アルバムレビュー:Satanic Panic in the Attic by of Montreal

※本記事は生成AIを活用して作成されています。

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発売日: 2004年4月6日
ジャンル: サイケデリック・ポップ、エレクトロ・ポップ、インディー・ロック


部屋の奥で起きた変身劇——内省とダンスが結びつく、of Montrealの新章開幕

『Satanic Panic in the Attic』は、of Montrealが2004年に発表した6作目のスタジオ・アルバムであり、エレクトロニクスとリズム重視のサウンドへと大胆に舵を切った“変身作”である

前作『Aldhils Arboretum』までのサイケデリックでアナログ的な質感に代わり、シンセサイザーやドラムマシンを全面的に取り入れた、よりグルーヴィーでダンサブルなポップスが中心となっている。

この大きな変化の裏には、ケヴィン・バーンズによる完全なセルフ・プロダクションという制作背景があり、自宅録音による実験的かつ直感的なアプローチがそのまま作品全体の色を決めている。

一方で、歌詞には彼ららしいシュールなキャラクター描写や言葉遊びが残っており、明るいサウンドと内省的な内容が不思議なコントラストを生んでいるof Montrealの“ポップと精神の間”を突き詰めた、記念碑的作品といえるだろう。


全曲レビュー

1. Disconnect the Dots
本作の幕開けにふさわしい、スムーズでファンキーなポップナンバー。テーマは無関係な記憶の点と点をつなぐこと=自分を理解する行為。

2. Lysergic Bliss
タイトルが示すようにLSD的な“恍惚”を音で描いた曲。多重ヴォーカルとトリッピーな展開がサイケの継承を感じさせる。

3. Will You Come and Fetch Me?
前作からの再録。リミックスのような新しいアレンジで、より明確にエレクトロポップへと変貌している。

4. My British Tour Diary
英国ツアー中の出来事を記した旅日記風のナンバー。エネルギッシュなビートがその旅の高揚感を伝える。

5. Spike the Senses
脳に刺激を与えるような音の層。タイトル通り、感覚を“尖らせる”実験性が光る。

6. Rapture Rapes the Muses
耽美なタイトルとは裏腹に、ポップでノリの良い楽曲。創造性と欲望、破壊の関係を暗喩的に描いている。

7. Eros’ Entropic Tundra
“エロス”と“無秩序なツンドラ”という対照的な語が並ぶ、感情の混乱と抑圧をテーマにした曲。

8. City Bird
しんと静まり返るような短編的バラード。物語的で、夜の街を彷徨うような孤独感が漂う。

9. Erroneous Escape Into Eric Eckles
of Montrealらしいキャラクター・ソング。狂気と滑稽さが同居した、アート・ポップ的作品。

10. Chrissy Kiss the Corpse
死体にキスするクリッシー。ブラック・ユーモアとビザールな情景がポップな旋律で包まれている。

11. How Lester Lost His Wife
レスターという男の悲劇。サンバ風リズムと物語的展開がユニークで、寓話のようでもある。

12. Oslo in the Summertime
ノルウェーの夏の情景を背景にしたエンディング曲。高揚感と哀愁が交差し、物語のように幕を閉じる。


総評

『Satanic Panic in the Attic』は、of Montrealの音楽性における決定的転換点であり、内省的なテーマをポップで踊れる形に昇華した作品である。

それまでのアナログ志向、キャラクター重視、物語構成といった路線から一歩離れ、よりパーソナルで心理的な視点を持ちながら、音楽的には外へと開かれていくような開放感がある。

このギャップ——つまり、“明るい音と暗い感情”のねじれこそが、of Montrealというバンドの核心へと聴き手を導く。

エレクトロ期以降のファンはここから入りやすく、初期ファンタジー時代を知るリスナーにとっては、その進化を如実に感じられる作品だ。音楽的野心とポップセンスの絶妙な融合として、今なお高い評価を受ける一枚である。


おすすめアルバム

  • The Sunlandic Twins / of Montreal
     本作の進化形。エレクトロニカ要素がさらに濃くなり、ダンサブルなポップが展開される。
  • Hissing Fauna, Are You the Destroyer? / of Montreal
     さらに深く内面へ潜っていく、狂気と美の傑作。精神的なリリックとダンス・サウンドの融合が頂点に。
  • Give Up / The Postal Service
     感情とエレクトロニクスの結びつきにおいて共通項の多い名盤。
  • Silent Alarm / Bloc Party
     同時代のインディー・ダンス・ロックの金字塔。音のキレと感情の交錯が似ている。
  • Beehives / Broken Social Scene
     実験性とポップが共存するカナダのコレクティヴ。断片的ながらも情緒豊かな音世界。

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