と並べて聴くべき一枚である。Clapton期、Peter Green期、Mick Taylor期の違いを比較すると、ブリティッシュ・ブルースが単一のスタイルではなく、ギタリストの個性によって大きく表情を変える音楽だったことが分かる。『Crusade』は、Mick Taylorのギターの出発点であると同時に、John Mayallがいかに継続的に才能を見抜き、バンドを更新していたかを示す作品である。

全曲レビュー

1. Oh, Pretty Woman

アルバム冒頭を飾る「Oh, Pretty Woman」は、Albert Kingの楽曲として知られるブルース・ナンバーであり、のちにGary Mooreのヴァージョンでも広く知られることになる曲である。ここでのBluesbreakersは、Albert King的な鋭いブルース・ギターの語法を英国ブルース・ロックの文脈へ移し替えている。

冒頭からMick Taylorのギターが非常に重要な役割を果たす。彼の演奏は、若さを感じさせる勢いと、すでに完成されたフレージング感覚を併せ持っている。Albert Kingのような強烈なベンドの重みを完全に再現するというより、より流麗で滑らかな英国的ギター・スタイルとして再構成している点が特徴である。

歌詞は、魅力的な女性への視線と欲望を描く伝統的なブルースの内容である。現代的な視点では典型的な男性目線のブルースとして聴こえるが、ブルースの形式の中では、恋愛、欲望、距離、憧れを端的に表すものとして機能する。Mayallのヴォーカルは、過剰に泥臭くするのではなく、バンドの鋭い演奏とバランスを取っている。

アルバムの冒頭にこの曲を置くことで、John Mayallは新ギタリストMick Taylorの存在をはっきりと紹介している。「Oh, Pretty Woman」は、本作が伝統的なブルースを土台にしながら、ギター・ロックとしての魅力も十分に持つことを示す導入曲である。

2. Stand Back Baby

「Stand Back Baby」は、John Mayallのオリジナル曲であり、タイトル通り、相手に少し距離を取るよう求める強い態度を持つブルースである。伝統的なブルースの言葉遣いを踏まえながら、Mayallらしい率直さとバンドのタイトな演奏が結びついている。

サウンドは、シャッフル感のあるブルース・ロックで、リズム・セクションが非常に堅実である。John McVieのベースは、派手さよりも安定したグルーヴを重視し、Keef Hartleyのドラムは軽快に曲を押し進める。Mick Taylorのギターは、ヴォーカルの合間に鋭く入り、楽曲に若い勢いを与えている。

歌詞では、相手との関係において、自分の立場を守ろうとする語り手が描かれる。「下がっていろ」という言葉は、恋愛上の拒絶や警戒であると同時に、ブルースにおける自己防衛の表現でもある。相手に振り回されず、自分の領域を保つ姿勢が示される。

「Stand Back Baby」は、Mayallのオリジナル曲として、カバー曲の中でも違和感なく機能している。彼が単なるブルースの紹介者ではなく、ブルースの形式を使って自分の言葉を作るソングライターでもあることを示す一曲である。

3. My Time After Awhile

My Time After Awhile」は、Freddie Kingの名演で知られるスロー・ブルースであり、本作の中でもMick Taylorの表現力が特に聴きどころとなる楽曲である。タイトルは「そのうち自分の時が来る」という意味で、今は苦しくとも、いずれ状況が変わるというブルースらしい忍耐と反撃の感覚を含んでいる。

サウンドはゆったりとしており、ギターの一音一音が大きな意味を持つ。こうしたスロー・ブルースでは、速弾きよりも音の置き方、間、ベンドの表情、トーンの深さが問われる。若いMick Taylorは、ここで非常に落ち着いたプレイを見せる。彼のギターは感情を過剰に押しつけるのではなく、メロディアスに歌う。

Mayallのヴォーカルは、Freddie Kingのような太い迫力とは異なるが、英国ブルースらしい冷静さの中に苦味がある。歌詞では、相手に今は負けているように見えても、やがて自分の時が来るという感覚が歌われる。ブルースにおける「待つこと」は、諦めではなく、時間が自分に味方することへの期待である。

「My Time After Awhile」は、本作の中でもブルースの深い情感を味わえる曲である。Mick Taylorのギターが単に若い技巧派ではなく、スロー・ブルースの呼吸を理解していたことを示す重要な演奏である。

4. Snowy Wood

「Snowy Wood」は、John Mayallのオリジナル曲であり、タイトルからは雪に覆われた森の静かな情景が連想される。ブルース・アルバムの中ではやや詩的な題名であり、Mayallが単に都市の酒場や恋愛の苦悩だけでなく、風景や気分を音楽へ取り込もうとしていたことが分かる。

サウンドは、典型的なブルースの形式を持ちながらも、やや落ち着いた雰囲気を持つ。ギター、ベース、ドラムの絡みは堅実で、Mayallの声とハーモニカが曲にブルースの色を与えている。Mick Taylorのギターは、ここでも的確な応答を見せ、歌の間に入る短いフレーズが曲の情景を補強する。

歌詞は、タイトルの印象と同様に、どこか孤独な風景を含んでいるように響く。ブルースにおける自然描写は、単なる背景ではなく、内面の状態と結びつくことが多い。雪の森というイメージは、冷たさ、静けさ、孤独、あるいは心の停滞を連想させる。

「Snowy Wood」は、アルバムの中では派手な代表曲ではないが、Mayallのソングライティングの幅を示す曲である。ブルースの定型を使いながら、少し風景的な陰影を加えている点が興味深い。

5. Man of Stone

「Man of Stone」は、タイトル通り「石の男」を意味し、感情を表に出さない、硬く閉ざされた人物像を描くブルースである。ブルースにおいて、心の硬さや傷ついた感情を物質的な比喩で表すことは珍しくないが、この曲ではその比喩が非常に直接的である。

サウンドは、タイトなブルース・ロックとして進む。リズム・セクションは安定しており、Mick Taylorのギターは曲の硬質な雰囲気に合う鋭いフレーズを挟む。Mayallのヴォーカルは、感情を大きく爆発させるというより、石のように固まった人物の内側を観察するように歌う。

歌詞では、感情を閉ざした男、あるいは傷つくことを避けるために硬くなった男が描かれる。ブルースはしばしば感情をさらけ出す音楽だが、ここでは逆に感情を閉ざすことがテーマになっている。そのため、歌の中には強さと脆さが同時に存在する。

「Man of Stone」は、本作の中で人間の内面的な硬さを扱う楽曲である。Mayallのブルースは、単なる恋愛の嘆きだけではなく、人間の性格や心理状態を観察する視点も持っていることが分かる。

6. Tears in My Eyes

「Tears in My Eyes」は、アルバムの中でも特に感情的なタイトルを持つ楽曲である。「目に涙がある」という表現は、ブルースの定番ともいえる悲しみのイメージであり、失恋、後悔、孤独を直接的に示す。John Mayallのオリジナル曲として、伝統的なブルースの感情を英国ブルースの形で再構成している。

サウンドはスロー寄りで、ギターの泣きの表現が重要になる。Mick Taylorは、ここで細かなニュアンスを持つフレーズを聴かせる。大きく歪ませすぎず、音の伸びとメロディの流れを重視している点が彼らしい。後年のRolling Stonesでの流麗なソロの萌芽が感じられる。

歌詞では、涙を隠せないほどの悲しみが描かれる。ブルースにおける涙は、単なる弱さではなく、感情の真実を示すものでもある。Mayallの歌は、アメリカン・ブルースのような深い声の迫力とは異なるが、淡々とした歌い方によって逆に傷の静かさが伝わる。

「Tears in My Eyes」は、本作の中でMick Taylorの歌心あるギターを味わううえで重要な曲である。ブルース・ロックの演奏において、速さではなく、感情をどう音に乗せるかが問われる場面であり、Taylorはその役割をしっかり果たしている。

7. Driving Sideways

「Driving Sideways」は、Freddie Kingのインストゥルメンタル・ブルースとして知られる楽曲であり、本作におけるMick Taylorのギター・プレイを前面に出す重要なトラックである。タイトルは「横向きに運転する」という意味で、車、スピード、滑り、動きの感覚を連想させる。ブルース・インストとして、リズムとギターの会話が中心になる。

サウンドは軽快で、バンド全体が非常にタイトにまとまっている。Mayallのバンドは、ギターだけを目立たせるのではなく、ベースとドラムがしっかりとグルーヴを作り、その上でギターが自由に動く構造を持っている。John McVieのベースは、ここでも演奏の土台として重要である。

Mick Taylorのギターは、Freddie Kingの影響を受けながらも、より滑らかで整った英国的なフレージングを聴かせる。音の粒立ちが明確で、フレーズの流れが非常に自然である。若さゆえの勢いと、すでに身につけているブルースの文法がよく結びついている。

「Driving Sideways」は、ヴォーカル曲では見えにくいバンドの演奏力を示すインストゥルメンタルである。『Crusade』がMick Taylorのデビュー的作品として語られる理由は、このような曲を聴くとよく分かる。彼は単なる後任ギタリストではなく、Bluesbreakersの新しい顔として十分な存在感を持っていた。

8. The Death of J.B. Lenoir

「The Death of J.B. Lenoir」は、John Mayallが深く敬愛したブルースマンJ.B. Lenoirの死を悼む楽曲である。前作『A Hard Road』にもJ.B. Lenoirへの言及があり、MayallにとってLenoirは単なる影響源ではなく、ブルースの社会的良心を象徴する存在だった。本曲は、その追悼として非常に重要である。

サウンドは、悲しみと敬意を帯びたブルースである。Mayallのヴォーカルには、個人的な喪失感がにじむ。J.B. Lenoirは、戦争、人種差別、社会的不正を歌ったブルースマンであり、その死はMayallにとって、音楽的な先達を失うだけでなく、重要な声が消えることでもあった。

歌詞では、J.B. Lenoirの死が悼まれ、彼の音楽と精神が記憶される。ブルースはしばしば個人の苦しみを歌うが、この曲では、ブルースそのものの歴史と継承がテーマになっている。英国の白人ブルース・ミュージシャンであるMayallが、アメリカ黒人ブルースへの敬意を明確に示す曲でもある。

「The Death of J.B. Lenoir」は、本作の中でも歴史的な重みを持つ楽曲である。『Crusade』というタイトルが示すブルース普及の使命感は、この曲において特に真剣なものとして表れる。Mayallのブルースに対する姿勢を理解するうえで欠かせない一曲である。

9. I Can’t Quit You Baby

「I Can’t Quit You Baby」は、Willie Dixon作、Otis Rushの名唱で知られるシカゴ・ブルースの名曲である。後にLed Zeppelinも取り上げたことで、ブルース・ロックの文脈でも広く知られる。本作のヴァージョンは、Bluesbreakersがシカゴ・ブルースの深い情念にどう向き合ったかを示す重要なカバーである。

歌詞は、相手をやめることができない、離れられないという依存と苦悩を歌う。ブルースにおける恋愛は、しばしば自由ではなく、抜け出せない関係として描かれる。この曲もその典型であり、愛と苦しみが分けられない状態が中心にある。

サウンドは、スロー・ブルースの緊張感を持つ。Mick Taylorのギターは、Otis Rush的な鋭い感情表現を意識しつつ、自分なりの滑らかなトーンで応答する。Mayallのヴォーカルは、原曲の深い苦悩には及ばない面もあるが、バンド全体としては英国ブルースらしい整った解釈を示している。

「I Can’t Quit You Baby」は、Bluesbreakersがアメリカン・ブルースの名曲をどのように自分たちのレパートリーへ取り込んだかを示す一曲である。ブルースの伝統への敬意と、英国ロック世代の演奏感覚が交差している。

10. Streamline

「Streamline」は、比較的軽快なブルース・ナンバーであり、アルバム後半にテンポと勢いを与える曲である。タイトルには「流線形」「効率化」「すっきりした動き」といった意味があり、曲の演奏にも滑らかな推進力がある。

サウンドは、シャッフル感を持ちながら、タイトにまとまっている。ベースとドラムが安定したリズムを作り、Mick Taylorのギターがその上で明快なフレーズを弾く。Mayallのハーモニカやヴォーカルも、曲の軽快さを支える。

歌詞は、ブルースらしい日常的な言葉を用いながら、動きや流れの感覚を持つ。深い悲しみを扱う曲ではなく、バンドの演奏の楽しさやグルーヴを前面に出すタイプの曲である。アルバム全体の中で、重い追悼曲やスロー・ブルースの後に置かれることで、流れを変える役割を果たしている。

「Streamline」は、派手な代表曲ではないが、Bluesbreakersのバンドとしての安定感を感じさせる楽曲である。ブルース・アルバムにおいて、こうした軽快な曲は全体のバランスを保つために重要である。

11. Me and My Woman

「Me and My Woman」は、伝統的なブルースのテーマである男女関係を扱った楽曲である。タイトルは「俺と俺の女」という非常にストレートな表現であり、歌詞も恋愛、所有、葛藤、日常的な関係性を中心にしている。

サウンドは、ミッドテンポのブルースで、バンドはリラックスしながらも堅実に演奏する。Mick Taylorのギターは、ここでも歌に寄り添いながら、必要なところで短いソロや応答を入れる。派手に前へ出すぎないが、音の存在感は十分にある。

歌詞では、恋人との関係が描かれる。ブルースにおいて「my woman」という表現は伝統的だが、現代的に聴くと所有的な響きもある。1960年代のブルース解釈としては、Mayallはその伝統的な言葉遣いを踏まえながら、自分のレパートリーへ取り込んでいる。

「Me and My Woman」は、本作の中でブルースの基本に立ち返る楽曲である。政治的な曲、追悼曲、インストゥルメンタル曲が並ぶ中で、こうした人間関係のブルースがあることで、アルバムはより伝統的なブルース作品としての厚みを持つ。

12. Checkin’ Up on My Baby

「Checkin’ Up on My Baby」は、Sonny Boy Williamson IIの楽曲として知られるブルースであり、本作の終盤を飾るカバー曲である。タイトルは「自分の女の様子を見に行く」という意味で、恋人への疑い、確認、嫉妬、関係の不安がテーマになっている。ブルースの古典的な感情が非常に分かりやすく表れた曲である。

サウンドは、ハーモニカを含むブルースらしい味わいがあり、John Mayallの持ち味が出やすい。Sonny Boy Williamsonはブルース・ハーモニカの巨人であり、彼の曲を取り上げることは、Mayallにとってブルースの深い伝統に接続する行為でもある。

歌詞では、相手が何をしているのか、誰といるのかを確認しようとする語り手の不安が描かれる。これは嫉妬の歌であり、同時に信頼の揺らぎの歌でもある。ブルースにおいて、恋愛はしばしば安心ではなく、不安と疑いを生むものとして描かれる。

「Checkin’ Up on My Baby」は、本作の最後にブルースの伝統へしっかり戻る曲である。Mick Taylorのギター、Mayallのハーモニカ、バンドの堅実な演奏が一体となり、Bluesbreakersがアメリカン・ブルースを自分たちの音として再演していることを示している。

総評

『Crusade』は、John Mayall & the Bluesbreakersの歴史において、Mick Taylor期の幕開けを告げる重要作である。Eric Clapton、Peter Greenに続く新たなギタリストとして加入したMick Taylorは、このアルバムで若さと確かな表現力を示し、Bluesbreakersの伝統を継承しながらも新しい色を加えた。彼のギターは、力強さよりも流麗さ、荒々しさよりも明晰さ、激情よりも歌心を特徴としており、後のRolling Stonesでの活躍を予感させる。

本作は、前二作と比べると劇的な革新性よりも、ブルースの基礎にしっかり根ざした堅実なアルバムである。『Blues Breakers with Eric Clapton』がエレクトリック・ギターの衝撃を示し、『A Hard Road』がPeter Greenの深いトーンによって独特の陰影を作ったとすれば、『Crusade』はMick Taylorの流麗なギターを軸に、伝統的なブルース・レパートリーとMayallのオリジナル曲をバランスよく並べた作品である。

アルバム全体には、John Mayallのブルースへの敬意が貫かれている。Albert King、Freddie King、Otis Rush、Sonny Boy Williamson、Willie Dixon、J.B. Lenoirといったアメリカン・ブルースの巨人たちへの接続が明確であり、Mayallは彼らの曲や精神を英国の若いバンドの演奏へ移し替えている。これは単なる模倣ではなく、学習と継承の過程である。

特に「The Death of J.B. Lenoir」は、本作の中でも重要な意味を持つ。J.B. Lenoirは、社会的なテーマを歌ったブルースマンであり、Mayallは彼の死を深く悼んでいる。この曲を通じて、『Crusade』というタイトルの意味もより明確になる。Mayallにとってブルースを演奏することは、単なる音楽的趣味ではなく、歴史と精神を伝える行為だった。

音楽的には、ブルース・ロックとしての派手さよりも、演奏の安定感が際立つ。John McVieのベースは堅実で、バンド全体の土台を支えている。Keef Hartleyのドラムは過度に前に出ず、曲ごとのグルーヴを的確に作る。Mayallのハーモニカ、キーボード、ヴォーカルは、アルバム全体をブルース作品としてまとめている。そしてMick Taylorのギターが、その上で若々しい輝きを放つ。

Mick Taylorのプレイは、本作の最大の聴きどころである。「Oh, Pretty Woman」「My Time After Awhile」「Driving Sideways」「Tears in My Eyes」などでは、彼のフレーズの滑らかさと音楽的理解がよく分かる。彼はまだ十代でありながら、ブルースの基本語彙をすでに身につけており、ただ速く弾くのではなく、曲の呼吸に合わせて演奏している。これは非常に重要である。

一方で、『Crusade』は、John Mayallの作品の中で最も強烈な個性を持つアルバムではないともいえる。Clapton期の衝撃やPeter Green期の深い哀感に比べると、本作はやや整っており、突出したインパクトには欠ける部分もある。しかし、その分、ブリティッシュ・ブルース・バンドとしての完成度と安定感がある。Mick Taylorの加入によって、Bluesbreakersが再び高い演奏水準を保っていたことが証明されている。

歌詞面では、恋愛、嫉妬、悲しみ、社会意識、追悼、風景が扱われる。伝統的なブルースの語法に沿った曲も多いが、Mayallのオリジナル曲には、彼自身の観察眼やブルース史への意識も見える。特にJ.B. Lenoirへの敬意は、本作を単なる演奏アルバム以上のものにしている。

日本のリスナーにとって『Crusade』は、John MayallのBluesbreakersをギタリストごとに聴き比べるうえで非常に重要な作品である。Claptonの太く攻撃的なギター、Peter Greenの深く沈むギター、Mick Taylorの流麗で歌うようなギター。それぞれの違いを理解することで、ブリティッシュ・ブルースの奥行きが見えてくる。『Crusade』は、その中でMick Taylorという才能の出発点を知るための最良の一枚である。

『Crusade』は、派手なコンセプト・アルバムではない。だが、ブルースを学び、継承し、若い演奏者の個性を通じて更新していくというJohn Mayallの活動理念が、非常によく表れている。ブリティッシュ・ブルースの歴史をたどるうえで、避けて通れない堅実な重要作である。

おすすめアルバム

1. Blues Breakers with Eric Clapton by John Mayall & the Bluesbreakers

1966年発表のブリティッシュ・ブルース・ロックの決定的名盤。Eric Claptonのレスポールとマーシャル・アンプによる太く歪んだギター・サウンドが、後のロック・ギターに大きな影響を与えた。『Crusade』と比較することで、ClaptonとMick Taylorのギター表現の違いがよく分かる。

2. A Hard Road by John Mayall & the Bluesbreakers

1967年発表のPeter Green在籍期の重要作。Clapton期とは異なる深いトーンと内省的なギター表現が特徴であり、Bluesbreakersの多様性を理解するうえで欠かせない。『Crusade』の直前作として、Mick Taylor加入前のバンドの姿を知ることができる。

3. Bare Wires by John Mayall’s Bluesbreakers

1968年発表の作品。ジャズや組曲的構成を取り入れ、Mayallがより実験的な方向へ進んだアルバムである。『Crusade』の伝統的なブルース志向と比較すると、Mayallの表現がどのように拡張されていったかが見えてくる。

4. The Turning Point by John Mayall

1969年発表のライブ・アルバム。ドラムとエレクトリック・リード・ギターを排した編成で、ブルースをアコースティックかつジャズ的に再構築した作品である。『Crusade』のエレクトリック・ブルース路線から、Mayallがどのように大きく方向転換したかを理解できる。

5. Sticky Fingers by The Rolling Stones

1971年発表のRolling Stonesの代表作。Mick Taylorが本格的に存在感を示した作品であり、「Sway」「Can’t You Hear Me Knocking」などで彼の流麗なギターを聴くことができる。『Crusade』で見られる若きTaylorの才能が、ロックの大舞台でどのように発展したかを確認できる重要作である。

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