
発売日: 2017年5月12日
ジャンル: インディーフォーク、アメリカーナ、オルタナティブカントリー
ジャンルを超えた独自の世界観—Faye Websterのセルフタイトル・アルバム
2017年にリリースされたFaye Websterは、彼女の音楽的アイデンティティを確立したアルバムであり、フォーク、カントリー、R&Bといった要素が自然に融合した独特のサウンドが特徴だ。本作では、ウェブスターの内省的な歌詞と、シンプルながらも洗練されたアレンジが光る。
彼女は、インディーロックやフォークの流れを汲みながら、アメリカーナの要素を取り入れ、さらにアトランタの音楽シーンの影響を受けたR&B的なアプローチも加えている。メランコリックでありながらも、どこか温かみを感じさせるサウンドが魅力的だ。
本作は、彼女の音楽キャリアの中で重要なターニングポイントとなり、次作Atlanta Millionaires Club(2019年)へと続くサウンドの基盤を築いた。
全曲レビュー
1. She Won’t Go Away
カントリー風のスライドギターと、ウェブスターのささやくようなヴォーカルが印象的なオープニングトラック。恋愛に対する微妙な感情を描く歌詞が秀逸。
2. I Know You
フォークとジャズが融合したような楽曲。シンプルなコード進行とミニマルなビートが心地よい。
3. Is It Too Much to Ask
柔らかいメロディと、恋愛の不確かさを描く詩的なリリックが印象的。アコースティックなアレンジが際立つ。
4. Alone Again
アルバムの中でも特にメランコリックな一曲。孤独をテーマにした歌詞が共感を呼ぶ。
5. It Doesn’t Work Like That
アコースティックギターとストリングスが絡み合う美しいバラード。ウェブスターのボーカルの繊細さが際立つ。
6. Remember When
シンプルなフォークサウンドに、ジャズ風のコード進行が加わったユニークな楽曲。ノスタルジックな雰囲気が漂う。
7. What’s the Point
リズミカルなギターと、浮遊感のあるメロディが特徴的。ウェブスターの音楽的な幅広さを感じさせるトラック。
8. Say It Now
ピアノ主体の美しいバラード。静かでありながら、感情のこもった歌声が印象的。
9. Wrong People
フォークとカントリーが融合したナンバー。レイドバックしたアレンジが心地よい。
10. Half of Me
本作のクライマックスとなる楽曲。優しいメロディが際立ち、アルバムを締めくくるのにふさわしい。
総評
セルフタイトルのFaye Websterは、彼女の音楽スタイルの基盤を築いた重要な作品であり、インディーフォークとアメリカーナの要素が絶妙にブレンドされている。メロディアスでありながらも、どこか憂いを帯びたサウンドが、彼女のユニークな世界観を作り上げている。
次作Atlanta Millionaires Club(2019年)でより洗練されたサウンドへと進化する前の、純粋なフォーク・アメリカーナとしてのFaye Websterを感じられる一枚。シンプルでありながらも奥深い楽曲が揃っており、静かな夜にじっくりと聴きたくなるアルバムだ。
おすすめアルバム
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Julia Jacklin – Crushing (2019)
フォークとインディーロックの融合がウェブスターのスタイルと近い。 -
Angel Olsen – Burn Your Fire for No Witness (2014)
メランコリックなフォーク・ロックが本作と共鳴する。 -
Mitski – Retired from Sad, New Career in Business (2013)
内省的な歌詞とアコースティックなサウンドが共通する。 -
Phoebe Bridgers – Stranger in the Alps (2017)
静かで感傷的なインディーフォークの魅力が似ている。 -
Weyes Blood – Front Row Seat to Earth (2016)
ノスタルジックでジャジーな雰囲気が、本作と共通する部分が多い。
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