アルバムレビュー:Coquelicot Asleep in the Poppies A Variety of Whimsical Verse by of Montreal

※本記事は生成AIを活用して作成されています。

Spotifyジャケット画像

発売日: 2001年4月3日
ジャンル: サイケデリック・ポップ、バロック・ポップ、アート・ポップ


夢見るポピー畑の物語詩——幻想と現実が溶け合う、of Montreal最大のサイケ絵巻

『Coquelicot Asleep in the Poppies: A Variety of Whimsical Verse』は、of Montrealが2001年に発表した4作目のアルバムにして、彼らの“劇的サイケデリック期”の集大成ともいえる超大作である。

この作品では、前作『The Gay Parade』で築いたキャラクター主導のコンセプト路線をさらに拡張し、Coquelicot(コクリコ)という架空の少女の冒険と内面世界を描いたストーリーテリング・アルバムとなっている。

幻想文学、シュルレアリスム、子供向け絵本、ビートルズやビーチ・ボーイズの後期作品など、様々な文化的要素をサウンドと詞で編み込み、聴き手をまるでサイケデリックな夢の中のオペラへと誘う。

全22曲にわたって続く物語は、やや錯綜的ではあるが、そこに込められた言葉遊びやメロディの豊穣さは、of Montrealの創造力の極地であるとも言える。


全曲レビュー

1. Good Morning Mr. Edminton
軽やかなオープニング。物語世界の扉が開くような、不思議な高揚感に満ちている。

2. Peacock Parasols
シルクのように滑らかなハーモニーが、パステルカラーの風景を描き出す。幻想の世界が本格的に始まる予感。

3. Look at the Bell (Andy Instructs the Turkish Mothmen)
不可解なタイトルとともに、言語と音のコラージュ的実験が進む。キャラクターの世界観構築がここから本格化する。

4. An Introduction for Isabell
“イザベル”というキャラが登場し、物語に複数の視点が加わる。室内楽風のアレンジがバロック・ポップ的。

5. Let’s Do Everything for the First Time Forever
人生を常に新鮮に捉えるというテーマが、祝祭的なリズムで表現される。アルバム中でもっとも陽性な楽曲の一つ。

6. Coquelicot’s Tea Party
本作の主人公Coquelicotの世界が明らかになる。お茶会という設定は、ルイス・キャロル的な幻想への導入でもある。

7. Rose Robert
『The Gay Parade』にも登場したキャラクターが再登場。過去作とのリンクが嬉しい。

8. It’s What’s the Inside That Counts
内面の大切さをテーマにした楽曲。子供向けメッセージのようでいて、大人の葛藤をも示唆する。

9. The Events Leading Up to the Collapse of Detective Dulllight
ナレーションや効果音を交えた劇中劇のような構成。まるでラジオドラマのような異色曲。

10. Penelope
突如としてメロディの美しさが際立つ。アルバムの中でもっともエモーショナルな瞬間。

11. A Dreamy Day of Dreaming of You
夢の中の夢を描く、タイトル通りのドリーミーな一曲。サイケ期ビートルズ的な揺らぎが心地よい。

12. Hello from Inside a Shell (Ziggy Stardust Is My Brother)
グラム・ロックへのオマージュ。Ziggy Stardustの名が登場し、of Montrealなりのロック史への愛着が見える。

13. Let’s Eat Grandad
ブラックユーモアに満ちた短編のような曲。文法ネタをタイトルに使っている点も彼ららしい。

14. Coquelicot, Claude, and Lecithin Dance Aboard the Ocean Liner
ファンタジックな船旅の描写。音楽もダンスホール風のテンポで、陽気な冒険譚を彩る。

15. Go Call Your Grandmother
懐かしさと可笑しみが交差する短編的楽曲。家族の記憶をポップに昇華。

16. The Hopeless Opus or the Great Battle of the Unfriendly Ridiculous
本作の“最終章”ともいえる長大な楽曲。戦いや葛藤を寓話的に描き、アルバム全体のクライマックスを担う。

17. Natalie and Effie in the Park
嵐が過ぎたあとの静けさのような曲。回想的な語り口が印象的。

18. A Celebration of H. Hare
陽気な行進曲のようなアレンジ。キャラクター“H. Hare”が祝福される様子が、終幕に向かう祝祭感を生む。

19. Look at the Bell (Reprise)
前半に登場したテーマの再登場。円環構造を強調する構成。

20. Coquelicot’s Dream
主人公の夢の内側へと深く潜っていく幻想的な楽曲。

21. Requiem for O.M.M.2
死や終焉をテーマにした感傷的なナンバー。のちに再録され、バンドの新章への橋渡しとなる。

22. The Hopeless Opus Returns
クローザーは再び“大作”のリプライズ。物語は一巡し、夢と現実の境界が溶けるように消えていく。


総評

『Coquelicot Asleep in the Poppies』は、of Montrealの“物語音楽”路線の頂点にして、最も野心的で、最も多層的な作品である。

ひとつのアルバムというよりも、絵本、演劇、ラジオドラマ、オペラ、そしてサイケデリック・ポップが融合した、音による総合芸術とも呼ぶべき試みなのだ。

ファンタジー的な世界観をまといながらも、そこには愛、孤独、記憶、自己、そして死といった普遍的なテーマが静かに流れている。

聴く者に対し、単に楽曲を味わうだけでなく、一つの物語世界を“旅する”ことを要求するため、決して取っつきやすい作品ではない。だがその分、没入すればするほど、そこには無限の色彩と意味が広がっている。

of Montrealというバンドのクリエイティブな核に触れたいなら、この作品は決して避けては通れない。


おすすめアルバム

  • The Gay Parade / of Montreal
     本作の前身にあたる“キャラクター・アルバム”。物語性とメロディの絶妙なバランス。
  • Hissing Fauna, Are You the Destroyer? / of Montreal
     この後バンドが向かう、内省とエレクトロニクスの時代の始まりを告げる傑作。
  • The Soft Bulletin / The Flaming Lips
     同時代に登場した“ロックのサイケデリックな叙事詩”。幻想と現実の境界を溶かす感覚。
  • Odyssey and Oracle / The Zombies
     60年代英国バロック・ポップの金字塔。アルバム全体が物語を語るという意味で通底する。
  • In the Aeroplane Over the Sea / Neutral Milk Hotel
     Elephant 6コレクティヴの中でも最も叙情性が高い作品。夢と現実の境目に立つ詩情が本作と響き合う。

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