アルバムレビュー:Technique by New Order

※本記事は生成AIを活用して作成されています。

  • 発売日: 1989年1月30日
  • ジャンル: オルタナティヴ・ダンス、シンセポップ、ニューウェイヴ、ダンス・ロック、ポストパンク、バレアリック、ハウス

概要

New Orderの5作目のスタジオ・アルバム『Technique』は、バンドがポストパンク由来のメランコリーと、1980年代末のクラブ・カルチャーを最も自然に融合させた代表作である。1981年の『Movement』では、Joy Divisionの喪失の影を背負った暗く硬い音が中心だった。1983年の『Power, Corruption & Lies』では、シンセサイザーとドラムマシンを導入し、バンドは自分たちの新しい音楽言語を確立した。1985年の『Low-Life』では、ロック・バンドとしての緊張感とエレクトロニックなビートが高い水準で統合され、1986年の『Brotherhood』では、ギター・バンドとしてのNew Orderと、ダンス・ミュージックへ向かうNew Orderの二面性がより明確に表れた。その流れの先にある『Technique』は、彼らのダンス志向が完全に開花したアルバムである。

本作を語るうえで欠かせないのは、イビサのクラブ・カルチャーである。1980年代後半、英国の若者文化はアシッド・ハウス、バレアリック・ビート、レイヴの高揚へ向かっていた。New Orderはすでに「Blue Monday」によって、ロック・バンドとクラブ・ミュージックの境界を大きく変えていたが、『Technique』では、そのクラブ的な身体感覚がより自然にアルバム全体へ流れ込んでいる。シンセサイザー、シーケンサー、ドラムマシン、ハウス的なピアノ、反復するビートが、バンドのギター、ベース、ヴォーカルと混ざり合い、冷たい都市の夜ではなく、地中海の光を帯びたような開放感を生んでいる。

ただし、『Technique』は単なるダンス・アルバムではない。New Orderの本質である悲しみ、孤独、関係の不安、感情の不器用さは、ここでも消えていない。むしろ、明るいビートの中にそれらが溶け込むことで、アルバムは独特の深みを持つ。踊れるのに切ない。開放的なのに孤独である。快楽的なのに、どこか壊れかけている。この矛盾が、『Technique』の最大の魅力であり、New Orderというバンドの核心でもある。

タイトルの『Technique』は、「技術」「技法」を意味する。これは、バンドが電子機材やスタジオ技術を高度に使いこなす段階へ到達したことを示しているようにも読める。しかし、このタイトルには冷たさだけでなく、感情を制御し、構成し、踊れる形へ変換する方法という意味も感じられる。New Orderは、喪失や不安を直接叫ぶのではなく、ビート、シンセサイザー、ベースライン、ギターのきらめきへ変換する。その変換の技法こそが、彼らの音楽の本質である。

音楽的には、本作は二つの方向を持っている。一方には「Fine Time」「Round & Round」「Mr. Disco」「Vanishing Point」のような、ハウスやバレアリックの影響が強いエレクトロニックな曲がある。もう一方には「All the Way」Love Less」「Run」「Dream Attack」のような、ギター・ポップ/ロック色の強い曲がある。だが、『Brotherhood』のように二つの側面がはっきり分裂しているわけではない。『Technique』では、ギター曲にもダンス的な軽さがあり、エレクトロニックな曲にもバンドのメランコリーがある。全体として非常に滑らかに統合されている。

Peter Hookのベースは、本作でも決定的な存在である。New Orderのダンス・トラックは、シンセ・ベースや電子リズムだけで成立しているわけではない。Hookの高音域を使ったメロディックなベースが加わることで、機械的なビートの中に人間的な哀愁が生まれる。Stephen Morrisのリズム感覚は、ドラムマシン的な正確さと生演奏の柔軟さを併せ持ち、Gillian Gilbertのシンセサイザーは曲に光と運動性を与える。Bernard Sumnerのヴォーカルとギターは、完璧な歌唱や技巧ではなく、不器用な感情の揺れによってNew Orderらしさを保っている。

歌詞面では、恋愛、裏切り、自己防衛、すれ違い、現実逃避、終わりゆく関係が繰り返し描かれる。だが、それらは重く沈むのではなく、ビートの中で軽やかに流れていく。『Technique』の歌詞は、幸福なダンス・アルバムの歌詞ではない。むしろ、恋愛や人間関係の失敗を抱えた人間が、クラブの光の中で一時的に身体を動かし、痛みを忘れようとするような感覚がある。だからこそ、このアルバムの明るさは深い。

キャリア上の位置づけとして、『Technique』はNew Orderの1980年代の集大成である。Joy Divisionの遺産を出発点に、ポストパンク、シンセポップ、クラブ・ミュージックを融合してきた彼らが、ここで最も開放的で、最も洗練された形へ到達した。後の『Republic』では、より商業的なポップ性とバンド内の疲弊が表れるが、『Technique』にはまだ発見と快楽の鮮度がある。New Orderがロック・バンドとしても、ダンス・ミュージックの革新者としても、最も幸福なバランスを得たアルバムである。

全曲レビュー

1. Fine Time

オープニング曲「Fine Time」は、『Technique』のクラブ志向を最初から明確に示す楽曲である。冒頭からハウス・ミュージック的なビート、電子的なベース、サンプリング的な声の処理が前面に出ており、従来のギター・バンドとしてのNew Orderを期待すると驚かされる。タイトルの「Fine Time」は、楽しい時間、ちょうどよい時、あるいは皮肉を含んだ時間の感覚を示す。

音楽的には、アシッド・ハウスやバレアリック・ビートの影響が強く、反復するリズムが身体を直接動かす。シンセサイザーの音色は明るく、少し人工的で、当時のクラブ・カルチャーの高揚感を反映している。New Orderはここで、ロック・バンドの枠を大きく越え、完全にダンス・フロアの言語を使っている。

だが、「Fine Time」は単なるハウス模倣ではない。New Orderらしいメランコリーや奇妙なユーモアも含まれている。電子音の中に少しとぼけたような声や不自然なフレーズが入り、曲は完全に洗練されたクラブ・トラックというより、バンドがクラブ文化を自分たちなりに解釈した作品になっている。この不器用な異物感がNew Orderらしい。

歌詞は断片的で、物語性よりも音の一部として機能している。ここでは言葉の意味より、声がビートにどう絡むかが重要である。New Orderは、歌を中心にしたロックの構造から離れ、声もまた電子音の一要素として扱っている。

「Fine Time」は、『Technique』の扉を開ける曲として非常に重要である。アルバムはここで、マンチェスターの暗いポストパンクの部屋から、イビサの光とクラブの熱気へ移動する。ただし、その光は完全な解放ではなく、どこか人工的で奇妙な光である。

2. All the Way

「All the Way」は、前曲のクラブ色から一転し、ギター・ポップとしてのNew Orderの魅力が強く表れた楽曲である。タイトルは「最後まで」「徹底的に」という意味を持ち、関係や信念を貫くこと、あるいは自分の道を進むことを連想させる。『Technique』が単なるダンス・アルバムではなく、ギター・バンドとしてのNew Orderも重要な役割を持っていることを示す曲である。

音楽的には、軽快なギター、メロディックなベース、明るいリズムが中心である。Peter Hookのベースは、曲に独特の哀愁と推進力を与える。Bernard Sumnerのギターはきらめきがあり、1980年代末のインディー・ギター・ポップにも通じる透明感を持つ。シンセサイザーは控えめながら、曲に空気の広がりを加えている。

歌詞では、自分らしく進むこと、周囲からの評価に左右されないことがテーマになっているように聞こえる。New Orderの歌詞はいつも断片的だが、この曲には比較的前向きな姿勢がある。ただし、それは大きな自信ではなく、傷つきながらも自分の道を選ぶような控えめな決意である。

Bernard Sumnerの歌唱は、ここでも不器用で自然である。彼の声は、完璧なロック・シンガーの声ではないが、New Orderの歌にはその不完全さが必要である。感情がきれいに整理されないまま歌われることで、曲は人間的なリアリティを持つ。

「All the Way」は、『Technique』の中でギター・ポップの側面を代表する曲である。クラブ的な快楽と並んで、New Orderにはこうした切ないギター・ソングの伝統があることを再確認させる。

3. Love Less

「Love Less」は、タイトルからして関係の冷え込みや、愛の不足を示す楽曲である。「less love」ではなく「Love Less」と言い切ることで、愛することを減らす、あるいは愛が減ってしまった状態の両方が感じられる。『Technique』の中でも、恋愛の不安と距離感が強く表れた曲である。

音楽的には、ギター・ロック寄りのアレンジで、前曲「All the Way」と同じくバンド・サウンドが中心になっている。しかし、曲のムードはより暗く、メロディには深いメランコリーがある。Peter Hookのベースはここでも曲の感情を大きく担い、沈んだ哀愁を作り出している。

歌詞では、関係がうまく機能しなくなったときの疲労や諦めが描かれる。愛が完全に消えたわけではない。しかし、以前のようには愛せない。あるいは、愛すること自体が痛みになっている。New Orderは、こうした感情を大げさにドラマ化せず、淡々としたメロディの中に置く。

Bernard Sumnerのヴォーカルは、感情を強く押し出さないことで、かえって歌詞の冷たさを際立たせている。関係が壊れるとき、人は必ずしも叫ばない。むしろ、感情が少しずつ薄れていく。その状態がこの曲にはある。

「Love Less」は、『Technique』のギター・サイドの中でも特に内省的な曲である。ダンス・ビートの開放感の裏側にある、関係の疲労と孤独を静かに描いている。

4. Round & Round

「Round & Round」は、『Technique』の代表曲のひとつであり、New Orderのエレクトロニック・ポップの完成度を示す楽曲である。タイトルは「ぐるぐる回る」という意味を持ち、同じ関係の問題を繰り返すこと、思考が循環すること、あるいはクラブでの反復するビートに身を委ねることを連想させる。恋愛の堂々巡りとダンス・ミュージックの反復が重なる、非常にNew Orderらしい曲である。

音楽的には、シンセサイザーの明るいフレーズ、精密なビート、メロディックなヴォーカルが美しくまとまっている。曲はポップで聴きやすいが、過度に甘くならない。電子音の冷たさが、メロディの美しさを引き締めている。New Orderが1980年代に築いたシンセポップの美学が、非常に洗練された形で表れている。

歌詞では、相手との関係が同じ場所を回り続ける感覚が描かれる。言いたいことが伝わらず、同じ問題が繰り返され、感情は前に進まない。だが、音楽は軽快に進む。この対比が曲の魅力である。関係は堂々巡りなのに、ビートは踊れる。悲しみや苛立ちが、ポップな反復へ変換されている。

Bernard Sumnerの声は、ここでは非常に曲に合っている。感情を激しくぶつけるのではなく、少し距離を置いて歌うことで、恋愛の不毛な循環がよりリアルに響く。相手を責めているようでもあり、自分もまたその輪の中にいることを分かっているようでもある。

「Round & Round」は、『Technique』の中で最も完成度の高いポップ・ソングのひとつである。明るく、冷たく、踊れて、苦い。New Orderの魅力が凝縮されている。

5. Guilty Partner

「Guilty Partner」は、タイトルからして罪悪感と共犯関係を思わせる楽曲である。「罪ある相手」「共犯者」といった意味を持ち、恋愛や人間関係における責任の共有、裏切り、互いに傷つけ合う関係を連想させる。『Technique』の中でも、感情の影が濃い曲である。

音楽的には、ギターとシンセサイザーがバランスよく配置され、ミドルテンポで進む。派手なダンス・トラックではないが、リズムには軽さがあり、音像には1980年代末の洗練がある。Peter Hookのベースは、曲の切なさを支える重要な旋律として機能している。

歌詞では、関係の中で誰が悪いのか、誰が責任を持つのかという問いが漂う。恋愛における失敗は、片方だけの責任でないことも多い。相手を責めながら、自分もまた罪を共有している。タイトルの「Guilty Partner」は、その複雑さを端的に示している。

Bernard Sumnerのヴォーカルは、ここでも感情を完全には表に出さない。罪悪感や責任は大きく叫ばれず、淡々と歌われる。その抑制が、曲の大人びた苦さにつながっている。若い恋愛の激情ではなく、壊れた関係を少し離れた場所から見つめるような感覚がある。

「Guilty Partner」は、『Technique』の中で、クラブ的な高揚とギター・ポップの間にある中間的な楽曲である。アルバム全体の感情的な陰影を深める重要な曲である。

6. Run

「Run」は、本作の中でも特にギター・ロック/インディー・ポップ色が強い楽曲である。タイトルは「走る」「逃げる」「駆ける」を意味し、前進、逃避、自由への衝動を含んでいる。New Orderはこの曲で、エレクトロニックな方向から少し離れ、よりストレートなバンド・サウンドを聴かせる。

音楽的には、ギターの響きが非常に重要で、明るく開けたメロディを持つ。Peter Hookのベースはいつものように高音域で歌い、曲に独特の切なさを与える。リズムは軽快で、ドライブ感があり、まさに走るように曲が進む。シンセサイザーは背景に溶け込み、ギター・ポップとしての質感を支えている。

歌詞では、逃げ出すこと、進むこと、相手や過去から距離を取ることが感じられる。New Orderの曲では、逃避は必ずしも否定的ではない。時には、走ることでしか自分を守れないこともある。ここでの「Run」は、自由への衝動と、何かから逃げる不安の両方を含んでいる。

この曲は、New Orderがギター・バンドとしても非常に優れていることを示す。彼らはシンセサイザーやクラブ・ビートの革新者として語られがちだが、メロディックなギター・ポップを書く力も高い。「Run」はその側面を代表する曲である。

「Run」は、『Technique』の中で、アルバム後半に爽やかな推進力を与える楽曲である。踊るのではなく、走る。クラブの床から外へ出て、開けた空間へ向かうような曲である。

7. Mr. Disco

「Mr. Disco」は、タイトルからしてクラブ・カルチャーへの直接的な接近を感じさせる楽曲である。ディスコという言葉は、1970年代のダンス文化を連想させるが、New Orderはそれを1980年代末のハウス、シンセポップ、バレアリックな感覚と結びつけている。『Technique』のダンス・サイドを象徴する曲のひとつである。

音楽的には、明確にダンス・トラックとして機能する構造を持っている。ビートは反復的で、シンセサイザーは明るく、ベースラインは身体を動かす方向へ設計されている。ギターは控えめで、全体にはクラブのフロアを意識した音作りがある。New Orderが自分たちのロック的出自を保ちながらも、完全にダンス・ミュージックの快楽へ踏み込んでいることが分かる。

しかし、この曲にもNew Orderらしい陰影がある。タイトルは軽く、少しユーモラスだが、歌詞には関係の不安や距離感が含まれている。踊ることは、必ずしも幸福の証ではない。むしろ、言葉にできない感情や失敗した関係を一時的に忘れるための行為でもある。

「Mr. Disco」というキャラクター的なタイトルは、クラブの中で演じられる自己像を思わせる。人はフロアで別の自分になれる。しかし、その仮面の裏には孤独がある。New Orderのダンス・ミュージックは、その仮面と孤独の関係を非常に巧みに表現する。

「Mr. Disco」は、『Technique』のイビサ的な側面を強く示す楽曲である。軽快で、踊れて、しかしどこか醒めている。そのバランスがNew Orderならではである。

8. Vanishing Point

「Vanishing Point」は、本作の中でも特に壮大で、エレクトロニックな高揚感が強い楽曲である。タイトルは「消失点」を意味し、遠近法において線が一点に収束する場所を指す。これは視覚的な言葉であると同時に、人生や関係が遠くへ消えていく感覚、到達できない地点、未来の不確かさを象徴している。

音楽的には、シンセサイザーの広がりとダンス・ビートが中心で、アルバムの中でも最も開放的な瞬間のひとつである。曲はゆっくりと高揚し、広い空間へ向かって進む。ハウス的なリズムの影響を感じさせながら、New Orderらしいメランコリックな旋律が全体を包んでいる。

歌詞では、何かが遠ざかり、見えなくなっていく感覚が描かれる。消失点は、見えているようで届かない場所である。人間関係や未来も同じように、遠くに見えていても、近づくほど形を変える。この曲は、その距離と視界の感覚を音楽的に表現している。

Bernard Sumnerのヴォーカルは、電子的な広がりの中でやや儚く響く。彼の声は強く支配するのではなく、音の流れの中に溶ける。そのため、曲全体に夢のような浮遊感が生まれる。Peter Hookのベースも、曲に人間的な輪郭を与えている。

「Vanishing Point」は、『Technique』のクライマックスのひとつである。クラブの高揚、視覚的な広がり、未来への不安、すべてが美しく結びついている。New Orderのダンス・ミュージックが単なるリズムではなく、感情と風景を作るものであることを示す名曲である。

9. Dream Attack

ラスト曲「Dream Attack」は、『Technique』を締めくくるにふさわしい、明るくも切ないギター・ポップの名曲である。タイトルは「夢の攻撃」と訳せる奇妙な言葉であり、夢が人を癒やすだけでなく、時に現実を揺さぶり、不安を突きつけるものでもあることを示している。アルバムの最後にこの曲が置かれることで、『Technique』はクラブの夜から朝の光へ向かうような余韻を残す。

音楽的には、ギター、ベース、ドラム、シンセサイザーが非常に自然に融合している。『Technique』の中でも、ロック・バンドとしてのNew OrderとエレクトロニックなNew Orderが最も滑らかに結びついた曲のひとつである。ギターは明るく、ベースはメロディックで、シンセサイザーは曲に柔らかな光を与える。リズムは軽快だが、曲全体には深い哀愁がある。

歌詞では、夢、記憶、関係の痛み、現実への回帰が感じられる。夢は逃避の場所であると同時に、忘れたいことを再び見せる場所でもある。「Dream Attack」というタイトルには、その二面性がある。人は夢の中で自由になれるが、同時に夢によって傷つくこともある。

Bernard Sumnerの歌は、ここでは非常に優しく響く。感情を大きく演出せず、淡々と歌うことで、曲は過剰な感傷を避けている。New Orderの美しさは、こうした抑制にある。泣き叫ばずに悲しみを伝える。明るいメロディの中に、静かな寂しさを残す。

「Dream Attack」は、『Technique』の終曲として非常に完成度が高い。アルバムはクラブ的な快楽と恋愛の痛みを通過し、最後に夢と朝の間のような場所へ着地する。完全な救済ではないが、柔らかな光がある。New Orderの1980年代を締めくくるにふさわしい、美しいラストである。

総評

『Technique』は、New Orderのキャリアにおける最も重要な到達点のひとつであり、1980年代末のロックとダンス・ミュージックの融合を象徴する名盤である。Joy Divisionの暗いポストパンクから出発したバンドが、『Power, Corruption & Lies』『Low-Life』『Brotherhood』を経て、ここでついにクラブ・カルチャーの光と快楽を自分たちの音楽の中に完全に取り込んだ。しかし、それによって彼らのメランコリーが消えたわけではない。むしろ、明るいビートの中に孤独や失敗した恋愛の痛みが溶け込むことで、New Orderの音楽はさらに深くなった。

本作の最大の魅力は、統合感である。『Brotherhood』ではギター・バンドとしてのNew Orderと、シンセ/ダンス志向のNew Orderがやや分かれていた。しかし『Technique』では、その二つが非常に自然に共存している。「Fine Time」「Round & Round」「Mr. Disco」「Vanishing Point」はクラブ的な快楽を持ち、「All the Way」「Love Less」「Run」「Dream Attack」はギター・ポップとしての美しさを持つ。だが、どちらの曲群にも共通してNew Orderらしい切なさがある。そのため、アルバム全体は分裂せず、ひとつの流れとして響く。

イビサの影響は本作の重要な背景である。アシッド・ハウスやバレアリック・ビートの開放感、クラブの反復、夜の快楽がアルバム全体に反映されている。しかし、New Orderはクラブ文化を単純に模倣したわけではない。彼らはそれを、自分たちのポストパンク的な感情構造と結びつけた。つまり、踊るための音楽でありながら、同時に関係の不安、自己嫌悪、記憶、孤独を抱えた音楽として成立させたのである。

「Fine Time」は、バンドがダンス・フロアに完全に飛び込む姿を示し、「Round & Round」はエレクトロニック・ポップとしての完成度を示す。「Vanishing Point」では、クラブ的な高揚が広大な視覚的イメージへ変わり、「Dream Attack」では、ギターとシンセの融合が美しい終幕を作る。一方で「Love Less」や「Guilty Partner」には、恋愛の疲労や責任の曖昧さが刻まれている。『Technique』は、快楽と失敗が同じビートの中にあるアルバムである。

Peter Hookのベースは、本作でもNew Orderの感情的な核である。ハウス的なビートやシンセサイザーが前面に出る曲でも、Hookのベースが入ることで、New Order特有の哀愁が生まれる。機械的なリズムだけでは出せない人間的な痛みが、彼の高音域ベースによって曲に注入されている。Stephen Morrisのリズム感覚も、本作の完成度に大きく貢献している。彼のドラムとプログラミングは、正確でありながら硬すぎず、バンドとクラブの中間にある独自のグルーヴを作る。

Gillian Gilbertのシンセサイザーは、『Technique』の光の部分を担っている。『Movement』の電子音が冷たい霧のようだったのに対し、本作のシンセサイザーは、より明るく、開放的で、色彩豊かである。しかし、それは能天気な明るさではない。光の中にも影があり、メロディの中に寂しさが残る。Bernard Sumnerのヴォーカルとギターは、その不完全さによってアルバムに人間味を与えている。彼の歌は技巧的ではないが、感情がうまく整理されない人間の声として、New Orderの音楽に不可欠である。

歌詞面では、New Orderらしい曖昧さが本作でも重要である。恋愛の破綻、相手への不信、堂々巡り、罪悪感、逃避、夢。これらのテーマは、はっきりした物語としてではなく、断片的なフレーズとして現れる。だからこそ、曲は特定の出来事に閉じず、聴き手自身の経験を受け入れる余白を持つ。New Orderの歌詞は、電子音の中で感情を説明しすぎない。その控えめさが、アルバムの洗練につながっている。

音楽史的には、『Technique』はロック・バンドがクラブ・ミュージックと結びつくうえで大きな意味を持つ作品である。後のマッドチェスター、インディー・ダンス、オルタナティヴ・ダンス、エレクトロニック・ロックの多くは、New Orderが切り開いた道の上にある。Happy MondaysPrimal Scream、The Stone Rosesの一部の展開、さらに後のLCD Soundsystem、Hot Chip、The Rapture、The Killersなどにも、本作の影響は感じられる。ギター・バンドが踊ることを恐れず、クラブ・ミュージックが感情を持つ。その接点をNew Orderはここで非常に美しく示した。

日本のリスナーにとって『Technique』は、New Orderの中でも比較的入りやすいアルバムである。『Movement』の暗さや『Power, Corruption & Lies』の実験性に比べ、本作はメロディが明快で、リズムも開放的である。一方で、聴き込むほどに、歌詞の苦さ、ベースラインの哀愁、シンセサイザーの細かな質感が見えてくる。表面は明るいが、奥には深い陰影がある。そこが長く聴ける理由である。

『Technique』は、New Orderの1980年代の集大成であると同時に、1980年代から1990年代へ向かう橋でもある。アシッド・ハウス、クラブ・カルチャー、インディー・ロックの交差点に立ち、次の時代の音を予告している。だが、同時にこれはNew Orderの最も幸福な瞬間の記録でもある。バンド内部には後にさまざまな緊張が表面化するが、本作では、その緊張がまだ音楽的なエネルギーとして機能している。

総じて『Technique』は、踊れるメランコリーの傑作である。地中海的な光、マンチェスター的な影、クラブの反復、ギター・ポップの切なさ、恋愛の疲労、夢の攻撃。そのすべてが一枚の中で自然に結びついている。New Orderはここで、悲しみを捨てずに踊る方法を完成させた。『Technique』は、ロックとクラブ・ミュージックの境界が溶ける瞬間を、最も美しく記録したアルバムである。

おすすめアルバム

1. New Order – Power, Corruption & Lies

1983年発表の2作目。New OrderがJoy Divisionの影から抜け出し、シンセポップとポストパンクを融合する方向性を確立した重要作である。『Technique』のダンス志向は、このアルバムで始まった電子音楽への接近をさらに発展させたものとして理解できる。

2. New Order – Low-Life

1985年発表の3作目。ロック・バンドとしての緊張感、シンセポップ、ダンス・ビート、メランコリックな歌心が高い水準で統合された作品である。『Technique』よりも暗さが強く、New Order中期の完成度を知るうえで欠かせない。

3. New Order – Brotherhood

1986年発表の4作目。ギター・バンドとしてのNew Orderと、シンセサイザー/ダンス志向のNew Orderが一枚の中で並置された作品である。『Technique』で自然に融合する二つの方向性が、ここではよりはっきり分かれている。

4. Happy Mondays – Pills ’n’ Thrills and Bellyaches

1990年発表のアルバム。マンチェスターのクラブ・カルチャー、インディー・ロック、ファンク、ダンス・ビートが混ざり合ったマッドチェスターの代表作である。『Technique』が開いたロックとダンスの融合が、より享楽的で猥雑な形へ進んだ作品として関連性が高い。

5. Primal Scream – Screamadelica

1991年発表のアルバム。ロック、アシッド・ハウス、ゴスペル、ダブ、クラブ・カルチャーを融合した歴史的作品である。『Technique』が示したギター・バンドとダンス・ミュージックの接続が、1990年代初頭にさらに拡張された例として聴く価値が高い。

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