アルバムレビュー:Waiata Corroboree by Split Enz

※本記事は生成AIを活用して作成されています。

発売日: 1981年3月16日
ジャンル: ニューウェイヴ、アートポップ、ポップロック、ポストパンク

概要

『Waiata』(ニュージーランド盤タイトル)/『Corroboree』(オーストラリア盤タイトル)は、Split Enzが1981年にリリースした6作目のスタジオ・アルバムであり、前作『True Colours』で確立したポップ・スタイルをさらに洗練させつつ、より大胆で多様な表現へと展開した作品である。
タイトルの「Waiata」はマオリ語で“歌”を意味し、対して「Corroboree」はオーストラリア先住民アボリジニの伝統的な舞踏儀式を指す。
それぞれの国における文化的アイデンティティを尊重したこの2つのタイトルは、Split Enzというバンドがいかに地域性とグローバル性を両立させていたかを象徴している。

本作では、ニール・フィンとティム・フィンのソングライターとしての個性がより明確に分化し、メロディの強さ、構成の巧みさ、リリックの奥深さにおいて、前作以上の完成度を誇る。
プロデュースは再びDavid Tickleが担当し、シンセサイザーとギター、ヴォーカルのアンサンブルが緻密に絡み合うタイトで艶やかな音像が特徴となっている。

Split Enzが“奇抜なアートロックバンド”から“世界基準の洗練されたニューウェイヴ・ポップアクト”へと完全に進化を遂げた証明として、本作は重要な一里塚と言える。

全曲レビュー

1. Hard Act to Follow

アルバムの幕開けにふさわしいエネルギッシュなナンバー。
ニール・フィン作によるポップで歯切れのよいギターリフと、疾走感のある展開が印象的。
「追いつけない存在になりたい」というテーマが、若き創作者の野心を率直に伝えてくる。

2. One Step Ahead

本作最大のヒット曲にして、Split Enzの代表曲のひとつ。
シンプルなコード進行と繊細なメロディ、緊張感あるヴォーカルが絡み合い、ニューウェイヴ的美学と感情の起伏を同時に描き出す名曲
ニール・フィンの職人芸が光る。

3. I Don’t Wanna Dance

ティム・フィンによるダークでひねくれたポップソング。
軽快なタイトルとは裏腹に、人間関係の違和や不安を投影した内向的な内容が歌われる。
リズムとメロディのギャップが絶妙。

4. Iris

どこか神秘的な響きをもつバラード調の楽曲。
夢と現実、記憶と予兆を行き来するようなリリックと浮遊感あるシンセが印象的。
“誰か”を名指しせずに描くことで、普遍的な感情の残像を残す一曲。

5. Wail

ティム・フィンによる実験的なナンバーで、叫び(Wail)というタイトルにふさわしく、感情の爆発と断絶を音で描いた異色作
ヴォーカルとパーカッションの緊張感が強烈で、Split Enzのアートロック的原点を思わせる。

6. Clumsy

ニール作による柔らかくメロディアスな一曲。
不器用さをテーマにしながらも、メロディラインには優しさと包容力が滲む
バンドのポップ性を最もナチュラルな形で表現している。

7. History Never Repeats

本作のハイライトであり、ニール・フィンの代表曲。
“歴史は繰り返さない”というタイトルが皮肉を込めて何度も繰り返される、Split Enz流ニューウェイヴの完成形とも言えるナンバー。
ギターとシンセの絡みが美しい。

8. Walking Through the Ruins

ゆったりとしたテンポで進む幻想的なナンバー。
壊れた関係や時代の崩壊を象徴的に描き、“静かな崩壊の美学”を宿す作品。
ストリングスのようなシンセの使い方が印象的。

9. Ships

物語的なリリックと叙情的なメロディが印象的な、ティム・フィン節全開のシアトリカル・ポップ
航海や旅を通じて内面の不安や希望を浮かび上がらせる構成は、アルバムの中でも屈指の文学的魅力を放つ。

10. Ghost Girl

神秘的な存在への憧れと喪失を描いたバラード。
ティムのヴォーカルが語るように歌い、幽霊のような恋人=記憶や理想への執着が淡く描かれる。
幻想と現実の境界を彷徨うような楽曲。

11. Albert of India

本作のクロージングを飾るインストゥルメンタル・トラック。
エキゾチックな旋律と、クラシカルな構成が相まって、Split Enzの“音楽劇”としての側面を最後に提示する一曲。
“物語のエンドロール”のような余韻を残す。

総評

『Waiata / Corroboree』は、Split Enzが世界基準のポップバンドとしての地位を確立しながらも、自らの芸術的出自と文化的ルーツを見つめ直した重要作である。
ポップでありながら深く、派手でありながら抑制が効いている。
そして何より、ニール・フィンとティム・フィンという2人の創作軸が絶妙な緊張と補完の関係を保っていた、バンド史上もっともバランスの取れた瞬間がここに刻まれている。

Split Enzがこれ以降、よりメロディックで広く開かれた作品へと進んでいく中で、本作はその“過渡期”でありながら“黄金期”とも呼べる濃密な音楽世界を築いている。

おすすめアルバム(5枚)

  • Crowded House / Crowded House
     ニール・フィンによるSplit Enzの精神的後継。メロディの美しさと繊細な叙情。

  • Squeeze / East Side Story
     ツインボーカル、ストーリーテリング、ニューウェイヴ的美意識が共通。

  • Japan / Gentlemen Take Polaroids
     感情の繊細さと都市的美学が交錯する、“内省系ポップ”の代表作。

  • Talking Heads / Speaking in Tongues
     グルーヴと構造、ポップとアートのバランス感覚がSplit Enzと通じる。

  • XTC / Black Sea
     知性と遊び心が共存するニューウェイヴ・ポップの傑作。

コメント

タイトルとURLをコピーしました