Four Letter Word by Beady Eye(2011)楽曲解説

1. 歌詞の概要

「Four Letter Word(フォー・レター・ワード)」は、Beady Eyeのデビュー・アルバム『Different Gear, Still Speeding』の冒頭を飾る楽曲であり、リアム・ギャラガーの“俺はここにいる”という強烈な再出発の宣言が込められた、攻撃的でロックンロール然としたナンバーである。

タイトルの「Four Letter Word(4文字の言葉)」とは、英語圏においては一般的に“罵り言葉”や“汚い言葉”を指す隠語でもあり、この曲におけるメッセージは明確だ。
愛だ、自由だ、平和だといった“美しい言葉”ではなく、自分の中にある怒り、激情、本音、そういったむき出しの感情をそのまま吐き出す。
その姿勢こそが、Beady Eyeとしてのリアム・ギャラガーの原点であり、彼自身が“誰の真似でもない自分の声”を取り戻した象徴的な瞬間でもある。

2. 歌詞のバックグラウンド

この曲が登場した2011年当時、Oasis解散の余波がまだ強く残る中で、Beady Eyeはその正統継承者としての期待と、リアム個人への批判的視線という、相反する力の中にあった。

「Four Letter Word」は、まさにその状況に対してリアムが“反撃”する形で作られた曲である。
プロダクションはOasis後期の重厚さよりもむしろガレージ寄りで、暴力的なギター、突き刺すようなドラム、ダーティな質感のボーカルが、70年代ハードロック〜サイケの影響を強く感じさせる。

歌詞には、反抗と自負が並存し、特定の対象に向けているようで、同時に自分自身への問いかけのようにも響く。
つまりこの曲は、単なる“怒り”の発露ではなく、“信じていいものが何もない時代に、それでも声を上げるしかない”という、ある種のロックンロールの倫理そのものなのである。

3. 歌詞の抜粋と和訳

引用元:Genius Lyrics – Beady Eye “Four Letter Word”

Sleepwalk away your life if that turns you on
惰性で人生を歩いていけばいいさ
それが君の望みならな

It’s only a moment, a moment has gone
人生なんて一瞬だ
そしてその一瞬は、すぐに過ぎ去る

Four letter word, just to get me along
4文字の言葉、それだけが
俺を前に進ませるんだ

4. 歌詞の考察

「Four Letter Word」は、リアム・ギャラガーの“アイデンティティ再構築”の象徴である。
Oasis時代の兄ノエルとの対立、解散後の批判、そして自身の存在意義への問いかけ。
それらすべてを引き受けたうえで、「俺は俺でやっていく」と高らかに宣言しているのが、この曲である。

タイトルにある“4文字の言葉”は、“Love”かもしれないし、“Hate”かもしれない。
もしかすると“Fuck”かもしれないし、“Hope”かもしれない。
だが肝心なのは、それが何かを明かすことではなく、“言葉では言い表せない本音”がそこにあるということ。
それがこの曲の核心であり、Beady Eyeが掲げた“飾らないリアル”なのだ。

5. この曲が好きな人におすすめの曲

  • Bring the Light by Beady Eye
    同アルバム収録のロックンロール賛歌。初期衝動の勢いと祝祭性がリンク。
  • Cigarettes & Alcohol by Oasis
    労働者階級の現実と欲望をむき出しに描いた名曲。怒りと熱量が共通する。
  • I Wanna Be Adored by The Stone Roses
    “何者かになりたい”という衝動を暗く美しく表現したマニフェスト的ナンバー。

 

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