アルバムレビュー:The La’s by The La’s

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※本記事は生成AIを活用して作成されています。

発売日: 1990年10月1日
ジャンル: ジャングリー・ポップ、ネオ・サイケデリア、ギター・ポップ、ブリットポップ前夜


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概要

『The La’s』は、イングランド・リヴァプール出身のバンド The La’s が1990年に発表した唯一のスタジオ・アルバムであり、
“名曲「There She Goes」の生みの親”として知られるが、それ以上に英国ギター・ポップ史におけるカルト的傑作として多くの音楽ファンに愛され続けている。

リーダーのリー・メイヴァーズ(Lee Mavers)は、60年代ビート・グループへの執着と類まれなソングライティング能力を併せ持つ天才であり、
ビートルズやザ・バーズからの影響を、1980年代末のUKインディー文脈の中に再構築したとも言える音楽性を持っていた。

制作過程は非常に混迷を極め、4年以上にわたるレコーディング、複数のプロデューサー変更、本人の意に沿わぬミックスなどが重なり、
最終的に発表されたアルバムは、メイヴァーズ自身が「これは自分たちの音ではない」と否定したことでも知られる。

しかしそのサウンドは、ジャングリーなギターと透明感のあるメロディ、シンプルで力強いビートに支えられ、
その後のOasisやThe Coral、Cast(元La’sメンバー)といったブリットポップ〜UKロックの潮流に大きな影響を与えた。


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全曲レビュー

1. Son of a Gun

オープニングを飾る軽快なロックナンバー。
60年代的なリフと、パンキッシュな潔さが融合しており、The La’sの本質=回顧と切迫感がここにある。

2. I Can’t Sleep

不眠と混乱の中で揺れる精神を描いた一曲。
荒削りなギターとスナップの効いたドラムが、焦燥感をリズムに変換している。

3. Timeless Melody

その名の通り、“時代を越える旋律”を体現した代表曲のひとつ。
サイケデリックなコード感と、心地よいメロディのバランスは、UKギターポップ史の中でも屈指の完成度

4. Liberty Ship

夢と自由を求めて旅立つ者の姿を、比喩と語感の妙で描いた隠れた名曲。
ミニマルな展開のなかに、レノン的な語り口とビートルズ以降の幻影が見える。

5. There She Goes

説明不要の名曲。シンプルなコード進行と天上のようなメロディが、永遠の恋心や憧れを封じ込めた。
一説には“ヘロインへの賛歌”とも、“純粋なラブソング”とも取られるが、それを越えてポップ・ミュージックの神秘となった楽曲である。

6. Doledrum

タイトルは“Doldrum(無気力)”をもじった造語。
社会的鬱屈とパーソナルな虚無感を、ファストなアンサンブルで表現する。

7. Feelin’

パーカッシブで、グルーヴィーなアプローチが際立つ異色曲。
サイケデリックな浮遊感の中に、混迷する90年代初頭のUKシーンの気配がにじむ。

8. Way Out

突き抜けるようなギターが爽快なパワー・ポップ。
出口を探し続ける心情が、音楽的カタルシスとして響く。

9. I.O.U.

“君に借りがある”というタイトル通り、過去の関係や感情への負債をテーマにした短編のような一曲。
歌詞の断片的な語り口が印象的。

10. Freedom Song

トラディショナルな響きを持つフォーク・スタイルの一曲。
タイトルの通り、自由と自立をテーマにしながらも、どこか空虚な余白が心に残る。

11. Failure

直訳すれば「失敗」。
短く、そっけないほどシンプルな構成に、メイヴァーズの自己否定と世界への倦怠がにじむ。

12. Looking Glass

7分以上の壮大なエンディング・トラック。
The Who的な展開とサイケな音像が交錯し、アルバムを夢の中のような余韻で終わらせる。
この曲を最後に配置したことが、The La’sというバンドの詩的イメージをより神秘的なものにしている。


総評

『The La’s』は、英国ロック史の中でも特異な位置にある。
それは、たった一作で“すべてを語って去った”バンドの象徴であり、
同時に、90年代のUKロックの萌芽として、The Stone RosesやOasisBlurといった後続世代の先駆けともなった。

音像は決して完璧ではなく、リー・メイヴァーズ自身が望んだ形ではない。
しかし、だからこそ本作には未完成のまま輝く音楽の奇跡が息づいており、
時代や音楽スタイルを越えてリスナーの心を掴み続ける。

「There She Goes」一曲で名を残すバンドは多くあるが、
このアルバム全体が“あの一曲”と同じ美しさを持っていることは、聴けばわかるはずだ。
そしてそれは、永遠に更新されない“理想のポップ・アルバム”のひとつとして、語り継がれていくだろう。


おすすめアルバム

  • The Stone Roses『The Stone Roses』
     同時代のマンチェスター発のサイケ・ポップ名盤。The La’sと双璧をなす1st。
  • The Byrds『Younger Than Yesterday』
     ジャングリー・ギターと美しいハーモニーの原点。The La’sが最も影響を受けた音のひとつ。
  • Love『Forever Changes
     サイケとポップの境界にある傑作。詩的イメージとメロディの融合が共鳴する。
  • Teenage FanclubBandwagonesque
     90年代初頭のUKメロディ派ギターロックの代表格。La’s以降の流れを継ぐ存在。
  • Cast『All Change
     元La’sメンバー、ジョン・パワーが率いるバンドの1st。The La’sの延長線上にある作品。

制作の裏側

本作のレコーディングは何度もやり直され、プロデューサーが交代するたびに“ボツ”になるという異常な過程をたどった。
その主な理由は、リーダーのリー・メイヴァーズが“理想のサウンド”に異常なまでにこだわったためで、
一説には「60年代の埃のついたマイクで録りたい」とまで語っていたという。

最終的に完成を担当したのはスティーヴ・リリーホワイト(U2XTCで知られる名プロデューサー)だったが、
メイヴァーズはこの音源を認めず、バンドはほぼ活動停止状態に。
しかし、この幻のような制作過程こそが、『The La’s』を伝説へと変えた最大の要因であったのだ。

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