アルバムレビュー：Rhythm Romance by The Romantics

アルバムレビュー

2025.03.13

発売日: 1985年
ジャンル: パワーポップ、ニューウェーブ、AOR

ポップ志向を強めたThe Romanticsのサウンドシフト
全曲レビュー
総評
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ポップ志向を強めたThe Romanticsのサウンドシフト

The Romanticsの5thアルバムRhythm Romanceは、前作In Heatで得た商業的成功をさらに押し広げるべく、よりAOR寄りの洗練されたサウンドへとシフトした作品だ。バンドの持ち味であるキャッチーなメロディとエネルギッシュな演奏は残しつつも、80年代半ばの主流であったシンセサイザーやリバーブの効いたプロダクションが強調され、よりポップな方向へと進化している。

「Test of Time」や「One in a Million」といった楽曲は、彼らのパワーポップのルーツを残しつつも、よりソフトでラジオ向けのサウンドを志向しており、バンドの新しい試みが随所に見られる。

全曲レビュー

Let’s Do Something Crazy
- 80年代らしいエコーの効いたプロダクションが際立つオープニングナンバー。シンセが前面に出ており、従来のパワーポップとは異なるAOR的なアプローチが強調されている。
Test of Time
- キャッチーなメロディと爽快なギターリフが際立つ楽曲。バンドの持つポップロックのセンスが発揮された、ラジオ向けのシングル候補となるナンバー。
Rhythm Romance
- アルバムタイトル曲。軽快なリズムとメロディアスなボーカルが印象的で、ダンサブルな要素が加わっている。
Never Thought It Would Be Like This
- しっとりとしたバラード調の楽曲。80年代AORの影響が強く、これまでのThe Romanticsのサウンドとは異なる洗練されたアレンジが施されている。
Midnight to Six Man
- ややブルースロック的なテイストを持つ楽曲。シンプルなギターリフとパワフルなボーカルが魅力。
No Better Than That
- 軽快なテンポとシンセのアクセントが効いたナンバー。ニューウェーブ的なエッセンスが感じられる。
Mystified
- ミステリアスなムードを持つ楽曲で、バンドの新しい音楽的試みが表れている。
Be My Everything
- アルバムの中でも特にキャッチーな曲の一つで、ラブソングとしての完成度が高い。シンプルなコード進行ながら、メロディの強さが際立つ。
One in a Million
- 前作In Heatにも収録されていた楽曲の再録バージョン。より洗練されたアレンジが施され、シンセが強調されたバージョンになっている。

総評

Rhythm Romanceは、The Romanticsが80年代の音楽トレンドに適応しようとしたアルバムであり、従来のパワーポップやロックンロールのエネルギーを維持しつつも、よりAOR的な洗練されたサウンドへと進化した作品だ。シンセサイザーやリバーブの効いたプロダクションが加わり、より大人びた雰囲気を持つ楽曲が増えたことが特徴的である。

バンドのコアなファンにとっては、初期のガレージロック的な勢いやシンプルなパワーポップからの変化が大きく、評価が分かれる部分もあるかもしれない。しかし、「Test of Time」や「One in a Million」のような楽曲は、80年代のラジオフレンドリーなポップロックとして完成度が高く、当時の音楽シーンに適応しようとしたバンドの姿勢が伺える。

よりメロディアスで洗練されたポップロックを求めるリスナーには楽しめるアルバムであり、80年代のAORやニューウェーブの流れを感じることができる作品となっている。