アルバムレビュー:The Complete Stone Roses by The Stone Roses

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※本記事は生成AIを活用して作成されています。

発売日: 1995年5月15日
ジャンル: インディー・ロック、マッドチェスター、サイケデリック・ポップ


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概要

『The Complete Stone Roses』は、The Stone Rosesが1995年にリリースしたコンピレーション・アルバムであり、デビュー前後の初期シングル、B面、未収録曲、さらには別ミックス版までを網羅した、“決定版アーカイヴ”と呼ぶべき作品である。

Silvertone Recordsが、バンドとの契約終了後にリリースした編集盤であり、バンドの意思を反映したものではない。だが、音源としての価値は極めて高く、特に初期シングルの12インチヴァージョンやラフミックス、アウトテイクなど、正規アルバムには収録されていない貴重なトラックが多数含まれている。

1985年から1990年という、バンドの“創世期”から“神話化”までの過程を俯瞰できる内容となっており、彼らの音楽的進化や実験的な試行錯誤を時系列で体感できる貴重なドキュメントである。


全曲レビュー

※収録曲が多いため、主要楽曲を中心にピックアップ。

So Young

1985年に発表されたデビュー・シングル。
パンキッシュなエネルギーと青臭さが詰まった、まさに“Garage Flower”期の象徴。
のちの浮遊感とは正反対のアグレッシヴさが新鮮である。

Tell Me

初期The Stone Rosesの中でも特に躍動感のあるトラック。
パーカッシブなドラムと鋭いギターが印象的で、レニのリズムセンスがすでに光っている。

Sally Cinnamon

バンド初の“名曲”として広く知られるシングル。
繊細で甘酸っぱいメロディとポップなギター・サウンドが印象的で、後の音楽性の萌芽を感じさせる。
「愛を花で表現する」というリリックの比喩も秀逸。

Here It Comes

「Sally Cinnamon」とのカップリングとして収録された佳曲。
軽快なリズムとメロディの美しさが光る、シンプルながら完成度の高い一曲。

Elephant Stone (12″ version)

幻覚的なギター・リフと跳ねるようなビートが心地よい。
ジョン・レッキーによるリミックスで、後の“マッドチェスター”のプロトタイプとなるようなサウンドが完成されている。

Full Fathom Five (Elephant Stone instrumental)

「Elephant Stone」のインストゥルメンタル版で、音のレイヤーを純粋に楽しめる貴重なテイク。
ギターの揺らぎやエフェクトの処理が、サウンド職人としてのジョン・スクワイアの力量を示している。

The Hardest Thing in the World

ラブソングの体裁を取りつつ、どこか現実的な諦念が滲む。
軽快なポップネスとメランコリックなニュアンスが同居する一曲。

Made of Stone (7″ version)

名曲「Made of Stone」の7インチ・エディット。
短縮版ながら、その美しさと構成の完璧さは変わらない。

Going Down

アコースティックな響きと穏やかなメロディに包まれた、初期の隠れた名曲。
午後の陽射しのような温もりが全体を包む。

Fools Gold (full version)

全長9分を超える長尺ファンク・ジャム。
マッドチェスターとロックの融合、そして“踊れるロック”の究極形として、バンドの代表曲にふさわしいスケールを持つ。
ギターとパーカッションの絡みは、催眠的かつ中毒性が高い。

What the World Is Waiting For

「Fools Gold」との両A面シングル。
ポップなメロディと皮肉なリリックの対比が際立つ。
「世界が待ち望んでいる」とは何か?という問いは、バンド自身のメタコメントとも読める。


総評

『The Complete Stone Roses』は、その名の通り、The Stone Rosesの初期キャリアを“ほぼ”網羅したコンプリート盤であり、ファンにとっては不可欠なアイテムである。

サウンド面では、『The Stone Roses』(1989年)の完成美よりも、荒削りで未完成な魅力に満ちており、特にインディー期〜シルヴァートーン期の多彩な楽曲群を俯瞰することで、バンドがいかにして“神話”に到達したかを辿ることができる。

また、「Sally Cinnamon」以降に見られるポップとサイケのブレンドは、90年代ブリットポップの源流でもあり、後進への影響の大きさを再認識させてくれる。

バンドが意図して作ったアルバムではないという点で、公式作とは一線を画すが、“The Stone Rosesという現象”の全体像を理解するためのパズルの重要な一片であることは間違いない。


おすすめアルバム

  • Oasis / The Masterplan
     シングルB面を中心に構成されたコンピだが、統一感と強度を誇る。

  • Blur / The Special Collectors Edition
     初期B面曲集。荒削りながら、バンドの多面性と成長が見える点で共通。

  • The La’s / The La’s (Deluxe Edition)
     公式盤+未発表音源で構成され、The Stone Rosesと並ぶ“完成された未完成”の象徴。

  • Ride / Waves
     EP曲・B面を集めた編集盤。シューゲイザー初期の勢いと未整合な魅力が味わえる。

  • The Smiths / Hatful of Hollow
     スタジオとは異なるラフな音源が多数。音楽的な“生の美しさ”という点で近似する。


制作の裏側(Behind the Scenes)

『The Complete Stone Roses』は、Silvertone Recordsによって独自に編集・リリースされたもので、バンドはその内容や発売時期に関与していない。

しかし、収録曲の多くはジョン・レッキーのプロデュースのもと、精緻な録音・ミックスが施されており、公式作に匹敵する音質と完成度を誇る。

また、時系列で配置されたトラックリストは、バンドの進化過程を自然に追体験できる構成となっており、The Stone Rosesというバンドの軌跡をひとつの物語として提示する役割を果たしている。


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