アルバムレビュー:New England by Wishbone Ash

※本記事は生成AIを活用して作成されています。

Spotifyジャケット画像

発売日: 1976年10月
ジャンル: ハードロック、メロディックロック、プログレッシブロック


概要

『New England』は、Wishbone Ashが1976年に発表した通算7作目のスタジオ・アルバムであり、アメリカ移住後の“第二の創造期”を象徴する作品である。
前作『There’s the Rub』で新メンバー、ローリー・ワイズフィールドを迎え、新たなサウンドへの方向転換を遂げた彼らは、本作でその音楽的路線をさらに推し進め、英国的抒情とアメリカ的洗練が交差するサウンドを完成させている。

タイトル『New England』は、バンドが当時活動拠点を置いていたアメリカ東海岸の地域名を冠しており、地理的背景がそのまま音楽にも反映されている。
よりストレートで親しみやすいメロディと、明瞭で力強いサウンドプロダクションは、アメリカのAOR/メロディックロックの潮流を受けつつも、ツイン・リード・ギターの持つ英国的構築美は健在。
このバランス感覚こそが本作最大の魅力である。


全曲レビュー

1. Mother of Pearl

リフとギター・ハーモニーが交錯するダイナミックなオープニング・ナンバー。
“真珠母貝”というタイトルが象徴するように、優美さと硬質さが共存しており、冒頭から新生Wishbone Ashの成熟したサウンドが展開される。

2. (In All of My Dreams) You Rescue Me

スローでメロディアスなラブバラード。
幻想的なギターと繊細なヴォーカルが美しく絡み合い、“夢の中で救ってくれるあなた”というテーマが普遍的なロマンティシズムを喚起する。
ローリーのリリカルなプレイが光る一曲。

3. Runaway

AORテイストの強い、ストレートでキャッチーなロック・チューン。
疾走感あるリズムとシンプルな構成で、ラジオヒットを狙ったようなアプローチ。
メロディの即効性と演奏のタイトさが印象的。

4. Lorelei

本作を象徴する叙情的な名曲。
ライン川に伝わる伝説の美しき妖女“ローレライ”をモチーフに、人間の欲望や破滅への誘いを美しいメロディに乗せて歌い上げる。
サビでのギター・ハーモニーが鳥肌ものの完成度。

5. Outward Bound

インストゥルメンタルに近いジャム調の楽曲。
“航海へと出る”というテーマが音だけで描かれており、ギターの会話、リズムのうねりが船出の興奮と不安を表現している。
ライブ感の強い演奏が魅力。

6. She Was My Best Friend

フォーキーでアコースティック色の強いバラード。
“親友だった彼女”という過去形の関係性に、ほのかな哀愁と情感が漂う。
歌詞の私的な語り口と、控えめなアレンジがよく合っている。

7. Lonely Island

本作でもっとも内省的な一曲。
“孤独な島”に流れ着いたような孤立感と静けさを、ミニマルな構成と余白を生かしたギターで描いている。
Wishbone Ashの叙情派としての魅力が最も濃縮された瞬間。

8. Candlelight

スローなテンポの中に情熱的なギターソロが映える、ロマンティックなナンバー。
“ろうそくの灯り”が象徴する静謐な夜の情景が、音によって豊かに描かれている。
演奏の間に漂う静寂が印象的。

9. Goodbye Baby Hello Friend

明るさと寂しさが同居するクロージング・ナンバー。
“恋人に別れを告げ、友人として始める”というテーマが、穏やかなメロディとともに描かれる。
爽やかで優しい締めくくりが、アルバム全体の余韻を深める。


総評

『New England』は、Wishbone Ashが“英国の叙情性”と“アメリカの開放感”を理想的なバランスで融合させた作品であり、ハードロック、フォーク、メロディックロックの垣根を超えた普遍的な美しさを放っている。
前作で導入された新体制のアンサンブルが本作でさらに洗練され、特にローリー・ワイズフィールドのメロディセンスとギタートーンが、バンドに新たな命を吹き込んでいる。

叙情的でありながら決して内向的にはならず、どこか風景の見えるような開かれたサウンドスケープ――それこそが本作の真価である。
“New England”という場所は、単なる地名ではなく、Wishbone Ashが到達した“音の新大陸”なのだ。


おすすめアルバム(5枚)

  1. Fleetwood MacFleetwood Mac (1975)
     メロディ重視のソフトロックと男女混合のバランス感。『Lorelei』のような華やかさと共鳴。
  2. America – Hearts (1975)
     アコースティック中心の優美なメロディとナチュラルなプロダクションが『She Was My Best Friend』とリンク。
  3. Steely Dan – Katy Lied (1975)
     都会的洗練とロックの交差点。『Runaway』のAOR的要素とシンクロ。
  4. CamelRain Dances (1977)
     メロディアスな構築美とロマンティックな叙情性が『Candlelight』的。
  5. Barclay James Harvest – Octoberon (1976)
     英国らしい繊細さとメロディ志向のプログレ。『Lonely Island』との親和性が高い。

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