発売日: 2018年8月17日
ジャンル: ポップ、R&B、エレクトロポップ
『Sweetener』は、アリアナ・グランデが感情的な変化と自己発見をテーマに掲げた革新的なアルバムである。プロデューサーのファレル・ウィリアムスと共に作り上げたこの作品は、彼女の音楽的な枠をさらに広げ、より大胆でユニークなサウンドを取り入れている。エレクトロポップやR&Bに加え、彼女の特徴的なボーカルが際立つ実験的なトラックが多く、甘さと苦みが織り交ざる内容となっている。パーソナルなテーマと新しいサウンドで構成された本作は、彼女のキャリアにおける転機とも言える一枚だ。
各曲ごとの解説:
- raindrops (an angel cried)
アルバムの序章とも言える短いアカペラ曲で、アリアナの透き通ったボーカルが印象的だ。失恋や痛みを暗示する内容で、感情が剥き出しの歌声が聴く者の心を掴む。彼女の声の美しさが際立つイントロダクションである。 - blazed (feat. Pharrell Williams)
ファレル・ウィリアムスのプロデュースによるこの曲は、ファンキーでアップテンポなR&Bトラック。恋愛の喜びや魅力を軽快に歌い上げており、アリアナとファレルのボーカルの掛け合いがリズムに乗り、楽曲に独特の浮遊感を与えている。 - the light is coming (feat. Nicki Minaj)
ニッキー・ミナージュとの再びのコラボで、異質なエレクトロポップトラック。サンプリングを駆使した独特のサウンドが印象的で、歌詞は混沌とした状況の中でも光を見つけ出す希望をテーマにしている。ミニマルなビートが中毒性を生む一曲だ。 - R.E.M
甘くドリーミーなサウンドが特徴の「R.E.M」は、夢の中の恋愛を描いた曲で、シルキーなボーカルがリラックスした雰囲気を演出している。メロウなR&Bのトラックに乗せられたアリアナの声が、まるで夢の中を漂うような感覚をリスナーに与える。 - God is a woman
フェミニズムの象徴的なトラックで、アリアナの力強いメッセージ性が込められている。「God is a woman」は、スローなビートに乗せて、女性の力強さと自己肯定を描いており、彼女のボーカルは一貫してパワフルで官能的だ。中盤の高音域での歌声が特に圧巻で、圧倒的な存在感を放つ。 - sweetener
タイトル曲「sweetener」は、人生の中で苦しさを軽減し、甘さを加える存在への感謝を歌っている。軽快で陽気なビートと、浮遊感のあるメロディが特徴的なこの曲は、彼女の幸福感と前向きな姿勢が前面に出ている。 - successful
自己肯定感をテーマにした「successful」は、成功した女性の自信を高らかに歌うトラック。ミニマルなビートとエレクトロポップの要素が、彼女の力強いメッセージと見事にマッチしている。アリアナの新たな自信を感じさせる楽曲だ。 - everytime
恋愛における悪いパターンを繰り返してしまう自分を歌った「everytime」は、キャッチーなメロディとトラップビートが特徴。感情的な歌詞と軽快なサウンドのギャップが印象的で、聴く者を引き込む中毒性の高い一曲。 - breathin
「breathin」は、不安やプレッシャーに押しつぶされそうになった時に、呼吸を整えて落ち着こうとする感情を描いた曲。アリアナの個人的な経験を反映した歌詞と、希望に満ちたメロディが、リスナーに勇気を与える。特に印象的なのは、彼女のボーカルが持つ包容力である。 - no tears left to cry
マンチェスターでのテロ事件を受けた後にリリースされたこの曲は、悲しみから立ち上がり、前に進む力を象徴している。アップテンポなビートに希望のメッセージを込めたこのトラックは、ポップとダンスの要素がうまく融合しており、アリアナのボーカルは感情的でありながらも力強い。 - goodnight n go
イモージェン・ヒープの「Goodnight and Go」をサンプリングしたこの曲は、繊細でドリーミーなエレクトロポップトラック。恋愛の切なさと魅力が歌詞に込められており、アリアナの軽やかなボーカルが優しく包み込むような雰囲気を作り出している。 - pete davidson
タイトル通り、当時の婚約者ピート・デイヴィッドソンに捧げた短い曲。シンプルで愛情に満ちた歌詞が特徴で、幸せな恋愛の一瞬を切り取った内容だ。ミニマルなサウンドが、彼女の感情を際立たせている。 - get well soon
「get well soon」は、不安やストレスからの回復をテーマにしたエモーショナルなバラード。彼女のパーソナルな経験が色濃く反映されており、リスナーに向けた励ましのメッセージが込められている。複雑なアレンジとアリアナの繊細なボーカルが、心の中の葛藤を描き出している。
アルバム総評:
『Sweetener』は、アリアナ・グランデのキャリアの中でも最も実験的でパーソナルな作品であり、彼女がアーティストとして新たなステージに立ったことを示している。ファレル・ウィリアムスの独特なプロダクションと、彼女自身の感情的な成長が見事に融合したこのアルバムは、アリアナにとって重要な転機となった。特に「God is a woman」や「breathin」といった楽曲は、彼女のメッセージ性と音楽的な多様性を象徴している。『Sweetener』は、彼女の自己発見の旅の一環として聴く価値のある一作である。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚:
- Lemonade by Beyoncé
感情的でパワフルなメッセージが込められた作品。『Sweetener』と同様に、自己発見と成長をテーマにした内容が共通しており、感情的な深みと音楽的実験性が魅力的。 - When We All Fall Asleep, Where Do We Go? by Billie Eilish
ビリー・アイリッシュの独特なサウンドと深い歌詞が特徴のアルバム。アリアナの実験的なサウンドが好きなリスナーには、このアルバムのダークで夢幻的な要素が響くだろう。 - CTRL by SZA
R&Bとソウルを融合させたSZAの作品は、アリアナの『Sweetener』の感情的なトーンやパーソナルなテーマと共通する部分が多い。内面の葛藤や自己発見を歌った内容が印象的。 - Thank U, Next by Ariana Grande
『Sweetener』の次作で、アリアナのさらなる成長を描いたアルバム。彼女のパーソナルな体験が反映されており、自己愛や過去の克服をテーマにしている点で共通している。 - Emotion by Carly Rae Jepsen
ポップとエレクトロポップの要素を融合させたキャッチーなアルバムで、アリアナの軽快なポップトラックを好むリスナーにおすすめ。感情的な歌詞と軽やかなメロディが共通している。
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