発売日: 1996年4月8日
ジャンル: ブリットポップ、オルタナティブ・ロック
ブリットポップ黄金期の名盤——60年代の魂を宿したロックンロール
1996年にリリースされたMosley Shoalsは、イギリスのロックバンドOcean Colour Sceneのセカンドアルバムであり、彼らのキャリアにおける最も成功した作品である。本作は、90年代のブリットポップムーブメントの中で最もクラシックロック的なアプローチを取ったアルバムの一つであり、60年代や70年代のロックの影響を色濃く受けたサウンドが特徴となっている。
リードシングル「The Riverboat Song」は、UKチャートでヒットし、バンドの名を広めるきっかけとなった。また、「The Day We Caught the Train」や「You’ve Got It Bad」などのシングルも成功を収め、アルバムはUKチャートで2位を記録。結果として、オアシス、ブラー、パルプといったブリットポップの代表格と肩を並べる存在となった。
本作のタイトルMoseley Shoalsは、バンドの地元であるバーミンガムのモーズリー地区と、マッスル・ショールズ・スタジオ（アラバマ州）に由来しており、彼らが影響を受けたアメリカ南部のロック／ソウルの要素も反映されている。
全曲レビュー
1. The Riverboat Song
本作を代表する楽曲で、ジミー・ペイジを彷彿とさせるヘヴィなギターリフとブルースロックの影響が色濃く出たナンバー。リズミカルなドラムと力強いボーカルが絡み合い、UKロックシーンに新たなサウンドをもたらした。
2. The Day We Caught the Train
最も有名なシングルの一つで、ザ・フーを彷彿とさせる爽快なアコースティックギターとキャッチーなメロディが特徴。ノスタルジックな歌詞とエネルギッシュなサウンドが絶妙にマッチし、90年代UKロックの名曲として語り継がれる。
3. The Circle
メランコリックなギターのイントロと、内省的な歌詞が印象的なミディアムテンポのバラード。バンドのエモーショナルな側面が際立ち、アコースティックギターの響きが心地よい。
4. Lining Your Pockets
フォークロック的な要素を持ちつつ、ストーリー性のある歌詞が特徴的な楽曲。オルガンの響きが加わり、どこか70年代のアメリカンロックを思わせる雰囲気が漂う。
5. Fleeting Mind
グルーヴィーなベースラインとサイケデリックなギターサウンドが印象的な楽曲。ヴォーカルの抑揚が巧みで、バンドの幅広い音楽性が感じられる。
6. 40 Past Midnight
ロックンロールのエネルギーが爆発するナンバー。疾走感のあるリズムとギターリフが際立ち、ライブ映えする楽曲として人気が高い。
7. One for the Road
ブルースの影響が色濃く出たスローテンポの楽曲。ソウルフルなボーカルと、オーガニックなバンドアレンジが際立つ。
8. It’s My Shadow
アルバムの中でも最も落ち着いた楽曲の一つ。シンプルなアコースティックサウンドとメランコリックなメロディが美しく、バンドの成熟したソングライティングが光る。
9. Policemen & Pirates
ストーリーテリング要素が強い楽曲で、歌詞の語り口が印象的。ギターのアルペジオが繊細に響き、バンドのリリカルな側面が表れている。
10. The Downstream
フォーキーで静かな楽曲。アルバムの中で最もミニマルな編成となっており、ボーカルとアコースティックギターのシンプルな構成が際立つ。
11. You’ve Got It Bad
アルバムの中でも特にエネルギッシュな楽曲で、オルガンとギターの絡みが70年代ロックの影響を強く感じさせる。シングルとしてリリースされ、ライブでも定番となった。
12. Get Away
アルバムのラストを飾る壮大なナンバー。7分を超える長尺の楽曲で、静かに始まりながらも、徐々にダイナミックな展開へと変化していく。サイケデリックなギターソロが印象的で、アルバムの締めくくりとしてふさわしい。
総評
Moseley Shoalsは、Ocean Colour Sceneの代表作であり、ブリットポップ黄金期におけるロックンロールの本質を捉えたアルバムである。彼らは、ザ・フーやレッド・ツェッペリンといった60～70年代のクラシックロックの影響を受けつつも、90年代のブリットポップの勢いを融合させた独自のサウンドを確立した。
「The Day We Caught the Train」や「The Riverboat Song」は、90年代UKロックのアイコン的な楽曲となり、今なおリスナーに愛され続けている。本作の成功により、Ocean Colour Sceneはオアシスやブラーと並ぶブリットポップ時代の重要バンドとして確立された。
単なるブリットポップの枠を超え、ロックンロールの原点に立ち返るような本作は、90年代UKロックを象徴する名盤として聴き継がれるべき作品である。
おすすめアルバム
- Ocean Colour Scene – Marchin’ Already (1997)
- Moseley Shoalsの次作で、さらに洗練されたサウンドが特徴。UKチャート1位を獲得。
- Oasis – (What’s the Story) Morning Glory? (1995)
- 90年代UKロックの金字塔。クラシックロックとブリットポップの融合が特徴。
- Paul Weller – Stanley Road (1995)
- Ocean Colour Sceneと深い関わりを持つポール・ウェラーの名盤。ソウルフルなUKロックの傑作。
- The Verve – Urban Hymns (1997)
- オーガニックなバンドサウンドと壮大なアレンジが特徴の名盤。「Bitter Sweet Symphony」収録。
- Cast – All Change (1995)
- 60年代の影響を受けたメロディックなブリットポップの名作。Ocean Colour Sceneのファンにおすすめ。
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