Wargasm by L7(1992)楽曲解説

※本記事は生成AIを活用して作成されています。

1. 歌詞の概要

Wargasmは、L7が1992年に発表したアルバムBricks Are Heavyのオープニングを飾る楽曲である。

アルバムの1曲目として、いきなり金属の塊を投げつけるように鳴る。ギターは厚く、リフはざらつき、ドラムは容赦なく前へ進む。L7の曲の中でも、特に攻撃性と皮肉が濃い一曲だ。

タイトルのWargasmは、warとorgasmを組み合わせた造語である。

戦争とオーガズム。

この時点で、曲の標的ははっきりしている。

この曲が批判しているのは、戦争そのものだけではない。戦争を興奮の対象として消費する社会、戦争報道に刺激を求める視聴者、愛国的なポーズを取りながら暴力を楽しむ空気、その全部である。

歌詞には、ボディバッグ、爆弾、ペンタゴン、難民、負傷者といった言葉が出てくる。

しかし、それらは重々しい追悼の言葉としてではなく、むしろメディアの見世物になった戦争の風景として並べられる。テレビの前で人々が戦争を見ている。涙を流しているように見える。けれど、その涙は本物なのか。むしろ、戦争の映像によって刺激され、興奮しているのではないか。

Wargasmは、その偽善を笑い飛ばす。

笑い飛ばすと言っても、軽くはない。

これは怒りの笑いである。

戦争を美化する者たちへの怒り。

兵士や難民の苦しみを政治やメディアが利用することへの怒り。

安全な場所にいながら、戦争をエンターテインメントとして眺める人々への怒り。

L7は、その怒りをスローガンとしてではなく、下品で鋭いロックンロールとして投げる。

ここが重要である。

Wargasmは、上品な反戦歌ではない。

花を持って平和を祈る曲ではない。

静かに悲しむ曲でもない。

むしろ、戦争に欲情する社会へ、同じくらい下品な言葉で殴り返す曲である。

そのため、この曲は非常に不快である。

だが、その不快さこそが狙いなのだ。

戦争をきれいな言葉で包むな。

英雄や犠牲や正義の物語にして、暴力の興奮を隠すな。

本当はみんな、テレビで戦争を見ることにどこか興奮しているのではないか。

Wargasmは、その問いをリスナーの顔面へ押しつける。

2. 歌詞のバックグラウンド

Wargasmが収録されたBricks Are Heavyは、L7の3作目のスタジオアルバムである。

1992年4月14日にSlash Recordsからリリースされ、プロデュースはButch Vigが担当した。Butch VigはNirvanaのNevermindで知られるプロデューサーであり、Bricks Are HeavyでもL7の荒さを残しながら、より厚く、よりタイトで、よりラジオでも届く音へ磨き上げている。ウィキペディア

このアルバムは、L7にとって最大の代表作とされることが多い。Pretend We’re Deadのヒットによって広く知られた作品でもあり、グランジ、パンク、オルタナティブメタル、ガレージロックの境目で鳴る、90年代初頭の硬く汚れたギターロックの名盤である。

Wargasmは、そのアルバムの冒頭に置かれている。

この配置は非常に効果的だ。

Bricks Are Heavyは、世代の倦怠や怒りを、重いギターとキャッチーなフックで鳴らしたアルバムである。だが、その始まりがWargasmであることによって、作品はただの個人的な不満の集合ではなく、社会全体への攻撃として幕を開ける。

時代背景として重要なのは、湾岸戦争である。

1991年の湾岸戦争は、テレビを通じて大量に報道された戦争だった。空爆映像、記者会見、軍事用語、精密誘導兵器の映像。戦争がメディアの画面上で、ある種のスペクタクルとして消費された時代である。

Wargasmは、まさにその空気を撃っている。

Rock and Roll GlobeのBricks Are Heavy回顧記事でも、この曲は湾岸戦争直後の空気を背負い、負傷者や戦争被害者がプロパガンダ的に利用されること、そして権力側が戦争を興奮の対象に変えていくことを批判する曲として説明されている。Rock and Roll Globe

L7は、ロサンゼルスのバンドである。

彼女たちは、80年代のLAメタルの華やかさとも、純粋なハードコアの政治性とも少し違う場所にいた。サウンドは汚く、ユーモアは下品で、怒りは鋭い。女性だけのバンドとして見られることも多かったが、彼女たちはその見られ方を利用し、壊し、時には挑発的に返していった。

Wargasmにも、その態度がある。

戦争批判をするにしても、道徳的な優等生にはならない。

むしろ、戦争を性的興奮として扱う社会の下品さを、さらに下品な造語で暴く。

このやり方は、L7らしい。

彼女たちは、社会の汚さをきれいな言葉で浄化しない。汚いものは汚いまま、アンプを通してさらに大きくする。その結果、聴き手は目を背けにくくなる。

Wargasmには、Yoko OnoのLive Peace in Torontoからのサンプルが含まれていることも確認されている。Discogsの情報でも、WargasmにYoko Onoのサンプルが使われていることが記載されている。Discogs

これは非常に象徴的である。

Yoko Onoは、John Lennonとともに平和運動の象徴的なイメージを持つ存在でもある。その声の断片が、L7の攻撃的な反戦ソングに挿入される。60年代的な平和の理想と、90年代のテレビ戦争への怒りが、ノイズの中でぶつかるような瞬間である。

3. 歌詞の抜粋と和訳

歌詞の著作権に配慮し、ここでは短い一節のみを抜粋する。

Wargasm, wargasm

和訳すると、次のような意味になる。

戦争の絶頂 > > 戦争でイッてる

かなり露骨な表現だが、この露骨さを避けると曲の核心がぼやける。

Wargasmという言葉は、戦争が社会にとって性的な快楽のように機能しているという、非常に強い皮肉である。

人々は戦争を恐れているふりをする。

犠牲者に同情しているふりをする。

平和を願っているように見せる。

けれど、その裏で、爆発の映像や軍事力の誇示や敵国への攻撃に興奮しているのではないか。

この曲は、その矛盾を暴く。

もうひとつ、曲の象徴的な短い一節として、次の言葉がある。

Watch it on TV

和訳すると、次のようになる。

テレビでそれを見る

この一節は、Wargasmの視点を決定づけている。

戦争は遠くで起きている。

しかし、それはテレビを通して家庭へ入ってくる。

視聴者は安全な場所で画面を見る。

爆弾が落ち、誰かが死に、誰かが逃げる。

それでも画面のこちら側では、ソファに座っていられる。

この距離が、この曲の怒りの中心にある。

戦争をする側。

戦争を報じる側。

戦争を見る側。

その三者が、奇妙な興奮の回路でつながっている。

Wargasmは、その回路を切断するのではなく、むしろ過激に可視化する。

あなたたちは戦争を見ている。

見ているだけではない。

興奮している。

その告発が、曲全体を貫いている。

歌詞引用元および権利情報は、記事末尾の参考情報に記載する。

4. 歌詞の考察

Wargasmの歌詞を考えるうえで、最も大切なのは、戦争批判とメディア批判がひとつになっていることだ。

この曲は、戦争は悪いとだけ言っているわけではない。

戦争をどう見せるか。

戦争をどう消費するか。

戦争をどのように感情的商品に変えるか。

そこに切り込んでいる。

湾岸戦争は、テレビ戦争として語られることが多い。爆撃の映像は、まるでビデオゲームのようにも見えた。遠く離れた視聴者にとって、戦争は現実でありながら、同時に映像コンテンツでもあった。

L7は、その気持ち悪さを直感的に捉えている。

戦争がテレビに映る。

視聴者がそれを見る。

政治家が正義を語る。

軍が精密さを誇る。

メディアがドラマとして編集する。

人々が怒り、泣き、興奮する。

そこに生まれるものが、Wargasmである。

この曲のすごさは、戦争を性的な言葉で批判する点にある。

普通、戦争は高尚な言葉で語られる。

国家。

正義。

安全保障。

自由。

犠牲。

英雄。

防衛。

そうした言葉は、戦争を立派なものに見せる力を持つ。

だがL7は、その立派さを剥がす。

戦争を見て気持ちよくなっているんだろう、と言う。

これは、非常に下品で、非常に正確な批判である。

なぜなら、戦争にはしばしば快楽が混ざるからだ。

敵を倒す快楽。

力を見せつける快楽。

国民がひとつになる快楽。

画面越しに恐怖を味わう快楽。

自分は安全な場所にいると確認する快楽。

L7は、それを見逃さない。

歌詞に出てくる涙や同情も、かなり疑わしいものとして扱われる。

難民や負傷者に対する同情は、本物かもしれない。だが、それが画面上で消費されるとき、その同情はどこまで本物なのか。涙を流すことによって、自分が善良な視聴者であると確認しているだけではないのか。

この視点は、今聴いても古びない。

むしろ、SNSや24時間ニュース、戦争映像の拡散が日常化した現代では、さらに鋭く響く。

戦争は今も画面に現れる。

人々は怒る。

悲しむ。

共有する。

議論する。

時には、それを自分の感情の燃料にしてしまう。

Wargasmは、その危険を1992年の時点でかなり生々しく突いていた。

サウンド面でも、この曲は歌詞の批判をよく支えている。

リフは重く、鋭い。

テンポは速すぎず、しかし圧迫感がある。

Donita Sparksのヴォーカルは、怒鳴るというより、噛みつくようだ。

歌詞の皮肉が、言葉の末尾でざらざらと引っかかる。

Bricks Are Heavy全体は、Butch Vigのプロダクションによってかなりタイトに作られている。前作までの粗さを残しつつ、音の塊がより明確に前へ飛んでくる。Wargasmはそのアルバムの冒頭で、L7の重さとキャッチーさを同時に提示する。

この曲には、メタル的な重量もある。

パンク的な怒りもある。

グランジ的な汚れもある。

だが、どれか一つにきれいに収まらない。

L7は、しばしばグランジの文脈で語られる。実際、Bricks Are Heavyはグランジの名盤として扱われることも多い。だがWargasmを聴くと、彼女たちはシアトル的な内省だけではなく、LAのスモッグ、パンクの下品なユーモア、ハードロックの攻撃性を持っていたことがわかる。

この曲は、内向きの絶望ではなく、外へ向けた中指である。

また、Wargasmには女性バンドとしてのL7の立ち位置も関わっている。

戦争と性的興奮を結びつける批判は、男性的な軍事文化への攻撃でもある。武器、爆弾、国威発揚、軍事力の誇示。これらはしばしば男らしさの幻想と結びつく。

L7は、その男らしさをあえて性的に茶化す。

戦争で興奮しているんだろう。

爆弾で気持ちよくなっているんだろう。

ペンタゴンが君たちをその気にさせているんだろう。

この言い方は、軍事的な権威を非常にみっともないものにする。

男らしい力の誇示が、突然、自慰的な見世物へ変わる。

ここにL7の痛快さがある。

彼女たちは、権力を高い場所から批判するのではない。もっと低い場所から、もっと汚い言葉で、権力のズボンを引きずり下ろす。

Wargasmは、その意味で非常にパンクである。

そして、反戦ソングとしてもかなり異色だ。

優しい平和の歌ではない。

戦争の被害者へ静かに寄り添う曲でもない。

戦争を楽しむ者たちの快楽を暴く曲である。

だから、この曲は救いを与えない。

聴いてスッキリする部分はあるが、心が清らかになるわけではない。むしろ、自分もテレビの前で戦争を消費する側ではないのか、と嫌な気持ちになる。

その嫌な気持ちこそ、この曲の価値である。

5. この曲が好きな人におすすめの曲 5曲

Bricks Are Heavy最大のヒット曲であり、L7を代表する一曲である。Wargasmのような直接的な政治性は薄いが、無気力、社会への距離、世代的な倦怠を強烈なフックで鳴らしている。重いギターとキャッチーなサビのバランスが見事で、L7の入口としても重要だ。

  • Shitlist by L7

1992年のBricks Are Heavyに収録された、L7の怒りの表現を最もわかりやすく味わえる曲である。個人的な怒りを容赦なく吐き出す曲で、Wargasmが戦争とメディアへの怒りなら、Shitlistはもっと身近な敵への怒りだ。映画Natural Born Killersで使われたことでも知られ、爆発力は抜群である。

1990年のSmell the Magicに収録された曲で、L7のパンク的な荒さと挑発的なユーモアが強く出ている。Wargasmの下品で鋭い言葉の使い方が好きなら、この曲の性と暴走をめぐる荒々しいエネルギーも響くはずだ。初期L7の危険な勢いを知るには欠かせない。

女性の視点から男性的なロック文化や権力性を皮肉る曲として並べて聴きたい。Sonic YouthらしいノイズギターとKim Gordonの冷ややかな語りが印象的で、Wargasmのような直球の怒りとは違い、より知的で冷たい挑発がある。90年代オルタナティブの政治的な鋭さを感じられる曲だ。

L7よりもブルースとポストパンクの影が濃いが、女性の怒り、身体性、支配関係をむき出しにした曲として強烈である。Wargasmの暴力的な批判性が好きなら、Rid of Meの粘着質で危険な感情も深く刺さるだろう。Steve Albiniの録音による生々しい音も圧倒的だ。

6. 戦争を気持ちよがる社会へ投げつけた、L7の汚れた反戦アンセム

Wargasmは、L7の中でも特に鋭い曲である。

それは、単に音が重いからではない。

歌詞が過激だからでもない。

この曲は、戦争を批判するだけでなく、戦争を見ている私たちの欲望まで暴くからだ。

戦争は恐ろしい。

だが、戦争報道には興奮がある。

爆発の映像には刺激がある。

軍事力の誇示には快感がある。

敵を倒す物語にはカタルシスがある。

犠牲者への涙にさえ、自己満足が混ざることがある。

Wargasmは、その全部をまとめて気持ち悪いと言う。

しかも、きれいな言葉では言わない。

戦争の絶頂。

この言葉は、あまりにも下品で、あまりにも的確である。

L7は、戦争を神聖なものとして語らせない。国家の大義や軍事的正義の言葉を、アンプの音と皮肉でぶち壊す。彼女たちは、戦争を興奮の対象として消費する社会の姿を、そのまま醜く見せる。

この曲を聴くと、戦争を見ている自分の位置が問われる。

自分は本当に悲しんでいるのか。

それとも、画面越しの恐怖に興奮しているのか。

同情しているのか。

それとも、同情する自分に酔っているのか。

そういう問いを、Wargasmは突きつける。

そして、その問いは1992年だけのものではない。

今も戦争は画面に映る。

スマートフォンに流れてくる。

人々は怒り、悲しみ、共有し、消費する。

正義の言葉と感情の快楽が、簡単に混ざってしまう。

だからWargasmは、今も不快なほど有効である。

Bricks Are Heavyの冒頭にこの曲を置いたことも、L7の強さを示している。

彼女たちはリスナーを優しく迎えない。

いきなり戦争と快楽の話をする。

しかも、重いリフで押しつぶす。

逃げ場を作らない。

この態度がいい。

L7は、かわいらしく怒るバンドではない。

礼儀正しく問題提起するバンドでもない。

汚いものには汚い言葉をぶつけるバンドである。

Wargasmは、その精神が最もはっきり出た曲のひとつだ。

反戦歌には、祈りのような曲も必要である。

悲しみに寄り添う曲も必要である。

だが同時に、戦争を気持ちよがる者たちを嘲笑する曲も必要なのだ。

Wargasmは、その役割を担っている。

優しくない。

美しくない。

でも、必要な曲である。

戦争が画面上でスペクタクル化されるたびに、この曲のタイトルはまた嫌な光を放つ。

Wargasm。

その一語だけで、L7は戦争の見せ物化と、それに酔う社会の顔を暴いてしまった。

参考情報

  • Bricks Are Heavy – L7|Apple Music
  • Bricks Are Heavy – L7|Spotify
  • Bricks Are Heavy – Wikipedia
  • L7 – Bricks Are Heavy|Discogs
  • They Can’t Hear A Word We’ve Said: Bricks Are Heavy at 30|Rock and Roll Globe
  • Riot grrrl’s most venomous lyrical takedowns|Dazed
  • L7 – Bricks Are Heavy 1992|The Year Grunge Broke
PR
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