アルバムレビュー:What Happens Next by Gang of Four

※本記事は生成AIを活用して作成されています。

発売日:2015年2月24日

ジャンル:ポストパンク、ニューウェイヴ、ダンス・パンク、アート・ロック、エレクトロニック・ロック

概要

Gang of FourのWhat Happens Nextは、2015年に発表されたスタジオ・アルバムであり、バンドの歴史において大きな転換点となった作品である。Gang of Fourといえば、1979年のデビュー作Entertainment!によってポストパンクの形式を決定づけたバンドとして知られる。鋭く切断的なAndy Gillのギター、ファンクを解体したようなリズム、Jon Kingの演説的なヴォーカル、そして消費社会、恋愛、労働、資本主義、身体、メディアを分析する歌詞によって、彼らは単なるロック・バンドではなく、思想と身体性を結びつけたポストパンクの象徴的存在となった。

しかしWhat Happens Nextは、その古典的なGang of Four像から大きく離れた作品である。本作は、長年バンドの声であったJon Kingが参加していない初のGang of Fourのアルバムであり、Andy Gillが中心となって制作した作品である。つまり、ここでのGang of Fourは、Gillのギター、プロダクション、思想的な方向性を核にしつつ、複数のゲスト・ヴォーカリストを迎えたプロジェクト的な形態へ移行している。Alison Mosshart、Herbert Grönemeyer、Robbie Furze、Gail Ann Dorseyなど、多様な声が参加している点が本作の大きな特徴である。

この変化は、Gang of Fourという名前の意味を問い直すものでもある。初期Gang of Fourにおいて、Andy GillのギターとJon Kingの声は不可分だった。Gillのギターが社会の表面を切り裂く刃であるなら、Kingの声はその切断面から言葉を投げつける演説者だった。What Happens Nextでは、そのKingの声が不在となり、代わりに複数の声が入れ替わる。これにより、アルバムは従来のバンド・サウンドというより、Gang of Fourの音響と言語の枠組みを、さまざまな声を通じて再配置する作品になっている。

タイトルのWhat Happens Next、つまり「次に何が起こるのか」は、この状況をよく表している。これは単なる未来への問いではない。ポストパンクの先駆者が、自分たちの最も象徴的な要素の一つであるヴォーカルを失った後、何をするのか。ロックがデジタル時代においてどのような意味を持つのか。政治的な怒りや社会批評が、スタイルとして消費され尽くした後に何が残るのか。そうした問いが、このタイトルには含まれている。

音楽的には、本作は初期Gang of Fourの乾いたファンク・パンクをそのまま再現するものではない。むしろ、より現代的で、エレクトロニックな質感が強く、ビートは整えられ、音像は圧縮されている。Gillのギターは依然として鋭いが、1979年のような裸のリズム隊との緊張関係というより、プロダクション全体の中に配置されたノイズ、切断音、質感として機能する場面が多い。これは、2000年代以降のダンス・パンクやポストパンク・リバイバル、さらにインディー・ロックとエレクトロニック・ミュージックの接近を経た後のGang of Fourの音といえる。

歌詞面では、初期Gang of Fourが扱った資本主義批判や関係性の政治は、より抽象化され、現代社会の不安、身体の管理、国家、欲望、イメージ、記憶、死へと広がっている。ただし、Jon Kingの不在により、初期作品にあった言葉の直接的な攻撃性や演説的な切迫感は薄れている。その代わり、本作ではゲスト・ヴォーカリストごとの声質が、曲ごとに異なる心理的・身体的な温度をもたらしている。

What Happens Nextは、Gang of Fourの最高傑作ではない。Entertainment!やSolid Goldのような歴史的な革新性を求めると、本作はどうしても異質に響く。しかし、これはGang of Fourが自分たちの過去を再演するのではなく、Andy Gillの主導によって「Gang of Four以後のGang of Four」を作ろうとした作品である。過去のフォーマットを壊し、声を入れ替え、ポストパンクの遺産を現代的なプロダクションの中で再利用する。その意味で、本作はバンドの名前そのものを問う、重要な後期作品である。

全曲レビュー

1. Where the Nightingale Sings

アルバム冒頭を飾る「Where the Nightingale Sings」は、The KillsのAlison Mosshartをヴォーカルに迎えた楽曲であり、本作の新しいGang of Four像を最初に提示する。タイトルにあるナイチンゲールは、伝統的に歌、美、夜、記憶、孤独を象徴する鳥である。しかしGang of Fourの文脈では、それは単純な詩的美ではなく、人工的な社会の中でまだ何かが歌っている場所、あるいは失われた自然や感情の残響として響く。

音楽的には、鋭いギターと硬質なビートが中心だが、初期Gang of Fourの裸のファンクとは異なり、音像はより現代的に整理されている。Andy Gillのギターは、相変わらずコードを豊かに鳴らすのではなく、音を切断するように入る。そこにMosshartの低くざらついた声が乗ることで、曲は冷たさと官能性を同時に持つ。

Mosshartのヴォーカルは、Jon Kingの演説的なスタイルとは異なる。彼女の声には、ブルース的な湿り気、ガレージ・ロック的な荒さ、そして身体的な存在感がある。そのため、この曲ではGang of Fourの批評的な構造が、より肉感的な方向へ開かれている。社会分析の言葉というより、破片化された都市の中で身体が低くうなるような感覚がある。

歌詞のテーマは、失われた場所、記憶、声の残響として読むことができる。ナイチンゲールが歌う場所は、現実の地理ではなく、社会のノイズの中でかすかに残る感情の場所かもしれない。アルバムの冒頭でこの曲が鳴ることで、What Happens Nextは、Gang of Fourの過去をなぞるのではなく、新しい声とともに暗い現代的な空間へ入っていく。

2. Broken Talk

「Broken Talk」もAlison Mosshartをヴォーカルに迎えた楽曲であり、タイトルが示す通り、壊れた会話、断片化したコミュニケーションを扱っている。Gang of Fourは初期から、恋愛や会話を純粋な感情のやり取りとしてではなく、権力、欲望、商品化、誤解が入り込む場として描いてきた。この曲では、そのテーマが現代的な断絶感と結びついている。

音楽的には、リズムは硬く、ギターは鋭く、曲全体に緊張した反復がある。だが、初期作品のような極端なミニマリズムではなく、サウンドはより厚く、ややロック寄りに構築されている。Mosshartの声は、言葉が完全には届かない状況において、むしろ声そのものの質感で感情を伝える。壊れた会話という主題に対して、彼女のざらついた声は非常に効果的である。

歌詞の中心には、言葉が機能しなくなる関係がある。話しているのに伝わらない、言葉が意味を失う、相手との距離が埋まらない。現代社会では、コミュニケーション手段は増えたにもかかわらず、理解は必ずしも深まっていない。むしろ、言葉は断片化され、誤読され、消費される。この曲は、その状態をGang of Fourらしい硬質なリズムで表現している。

「Broken Talk」は、本作の主題の一つである「声の不安定さ」を示す曲でもある。Jon Kingという固定された声が不在となったアルバムで、壊れた会話を歌うことは象徴的である。Gang of Fourはここで、自分たちの声そのものを再構築しようとしている。

3. Isle of Dogs

「Isle of Dogs」は、ドイツのミュージシャンHerbert Grönemeyerをヴォーカルに迎えた楽曲である。タイトルはロンドン東部の地名を指すが、同時に都市再開発、金融資本、労働者階級の歴史、港湾地帯の変化といったイメージを喚起する。Gang of Fourにとって都市は、単なる背景ではなく、資本と身体がぶつかる場である。

音楽的には、重く、少し不穏な雰囲気を持つ。Grönemeyerの声は、Mosshartとは異なり、より演劇的で、ヨーロッパ的な陰影を帯びている。この声の質感によって、曲は英国ポストパンクという枠を少し外れ、都市の記憶をめぐる暗い語りのように響く。

歌詞のテーマは、都市の変化、記憶、場所の喪失として解釈できる。Isle of Dogsは、かつて労働や港湾のイメージを持つ場所でありながら、再開発によって金融都市的な空間へ変貌した地域でもある。Gang of Fourの批評性は、まさにこうした場所の変質に向けられる。都市は中立的な空間ではなく、資本の流れによって書き換えられ、人々の記憶や生活はその中で押し流される。

この曲は、What Happens Nextの中でも社会的な地理感覚が強い楽曲である。初期Gang of Fourが労働、商品、身体を分析したように、本曲では都市そのものが資本主義の痕跡を帯びた場所として描かれる。

4. England’s in My Bones

「England’s in My Bones」は、Alison Mosshartを再び迎えた楽曲であり、タイトルからして英国性、身体、アイデンティティをめぐる曲である。「英国が骨の中にある」という表現は、国籍や文化が単なる意識や思想ではなく、身体の奥深くまで染み込んでいることを示す。同時に、それは誇りであると同時に呪いでもあり得る。

音楽的には、硬質なビートとGillのギターが、身体の内部に刻まれたリズムのように響く。Mosshartの声は、英国的な主題を歌いながらもアメリカ的なガレージ・ロックの質感を持つため、曲には国民的アイデンティティの揺らぎが生まれている。このズレが重要である。英国を語る曲でありながら、その声は純粋な英国の内部からだけ出ているわけではない。

歌詞のテーマは、国家と身体の関係である。人は国を選ぶ前に、言葉、階級、教育、歴史、メディア、土地の記憶を身体に刻まれる。Gang of Fourは、国家を単なる政治制度としてではなく、欲望や日常感覚の内部に入り込むものとして捉えている。「骨の中」という表現は、その深さを示す。

この曲は、初期Gang of Fourの英国社会批評を後期的に再配置したものといえる。1970年代末の彼らは、消費社会や労働を鋭く分析した。本曲では、ポスト帝国的な英国性、階級、国民意識の残響が身体の問題として扱われている。

5. The Dying Rays

「The Dying Rays」は、Herbert Grönemeyerをヴォーカルに迎えた、本作の中でも特に重く、終末的な雰囲気を持つ楽曲である。タイトルは「消えゆく光線」あるいは「死にゆく光」を意味し、衰退、終焉、夕暮れ、残されたわずかな輝きを連想させる。アルバム全体の中でも、最も哀感の強い曲の一つである。

音楽的には、テンポは抑えられ、ギターも攻撃的に切り込むというより、暗い空間を作る方向に使われている。Grönemeyerの声は低く、重みがあり、曲の終末感を強調する。Gang of Fourの音楽はしばしば鋭い分析と皮肉に満ちているが、この曲ではそれに加えて、老い、死、時代の終わりへの意識が表れている。

歌詞のテーマは、光が消えていく過程、つまり何かが完全に終わる直前の時間として読める。これは個人の死だけでなく、政治的理想、社会的希望、文化的な時代の終わりを示しているとも解釈できる。Gang of Fourというバンド自体も、1979年の革新的な瞬間から長い時間を経て、本作では過去の光がどのように残っているのかを問われている。

「The Dying Rays」は、What Happens Nextというタイトルの裏側にある不安を示している。次に何が起こるのかという問いは、未来への期待だけでなく、現在の光が消えつつあるという認識から生まれる。後期Gang of Fourの自己認識がにじむ重要曲である。

6. Obey the Ghost

「Obey the Ghost」は、アルバムの中でもGang of Fourらしい政治的・心理的な緊張を持つタイトルである。「幽霊に従え」という言葉は、過去、記憶、イデオロギー、死者、あるいはすでに消えたはずの権力に支配される状態を示している。ポストパンクという過去の遺産を背負うGang of Four自身にも向けられる言葉として響く。

音楽的には、反復的なリズムとGillの鋭いギターが中心で、曲全体に不気味な圧力がある。幽霊というタイトルにもかかわらず、音はぼんやり漂うのではなく、むしろ機械的に命令を反復するように進む。これは、幽霊が個人的な怪奇現象ではなく、社会的な記憶や制度の残存として機能していることを示している。

歌詞のテーマは、過去に従わされることにある。人は自由に生きているように見えても、家族、国家、階級、歴史、メディア、死者の声に影響されている。幽霊とは、過去の出来事そのものではなく、現在の行動を支配し続ける見えない力である。Gang of Fourは、こうした不可視の権力を音楽の反復によって表現する。

この曲は、本作の自己批評的な側面を強く示している。Gang of Fourは、自分たち自身の過去の幽霊にも従わざるを得ない。Entertainment!という巨大な影がある中で、彼らが次に何をするのか。その問いが、この曲の背後にある。

7. First World Citizen

「First World Citizen」は、先進国の市民、あるいは第一世界の特権を持つ者をテーマにした楽曲である。タイトルには明確な皮肉がある。第一世界の市民であることは、安全、消費、選択肢、情報、移動の自由を意味する一方で、世界的不平等の上に成り立つ特権でもある。

音楽的には、現代的なロックとエレクトロニックな質感が混ざり、冷たく整えられた印象を持つ。曲のビートは機械的で、都市的な生活の均質さを感じさせる。ヴォーカルもまた、怒りを爆発させるというより、特権的な生活の空虚さを冷たく観察するように響く。

歌詞のテーマは、消費社会における自己認識である。第一世界の市民は、自分を自由で進歩的な存在と考えるかもしれない。しかし、その生活は、見えない労働、資源の搾取、世界的な格差によって支えられている。Gang of Fourは初期から、個人の生活を世界経済の構造から切り離さない視点を持っていた。この曲は、その視点を現代的なグローバル社会へ拡張している。

「First World Citizen」は、本作の中でも特に政治的なタイトルを持つ曲である。ポストパンクの批評性が、21世紀の先進国的な快適さと罪悪感に向けられている。快適な生活そのものが問いの対象となる点で、Gang of Fourらしい楽曲である。

8. Stranded

「Stranded」は、取り残されること、漂着すること、移動できなくなることを意味するタイトルを持つ楽曲である。Gang of Fourにおいて、このような状態は単なる個人的な孤独ではなく、社会的な配置の問題として響く。人はどこかに属しているようで、実際にはシステムの中に取り残されている。

音楽的には、比較的暗いトーンを持ち、リズムは前進しているにもかかわらず、曲には停滞感がある。この矛盾がタイトルとよく合っている。音楽は動いているが、語り手は移動できない。現代社会の多くの人々が、情報や商品に囲まれながらも実際には閉じ込められている状態を反映しているように聴こえる。

歌詞のテーマは、孤立、見捨てられた感覚、接続不能である。デジタル時代には誰もがつながっているように見えるが、その接続は必ずしも救済を意味しない。むしろ、つながっているのに孤立しているという状態が強まる。Gang of Fourの批評性は、こうした現代的な孤独を社会構造の問題として捉える点にある。

「Stranded」は、What Happens Nextの中で感情的な重さを持つ曲であり、アルバム全体の不安定な未来感を強めている。次に何が起こるのか分からない状態とは、動き出す可能性だけでなく、取り残される恐怖でもある。

9. Graven Image

「Graven Image」は、刻まれた像、偶像、崇拝の対象を意味する言葉であり、宗教的・政治的・メディア的なイメージの問題を喚起する。Gang of Fourは、消費社会において人間や商品がどのようにイメージ化され、崇拝され、交換されるかを一貫して扱ってきた。この曲は、そのテーマを偶像という古い言葉を通じて現代化している。

音楽的には、緊張したリズムとギターの断片が、硬い像のような質感を作る。曲は流動的というより、刻まれた形の周囲を回るように進む。Gillのギターは、像を彫る刃のようにも、像を破壊するノイズのようにも響く。

歌詞のテーマは、イメージへの服従である。現代社会では、神の像だけでなく、ブランド、スター、政治家、身体イメージ、自己像が崇拝の対象となる。人々はそれを見つめ、模倣し、自分自身をその形へ近づけようとする。Gang of Fourは、こうしたイメージの支配を単なる文化現象ではなく、資本主義的な欲望の構造として捉える。

「Graven Image」は、What Happens Nextにおけるメディア批評的な側面を担う曲である。アルバムが複数のゲスト・ヴォーカルを用い、声とイメージを入れ替えていることを考えると、この曲は作品全体の自己言及としても機能している。

10. Dead Souls

アルバム終盤の「Dead Souls」は、タイトルからして強い終末感と精神的な空洞を持つ楽曲である。死んだ魂という表現は、肉体的には生きていても精神的には消耗し、制度や商品や記憶に支配されている人間の状態を示しているように響く。Joy Divisionにも同名曲があるが、Gang of Fourの文脈では、より社会批評的な意味合いが強い。

音楽的には、暗く、重く、アルバムの終盤にふさわしい沈んだトーンを持つ。リズムは硬く、ギターは冷たく、曲全体に感情の荒廃が漂う。ここでのGang of Fourは、踊れるポストパンクというより、現代社会の精神的な疲弊を描くアート・ロックに近い。

歌詞のテーマは、精神の死、あるいは社会によって空洞化された主体として読める。消費、労働、メディア、国家、イメージに囲まれた人間は、自分自身の欲望すら他者によって作られているかもしれない。そのとき、魂は生きていると言えるのか。Gang of Fourが初期から問い続けた主体の問題が、この曲ではより暗い形で現れる。

「Dead Souls」は、アルバム全体の不安を集約する曲である。What Happens Nextが問う未来は、必ずしも希望に満ちていない。次に起こることは、再生ではなく、さらに深い空洞化かもしれない。この暗い認識が、曲に重みを与えている。

総評

What Happens Nextは、Gang of Fourのディスコグラフィの中でも、最も評価が分かれやすい作品の一つである。理由は明確である。本作にはJon Kingがいない。Gang of Fourの古典的なイメージにおいて、Andy GillのギターとJon Kingのヴォーカルは、ほとんど一体のものだった。Kingの不在は、単なるメンバー交代ではなく、バンドの思想的な発話の形式そのものを変える出来事だった。

そのため、本作をEntertainment!やSolid Goldの延長として聴くと、違和感が大きい。初期Gang of Fourにあった、リズム隊の鋭い切れ味、Gillのギターとの緊張、Kingの演説的な怒り、政治理論と身体性が一体化した独特の圧力は、本作ではかなり変質している。ここでのGang of Fourは、バンドというより、Andy Gillが構築した音響フレームの中に複数の声を配置するプロジェクトに近い。

しかし、その変質こそがWhat Happens Nextの主題でもある。タイトルが示す通り、本作は「次に何が起こるのか」という問いに対する実験である。固定された声を失ったGang of Fourは、過去を再現するのではなく、声を交換可能なものとして扱う。これは、現代社会におけるアイデンティティやメディア環境とも重なる。人の声、顔、思想、怒り、欲望は、もはや固定された主体から出るものではなく、さまざまな文脈の中で流通し、編集され、配置される。本作のゲスト・ヴォーカル方式は、その状況を音楽的にも反映している。

音楽面では、Andy Gillのギターが依然としてアルバムの核である。彼のギターは、本作でもロック的な装飾ではなく、切断、摩擦、圧力として機能する。ただし、初期作品のような剥き出しのバンド・アンサンブルではなく、より現代的なプロダクションの中に組み込まれている。そのため、ギターはかつてのように全体を支配する刃であると同時に、音響素材の一部としても扱われている。

ゲスト・ヴォーカリストの中では、Alison Mosshartの存在感が特に強い。彼女のざらついた声は、Gang of Fourの硬質なサウンドに新しい身体性をもたらしている。「Where the Nightingale Sings」「Broken Talk」「England’s in My Bones」では、社会批評的な音響にガレージ・ロック的な肉感が加わり、本作の中でも説得力のある瞬間を生んでいる。一方、Herbert Grönemeyerの参加曲では、より演劇的で重いヨーロッパ的な陰影が加わる。

歌詞面では、国家、身体、都市、イメージ、特権、幽霊、死といったテーマが扱われている。初期Gang of Fourのように、恋愛や商品を鋭く理論的に解体するというより、本作ではより広い不安が描かれる。とりわけ「England’s in My Bones」「First World Citizen」「Obey the Ghost」「Graven Image」「Dead Souls」は、21世紀における主体の不安定さを示す楽曲である。

ただし、本作には明確な弱点もある。複数の声を起用したことでアルバムに多様性は生まれたが、その一方で、Gang of Fourとしての統一された発話の強度は弱まっている。初期作品のような一撃必殺の政治的明晰さや、演奏全体が互いに噛みつくような緊張感は少ない。また、現代的なプロダクションは聴きやすさを与える反面、Gang of Four特有の乾いた余白や不気味な隙間を薄めている場面もある。

それでも、What Happens Nextは後期Gang of Fourを考えるうえで無視できない作品である。これは、過去の栄光を安全に再演するアルバムではない。むしろ、Gang of Fourという名前が、メンバー、声、時代、政治状況の変化によってどのように変形するのかを示すアルバムである。成功している部分と不安定な部分が混在しているが、その不安定さこそが本作の意味である。

日本のリスナーにとって本作は、初期Gang of Fourを聴いた後に触れることで、その異質さがよく分かる。Entertainment!がポストパンクの原点であるなら、What Happens Nextは、その原点が歴史化され、影響が拡散し、バンドの内部構造が変わった後に残された問いである。これは傑作というより、問いのアルバムである。

総合的に見て、What Happens Nextは、Andy Gill主導によるGang of Fourの再定義であり、ポストパンクの遺産を現代的なプロダクションと複数の声によって再配置した作品である。鋭さは過去ほどではない。しかし、国家、身体、都市、イメージ、幽霊、死をめぐる不安は、本作に独自の重みを与えている。次に何が起こるのか。その問いに対し、本作は明確な答えではなく、変化そのものを提示している。

おすすめアルバム

1. Gang of Four – Entertainment!(1979年)

Gang of Fourの原点であり、ポストパンク史上最重要作の一つである。鋭いギター、ファンクを解体したリズム、資本主義と恋愛を分析する歌詞が高い緊張感で結びついている。What Happens Nextの変質を理解するためには、まずこの作品の強度を知る必要がある。

2. Gang of Four – Solid Gold(1981年)

デビュー作の鋭さをさらに硬質で暗い方向へ進めた作品である。リズムの反復、政治的な歌詞、音の隙間を生かしたアレンジがより重く響く。What Happens Nextの現代的な音像と比較することで、初期Gang of Fourの緊迫感がより明確になる。

3. Gang of Four – Content(2011年)

What Happens Nextの直前に発表された復活作であり、Jon KingとAndy Gillを中心とした最後期の重要作である。初期の方法論を21世紀に再接続しようとした作品であり、本作へ至る変化を理解するうえで欠かせない。What Happens NextでJon Kingが不在となることの意味も、よりはっきり見えてくる。

4. The Kills – Midnight Boom(2008年)

Alison Mosshartのヴォーカルの質感を理解するうえで有効な作品である。ガレージ・ロック、ブルース、エレクトロニックなビートが混ざり、彼女のざらついた声と身体的な存在感が強く表れている。What Happens NextにおけるMosshart参加曲の魅力を広い文脈で理解できる。

5. Wire – Red Barked Tree(2011年)

同じくポストパンクの重要バンドが後年に発表した作品として比較しやすいアルバムである。初期の革新性をそのまま再現するのではなく、年齢と時間を経たバンドが自らの方法論を現代にどう響かせるかという点で、What Happens Nextと共通する問題を持っている。

コメント

タイトルとURLをコピーしました