発売日: 2021年8月13日
ジャンル: インディーロック、カントリーノイズ、シューゲイザー
Twin Plaguesは、ノースカロライナ出身のバンドWednesdayによる3作目のアルバムで、ノイジーなシューゲイザーとカントリーの温かさが混ざり合った異色のサウンドが特徴である。本作では、轟音のギターとKarly Hartzmanの柔らかくも切ないボーカルが融合し、激しさと穏やかさが絶妙に対比されている。歌詞は、日常生活や個人的な体験を詩的に描きながら、青春の葛藤、喪失、希望といったテーマを表現し、リスナーを彼らの心象風景に引き込む。バンドは、このアルバムで自身のサウンドを確立し、リスナーに新鮮で感情的な音楽体験を提供している。
プロデューサーのAlex Farrarとともに制作された本作は、ローファイな質感と緻密なサウンドが巧みに混ざり合い、リスナーにノスタルジックでありながらもエッジの効いた印象を与える。特に、シューゲイザーの轟音とカントリー調のメロディの組み合わせは、Wednesdayならではのサウンドであり、アルバム全体に一貫したトーンと深い情感が流れている。
トラックごとの解説
1. Twin Plagues
タイトル曲であり、ノイズギターとキャッチーなメロディが融合したアップテンポなトラック。激しいサウンドの中に、どこか物悲しさが漂っている。
2. Handsome Man
鋭いギターリフと力強いビートが特徴の曲で、情熱的なエネルギーがあふれている。Hartzmanのボーカルが曲全体の勢いをさらに盛り上げている。
3. The Burned Down Dairy Queen
淡々としたテンポで進むこの曲は、失われた過去や思い出についての詩的な歌詞が心に残る。ギターの響きがメランコリックな雰囲気を演出している。
4. Climber
メロウなギターと切ないメロディが特徴的なバラードで、Hartzmanのボーカルが優しくも儚げに響く。日常の中の小さな悲しみが描かれている。
5. Cody’s Only
カントリー調のギターが印象的で、シンプルな構成ながらも温かみのある曲。ローファイなサウンドが親しみやすく、心地よい余韻を残す。
6. Gary’s
ゆったりとしたリズムとメロディが特徴で、Hartzmanが静かに語りかけるように歌う。落ち着いたトーンが心地よく、ノスタルジックな感情を呼び起こす。
7. Three Sisters
重厚なギターとリズムが特徴の曲で、激情と静寂が交互に訪れる展開が印象的。バンドのエネルギーと繊細さがうまく融合している。
8. The Other Side
軽快なビートとキャッチーなメロディが楽しめる楽曲で、カントリー調のサウンドがアクセントを加えている。開放感が漂い、リスナーを引き込む一曲。
9. Birthday Song
切なくも美しいメロディが特徴的なバラード。ギターとHartzmanの柔らかいボーカルが調和し、アルバムの中でもひときわ感情的な曲に仕上がっている。
10. One More Last One
シューゲイザーの要素が強いトラックで、激しいノイズの中に切ないメロディが流れる。重厚なサウンドが曲に深みを与えている。
11. Ghost of a Dog
アルバムのラストを飾る曲で、静かなギターのイントロから徐々に盛り上がる構成が特徴的。過去への思いが歌詞に込められ、心に残るフィナーレとなっている。
アルバム総評
Twin Plaguesは、Wednesdayが自身の音楽スタイルをさらに深化させたアルバムであり、ノイジーなシューゲイザーサウンドとカントリーの素朴さが絶妙に組み合わさっている。感情的な歌詞と轟音のギターが、リスナーに迫力と深みを与え、ノスタルジックでありながらも現代的な音楽体験を提供している。Hartzmanの歌詞は、日常の中の些細な出来事や感情に焦点を当てており、詩的でありながらも親しみやすい内容となっている。アルバム全体を通して一貫したトーンが保たれ、Wednesdayの音楽的アイデンティティが確立された作品である。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
Stranger in the Alps by Phoebe Bridgers
叙情的で内省的な歌詞と、淡々としたサウンドが特徴で、Twin Plaguesの感情的なトーンに共鳴する作品。
Slowdive by Slowdive
シューゲイザーの名作で、重厚なギターサウンドが特徴。Twin Plaguesの轟音ギターと重なる部分がある。
The Glow Pt. 2 by The Microphones
ローファイなプロダクションとエモーショナルな歌詞が特徴で、Wednesdayの持つノスタルジックな要素に通じる。
American Water by Silver Jews
カントリーとインディーロックが融合したアルバムで、Twin Plaguesのカントリー調のエッセンスが好きなリスナーにおすすめ。
I Could Live in Hope by Low
ミニマルでメランコリックなトーンが漂うアルバムで、Wednesdayの静謐でノスタルジックなサウンドと相性が良い。
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