スモール・フェイセス (Small Faces): 60年代モッズ文化を彩る伝説的バンド

※本記事は生成AIを活用して作成されています。
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イントロダクション:小さな体で、巨大なグルーヴを鳴らしたモッズの象徴

Small Faces(スモール・フェイセス)は、1960年代英国ロックの中でも、モッズ文化、R&B、ソウル、サイケデリア、英国的ユーモアを見事に結びつけた伝説的バンドである。The Who、The Kinks、The Rolling Stones、The Yardbirdsらと並び、彼らはブリティッシュ・ビートからロックがより多様な表現へ広がっていく時代の中心にいた。

バンド名の「Small Faces」は、メンバーの小柄な体格と、モッズ文化における「face」、つまり洒落者、顔役、注目される存在という意味を組み合わせたものだ。彼らはまさに名前の通り、小柄ながらもロンドンのクラブ・シーンで強烈な存在感を放った。細身のスーツ、シャープな髪型、アメリカ黒人音楽への深い愛、そして荒々しいライヴ・パフォーマンス。Small Facesは、音だけでなく、姿勢やスタイルそのものがモッズだった。

1965年にロンドンで結成されたバンドの中心メンバーは、Steve Marriott、Ronnie Lane、Kenney Jones、Jimmy Winstonであり、のちにIan McLaganがWinstonに代わって加入した。公式バイオグラフィーでも、Small Facesは1965年にイースト・ロンドンで結成され、アメリカのR&Bへの情熱を共有する若者たちから始まったと説明されている。The Small Faces

彼らの魅力は、短い活動期間に凝縮されている。初期には「Whatcha Gonna Do About It」、「Sha-La-La-La-Lee」、「All or Nothing」といった荒々しいモッズR&Bで人気をつかみ、1967年以降はImmediate Recordsへ移籍し、「Itchycoo Park」、「Tin Soldier」、「Lazy Sunday」、そして名盤Ogdens’ Nut Gone Flakeによってサイケデリックな世界へ進んだ。公式バイオグラフィーは、彼らが8曲の英国トップ10シングルを持ち、1966年の「All or Nothing」で全英1位を獲得し、1968年のOgdens’ Nut Gone Flakeが全英アルバム・チャートで6週連続1位を記録したことを紹介している。The Small Faces

Small Facesは、2012年にFacesと共にRock & Roll Hall of Fame入りを果たした。殿堂入りページには、Steve Marriott、Ronnie Lane、Ian McLagan、Kenney JonesらSmall Faces/Faces関連メンバーの名が記録されている。rockhall.com

Small Facesとは、単なる60年代のヒット・バンドではない。彼らは、英国の若者文化がアメリカ黒人音楽を吸収し、自分たちの言葉とスタイルで再構築していく過程を象徴する存在である。モッズの鋭さ、ソウルの熱、サイケデリアの色彩、そしてロンドン下町のユーモア。そのすべてを小さな身体で爆発させたバンド、それがSmall Facesである。

アーティストの背景と歴史:イースト・ロンドンから始まったモッズの火花

Small Facesの始まりは、1965年のロンドンである。Steve Marriottはすでに子役やミュージカル経験を持ち、強烈な声とステージ感覚を備えた若者だった。Ronnie Laneはベーシストとして、Marriottとはまた違う温かさとフォーク的な感性を持っていた。二人はロンドンの楽器店で出会い、音楽の趣味で意気投合したとされる。

そこにドラムのKenney Jones、キーボード/ギターのJimmy Winstonが加わり、Small Facesは形を取る。彼らはアメリカのR&B、ソウル、ブルース、モータウン、Staxサウンドを愛していた。これは当時のモッズ文化と深く結びついている。モッズたちは、単なるファッション集団ではなかった。彼らは黒人音楽、スクーター、クラブ、ダンス、シャープな服装を通じて、自分たちの都市的な美学を作っていた。

Small Facesは、そのモッズ文化の音楽的な結晶だった。Steve Marriottの声は、小さな身体から信じられないほど大きなソウルを放った。彼は白人英国人でありながら、Otis ReddingやRay Charlesのような黒人シンガーへの憧れを自分の声に刻み込んでいた。Ronnie Laneのベースは跳ね、Kenney Jonesのドラムはタイトに前へ進み、Ian McLagan加入後のオルガンはバンドにソウルフルな厚みを与えた。

1965年、Decca Recordsからデビュー・シングル「Whatcha Gonna Do About It」を発表。これは英国チャートで成功し、彼らを一躍モッズ・シーンの注目株にした。続く「Sha-La-La-La-Lee」、「All or Nothing」で人気は拡大する。特に「All or Nothing」は、Marriottの叫ぶような歌唱とバンドの情熱がひとつになった名曲であり、彼らをトップ・バンドへ押し上げた。

だが、Small Facesは単なるアイドル的なモッズ・バンドに収まらなかった。Decca時代の彼らは、マネージャーDon Ardenとの関係や金銭面で問題を抱え、やがてImmediate Recordsへ移籍する。ImmediateはRolling Stonesの元マネージャーAndrew Loog Oldhamが設立したレーベルであり、Small Facesはここでより自由な音作りへ向かう。

1967年の「Itchycoo Park」は、その変化を象徴する。フランジングを使ったサイケデリックな音像、夢見心地のメロディ、ドラッグ・カルチャーを想起させる歌詞。モッズR&BのバンドだったSmall Facesは、ここでサイケデリック時代のポップ・バンドへと進化した。

そして1968年、彼らは代表作Ogdens’ Nut Gone Flakeを発表する。このアルバムは、前半にサイケデリックでソウルフルな楽曲を並べ、後半ではナレーションを交えたコンセプト的な組曲を展開する。英国的なユーモア、ファンタジー、ロック、ソウル、フォークが混ざった、Small Facesの最高到達点である。

しかし、バンドの内部には緊張もあった。Steve Marriottはより本格的なブルース・ロックへ向かいたがり、ポップでコミカルなイメージに不満を抱くようになる。1969年、Marriottは脱退し、Peter FramptonとHumble Pieを結成する。残されたLane、Jones、McLaganはRod StewartとRonnie Woodを迎え、Facesへと発展していく。

Small Facesのオリジナル期は短い。しかし、その短さの中に、60年代英国ロックの進化が凝縮されている。

音楽スタイルと影響:R&Bの熱、モッズの鋭さ、サイケデリアの色彩

Small Facesの音楽は、いくつもの段階を持っている。初期は、アメリカR&Bとソウルを英国の若者文化へ移し替えたモッズ・ロックである。ギターは鋭く、ドラムはタイトで、オルガンは熱を帯び、Marriottの声はほとんど叫びに近い。

彼らの初期サウンドには、Booker T. & the M.G.’s、Otis ReddingJames Brown、Solomon Burke、Motown、Staxなどの影響がある。だが、彼らはそれを単にコピーしたわけではない。英国の若者特有の焦燥感、クラブ文化、ファッション感覚を通して、R&Bをより短く、鋭く、爆発的なロックへ変えた。

Ian McLaganの加入は重要だった。彼のハモンド・オルガンやピアノは、Small Facesにソウルフルな厚みを与えた。McLaganはのちにFacesでも重要な役割を果たし、さらにRolling Stones、Bob Dylan、Bruce Springsteenらとも関わる名キーボーディストとなる。PitchforkはMcLaganの訃報で、彼がSmall Faces/Facesの影響力あるキーボーディストであり、2012年にRock & Roll Hall of Fame入りしたことにも触れている。Pitchfork

中期以降のSmall Facesは、サイケデリック・ポップへ向かう。「Itchycoo Park」では夢見心地の音響、「Green Circles」では幻想的なメロディ、Ogdens’ Nut Gone Flakeでは英国童話のようなナラティヴが登場する。

しかし、彼らは完全に浮遊するサイケデリック・バンドではなかった。どれほどカラフルになっても、根にはR&Bのグルーヴがある。そこがSmall Facesの強みである。幻想へ飛びながらも、足元にはクラブの床がある。空想と身体性が同時に鳴っている。

代表曲の楽曲解説

「Whatcha Gonna Do About It」

「Whatcha Gonna Do About It」は、Small Facesのデビュー・シングルであり、初期モッズR&B期を象徴する楽曲である。

曲はシンプルだが、勢いが凄まじい。ギター・リフは荒く、リズムは前のめりで、Steve Marriottの声は若さと怒りに満ちている。ここには、まだ後年のサイケデリックな色彩はない。あるのは、クラブで踊る若者を一気に熱狂させるためのR&Bロックである。

この曲は、Small Facesが最初から強烈なライヴ・バンドだったことを示す。演奏の洗練よりも、音が飛び出してくるようなエネルギーがある。

「Sha-La-La-La-Lee」

「Sha-La-La-La-Lee」は、初期Small Facesのポップな側面を示すヒット曲である。覚えやすいフレーズ、明るいメロディ、勢いのある演奏によって、彼らをより広いリスナーへ届けた。

ただし、この曲にはバンド自身が望んだハードなR&B感よりも、アイドル的なポップさが強く出ている。そのため、後の彼らがより本格的な音楽性を追求するうえで、こうしたイメージが足かせになった部分もあった。

それでも、「Sha-La-La-La-Lee」は60年代英国ポップの魅力に満ちている。軽く、明るく、すぐに口ずさめる。Small Facesがチャート・バンドとしても強かったことを示す一曲である。

「All or Nothing」

「All or Nothing」は、Small Faces初期最大の名曲である。1966年に全英1位を獲得したこの曲は、Steve Marriottのソウルフルな歌唱が最も力強く表れた楽曲のひとつだ。公式バイオグラフィーでも、同曲が彼らの1966年のNo.1ヒットであることが紹介されている。The Small Faces

タイトルは「すべてか無か」。恋愛の歌でありながら、Marriottの歌い方には人生そのものを賭けるような切迫感がある。ゆっくり始まり、サビで感情が爆発する構成も見事だ。

この曲を聴くと、Marriottがいかに優れたブルーアイド・ソウル・シンガーだったかが分かる。彼は単にうまいだけではない。声の中に、飢え、怒り、傷つきやすさがある。「All or Nothing」は、Small Facesが一瞬のポップ・グループではなく、本物のロック/ソウル・バンドだったことを証明する曲である。

「My Mind’s Eye」

「My Mind’s Eye」は、初期のR&B路線から、よりメロディックで内省的なポップへ向かう過渡期の楽曲である。

タイトルは「心の目」を意味する。ここには、外側の世界よりも内側の想像力へ向かう感覚がある。後のサイケデリック期の予兆と言ってよい。

曲調は明るく親しみやすいが、歌詞の奥には少し幻想的な響きがある。Small Facesは、R&Bの熱を保ちながら、徐々にポップの奥行きを広げていった。

「I Can’t Make It」

「I Can’t Make It」は、Steve Marriottの歌唱力とバンドのソウル志向がよく出た曲である。

タイトルには挫折や限界の感覚がある。Marriottはそれを、ただ弱々しく歌うのではなく、感情を絞り出すように歌う。初期のSmall Facesにおいて、彼の声は常に中心だった。曲が多少シンプルでも、その声が入るだけで一気にドラマが生まれる。

「Here Come the Nice」

「Here Come the Nice」は、Immediate移籍後のSmall Facesを象徴する楽曲である。サウンドは以前より洗練され、ポップで、少しサイケデリックな空気を持つ。

この曲はドラッグ・カルチャーへの言及を含むとされ、当時の若者文化と結びついている。だが、曲は重くならず、むしろ軽やかで洒落ている。Small Facesは、危ういテーマも明るいポップの形で包むことができた。

「Itchycoo Park」

「Itchycoo Park」は、Small Facesの代表曲のひとつであり、サイケデリック・ポップ期を象徴する名曲である。1967年8月にリリースされ、彼らの大きなヒット曲の一つとなった。アメリカではBillboard Hot 100で16位を記録し、カナダでは1位に達したとされる。ウィキペディア

この曲の特徴は、フランジング効果を使った独特の音響である。サビ前後の音が波打つように揺れ、まるで草原で空が溶けるような感覚を作る。歌詞も、現実逃避、自然、陶酔、サイケデリックな体験を思わせる。

「Itchycoo Park」は、Small FacesがR&Bバンドから、時代のサイケデリックな空気を吸収したポップ・バンドへ進化したことを示す曲である。ただし、彼らの場合、そのサイケデリアは重く難解ではない。あくまで明るく、軽やかで、身体に近い。

「Tin Soldier」

「Tin Soldier」は、Small Facesの中でも最も情熱的な楽曲のひとつである。Steve Marriottのヴォーカルは圧巻で、ソウル・シンガーとしての彼の実力が全開になっている。

曲は、控えめな導入から徐々に熱を帯び、最後にはほとんどゴスペル的な高揚へ達する。P.P. Arnoldのバック・ヴォーカルも重要で、曲にソウルフルな厚みを与えている。

タイトルの「ブリキの兵隊」は、恋する相手のために立ち尽くす無力な存在を連想させる。だが、Marriottの歌は無力ではない。むしろ、感情のすべてを声に変えて突き進む。「Tin Soldier」は、Small Facesがサイケデリック期に入っても、根本にはソウルの熱を持ち続けていたことを示す名曲である。

「Lazy Sunday」

「Lazy Sunday」は、Small Facesの最も有名な曲のひとつであり、同時にバンドにとって複雑な意味を持つ曲である。コックニー訛りを強調したコミカルな歌唱、英国下町的なユーモア、日曜ののんびりした空気が印象的だ。

曲自体は非常に楽しい。Marriottの演技力、バンドの軽やかな演奏、茶目っ気のあるアレンジが見事である。しかし、バンドはこの曲がシングルとして強く売り出されることに不満を持っていたとされる。近年のLouderの記事でも、Kenney Jonesがこの曲をめぐる複雑な感情を語り、バンドがより本格的な音楽的方向へ進もうとしていた時期に、コミカルなイメージが強調されたことが問題だったと紹介されている。Louder

「Lazy Sunday」は名曲である。しかし同時に、Small Facesがポップな人気とアーティストとしての自意識の間で揺れていたことを象徴する曲でもある。

「Afterglow (Of Your Love)」

「Afterglow」は、Small Faces後期の優れたラブソングである。曲には温かいメロディと、Marriottの情熱的な歌唱がある。

タイトルの「Afterglow」は、愛の余韻、光が消えた後に残る輝きを意味する。Small Facesの後期には、初期の鋭さとは違う、より成熟したソングライティングが見られる。この曲はその代表である。

「Song of a Baker」

「Song of a Baker」は、Ogdens’ Nut Gone Flakeに収録された力強い楽曲である。Ronnie Laneらしい素朴な英国的感覚と、バンドのヘヴィな演奏が組み合わさっている。

パン職人の歌という題材は、ロックとしてはかなりユニークだ。しかし、そこにSmall Facesらしい日常性とファンタジーの混合がある。Ogdens’ Nut Gone Flakeでは、こうした英国的な童話感覚が重要な役割を果たしている。

「Rollin’ Over」

「Rollin’ Over」は、Small Facesのハードな側面が強く出た曲である。ギターは重く、リズムは力強く、Marriottの声はほとんどブルース・ロックへ向かっている。

この曲を聴くと、MarriottがのちにHumble Pieへ進むのも自然に感じられる。Small Facesの後期には、ポップやサイケデリアだけでなく、よりヘヴィなロックへの欲求も確かに存在していた。

「The Universal」

「The Universal」は、Steve Marriottの実験的な側面を示す楽曲である。録音の質感はラフで、どこかホーム・レコーディング的な親密さがある。

この曲は、完璧なポップ・シングルというより、Marriottの内側から出てきた断片のように響く。Small Facesが末期に向かう中で、メンバーそれぞれの方向性が少しずつ分かれ始めていたことも感じさせる。

「Donkey Rides, a Penny, a Glass」

「Donkey Rides, a Penny, a Glass」は、Small Facesの英国的で牧歌的な側面を示す楽曲である。タイトルからして、古い町の祭りや子どもの遊びのようなイメージがある。

この曲には、Ronnie Lane的な温かさがある。Laneは後にFacesを経て、Slim Chanceでよりルーツ的で牧歌的な音楽へ進むが、その萌芽はSmall Faces時代にもすでにあった。

アルバムごとの進化

Small Faces(1966 / Decca)

Deccaからのデビュー・アルバムSmall Facesは、初期モッズR&Bバンドとしての彼らを記録した作品である。音は荒く、演奏は若く、勢いがある。

この時期のSmall Facesは、アメリカR&Bを英国の若者文化へ移し替えることに全力だった。「Whatcha Gonna Do About It」や「Sha-La-La-La-Lee」のような曲には、クラブで踊るための直接的なエネルギーがある。

アルバムとしては後年作ほど完成されていないが、Small Facesの原点を知るには欠かせない。彼らはまず、熱いR&Bバンドだった。

From the Beginning(1967)

From the Beginningは、Decca時代の音源を中心に構成された作品で、バンドがImmediateへ移った後にリリースされた。

内容には初期の荒々しさと、後の発展へ向かう兆しが混在している。Decca側の編集盤的性格もあるため、バンドの意図を完全に反映したアルバムとは言いにくいが、初期Small Facesの勢いを知るうえでは重要である。

Small Faces(1967 / Immediate)

Immediateからのセルフタイトル作Small Facesは、バンドが大きく成長したことを示すアルバムである。R&Bの熱を保ちながら、サイケデリック・ポップ、ソウル、フォーク的なニュアンスが増している。

「Here Come the Nice」や「Green Circles」など、音はよりカラフルになり、アレンジも洗練されている。Ian McLaganのキーボードも重要な役割を果たし、バンドの音に豊かな色彩を与えている。

このアルバムは、初期のクラブ・バンドSmall Facesから、より創造的なスタジオ・バンドSmall Facesへの移行点である。

Ogdens’ Nut Gone Flake(1968)

Ogdens’ Nut Gone Flakeは、Small Facesの最高傑作であり、60年代英国ロックを代表するコンセプト・アルバムのひとつである。1968年5月24日にリリースされ、全英アルバム・チャートで1位を獲得し、6週にわたって首位を維持したとされる。ウィキペディア

このアルバムは、丸いタバコ缶を模したジャケットでも有名である。音楽的には、前半に「Afterglow」、「Song of a Baker」、「Lazy Sunday」などを収録し、後半ではStanley Unwinのナレーションを交えたファンタジー的な組曲が展開される。

The Summitのアルバム解説では、同作について、ハードなソウル・ロック、アコースティックな気まぐれ、サイケデリックな光を帯びたポップが同居する、Small Facesの過去と現在の集大成として紹介されている。The Summit FM

Ogdens’ Nut Gone Flakeの魅力は、過剰にシリアスにならないところだ。コンセプト・アルバムでありながら、英国的な冗談、庶民的な感覚、子どもの物語のような軽さがある。サイケデリアの時代に作られた作品だが、宇宙的というより、ロンドンの裏通りから夢の国へ迷い込むようなアルバムである。

Steve Marriottという声:小さな身体に宿った巨大なソウル

Small Facesの最大の武器は、Steve Marriottの声である。彼の歌は、英国ロック史の中でも屈指のソウルフルな表現力を持っている。

Marriottは小柄だったが、声は巨大だった。シャウトにはOtis Redding的な熱があり、バラードでは切実な痛みがあり、コミカルな曲では演技力も発揮した。「All or Nothing」、「Tin Soldier」、「Afterglow」を聴けば、彼がただのモッズ・アイコンではなく、真のヴォーカリストだったことが分かる。

一方で、Marriottはバンドのイメージに対して不満を抱くようになる。より本格的なブルース・ロック、より大きな音、より自由な表現を求めた彼は、Small Facesを離れ、Humble Pieへ向かった。Small Facesの終焉は、ある意味でMarriottの声がバンドの枠を超え始めた結果でもある。

Ronnie Laneという温かさ:牧歌的な英国感覚の源

Ronnie Laneは、Small Facesのもう一つの心臓である。Marriottが炎なら、Laneは土の温かさだ。彼のベースはしなやかで、曲をしっかり支える。同時に、ソングライターとしては、英国的な牧歌性やユーモアをバンドにもたらした。

Laneの存在は、Small Facesが単なるソウル・ロック・バンドで終わらなかった理由のひとつである。「Song of a Baker」やOgdens’ Nut Gone Flake後半の物語的な空気には、Lane的な素朴さがある。

後にLaneはFacesを経て、Slim Chanceでよりルーツ的で田園的な音楽へ向かう。近年のLouderの記事でも、彼がロックスター的な生活から離れ、農場や旅する音楽サーカスへ向かった独自の歩みが紹介されている。Louder その後年の道筋を考えると、Small Facesの中にもすでにLaneの牧歌的な魂が息づいていたことが分かる。

Ian McLaganとKenney Jones:グルーヴを支えた職人たち

Ian McLaganは、Small Facesの音を決定的に変えたキーボーディストである。彼のハモンド・オルガン、ピアノ、エレクトリック・ピアノは、バンドにソウルフルな質感とサイケデリックな色彩を加えた。

McLaganの演奏は派手すぎない。しかし、曲の中で常に重要な隙間を埋め、グルーヴを前へ押し出す。Small FacesからFacesへと続く流れにおいて、彼の鍵盤は欠かせない存在だった。

Kenney Jonesのドラムも重要である。彼のプレイはタイトで、R&Bの跳ねとロックの推進力を持っている。後にThe Whoのドラマーとなることからも分かる通り、Jonesは英国ロックを支える名ドラマーのひとりである。

Small Facesの魅力は、Marriottの声だけでは成立しない。Lane、McLagan、Jonesのグルーヴがあったからこそ、あの声は自由に飛ぶことができた。

モッズ文化とSmall Faces:音楽、服、態度の完全な一致

Small Facesは、モッズ文化を象徴するバンドである。モッズとは、単なるファッションではない。音楽、服装、ダンス、クラブ、移動手段、都会的な態度を含む総合的な若者文化だった。

Small Facesは、そのすべてを体現していた。彼らの服装はシャープで、音楽はアメリカR&Bに根ざし、ステージにはクラブの熱気があった。The Whoがより攻撃的でアート的なモッズ像を提示したとすれば、Small Facesはよりソウルフルで、よりストリートに近いモッズ像を鳴らした。

彼らは、モッズの理想である「小粋さ」と「熱」を同時に持っていた。洗練されたスーツを着て、荒々しいR&Bを演奏する。その矛盾が格好よかった。

Facesへの発展:Small Facesの終わりと新しいロックンロール

Steve Marriott脱退後、Ronnie Lane、Kenney Jones、Ian McLaganは、Rod StewartとRonnie Woodを迎えてFacesへと発展する。Small Facesの「Small」が外れ、バンドはよりルーズで酒場的なロックンロールへ進む。

FacesはSmall Facesとは違う。Small Facesがモッズ的にタイトで鋭いバンドだったのに対し、Facesはもっとラフで、ブルージーで、酒と笑いと涙のバンドだった。

しかし、両者は断絶していない。Laneの温かさ、McLaganの鍵盤、JonesのグルーヴはFacesにも受け継がれた。Rock & Roll Hall of FameがSmall Faces/Facesを一体的に殿堂入りさせたことも、その連続性を示している。rockhall.com

影響を受けた音楽:アメリカR&B、ソウル、ブルース、英国ミュージックホール

Small Facesの根には、アメリカ黒人音楽がある。Stax、Motown、Chicago blues、New Orleans R&B、James Brown、Otis Redding、Solomon Burke。彼らはこれらを聴き込み、自分たちの演奏へ取り入れた。

同時に、英国ミュージックホールやコックニー文化の影響もある。「Lazy Sunday」やOgdens’ Nut Gone Flakeのユーモアは、アメリカ音楽だけでは説明できない。そこにはロンドン下町の笑い、方言、演劇的な感覚がある。

Small Facesは、アメリカR&Bへの憧れと英国的な土着性を組み合わせた。だからこそ、彼らの音楽は単なる模倣ではなく、英国ロックとして独自のものになった。

影響を与えた音楽シーン:ポール・ウェラーからブリットポップまで

Small Facesは、後の英国ロックに大きな影響を与えた。特にモッズ・リバイバル、Paul Weller、The JamOcean Colour Scene、Blur、Oasis、ブリットポップ勢への影響は大きい。

The Jamは、Small Facesのモッズ精神を70年代末のパンク以後に再解釈したバンドである。Paul Wellerのソウル志向や英国的な歌詞感覚には、Small Facesの影がある。

Oasisにも、Small Faces的なアンセム感や60年代英国ロックへの憧れが見える。「All or Nothing」や「Tin Soldier」のような感情を大きく歌い上げるスタイルは、後のブリットポップにもつながる。

Small Facesは、短い活動期間ながら、英国ロックのDNAに深く刻まれたバンドである。

同時代アーティストとの比較:The Who、The Kinks、The Rolling Stonesとの違い

Small Facesを理解するには、同時代の英国バンドと比較すると分かりやすい。

The Whoは、モッズ文化をより攻撃的で破壊的な形で表現したバンドである。ギター破壊、アートスクール的な感覚、Pete Townshendのコンセプト志向が特徴だった。Small FacesはThe Whoよりもソウルフルで、よりクラブのグルーヴに近い。

The Kinksは、英国の生活や階級、風景を皮肉とメロディで描いたバンドである。Small Facesにも英国的ユーモアはあるが、The KinksよりもR&Bの身体性が強い。

The Rolling Stonesは、ブルースとロックンロールをより危険で性的な形で表現した。Small FacesはStonesほど不良的ではなく、よりモッズ的に洒落ていて、よりソウルの熱が濃い。

この比較から見えるのは、Small Facesが「英国的なソウル・モッズ・バンド」として非常に独自の位置にいたことだ。

ライヴ・パフォーマンス:小さなステージで爆発するソウル

Small Facesのライヴは、非常にエネルギッシュだったと語られる。彼らはスタジオでサイケデリックな音作りをする以前から、クラブで観客を踊らせるバンドだった。

Steve Marriottは、ステージ上で圧倒的なフロントマンだった。小柄な身体から放たれる声、顔つき、動き、シャウト。Ronnie LaneとKenney Jonesのリズム隊はタイトで、Ian McLaganのオルガンは曲に火をつけた。

Small Facesのライヴを想像すると、広大なスタジアムではなく、汗と煙の立ち込めるクラブが似合う。観客との距離が近く、スーツの袖が擦れ合うような場所で、彼らのR&Bは最も鋭く鳴ったはずだ。

批評的評価と再評価:短命ゆえに神話化されたバンド

Small Facesは、活動期間の短さにもかかわらず、非常に高く評価されている。彼らはモッズ・バンドとして成功し、サイケデリック期には名盤を残し、その後FacesやHumble Pieへ分岐していった。

2012年のRock & Roll Hall of Fame入りは、その再評価を象徴する出来事である。殿堂入りはSmall FacesとFacesを一体として扱う形だったが、それはこの系譜が英国ロックにとって重要であることを示している。rockhall.com

近年もOgdens’ Nut Gone Flakeや「Lazy Sunday」、Ronnie Lane、Ian McLaganらの再評価が続いている。彼らの音楽は、60年代の懐古にとどまらない。モッズ、ソウル、サイケ、英国ロックを考えるうえで、今も重要な参照点である。

歌詞世界:ロンドン下町、恋、夢、ユーモア、幻想

Small Facesの歌詞世界は、初期と後期で大きく変化する。

初期には、恋愛、若者の衝動、R&B的な感情表現が中心だった。「All or Nothing」のように、恋を人生の全てとして叫ぶ歌がある。

中期以降は、より幻想的で英国的な世界が広がる。「Itchycoo Park」ではサイケデリックな夢見心地があり、「Lazy Sunday」ではロンドン下町の隣人関係やコックニー的ユーモアが登場する。Ogdens’ Nut Gone Flakeでは、童話やナンセンス文学のような言葉遊びが展開される。

Small Facesの歌詞は、アメリカ的なブルースやソウルへの憧れと、英国的な生活感やユーモアが交わる場所にある。そこが彼らの個性である。

まとめ:Small Facesが残した、モッズ文化の鮮烈な記憶

Small Facesは、60年代モッズ文化を彩る伝説的バンドである。

「Whatcha Gonna Do About It」、「Sha-La-La-La-Lee」、「All or Nothing」でモッズR&Bの熱を示し、Immediate期には「Itchycoo Park」、「Tin Soldier」、「Lazy Sunday」によってサイケデリック・ポップと英国的ユーモアを開花させた。そしてOgdens’ Nut Gone Flakeでは、彼らの音楽的想像力が最高の形で結晶化した。

Steve Marriottの声は炎のように燃え、Ronnie Laneのベースと歌心は温かく、Ian McLaganのキーボードはソウルと色彩を加え、Kenney Jonesのドラムはバンドを鋭く前へ進めた。彼らは小さな身体で、時代の大きな音を鳴らした。

Small Facesの活動は短かった。しかし、その短さこそが、彼らの音楽を鮮烈にしている。モッズの鋭さ、R&Bの熱、サイケデリアの夢、ロンドン下町の笑い。すべてが数年間の中で一気に燃え上がった。

彼らは、ただ懐かしい60年代のバンドではない。英国ロックが黒人音楽を吸収し、自分たちの都市文化と結びつけ、新しいポップの形へ変えていく過程そのものを体現したバンドである。

Small Facesの音楽は今も、細身のスーツに身を包んだ若者たちが、夜のクラブで全力で踊る姿を思い出させる。小さな顔役たちは、今もロック史の中で大きな光を放っている。

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