Yes: プログレッシブロックの先駆者、壮大な音楽世界を築いたバンド

※本記事は生成AIを活用して作成されています。

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イントロダクション

Yesは、プログレッシブロックというジャンルを語るうえで、絶対に避けて通れない英国の名バンドである。1968年にロンドンで結成され、クラシック、ジャズ、フォーク、サイケデリック、ハードロックを高度に融合しながら、ロックを壮大な音楽建築へと押し広げた。彼らの音楽は、単なる長尺曲ではない。複雑な構成、緻密なアンサンブル、天上的なボーカルハーモニー、超絶技巧、幻想的な歌詞、そしてアルバム全体で描かれる巨大な世界観が一体となった、まさに「聴く冒険」である。

中心となったのは、Jon Andersonの透明なハイトーンボイス、Chris Squireのうねるようなリッケンバッカー・ベース、Steve Howeの多彩なギター、Rick Wakemanの華麗なキーボード、Bill BrufordやAlan Whiteの精密かつ力強いドラムである。メンバー交代を重ねながらも、Yesは常に「ロックでどこまで遠くへ行けるか」を問い続けた。

彼らはThe Yes Album、Fragile、Close to the Edge、Tales from Topographic Oceans、Relayerなどで1970年代プログレッシブロックの頂点を築き、1980年代には90125と「Owner of a Lonely Heart」でポップロックの時代にも大きな成功を収めた。Britannicaは、Yesを1968年にJon AndersonとChris Squireを中心に結成された英国ロックグループであり、Fragileと「Roundabout」によってプログレッシブロックの代表的存在となったバンドとして紹介している。

Yesの音楽は、しばしば難解と言われる。たしかに、20分近い組曲、変拍子、複雑な展開、神秘的な歌詞は、気軽なポップソングとは違う。しかし、その奥には驚くほど強いメロディと高揚感がある。Yesの音楽は、頭で分析するだけのものではない。目を閉じると、光、海、山、宇宙、神話、精神の旅が見えてくる。そこに、彼らが長年愛され続ける理由がある。

Yesの背景と結成

Yesは1968年、ロンドンで結成された。中心人物はボーカリストのJon AndersonとベーシストのChris Squireである。そこにギタリストのPeter Banks、キーボードのTony Kaye、ドラマーのBill Brufordが加わり、最初のYesが形作られた。YesはもともとMabel Greer’s Toyshopというバンドを母体に発展した存在であり、初期にはオリジナル曲だけでなく、The BeatlesやThe Byrds、Simon & Garfunkelなどの楽曲を独自にアレンジして演奏していた。

初期のYesは、のちの巨大なプログレッシブロック・サウンドとは少し違う。1969年のデビューアルバムYes、1970年のTime and a Wordでは、サイケデリック、ジャズ、フォーク、クラシック的な感覚が混ざっているものの、まだ発展途上のバンドだった。だが、すでに彼らには他のロックバンドとは違う野心があった。ポップソングをそのまま演奏するのではなく、曲を拡張し、アレンジし、楽器同士の対話によって新しい世界を作ろうとしていた。

大きな転機は、Steve Howeの加入である。Peter Banksに代わって加入したHoweは、クラシックギター、カントリー、ジャズ、ロック、フォークを自在に行き来する非常に個性的なギタリストだった。彼の加入によって、Yesのサウンドは一気に広がる。1971年のThe Yes Albumは、その成果を示した作品であり、「Yours Is No Disgrace」、「Starship Trooper」、「I’ve Seen All Good Peopleなどで、Yesは自分たちの方向性を確立した。

さらに、Tony Kayeに代わってRick Wakemanが加入したことで、Yesは黄金期へ入る。Wakemanはクラシック音楽の素養を持ち、オルガン、ピアノ、メロトロン、シンセサイザーを華麗に使いこなした。彼の加入により、Fragile、Close to the Edgeというプログレッシブロック史上屈指の名盤が生まれる。

Yesはメンバー交代が多いバンドでもある。Bill BrufordはClose to the Edge後にKing Crimsonへ移り、Alan Whiteが加入した。1970年代後半にはRick Wakemanの脱退と復帰、Patrick Morazの加入、1980年代にはTrevor Horn、Geoff Downes、Trevor Rabinの参加など、時期ごとにバンドの姿は大きく変わった。しかし、どの時期にもYesらしいものが残っている。それは、音楽を拡張しようとする意志である。

音楽スタイルと特徴

Yesの音楽スタイルは、プログレッシブロック、シンフォニックロック、アートロック、クラシックロック、ジャズロック、フォークロックを横断している。彼らの曲には、通常のロックソングの形式を超えた長大な構成、複雑なリズム、緻密なハーモニー、楽器ごとの高度な演奏がある。

最大の特徴は、各楽器が単なる伴奏ではなく、対等な声を持っていることだ。Chris Squireのベースは、低音を支えるだけではない。メロディを奏で、ギターやボーカルと絡み、曲全体を前へ押し出す。Steve Howeのギターは、ハードロック的なリフだけでなく、クラシック風のアルペジオ、カントリー的なフレーズ、ジャズ的なコードを使い分ける。Rick Wakemanのキーボードは、教会オルガンの荘厳さ、クラシックピアノの華麗さ、シンセサイザーの未来感を一曲の中に共存させる。

Jon Andersonの声も、Yesの音楽に欠かせない。彼の声は、ロックシンガーとしては非常に高く、透明で、どこか人間離れした響きを持つ。歌詞も抽象的で、自然、宇宙、精神、光、愛、神話的イメージが多い。意味を論理的に追うよりも、音と言葉が作る感覚に身を委ねるタイプの歌詞である。

Yesのもう一つの特徴は、曲の構成美である。彼らの長尺曲は、ただ長いだけではない。テーマが提示され、展開され、変奏され、対立し、再び戻ってくる。これはクラシック音楽の組曲やソナタにも通じる考え方である。「Close to the Edge」、「And You and I」、「The Gates of Deliriumなどは、ロックバンドによる音楽建築と言える。

しかし、Yesは技巧だけのバンドではない。「Roundabout」、「I’ve Seen All Good People」、「Wonderous Stories」、「Owner of a Lonely Heart」のように、強いメロディとポップな魅力を持つ曲も多い。難解さと親しみやすさ、技巧と美しさ、宇宙的なスケールと人間的な高揚。この両立こそ、Yesの最大の魅力である。

代表曲の楽曲解説

「Yours Is No Disgrace」

「Yours Is No Disgrace」は、1971年のThe Yes Albumの冒頭を飾る楽曲であり、Yesが本格的なプログレッシブロック・バンドとして開花したことを示す重要曲である。

曲は力強いアンサンブルで始まり、ギター、ベース、ドラム、オルガン、ボーカルが複雑に絡み合う。構成は長く、展開も多いが、曲全体にはロックバンドとしての推進力がある。まだ後のClose to the Edgeほど神秘的ではないが、すでにYesらしい壮大さと技巧がはっきりしている。

この曲の魅力は、各メンバーの演奏がぶつかり合いながらも、全体としてひとつの流れを作るところにある。Yesはここで、ロックを単なるリフと歌の音楽から、複数の楽器が対話する構築的な音楽へ進化させた。

「Starship Trooper」

「Starship Trooper」は、Yes初期の代表曲のひとつであり、組曲的な構成を持つ楽曲である。複数のパートから成り、フォーク的な歌、疾走するロック、そして壮大なインストゥルメンタルのクライマックスへと進む。

この曲では、Steve Howeのギターが非常に重要である。アコースティックな響きとエレクトリックな広がりが共存し、終盤の反復するコード進行は、まるで宇宙船が高度を上げていくような高揚を生む。

「Starship Trooper」というタイトルにはSF的な響きがあるが、Yesの音楽における宇宙は、単なる外宇宙ではない。精神の旅、意識の上昇、未知の場所へ向かう人間の感覚である。この曲は、その初期の形を見事に示している。

「I’ve Seen All Good People」

「I’ve Seen All Good People」は、Yesの中でも比較的親しみやすい楽曲でありながら、構成は非常に巧妙である。前半の「Your Move」はフォーク的で穏やか、後半の「All Good People」は力強いロックへ展開する。

歌詞にはチェスのイメージが使われ、人間関係や人生の選択がゲームのように描かれる。Jon Andersonの明るい声とコーラスが印象的で、Yesのポップな側面を示す名曲である。

この曲が優れているのは、複雑さを感じさせずに変化していく点だ。聴きやすいが、単純ではない。Yesはここで、プログレッシブでありながらラジオにも届く可能性を示した。

「Roundabout」

「Roundabout」は、1971年のFragileを代表する楽曲であり、Yesの最も有名な曲のひとつである。アコースティックギターの印象的なイントロ、Chris Squireの跳ねるようなベース、複雑なリズム、伸びやかなボーカルが一体となり、Yesサウンドの魅力を凝縮している。

この曲のベースは、ロック史に残る名演と言ってよい。Squireのベースは、低音の支えであると同時に、曲をリードするメロディ楽器でもある。彼の音は硬く、明るく、前に出てくる。Yesの音楽では、ベースがギター以上に主役になる瞬間が多いが、「Roundabout」はその代表例である。

「Roundabout」は複雑な曲でありながら、非常にキャッチーでもある。サビは覚えやすく、リズムは躍動的で、演奏には華やかさがある。プログレッシブロックが大衆的な魅力を持ち得ることを証明した曲である。Britannicaも、Fragileと「Roundabout」がYesをプログレッシブロックの主要バンドとして確立したと説明している。

「Heart of the Sunrise」

「Heart of the Sunrise」は、Fragileの中でも特にドラマティックな楽曲である。激しい変拍子的なリフ、静かなボーカルパート、緊張感のある展開が交互に現れ、Yesの構成力と感情表現が高いレベルで結びついている。

この曲では、Bill Brufordのドラムが非常に重要だ。彼の演奏は単なるビートではなく、楽曲の構造を細かく刻み、変化させる知的なリズムである。SquireのベースとBrufordのドラムが作る緊張感は、Yesの中でも屈指のものだ。

歌の部分に入ると、Jon Andersonの声が一気に空間を開く。激しい演奏と透明な声の対比が美しい。都市の孤独、精神の混乱、光への憧れが入り混じるような曲である。

「Close to the Edge」

「Close to the Edge」は、Yesの最高傑作としてしばしば語られる楽曲であり、1972年の同名アルバムのA面全体を占める約18分の大作である。アルバムClose to the Edgeは1972年9月にAtlanticから発表され、Bill Brufordが参加した最後のYesアルバムとなった。

この曲は、Yesの音楽思想が最も高い密度で結晶化した作品である。自然音のような導入、複雑に絡み合う楽器群、神秘的なボーカル、教会音楽を思わせるオルガン、そして最終的な解放感。すべてが、ひとつの精神的な旅として構成されている。

「Close to the Edge」は、単に長い曲ではない。緊張と静寂、混沌と秩序、地上的な演奏と天上的な声が何度も交差し、最後には光の中へ抜けていくような感覚を生む。プログレッシブロックが到達したひとつの頂点である。

「And You and I」

「And You and I」は、Close to the Edgeに収録された美しい組曲である。壮大でありながら、非常に叙情的な曲で、Yesのロマンティックな側面がよく表れている。

Steve Howeのアコースティックギター、Rick Wakemanのメロトロンやキーボード、Jon Andersonの透明な歌声が重なり、曲はゆっくりと大きな景色を開いていく。ロックというより、光の中を進む祈りのような音楽である。

この曲の魅力は、難解さよりも情感にある。Yesの音楽がときに理知的に聴こえる中で、「And You and I」は人間的な温かさと愛の感覚を強く持っている。壮大な宇宙の中で、二人の関係を歌う。そのスケールの大きさと親密さの同居が美しい。

「Siberian Khatru」

「Siberian Khatru」は、Close to the Edgeのラストを飾る楽曲であり、Yesの演奏力が爆発する名曲である。リフは複雑で、リズムは躍動的、各楽器が高速で絡み合いながらも、曲全体は非常に明快なエネルギーを持つ。

タイトルは意味が明確ではないが、その響き自体がYesらしい。言葉は意味というより音として機能し、楽曲の神秘性を高めている。

この曲では、バンド全体のアンサンブルが驚くほど精密だ。Howeのギター、Squireのベース、Brufordのドラム、Wakemanの鍵盤、Andersonの声が、それぞれ独立して動きながらひとつの巨大な機械のように噛み合う。Yesの技巧的な快楽を味わうには最適の曲である。

「The Revealing Science of God」

「The Revealing Science of God」は、1973年のTales from Topographic Oceansに収録された長大な楽曲である。このアルバムは4曲すべてが長尺曲という非常に野心的な作品であり、Yesの神秘主義的な側面が最も強く出ている。

この曲は、精神的探求、宗教的イメージ、宇宙的な広がりを持つ。聴きやすさという点では、FragileやClose to the Edgeよりも難しいかもしれない。しかし、Yesがロックの枠を超えて、音楽を儀式や瞑想のようなものへ近づけようとしていたことがわかる。

Tales from Topographic Oceansは賛否が分かれる作品だが、Yesの野心を語るうえでは欠かせない。彼らは成功した形式を繰り返すのではなく、さらに遠くへ行こうとした。その無謀さも含めて、Yesらしい。

「The Gates of Delirium」

「The Gates of Delirium」は、1974年のRelayerに収録された大作である。Rick Wakemanの脱退後、Patrick Morazが加入した時期の作品であり、Yesの中でも特に激しく、戦闘的なサウンドを持つ。

この曲は、戦争と混乱を描くような構成を持ち、前半は複雑で攻撃的、後半は「Soon」として知られる美しい部分へ到達する。混沌の後に訪れる静かな祈り。このコントラストが非常に強い。

「The Gates of Delirium」は、Yesの中でも最もドラマティックな楽曲のひとつである。美しさだけでなく、破壊、緊張、狂気も含んでいる。Yesが単なる幻想的なバンドではなく、激しい表現もできることを示している。

「Going for the One」

「Going for the One」は、1977年の同名アルバムのタイトル曲であり、Yesが長大な神秘主義からよりコンパクトで明快なロックへ戻った時期の曲である。

スティールギターのようなSteve Howeの鋭い音、軽快なテンポ、明るいエネルギーが印象的だ。1970年代後半、パンクが登場し、プログレッシブロックが批判され始める中で、Yesは自分たちの音楽をより引き締めようとしていた。

この曲には、過剰な構築よりも、ロックバンドとしての鮮やかな勢いがある。Yesの軽やかな側面を示す重要曲である。

「Wonderous Stories」

「Wonderous Stories」は、Going for the Oneに収録された美しい楽曲であり、Yesの中でも特に親しみやすい曲である。短めの曲ながら、Jon Andersonの声、幻想的な歌詞、優しいメロディが見事に調和している。

この曲には、Yesの温かい側面がある。壮大な組曲ではないが、小さな宝石のように輝く。プログレッシブロックの複雑さを期待すると控えめに感じるかもしれないが、Yesが優れたポップソングを書けるバンドであることを示している。

「Awaken」

「Awaken」は、Going for the Oneの最後を飾る大作であり、Yesの精神性が非常に高いレベルで表れた楽曲である。教会音楽的なオルガン、ハープのような響き、荘厳なコーラス、上昇していく構成が一体となり、まるで宗教的儀式のような音楽になっている。

この曲は、Yesの「光へ向かう音楽」の代表例である。混沌ではなく、覚醒。暗闇ではなく、目覚め。タイトル通り、聴き手の意識をゆっくり開いていくような曲だ。

「Awaken」は、Yesの長尺曲の中でも特に神聖な響きを持つ。技巧よりも、精神的な高揚が中心にある。

「Owner of a Lonely Heart」

「Owner of a Lonely Heart」は、1983年の90125から生まれたYes最大のシングルヒットである。Trevor Rabin、Jon Anderson、Chris Squire、Trevor Hornらが関わり、Yesの音を1980年代のポップロックへ大胆に更新した。アメリカではYes唯一のBillboard Hot 100 1位シングルとなり、Hot Mainstream Rock Tracksでも1位を記録した。

この曲は、1970年代のYesとは大きく違う。長尺の組曲ではなく、4分台のシャープなシングル。シンセ、サンプリング、鋭いギター、 Trevor Hornによる現代的なプロダクションが特徴である。

しかし、完全に別物ではない。断片的な構成、リズムの切れ味、コーラスの浮遊感には、Yesらしい実験精神が残っている。「Owner of a Lonely Heart」は、Yesが時代の変化に対応しながらも、創造性を失わなかったことを示す曲である。

「Changes」

「Changes」は、90125に収録された楽曲で、Trevor Rabin期Yesの魅力をよく示している。複雑なイントロ、ポップなサビ、80年代的なサウンドが共存している。

この曲では、1970年代のシンフォニックなYesとは異なる形でプログレッシブな要素が生きている。構成は凝っているが、全体はラジオ向きのロックソングとして成立している。Yesがアリーナロックとプログレの間で新しいバランスを見つけた時期の代表曲である。

アルバムごとの進化

Yes

1969年のデビューアルバムYesは、バンドの出発点である。The Beatlesの「Every Little Thing」やThe Byrdsの「I See You」のカバーも含まれ、当時のロック、ジャズ、フォークへの関心が見える。

この時点では、後の壮大なプログレッシブロックはまだ完成していない。しかし、演奏力、コーラス、アレンジへのこだわりはすでに明確だ。特にJon AndersonとChris Squireの声の重なりは、Yesらしさの原型と言える。

Time and a Word

1970年のTime and a Wordでは、オーケストラの導入が試みられた。まだバンドの方向性は定まりきっていないが、ロックをより大きな音楽へ拡張しようとする意欲がある。

ただし、オーケストラの使用は必ずしも完全に成功したわけではなく、バンド自身もより有機的な形でクラシック的な要素を取り込む必要を感じていた。この課題は、Steve Howe加入後の作品で解決されていく。

The Yes Album

1971年のThe Yes Albumは、Yesの最初の大きな飛躍である。Steve Howeの加入により、サウンドは一気に個性的になった。「Yours Is No Disgrace」、「Starship Trooper」、「I’ve Seen All Good People」など、後のライブ定番曲が並ぶ。

このアルバムでYesは、自分たちのフォーマットを確立した。長尺曲、複雑な展開、強いメロディ、演奏力、コーラス。すべてがバランスよく組み合わされている。まだ過剰ではなく、ロックバンドとしての生々しさも残っている。

Fragile

1971年末に発表されたFragileは、Rick Wakeman加入後の最初のアルバムであり、Yes黄金期の始まりを告げる作品である。「Roundabout」、「Heart of the Sunrise」などを収録し、バンドの知名度を大きく高めた。

このアルバムは、バンド曲とメンバー各自の短いソロ的楽曲を組み合わせた構成になっている。全体としてはやや断片的な面もあるが、その分、各メンバーの個性がよく見える。

FragileでYesは、演奏技術、音色、構成力、ポップ性を高いレベルで結びつけた。プログレッシブロックが大衆的な成功を収める可能性を示した作品である。

Close to the Edge

1972年のClose to the Edgeは、Yesの最高傑作として広く評価されるアルバムである。収録曲はわずか3曲。タイトル曲「Close to the Edge」、「And You and I」、「Siberian Khatru」で構成されている。

このアルバムでは、Yesのあらゆる要素が完璧に近いバランスで結びついている。長大な構成、精神的な歌詞、複雑な演奏、美しいメロディ、壮大な音響。どれも過剰になりすぎず、ひとつの高みに到達している。

Bill Brufordはこのアルバムの完成後にKing Crimsonへ移る。つまりClose to the Edgeは、Bruford期Yesの集大成でもある。1970年代プログレッシブロックの頂点のひとつである。

Tales from Topographic Oceans

1973年のTales from Topographic Oceansは、Yesの野心が最も極端に表れた作品である。2枚組で、各面に1曲ずつ、合計4曲の長尺曲が収録されている。

このアルバムは、発売当時から賛否が分かれた。壮大で神秘的な一方、冗長だと批判されることも多い。しかし、Yesの精神的探求と音楽的野心を理解するうえでは欠かせない作品である。

ここでのYesは、ロックバンドというより、音による宗教的・哲学的な旅を作ろうとしている。成功と失敗が同居した、非常にYesらしい大作である。

Relayer

1974年のRelayerは、Patrick Moraz加入後のアルバムであり、Yesの中でも特にジャズロック的で激しい作品である。「The Gates of Delirium」、「Sound Chaser」、「To Be Over」を収録している。

このアルバムでは、Rick Wakeman期のクラシカルな華やかさとは異なり、より鋭く、複雑で、攻撃的なサウンドが前面に出る。特に「Sound Chaser」では、ほとんどフュージョンのような緊張感がある。

Relayerは、Yesの中でも聴きやすい作品ではないかもしれない。しかし、彼らが常に変化し、リスクを取るバンドだったことを示す重要作である。

Going for the One

1977年のGoing for the Oneは、Rick Wakemanが復帰した作品であり、Yesが再び引き締まった形へ戻ったアルバムである。タイトル曲、「Wonderous Stories」、「Awaken」などを収録している。

このアルバムは、長大な神秘性とコンパクトなポップ性のバランスがよい。「Wonderous Stories」のような短く美しい曲もあれば、「Awaken」のような荘厳な大作もある。

1970年代後半、プログレッシブロックへの風当たりが強まる中で、Yesは自分たちの核心を保ちながら音を整理した。結果として、非常に完成度の高い後期黄金期作品となった。

Tormato

1978年のTormatoは、評価が分かれやすいアルバムである。アイデアは多く、メロディも魅力的な部分があるが、全体としては散漫に感じられることもある。

この時期のYesは、パンクやニューウェーブの台頭、音楽産業の変化、メンバー間の疲労に直面していた。Tormatoには、その混乱が表れている。しかし、「Don’t Kill the Whale」のように環境意識を示す曲もあり、Yesらしい社会的・精神的な関心は残っている。

Drama

1980年のDramaは、Jon AndersonとRick Wakemanが脱退し、The BugglesのTrevor HornとGeoff Downesが加入した異色作である。ファンの間でも賛否があるが、近年は再評価が進んでいる。

このアルバムでは、Yesのプログレッシブな構成力と、ニューウェーブ的なシャープさが結びついている。Jon Andersonの不在は大きいが、Trevor Hornの声とDownesのキーボードによって、独特の未来感が生まれている。

Dramaは、Yesが1980年代へ向かう橋渡しとなった作品である。

90125

1983年の90125は、Yes最大の商業的成功作である。Trevor Rabinが加入し、Trevor Hornがプロデュースを担当したことで、バンドは80年代型のポップロックへ大きく変化した。

「Owner of a Lonely Heart」はアメリカで1位となり、Yesを新しい世代に知らしめた。アルバム全体も、シンセ、サンプリング、シャープなギター、コンパクトな曲構成を用いながら、Yesらしい複雑さも残している。

この作品は、1970年代のファンからは賛否があった。しかし、Yesが時代に合わせて自分たちを再発明できるバンドだったことを示す重要作である。

Big Generator

1987年のBig Generatorは、90125の成功を受けた作品である。前作ほどの衝撃はないが、Trevor Rabin期Yesのアリーナロック的な方向性が続いている。

曲はより大きく、プロダクションも80年代的である。プログレッシブロックというより、メロディアスなスタジアムロックとしてのYesが前面に出ている。だが、演奏やコーラスの細部には、やはりYesらしい緻密さがある。

Union

1991年のUnionは、Yes本体とAnderson Bruford Wakeman Howeが合流した形で制作された複雑なアルバムである。メンバーが多く、制作過程も混乱していたため、評価は分かれる。

ただし、この作品はYesの歴史における象徴的な瞬間でもある。1970年代型Yesと1980年代型Yesが一つの名前のもとに並んだ。音楽的には統一感に欠けるが、バンドの複雑な歴史そのものを映した作品である。

Talk

1994年のTalkは、Trevor Rabin期の最後を飾る重要作である。デジタル録音を積極的に用い、現代的なサウンドとプログレッシブな構成を結びつけようとしている。

特に「Endless Dream」は、Rabin期Yesにおける長尺曲として高く評価されることが多い。80年代ポップ路線と70年代プログレ路線の間で、新しいYes像を模索した作品である。

Keys to Ascension以降

1990年代後半には、黄金期メンバーが再集結したKeys to Ascensionシリーズが発表された。ライブ音源と新曲を組み合わせ、1970年代Yesの精神を再び呼び戻そうとする試みである。

その後もYesは、Open Your Eyes、The Ladder、Magnificationなどを発表し、時代に合わせながら活動を続けた。オーケストラを取り入れたMagnificationは、Yesのシンフォニックな側面を現代的に再提示した作品である。

Chris Squireのベース革命

Yesの音楽において、Chris Squireのベースは特別な存在である。一般的なロックベースは低音を支える役割が中心だが、Squireのベースは旋律を奏で、リズムを動かし、曲全体を牽引する。

彼のリッケンバッカー・ベースの音は、硬く、明るく、鋭い。低音でありながら、上の帯域まで響き、ギターと対等に存在する。「Roundabout」、「Heart of the Sunrise」、「Siberian Khatru」などを聴けば、SquireのベースがYesサウンドの中心にあることがわかる。

Chris Squireは2015年に亡くなるまで、長くYesの核であり続けた。公式サイトでも、Squireは1968年にJon AndersonとYesを結成し、2015年に亡くなるまでYesの全スタジオアルバムに参加した唯一のメンバーとして紹介されている。

Jon Andersonの声と詩的世界

Jon Andersonの声は、Yesの音楽を天上的なものにした。彼のハイトーンは、ロックにおける力強い男声のイメージとは違う。透明で、軽く、どこか精霊のようである。

彼の歌詞は抽象的で、意味を一読して理解するタイプではない。光、川、山、宇宙、愛、精神、神話的な言葉が多く、時に難解である。しかし、Yesの音楽では、言葉は意味だけでなく音として機能する。Andersonの声が乗ることで、言葉そのものが楽器のようになる。

この抽象性は、Yesの音楽に大きなスケールを与えた。日常の恋愛や社会風刺よりも、意識の旅、宇宙的な調和、精神的な覚醒へ向かう。そこがYesの幻想的な魅力である。

Steve Howeのギター美学

Steve Howeは、ロックギタリストの中でも非常に多彩な表現を持つ人物である。彼はブルースロック的なギターヒーローとは違い、クラシック、ジャズ、カントリー、フォーク、ロックを自在に組み合わせる。

「Mood for a Day」のようなクラシックギター曲、「Roundabout」のアコースティックイントロ、「Siberian Khatru」の鋭いリフ、「And You and I」の叙情的な響き。Howeのギターは、一つのスタイルに固定されない。

彼の存在によって、Yesの音楽は単なるキーボード主導のシンフォニックロックではなく、弦楽器の多彩な響きを持つものになった。Yesの風景を描く筆の一つが、Howeのギターである。

Rick Wakemanとキーボードの壮麗さ

Rick Wakemanは、Yesの音楽にクラシック的な華麗さと荘厳さを与えたキーボーディストである。彼の演奏は派手でありながら、楽曲全体の構築に深く関わっている。

ハモンドオルガン、メロトロン、ミニムーグ、ピアノ。Wakemanはこれらを使い分け、Yesの音に立体感を与えた。「Close to the Edge」の中間部のオルガン、「And You and I」のメロトロン、「Awaken」の教会音楽的な響きは、彼なしには成立しない。

Wakemanは時に過剰とも言えるほど華麗だ。しかし、Yesの音楽においてその過剰さは重要だった。Yesは小さくまとまるバンドではない。過剰なほど大きな音楽を作るからこそ、Yesなのである。

Bill BrufordとAlan Whiteの違い

Yesのドラムを語るとき、Bill BrufordとAlan Whiteの違いは重要である。

Brufordは非常に知的で、ジャズ的な感覚を持つドラマーだった。彼のリズムは細かく、変則的で、楽曲に緊張感を与える。「Heart of the Sunrise」や「Close to the Edge」での演奏は、まさに構築的なドラムである。

一方、Alan Whiteはより力強く、ロック的な推進力を持つドラマーだった。彼はTales from Topographic Oceans以降のYesを支え、ライブバンドとしての重心を強くした。Brufordが精密な設計士なら、Whiteは巨大な船を動かすエンジンである。

両者の違いは、Yesの時期ごとの音楽性にも反映されている。Bruford期のYesはより緻密で鋭く、White期のYesはより壮大で力強い。

Roger DeanのアートワークとYesの世界観

Yesの音楽世界を視覚的に決定づけたのが、Roger Deanのアートワークである。浮遊する島、奇妙な地形、幻想的な空、異世界の建築物。彼のジャケットは、Yesの音楽と完全に結びついている。

Fragile、Close to the Edge、Tales from Topographic Oceans、Relayerなどのジャケットは、音楽を聴く前からリスナーを別世界へ誘う。Yesのアルバムは、音だけでなく、手に取る体験そのものが幻想的だった。

Roger Deanの絵は、Yesの音楽にある自然、宇宙、神話、精神の旅を視覚化したものだと言える。プログレッシブロックにおいて、ジャケットアートが音楽体験の一部だったことを、Yesほどよく示すバンドは少ない。

同時代アーティストとの比較

YesをKing Crimsonと比較すると、両者はプログレッシブロックの重要バンドでありながら、性格は大きく異なる。King Crimsonが不穏で、実験的で、破壊的な緊張を持つのに対し、Yesはより光に満ち、調和と上昇を志向する。King Crimsonが迷宮なら、Yesは空中庭園である。

Genesisと比べると、Genesisは物語性や演劇性が強く、Peter Gabriel期には奇妙なキャラクターや英国的なファンタジーが中心だった。一方、Yesはより抽象的で、神話的で、音そのものの構築美を重視した。

Emerson, Lake & Palmerと比べると、ELPはクラシック音楽の引用やキーボードの超絶技巧が前面に出る。Yesも技巧的だが、よりバンド全体の有機的な絡み合いを重視している。ELPが巨大な鍵盤要塞なら、Yesは複数の楽器が光の柱を作るような音楽である。

Pink Floydと比べると、Pink Floydは空間、心理、社会批評、音響演出を重視する。一方、Yesはより演奏技巧と精神的高揚を重視する。Pink Floydが内面の闇を旅するバンドなら、Yesは光の方へ上昇するバンドだ。

後世への影響

Yesが後世に与えた影響は計り知れない。プログレッシブロック、シンフォニックロック、プログレメタル、ジャムバンド、テクニカルロック、ポストロック、さらにはゲーム音楽や現代のシネマティックなロックにまで、その影響は広がっている。

特に、演奏技術と構成力を重視するバンドにとって、Yesは大きな手本となった。Dream Theaterのようなプログレメタル、Rushの中期以降の構築的な音楽、MarillionやSpock’s Beardなどのネオプログレ勢にも、Yesの影響は明らかである。

また、Yesはロックバンドがアルバム単位で巨大な世界を作れることを示した。曲の寄せ集めではなく、ジャケット、歌詞、構成、音色まで含めた総合芸術としてのロックアルバム。この考え方は、後の多くのアーティストに受け継がれた。

Yesは2017年にRock and Roll Hall of Fame入りを果たし、Jon Anderson、Bill Bruford、Tony Kaye、Steve Howe、Rick Wakeman、Alan White、Trevor Rabinが対象となり、Chris Squireは故人として顕彰された。

Yesの魅力とは何か

Yesの魅力は、音楽がどこまでも上昇していく感覚にある。彼らの曲を聴いていると、地上のロックバンドが演奏しているはずなのに、音は空へ、宇宙へ、精神の奥へと広がっていく。

彼らは、ロックを巨大な建築物にした。ギター、ベース、ドラム、キーボード、ボーカルが柱となり、曲全体が大聖堂のように組み上がる。しかも、その建築は冷たい石ではない。躍動し、光り、風が通っている。

Yesの音楽には、理想主義がある。世界は混沌としている。人間は迷う。それでも、音楽によって調和へ向かえるのではないか。Yesの曲には、そうした信念がある。だから、複雑でありながら暗くなりすぎない。むしろ、聴き終えた後に視界が開けるような感覚が残る。

まとめ

Yesは、プログレッシブロックの先駆者であり、壮大な音楽世界を築いた英国ロックの名バンドである。1968年にロンドンで結成され、Jon AndersonとChris Squireを中心に出発した彼らは、Steve Howe、Rick Wakeman、Bill Bruford、Alan Whiteらの加入によって、1970年代プログレッシブロックの頂点へ到達した。

「Yours Is No Disgrace」、「Starship Trooper」、「I’ve Seen All Good People」、「Roundabout」、「Heart of the Sunrise」、「Close to the Edge」、「And You and I」、「Siberian Khatru」、「The Gates of Delirium」、「Awaken」、「Owner of a Lonely Heart」といった楽曲は、Yesの多面的な魅力を示している。技巧、メロディ、精神性、構築美、ポップ性。そのすべてがYesの音楽にはある。

The Yes Albumで方向性を確立し、Fragileで大衆的成功を得て、Close to the Edgeでプログレッシブロックの頂点に立った。Tales from Topographic Oceansでは野心を極限まで広げ、Relayerでは激しい実験性を見せ、Going for the Oneでは再び美しいバランスを取り戻した。1980年代には90125で新しい時代のポップロックへ変身し、「Owner of a Lonely Heart」で全米1位を獲得した。

Yesの音楽は、今聴いても大きい。単に曲が長いからではない。そこに描かれる世界が大きいからである。光、宇宙、精神、自然、愛、調和。彼らはロックを、日常から離れた壮大な旅へ変えた。Yesは、プログレッシブロックの歴史において、最も美しく、最も高く、そして最も遠くまで飛んだバンドのひとつである。

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