アルバムレビュー:American Beauty / American Psycho by Fall Out Boy

※本記事は生成AIを活用して作成されています。


発売日:2015年1月16日

ジャンル:ポップ・パンク、ポップ・ロック、オルタナティヴ・ロック、エレクトロ・ロック、アリーナ・ポップ

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概要

Fall Out Boyの6作目『American Beauty / American Psycho』は、再結成後の彼らがどの方向へ進むのかをさらに明確に示した作品であり、同時に2000年代ポップ・パンクの代表格だったバンドが、2010年代型の巨大ポップ・アクトへと完全に変身したことを決定づけたアルバムでもある。

2013年の復帰作『Save Rock and Roll』は、活動休止を経たバンドが“帰ってきた”こと自体に大きな意味があった作品だった。そこでは、かつてのエモ/ポップ・パンクの感覚を残しながらも、EDM以降の音響、ポップの大味な派手さ、豪華ゲストとの共演といった要素を取り込み、Fall Out Boyが以前と同じ場所には戻らないことを宣言していた。

その次に来た『American Beauty / American Psycho』は、その路線をさらに推し進め、ロック・バンドの体裁を保ちながら、実質的には現代ポップの競技場へ乗り込んだ作品として響く。

このアルバムを語るうえで重要なのは、Fall Out Boyがここで“ポップになった”というより、ポップの中でどう自分たちらしさを残すかを徹底的に試している点だ。2000年代の彼らは、Patrick Stumpの高いメロディ感覚、Pete Wentzの比喩過多で皮肉っぽい歌詞、エモやポップ・パンクの感情の過剰さ、そして若者文化の自意識を鋭くパッケージしたバンドだった。

しかし2010年代半ばの『American Beauty / American Psycho』では、その“若者の内輪感”はかなり薄れ、代わりに大衆的で、引用的で、瞬発力が高く、時にCMソングのようですらあるサイズの楽曲が並ぶ。つまりこの作品は、かつてのFall Out Boyを愛したリスナーには戸惑いを与えうる一方で、時代に合わせてバンドの核を再編集した作品としても見られる。

タイトルも非常に意味深い。『American Beauty』と『American Psycho』という二つのフレーズは、もちろんアメリカ文化における美と狂気、魅力と暴力、ポップと病理の二面性を想起させる。Fall Out Boyはもともと、きらびやかな言葉の裏に自己嫌悪やナルシシズム、痛みや虚無を忍ばせるのがうまいバンドだったが、本作ではそれがより大衆文化的な記号のレベルで提示される。

つまりここでの“American”は、単に国名ではなく、ポップ文化そのものが抱えるきらびやかさと神経症の象徴として機能している。

音楽的な特徴としては、ギター・バンドとしての芯を残しながらも、サンプリングやループ、ヒップホップ的なリズム処理、コーラスの巨大化、そして一発で耳に残るフックの過剰なまでの強調が挙げられる。昔のFall Out Boyにももちろんキャッチーさはあったが、それはバンド演奏と歌詞のひねりの中から立ち上がっていた。

本作ではより露骨に“キャッチーであること”が前面にあり、ロック・バンドがポップ・シングルの作法を完全に自家薬籠中のものにしている印象が強い。そのため、アルバム全体には一種の人工性がある。だがその人工性は欠点であると同時に、この作品の主題とも噛み合っている。つまり、表面は派手で魅力的だが、どこか作り物めいていて、少し危うい。その感触こそが『American Beauty / American Psycho』らしさなのである。

歌詞面では、Fall Out Boy特有の言葉遊び、自己演出、失恋、執着、若さの反復、虚勢と脆さの同居が引き続き見られる。ただし『From Under the Cork Tree』や『Infinity on High』の頃のような、入り組んだ比喩と少年性の熱気はだいぶ整理されており、よりスローガン的で、より断片的で、よりポップソング的な強いフレーズへ寄っている。

その結果、言葉の妙味を細かく追うというより、フレーズの勢いとイメージの強さで押し切るアルバムになっているとも言える。

Fall Out Boyのディスコグラフィーの中で本作は、最高傑作として語られることは多くないかもしれない。だが、少なくとも“再結成後のFall Out Boyが何者だったのか”を理解する上では、きわめて重要な位置を占める。

『Save Rock and Roll』が復活の声明なら、『American Beauty / American Psycho』はその後の新体制の実行編である。ここで彼らは、懐古に寄りかからず、ロックの純度にもこだわらず、大衆文化のど真ん中で生き残るためのFall Out Boyを完成させたのである。

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全曲レビュー

1. Irresistible

アルバムの幕開けとして非常にわかりやすい一曲。タイトル通り“抗えない”魅力を主題にしつつ、サウンドもまた非常に即効性が高い。

重めのビート、明確なフック、Patrick Stumpの太くなったボーカルが前面に出ており、かつてのポップ・パンク的疾走感よりも、現代ポップの大きな反復力が武器になっている。

歌詞には執着と魅了の感覚があるが、それはロマンティックというより、少し依存的で危うい。この“魅力”が健全な恋愛感情ではなく、もっと強迫的なものとして響くところに、本作らしいポップと病理の混ざり方がある。

2. American Beauty / American Psycho

タイトル曲にして、アルバム全体の理念をもっとも端的に示す曲。Mötley Crüe「Too Fast for Love」の要素を取り込んだサウンドも含め、引用と自己様式の折衷がよく表れている。

ここでのFall Out Boyは、アメリカ文化の派手さ、ポップさ、過剰さをそのまま作品にしている。サビは巨大で、リフは単純明快、全体の印象も非常に“キメ”が多い。

その一方で、曲の主題は魅力と狂気の同居であり、きらびやかなポップソングとして鳴っていること自体がメッセージになっている。美しさと壊れやすさを、同じパッケージに閉じ込めるこのアルバムの方法論がよく出た一曲だ。

3. Centuries

Fall Out Boy再結成後を代表する最大級のアンセム。Suzanne Vega「Tom’s Diner」を下敷きにしたフックも含め、サンプリングとアリーナ・ロック的高揚を結びつけた非常に大きな楽曲である。

テーマは“世紀を越えて残ること”、つまり名声、記憶、歴史への欲望だが、これは若い頃のFall Out Boyが歌っていた親密な失恋や小さな自意識とはかなり違うスケールである。

ここで彼らは、自分たちを“時代に刻まれる存在”として演出しており、その誇大さが曲の魅力にもなっている。批判的に見れば大仰すぎるが、成功しているバンドがここまでストレートに自分たちの神話化をやるのはむしろ面白い。ライブ映えの強さも圧倒的で、本作の象徴的な一曲である。

4. The Kids Aren’t Alright

タイトルからはThe Offspringを連想させるが、実際にはもっとFall Out Boyらしいメランコリーを持った曲。

アルバムの中では比較的内省的で、派手な押し出しの中に少しだけかつての彼らの“若さの残り香”が見える。若者たちは大丈夫じゃない、という認識は、彼ら自身の世代感覚とも重なるし、かつて彼らを支えたリスナー層への視線にも聞こえる。

サウンドは依然として大きいが、この曲には再結成後のFall Out Boyが持つ珍しい哀感がある。アルバムの中で非常に重要な感情的ポイントだ。

5. Uma Thurman

本作の代表曲のひとつであり、最も引用文化的な楽しさが表に出た曲。『The Munsters』テーマの引用と、Uma Thurmanという固有名詞の使い方がそのまま楽曲の個性になっている。

ここでは歌詞の意味の深さというより、イメージの強さとポップカルチャー的な記号の快楽が前面に出る。Fall Out Boyはもともとサブカル的な引用を得意としていたが、この曲ではそれがマニアックな内輪感ではなく、巨大なポップ・フックにまで変換されている。

非常に楽しい曲だが、同時に“人を文化的記号として欲望する”感じがあり、その軽薄さも含めて本作らしい。

6. Jet Pack Blues

アルバム中もっとも美しいバラード寄りの楽曲のひとつ。

ここでは派手なサンプリングや巨大フックより、Patrick Stumpの歌の感情が前に出る。タイトルの“ジェットパック”という未来的・漫画的なイメージに対して、“ブルース”が結びつくことで、飛べるはずなのに沈んでいるような感覚が生まれる。

歌詞には失恋や執着のニュアンスがあり、本作の中では比較的旧来のFall Out Boyらしい“傷ついたロマンティシズム”が残っている。アルバム全体の人工的なポップ感の中で、この曲は感情の生身の部分をしっかり支える役割を果たしている。

7. Novocaine

タイトルからして、痛みを麻痺させる薬物のイメージが前面にある。Fall Out Boyは以前から“恋愛=治療にも毒にもなるもの”という感覚を歌ってきたが、この曲ではそれがかなり直截だ。

サウンドは躍動感があり、サビも強い。しかしその明るさは、実際には麻痺や依存をめぐる感覚と結びついている。つまり、楽しいのにどこか危ない。

この“快楽と麻痺”のセットは『American Beauty / American Psycho』全体に通じるモチーフであり、この曲はそれを非常にわかりやすく体現している。

8. Fourth of July

独立記念日をタイトルにしたこの曲は、本作の“American”な主題と親密な失恋が交差する興味深い楽曲。

祝祭の日付がそのまま別れや関係性の崩壊と結びつくことで、公的な祝日と私的な痛みが奇妙に重なる。Fall Out Boyはこういう“スケールの大きい記号を私情へ落とし込む”のがうまい。

サウンドはかなりドラマティックで、歌の温度も高い。アルバムの中では比較的感情の芯が見えやすく、大きなポップの中に個人的な破片を埋め込む彼らの技術がよく出ている。

9. Favorite Record

タイトル通り、音楽と恋愛を重ねる比喩が中心にある曲。

昔のFall Out Boyにも“曲”や“レコード”の比喩は似合ったが、この曲はよりストレートにノスタルジックで、どこかラジオ・ポップ的ですらある。親しみやすいが、その親しみやすさはかなり計算されている。

ここでの恋愛は、燃え上がるものというより、繰り返し再生される記憶として響く。思い出をプレイバックする感覚が、音楽そのものの形式と重なっているのが面白い。

10. Immortals

映画『Big Hero 6』との結びつきでも広く知られる曲で、アルバムの中でも最も普遍的で、最も大衆向けに開かれたアンセムのひとつ。

“死なない者たち”というテーマは「Centuries」と近いが、こちらの方がよりポジティブで、ヒロイックで、メッセージ性が強い。

そのぶん、Fall Out Boy本来のひねくれた魅力はやや薄いとも言えるが、彼らが再結成後に獲得した“世界規模のポップ・アンセム能力”を示すには十分だ。

この曲のわかりやすさは、バンドの旧来のファンには少し物足りなく映るかもしれないが、ポップ・アクトとしてのFall Out Boyの到達点としては非常に重要である。

11. Twin Skeleton’s (Hotel in NYC)

アルバムを締めくくるこの曲は、本作の中で最も“昔のFall Out Boyの影”を感じさせるエンディングである。

タイトルの奇妙さ、ニューヨークのホテルという場所性、双子の骸骨という死と鏡像のイメージ。そうしたものが重なり、アルバムの派手なポップ感の裏側にあった病理や空虚を最後に少し露出させる。

サウンドはドラマティックだが、単純な大団円にはならない。むしろ、きらびやかなアメリカン・ポップのショーが終わったあとに、少しだけ不穏な静けさが残るような終わり方だ。

この終曲があることで、『American Beauty / American Psycho』はただの派手なポップ作ではなく、きらびやかな自己演出のあとに残る影まで含めた作品として閉じる。

総評

『American Beauty / American Psycho』は、Fall Out Boyの全作品の中で最もバンドらしい作品ではないかもしれない。ギター・バンドとしての切れ味なら初期作に軍配が上がるし、歌詞の入り組み方やエモ的な熱なら『From Under the Cork Tree』や『Infinity on High』の方が濃い。

しかし、それでもこの作品は非常に重要である。なぜならここには、2000年代のエモ/ポップ・パンクを代表したバンドが、2010年代の巨大ポップ環境の中でどう生き延びるか、その答えがはっきり刻まれているからだ。

本作の魅力は、ある種の“やりすぎ”にある。サンプリングは露骨で、フックは巨大で、歌詞はスローガン寄りで、楽曲はポップ・カルチャーの記号を貪欲に吸い込んでいる。

普通なら過剰になりすぎるはずのそれらが、Fall Out Boyの場合は“アメリカ的ポップの過剰さ”そのものとして機能してしまう。つまりこのアルバムは、洗練の勝利というより、過剰を過剰のまま美学にした作品なのだ。

また、再結成後のFall Out Boyをどう見るかという問題に対しても、本作はかなり明快な答えを出している。彼らはもはや、2000年代半ばのエモの王子たちではない。代わりにここでは、ポップ・チャート、映画タイアップ、SNS時代の拡散性、アリーナ級の合唱を前提にした新しいFall Out Boyがいる。

それは懐古的なファンにとって複雑な変化かもしれないが、少なくとも中途半端ではない。『American Beauty / American Psycho』は、“変わること”を曖昧にせず、きっぱり実行したアルバムなのである。

そのため、本作は純粋なロック・アルバムとして聴くより、“Fall Out Boyがポップ文化そのものにどうなじみ、どう飲み込み、どう自分たちを再商品化したか”という観点から聴くと非常に面白い。

そして興味深いのは、その再商品化の中にも、時折ちゃんと昔のFall Out Boyらしい痛みや自己嫌悪の影が残っていることだ。「The Kids Aren’t Alright」「Jet Pack Blues」「Twin Skeleton’s (Hotel in NYC)」あたりには、その影が確かにある。

だからこのアルバムは完全な裏切りではない。むしろ、昔の自分たちの影を連れたまま巨大ポップへ変異した記録と見るべきだろう。

どんなリスナーに勧めるか。初期Fall Out Boyだけを求める人には賛否が分かれるだろう。しかし、2010年代のロック・バンドがどうやってポップの主戦場に適応したかを知りたい人、あるいはポップ・パンク出身バンドの変容に興味がある人には、本作は非常に面白い。

『American Beauty / American Psycho』は、きらびやかで、人工的で、巨大で、少しうるさい。だがそのうるささの中に、2010年代半ばのFall Out Boyが生きるために選んだすべてが入っている。

その意味で、このアルバムは“再結成後の一枚”ではなく、再結成後のFall Out Boyを決定づけた一枚なのである。

おすすめアルバム

再結成後の出発点。本作のポップ化と巨大化の前段階として最重要。
Fall Out Boy – Infinity on High

初期〜中期のピークのひとつ。派手さとひねくれた感情のバランスを知るなら最適。
– **Panic! at the Disco – Too Weird to Live, Too Rare to Die! **

2000年代オルタナ/ポップ・パンク出身バンドが2010年代ポップへ接続する流れとして相性が良い。
– Imagine Dragons – Smoke + Mirrors

ロック・バンドが巨大ポップ化していく2010年代中盤の空気を補完する作品として興味深い。
– Paramore – After Laughter

方向性は異なるが、ポップ・パンク出身バンドが時代に合わせて自分たちを更新する成功例として並べて聴く価値が高い。

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