発売日: 2019年1月18日
ジャンル: インディーロック、シンセポップ、オルタナティブロック
Sharon Van Ettenの5作目『Remind Me Tomorrow』は、彼女のこれまでの作品から大きく進化を遂げたアルバムであり、シンセサイザーやエレクトロニカを取り入れた新しいサウンドで彩られている。これまでのギター主体のフォークやロックから離れ、より広がりのあるアレンジと多層的な音響が特徴的だ。それでもなお、シャロンの力強いボーカルと個人的な歌詞が作品の核となり、彼女の音楽的なルーツを感じさせる。
本作は、母親となったシャロンが、人生の変化や時間の流れに向き合いながら作り上げた作品であり、恋愛、孤独、再生といったテーマが新たな視点から描かれている。プロデューサーにはジョン・コングルトンを迎え、大胆でエクスペリメンタルなアプローチがアルバム全体に響いている。
トラック解説
1. I Told You Everything
アルバムの幕開けを飾る静かなトラック。控えめなピアノとシャロンのボーカルが、親密な会話のような雰囲気を作り出し、アルバムの感情的な基調を設定している。
2. No One’s Easy to Love
重厚なシンセサウンドとドラムが印象的な楽曲。関係性の複雑さを歌った歌詞が、エネルギッシュなアレンジに乗せて展開される。
3. Memorial Day
暗くアンビエントな雰囲気を持つトラック。反復するメロディと抽象的な歌詞が、不安感と神秘的な感覚を生み出している。
4. Comeback Kid
アルバムのリードシングルで、アップテンポなビートとキャッチーなメロディが特徴。これまでのシャロンの音楽とは一線を画すダイナミックなトラック。
5. Jupiter 4
シンセサイザーを大胆に使った夢幻的な楽曲。恋愛と自己発見をテーマにした歌詞が、アンビエントなサウンドスケープの中で際立つ。
6. Seventeen
ノスタルジックで感情的な楽曲。若い頃の自分と現在の自分を重ね合わせ、時間の流れを描いた歌詞が心に刺さる。ドラマチックなクライマックスが圧巻。
7. Malibu
柔らかなメロディと控えめなアレンジが心地よいトラック。日常の中にある静かな美しさを描いた歌詞が印象的。
8. You Shadow
軽快なリズムと浮遊感のあるメロディが特徴。暗いテーマを持ちながらも、ポップな要素が前面に出ている楽曲。
9. Hands
低音の効いたビートとシャロンのボーカルが楽曲を支える。反復的な構成が不安感と緊張感を生み出している。
10. Stay
アルバムの終盤にふさわしい静謐な楽曲。優しいアレンジと感情的な歌詞が、シャロンのボーカルを引き立てている。
11. Remind Me Tomorrow
アルバムを締めくくる静かで感動的なトラック。親密な歌詞と控えめなアレンジが、深い余韻を残す。
アルバム総評
『Remind Me Tomorrow』は、Sharon Van Ettenがこれまでのフォークやインディーロックの枠を超え、エクスペリメンタルな方向へと進化を遂げたアルバムである。シンセサウンドやアンビエントな要素を取り入れることで、音楽的な幅が大きく広がりつつも、彼女の特徴である感情的なボーカルと個人的な歌詞がしっかりと作品の中心に据えられている。大胆で新しいアプローチが光るこのアルバムは、彼女の音楽キャリアの中で特に重要な一枚となっている。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
Masseduction by St. Vincent
シンセポップとエクスペリメンタルな要素を融合させたアルバム。『Remind Me Tomorrow』のファンに響く。
Punisher by Phoebe Bridgers
感情的な歌詞と緻密なアレンジが特徴のアルバム。シャロンの新しい音楽性と共鳴する。
Sleep Well Beast by The National
エレクトロニカを取り入れた洗練されたサウンドが楽しめるアルバム。『Remind Me Tomorrow』と共通点が多い。
Titanic Rising by Weyes Blood
シネマティックなサウンドと深い感情表現が印象的なアルバム。壮大なアプローチが『Remind Me Tomorrow』と響き合う。
A Crow Looked at Me by Mount Eerie
喪失感と再生をテーマにした感情的なアルバム。親密で深いテーマを持つ点で共通する。
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