アルバムレビュー:72 Seasons by Metallica

※本記事は生成AIを活用して作成されています。

発売日:2023年4月14日

ジャンル:Heavy Metal / Thrash Metal

概要

72 Seasonsは、Metallicaが2023年に発表した11作目のスタジオ・アルバムである。前作Hardwired… to Self-Destructから約6年半ぶりとなり、Greg FidelmanがJames Hetfield、Lars Ulrichと共同でプロデュースした。タイトルの「72の季節」は人生最初の18年間を意味し、幼少期から青年期までに形成された人格や経験が、その後の人生へどのように残るのかという発想が作品の軸にある。Hetfieldが長年書いてきた怒り、依存、孤独、自己破壊といった題材を、過去を振り返る視点から扱ったアルバムである。

音楽的には80年代のスラッシュメタルをそのまま再現するのではなく、90年代以降にMetallicaが身につけた重いミドルテンポと、初期を思わせる高速リフを組み合わせている。Hetfieldのギターは低い弦を刻む硬質なリフを中心とし、Ulrichのドラムは細かな技巧より大きなアクセントで曲を押す。Robert Trujilloのベースには太い存在感があり、Kirk Hammettはワウペダルを使った即興性の強いソロで楽曲へ切り込む。全12曲の多くが長尺で、アイデアを短く圧縮するより、リフを何度も反復しながら心理的な圧力を高めていく作りになっている。

全曲レビュー

1. 「72 Seasons」

約7分半のタイトル曲は、細かく刻むギターが徐々に形を整え、バンド全体が加速していく長い導入を持つ。歌詞では人生最初の18年間に受けた経験が成人後にも残り続けるというアルバムの基本発想を提示し、過去を単なる思い出ではなく現在を縛る力として描く。Hetfieldのボーカルは言葉を短く強く区切り、リフのアクセントと一体化する。速さだけで押すスラッシュではなく、反復によって逃げ場のない感覚を作るオープニングだ。

2. 「Shadows Follow」

速度を少し落とし、太いミドルテンポのリフを中心に進む。タイトルにある「影」は、逃れようとしても後を追ってくる過去や内面的な問題として読むことができ、Hetfieldはそれを振り払おうとする緊張を保って歌う。ギターは複雑なコードを並べるより、低音弦の短いパターンと休符を組み合わせるため、一音ごとの重さが強い。タイトル曲で提示した過去との関係を、より身体的な圧迫感へ変えた曲である。

3. 「Screaming Suicide」

軽快ささえ感じさせるギターリフから始まるが、歌詞では自殺念慮や心の中の破壊的な声を正面から扱う。重要なのは自殺を劇的な結末として描くのではなく、口に出しにくい問題を言葉にすることへ焦点を置いている点だ。Hetfieldは暗い題材に対して沈み込む歌唱を選ばず、強いリズムに乗せて言葉を外へ押し出す。音楽の前進感と歌詞の危機的な内容をぶつけることで、閉じ込められた思考から抜け出そうとする力を作っている。

4. 「Sleepwalk My Life Away」

Trujilloのベースが目立つ導入から、重く粘るグルーヴへ入る。スラッシュ的な高速ダウンピッキングより、同じリズムを長く維持することで身体を揺らすタイプのMetallicaであり、90年代の作品にも通じる感触がある。歌詞では人生を半ば眠った状態で通過してしまう感覚が描かれ、単調な反復がその心理とよく合う。途中でギターが音域を広げても基本の脈動は崩れず、停滞をテーマにしながら演奏自体には強い推進力がある。

5. 「You Must Burn!」

低く巨大なリフをゆっくり押し出し、Black Sabbathにもつながるドゥーム的な重さを見せる。歌詞は集団が誰かを敵として選び、裁き、排除しようとする心理へ向けられており、「燃やせ」という言葉が迫害の恐ろしさを強調する。中盤では声の重なりが不気味な空気を加え、単なる重量級のロックに終わらない。速いMetallicaとは反対の方法で威圧感を作り、本作のテンポに大きな変化を与える曲だ。

6. 「Lux Æterna」

3分半ほどに凝縮された高速曲で、長尺曲の多い本作では際立って直接的である。NWOBHMを思わせる疾走するリズムと簡潔なリフを使い、Hetfieldも内面の苦悩を長く分析するより、光や一体感、音楽から得る生命力を短い言葉で歌う。Ulrichのドラムが絶えず前へ押し、Hammettのソロも曲を止めずに駆け抜ける。初期Metallicaの速度を現代の太い録音で鳴らしたような爽快さがあり、アルバム前半の重さを一気に振り払う。

7. 「Crown of Barbed Wire」

題名の「有刺鉄線の王冠」が示すように、権力や自己防衛が同時に苦痛を生むイメージを中心にした曲である。ギターリフは直線的に疾走せず、音の間を空けながら不安定にうねるため、足場が揺れるような感触がある。Hetfieldの声も勝利を宣言するというより、身につけたものによって自分自身が傷つく矛盾を強くにじませる。後半に入って再び内面的な閉塞へ戻す、暗く重いナンバーだ。

8. 「Chasing Light」

静かな陰影より、巨大なギターとドラムを正面からぶつける曲である。闇の中にいる人物へ光を探すよう促す歌詞は、孤立した相手に外側から呼びかけているようにも読める。サビではタイトルの言葉を強く押し出し、ヴァースの硬いリフから少し視界が開く。複雑な構成ではないが、暗さを描くだけでなくそこから出ようとする方向を明確に持つことで、「Screaming Suicide」とも通じる本作の回復への視点を示している。

9. 「If Darkness Had a Son」

軍隊の行進のように一定のドラムとギターが一つずつ積み上がる長いイントロから始まる。「誘惑」という言葉を反復し、自分を破壊的な行動へ引き戻す衝動を、外部の存在であると同時に自分自身の一部として描く。メインリフは単純だが執拗で、何度逃れても同じ考えが戻ってくる感覚を音にしている。7分を超える長さを展開の多さではなく反復の圧力へ使った、本作らしい一曲である。

10. 「Too Far Gone?」

短めの構成と速いテンポによって、終盤で再びスラッシュメタルの切れ味を取り戻す。タイトルは自分がすでに救いようのない地点まで来たのかと問いかけるが、曲が進むにつれて完全な絶望だけには留まらない。細かく刻むリフと大きく開くサビの差が明確で、長い反復中心の曲より構成が引き締まっている。問いを投げたまま崩壊するのではなく、そこから戻れる可能性を残すところに後半の方向性が表れている。

11. 「Room of Mirrors」

自分自身を無数の鏡に囲まれた部屋へ置くイメージから、内面をさらけ出すことへの恐怖を描く。自分の思考を他人に見せたらどう判断されるのかという不安があり、アルバムの自己検証が最も露出した形で現れる。音楽は終盤になるほど速度と密度を増し、複数のギターが旋律を重ねるハーモニーへ展開する。この後半の高揚が、それまで繰り返されてきた重いリフとは異なる解放感を生み、最終曲への勢いを作る。

12. 「Inamorata」

11分を超えるMetallica史上でも特に長いスタジオ曲で、アルバムの結論を急がずに展開する。題名は「恋する相手」を意味するが、ここで愛着の対象として描かれるのは「misery=苦悩」であり、苦しみを嫌いながら手放せなくなった関係として擬人化されている。重いリフが長く続いた後、中盤で音量を落とし、Trujilloのベースを軸に空間を広げてから再びバンド全体が戻る。苦悩は自分そのものではないという認識へ向かい、アルバムの自己分析を最も大きなスケールで締めくくる。

総評

72 Seasonsは、若い頃のMetallicaを再現するアルバムではなく、60歳前後になったメンバーが初期から使ってきたヘヴィメタルの語彙で過去を掘り返した作品である。高速リフやツインギターには80年代を思わせる場面があるが、中心となるのはむしろ90年代以降に強まったミドルテンポの重量感だ。初期の攻撃性と後年のグルーヴを分けず、一つの長いキャリアの中で身につけた方法として扱っている。

最大の特徴は反復である。多くの曲が6分を超え、リフやセクションをかなり長く繰り返すため、もっと短く整理できると感じる箇所もある。Master of Puppets期の長尺曲のように次々と異なる場面へ移動するのではなく、一つのリフを粘り強く押し続ける曲が多いからだ。ただし、その執拗さは過去の記憶、依存、自己破壊的な思考が何度も戻ってくるという歌詞にはよく合っている。冗長さと心理的な圧迫感が表裏一体になった設計である。

Hetfieldの歌詞も、かつての怒りを外部の敵へ向ける方法から変化している。もちろん社会的な題材を感じさせる曲もあるが、本作では「なぜ自分はこう反応するのか」「過去に形成されたものから離れられるのか」という問いが繰り返される。そこで重要なのは、苦しみを人格そのものと同一視しない方向へ少しずつ進むことだ。「Inamorata」が最後に置かれたことで、アルバムは完全な克服ではなく、自分と苦悩の関係を認識し直す地点まで到達する。

音の面では非常に統一され、Hetfieldのリズムギターの精度、Trujilloの低音、Ulrichの大きなアクセント、Hammettの即興性のあるソロという現在の4人の特徴が明瞭に録音されている。その反面、12曲77分という規模に対して音色の変化は少なく、聴き手には相応の集中を要求する。それでも、過去の名作の様式をなぞって若返ろうとせず、年齢を重ねたMetallicaが自分たちのヘヴィネスを現在形で鳴らしている点は明確だ。72 Seasonsは「原点回帰」よりも、長年抱えてきた問題を同じ4人が今の身体と視点で演奏し直した作品として捉える方が、その重さを理解しやすい。

おすすめアルバム

Hardwired… to Self-Destruct by Metallica

2016年の前作。高速スラッシュと重いミドルテンポを併存させた方向性は72 Seasonsへ直接つながる。前作の方が曲調の幅は広く、本作ではその中の重量感と内省がさらに絞り込まれている。

Load by Metallica

1996年作。速度よりグルーヴを重視した長い曲と、Hetfieldの個人的な葛藤を扱う歌詞が多い。表面的な音色は異なるが、72 Seasonsのミドルテンポ曲を理解するうえで重要な先行作品である。

Master of Puppets by Metallica

1986年作。長尺の曲、鋭いダウンピッキング、依存や支配を扱う歌詞を高度な構成へまとめた初期の代表作。72 Seasonsと比較すると、同じ長さを「展開」と「反復」へ使う方法の違いがよく分かる。

The Years of Decay by Overkill

1989年作。高速スラッシュだけでなく、長い構成と重いミドルテンポを組み合わせて心理的な圧力を作る。Metallicaとはリフの癖が異なるものの、速度を落としても攻撃性を失わない点で関連性が高い。

The End, So Far by Slipknot

2022年作。長いキャリアを持つメタル・バンドが、初期の攻撃性を残しながら年齢や不安、内面的な葛藤を現在のサウンドで扱った作品である。72 Seasonsとは世代が異なるが、過去の再現ではなく成熟後の重さを探す姿勢で響き合う。

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