アルバムレビュー:Machine Gun Etiquette by The Damned

※本記事は生成AIを活用して作成されています。

発売日:1979年11月2日

ジャンル:パンク・ロック、ポスト・パンク、ニュー・ウェイヴ、ゴシック・ロック、サイケデリック・ロック、ガレージ・ロック

概要

The DamnedのMachine Gun Etiquetteは、1979年に発表された通算3作目のスタジオ・アルバムであり、英国パンク第一世代のバンドが、単なる高速で粗暴なパンクの枠を越え、ポスト・パンク、サイケデリック、ゴシック・ロック、ニュー・ウェイヴへと領域を拡張した重要作である。The Damnedは、1976年に英国パンク・バンドとして最初期にシングルを発表した存在であり、Sex PistolsThe ClashBuzzcocks、The Stranglersらと並んで、ロンドン・パンクの形成に大きな役割を果たした。1977年のデビュー作Damned Damned Damnedは、粗暴で高速なガレージ・パンクの快作として、英国パンクの初期衝動を象徴している。

しかし、The Damnedのキャリアは最初から混乱を含んでいた。セカンド・アルバムMusic for Pleasureは評価・商業面で苦戦し、バンドは一度解散状態へ向かう。そこから再編されたThe Damnedが作り上げたのがMachine Gun Etiquetteである。本作では、Brian Jamesが抜けた後、Captain Sensibleがベースからギターへ移り、バンドの音楽的方向性に大きな変化が生じた。Dave Vanianの演劇的で暗いヴォーカル、Captain Sensibleの多彩で鋭いギター、Rat Scabiesの破壊的ながら器用なドラム、Algy Wardの重いベースが結びつき、The Damnedは単なるパンク・バンドから、より奇妙で、幅広く、闇を帯びたロック・バンドへ変化した。

Machine Gun Etiquetteというタイトルは、非常にThe Damnedらしい矛盾を含んでいる。「Machine Gun」は暴力、速度、攻撃性を示し、「Etiquette」は礼儀作法や社交的な洗練を意味する。つまり、機関銃のような攻撃性と、皮肉めいた礼儀正しさが同居している。このタイトルは、アルバムの音楽性そのものをよく表している。本作には、初期パンクらしい疾走感や荒々しさがある一方で、メロディ、アレンジ、ユーモア、サイケデリックな装飾、暗い演劇性が加わっている。暴力的でありながら、奇妙に洗練されている。

1979年という時代背景も重要である。英国パンクの初期爆発はすでに一段落し、ポスト・パンクやニュー・ウェイヴが急速に広がっていた。Public Image Ltd、Magazine、Gang of Four、Siouxsie and the Banshees、Joy Division、The Cure、Wireなどが、パンクの破壊力を受け継ぎながら、より実験的で陰影のある音楽へ向かっていた。The Damnedもまた、パンク第一世代の勢いを保持しつつ、その後の展開へ接続する必要があった。Machine Gun Etiquetteは、その移行を非常に成功させた作品である。

音楽的には、パンクの短く速い曲だけでなく、サイケデリック・ロック、60年代ガレージ、ポップ、ゴシック的な暗さ、さらにはホラー映画的なムードが混ざっている。The Damnedは、他のパンク・バンドと比べても、コミック的な悪趣味や演劇性を積極的に取り込むバンドだった。Dave Vanianの吸血鬼的なイメージは、後のゴシック・ロック・シーンに大きな影響を与え、The Damnedはパンクとゴスの接点に位置するバンドとして再評価されることになる。

歌詞面では、社会への怒り、退屈、権威への反発、暴力的な時代感覚、個人の疎外、皮肉、ブラック・ユーモアが中心になる。The Clashのように政治的な分析を前面に出すわけではなく、Sex Pistolsのような破壊的スローガンに特化するわけでもない。The Damnedの歌詞は、より混沌としていて、時に馬鹿馬鹿しく、時に不気味で、時に鋭い。彼らは社会批判を深刻な顔だけで語らず、悪趣味な笑いとホラー的な演出を通じて表現する。

本作が後世に与えた影響は大きい。パンクの速度と攻撃性を残しながら、ポスト・パンク的な柔軟性、ゴシック・ロック的な暗さ、ニュー・ウェイヴ的なポップ感を導入した点で、Machine Gun Etiquetteは非常に重要である。特に「Love Song」「Smash It Up」「Plan 9 Channel 7」などは、パンクが単なる破壊から、より多彩なスタイルへ向かう過程を示している。後のゴス、デスロック、ホラー・パンク、メロディック・パンク、オルタナティヴ・ロックにも、その影響は見られる。

日本のリスナーにとって、Machine Gun Etiquetteは、The Damnedを初期パンクの一バンドとしてだけでなく、1979年以降の英国ロックの変化を先取りした存在として聴くための重要作である。荒々しく、速く、馬鹿馬鹿しく、しかし曲は非常に巧妙である。勢いだけではなく、ポップなフック、暗い美学、サイケデリックな遊び、演劇的な声が一体化している。The Damnedの代表作であると同時に、パンク以後の可能性を示したアルバムである。

全曲レビュー

1. Love Song

「Love Song」は、アルバムの冒頭を飾る楽曲であり、The Damnedのパンク的な勢いとポップなメロディ感覚が最も分かりやすく結びついた代表曲である。タイトルは「ラヴ・ソング」だが、ここでの愛は甘くロマンティックなものではなく、皮肉、勢い、欲望、苛立ちを含んだパンク流のラヴ・ソングである。

サウンドは非常に疾走感があり、ギターは鋭く、ドラムは前へ突き進む。Captain Sensibleのギターは単なるパワーコードの連打ではなく、メロディックで切れ味がある。Rat Scabiesのドラムは荒々しいが、曲をしっかりと推進する技術を持っている。Dave Vanianのヴォーカルは、パンクの叫びでありながら、どこか芝居がかった冷たさを帯びている。

歌詞では、愛を歌っているようでいて、伝統的なラヴ・ソングの形式がからかわれている。The Damnedは「愛」を美しく理想化するのではなく、衝動的で、少し乱暴で、嘘くさい感情として扱う。これは、パンクが既存のポップ・ソングのロマンティックな決まり文句を壊そうとした姿勢ともつながる。

「Love Song」は、The Damnedのポップ・センスを示す重要曲である。初期パンクの攻撃性を保ちながら、非常にキャッチーで、シングルとしての強さもある。本作の冒頭に置かれることで、アルバムは一気に高いテンションで始まる。

2. Machine Gun Etiquette

表題曲「Machine Gun Etiquette」は、アルバムのタイトルを冠した楽曲であり、本作の攻撃性と皮肉を象徴する。機関銃のような速度と、礼儀作法という言葉の奇妙な組み合わせは、パンクの暴力的なエネルギーと英国的な社会風刺を同時に表している。

サウンドは荒々しく、リズムは鋭い。ギターとドラムはほとんど休むことなく前進し、曲全体に焦燥感がある。だが、ただ混乱しているわけではなく、演奏には明確な構造がある。The Damnedはこの時期、初期のガレージ的衝動に加え、曲を組み立てる力を大きく高めていた。

歌詞では、暴力的な時代感覚、メディア、戦争、社会的な緊張が断片的に感じられる。Machine Gunという言葉は、実際の武器であると同時に、情報、言葉、音楽、社会の攻撃性の比喩としても機能する。Etiquetteという言葉が加わることで、暴力が制度や礼儀の中に隠れていることへの皮肉も浮かび上がる。

「Machine Gun Etiquette」は、本作の精神を凝縮した曲である。パンクの破壊力を保ちながら、単なる怒号ではなく、言葉とスタイルの皮肉を含んでいる。The Damnedの成熟がよく表れた楽曲である。

3. I Just Can’t Be Happy Today

「I Just Can’t Be Happy Today」は、The Damnedの中でも特にポスト・パンク/ニュー・ウェイヴ的な陰影を持つ楽曲である。タイトルは「今日はどうしても幸せになれない」という意味で、個人的な憂鬱と社会的な不安が重なっている。パンクの怒りが、ここではより内面的な暗さへ変化している。

サウンド面では、オルガンの響きが非常に重要である。これにより、曲は単なるパンク・ロックではなく、60年代ガレージ・ロックやサイケデリック・ロック、さらにはゴシック的な雰囲気を持つ。ギターは鋭いが、曲全体にはどこか不気味な旋律性があり、The Damnedの暗い美学が前面に出ている。

歌詞では、幸福になれない感覚が直接的に歌われる。ただし、それは個人の気分の問題に留まらない。1970年代末の英国社会に漂っていた不況、政治的緊張、若者の閉塞感が背景にある。幸せになることが難しい時代に、無理に明るく振る舞うことへの拒否が感じられる。

「I Just Can’t Be Happy Today」は、The Damnedがゴシック・ロックへ接近していく重要な曲である。Dave Vanianの暗く演劇的な声、オルガンの不穏な響き、パンクの速度が結びつき、後のThe Damnedの方向性を予告している。

4. Melody Lee

「Melody Lee」は、人物名をタイトルに持つ楽曲であり、The Damnedのメロディックな側面とパンクの勢いが同居した曲である。タイトルからは架空の女性像、ポップ・ソング的な恋愛対象、あるいは歌そのものの擬人化が連想される。

サウンドは非常に疾走感がありながら、メロディが明確である。The Damnedはこの曲で、パンクが必ずしも単調な怒りだけではなく、ポップな旋律を持てることを示している。Captain Sensibleのギターは荒々しいが、旋律の流れを大切にしている。

歌詞では、Melody Leeという名前を中心に、若さ、幻想、関係性の曖昧さが描かれる。名前そのものがポップ・ソング的であり、現実の人物というより、歌の中にいるキャラクターのように響く。The Damnedはここでも、伝統的なポップの形式をパンクの速度で変形している。

「Melody Lee」は、本作の中でも特にメロディの強さが印象的な楽曲である。攻撃的でありながら歌える。これはThe Damnedが、後のメロディック・パンクやポップ・パンクにもつながる感覚をすでに持っていたことを示している。

5. Anti-Pope

「Anti-Pope」は、宗教的権威への挑発をタイトルに持つ楽曲であり、The Damnedの反権威的で悪趣味なユーモアが強く表れた曲である。パンクにおける反宗教、反制度、反道徳の姿勢を、The Damnedらしい芝居がかった形で表現している。

サウンドは攻撃的で、ギターとリズムは荒々しく進む。曲にはパンクの直接性があるが、Dave Vanianのヴォーカルによって、単なる反抗ではなく、ホラー映画的な演出が加わる。The Damnedは、宗教への反発を真面目な政治声明としてだけでなく、怪しげな舞台劇のように見せる。

歌詞では、教会や宗教的権威への反発が描かれる。Anti-Popeという言葉は非常に挑発的だが、ここで重要なのは、宗教そのものというより、権威としての宗教、道徳を押しつける制度への反抗である。The Damnedは神聖なものを茶化し、笑い飛ばすことで、その威圧感を崩す。

「Anti-Pope」は、The Damnedのパンク的な挑発性を象徴する楽曲である。真面目な怒りと悪ふざけの境界が曖昧であり、その曖昧さこそがバンドの魅力になっている。

6. These Hands

「These Hands」は、本作の中でやや不気味で演劇的な色合いが強い楽曲である。タイトルの「この手」は、行為、罪、労働、暴力、創造、記憶を連想させる。手は人間の意思を具体化する部位であり、この曲ではその象徴性が暗く響く。

サウンドは、パンクの直線的な疾走から少し離れ、ムードを重視している。曲には怪しげな雰囲気があり、The Damnedが後により強く打ち出すゴシック的な方向性を感じさせる。Dave Vanianのヴォーカルは、この曲で特に芝居がかっており、語り部のように響く。

歌詞では、自分の手が何をしてきたのか、何を握り、何を壊し、何を失ったのかという感覚が漂う。具体的な物語は明確でなくても、手に宿る罪や記憶のイメージが強い。これはホラー的であると同時に、パンクの暴力性を内省するようにも読める。

「These Hands」は、本作の中でThe Damnedの暗い演劇性を示す楽曲である。高速パンクだけではない、雰囲気とイメージを操るバンドとしての姿が見える。

7. Plan 9 Channel 7

「Plan 9 Channel 7」は、初期The Damnedの中でも特にゴシック/ホラー的な魅力が強い楽曲である。タイトルは、B級映画の象徴として知られるEd Woodの『Plan 9 from Outer Space』を連想させ、さらにテレビのチャンネルというメディア的な感覚も加わっている。The Damnedの映画趣味、悪趣味、怪奇性が凝縮された曲である。

サウンドはメロディアスで、暗く、ドラマティックである。ギターは鋭く鳴りながらも、曲には不気味な叙情性がある。Dave Vanianのヴォーカルは、まさに吸血鬼的な雰囲気を持ち、The Damnedがゴシック・ロックの源流の一つとして語られる理由がよく分かる。

歌詞では、映画、死、幻想、スクリーン上の人物への憧れや執着が感じられる。B級ホラーや古い映画のイメージは、The Damnedにとって単なる趣味ではなく、現実社会の退屈さや暴力性を異化する方法でもある。恐怖と笑いが同時に存在する点が重要である。

「Plan 9 Channel 7」は、本作の中でも非常に重要な楽曲である。後のゴス・シーン、ホラー・パンク、デスロックへつながる感覚がすでに明確に表れている。The Damnedの個性が最もよく出た曲のひとつである。

8. Noise, Noise, Noise

「Noise, Noise, Noise」は、タイトル通り騒音そのものをテーマにした楽曲であり、The Damnedのパンク的な衝動を非常に直接的に表している。ノイズは秩序への反抗であり、退屈な社会への妨害であり、若者の存在証明でもある。

サウンドは勢いがあり、ギターとドラムが荒々しく突進する。曲は理屈よりもエネルギーを優先しており、アルバム中盤で再びパンクの原初的な快感を呼び戻す。だが、演奏は初期よりも引き締まっており、単なる乱暴さではなく、意識的に作られた騒音である。

歌詞では、ノイズを否定的なものではなく、必要なものとして提示している。社会はしばしば静かで従順な態度を求める。しかしパンクにとって、騒音は自分たちが存在していることを知らせる方法である。The Damnedはその騒がしさを堂々と肯定する。

「Noise, Noise, Noise」は、本作の中で最もストレートなパンク・ナンバーのひとつである。実験性や暗さが強いアルバムの中で、バンドの原点を確認する役割を持っている。

9. Looking at You

「Looking at You」は、MC5の楽曲のカバーであり、The Damnedの音楽的ルーツを明確に示す重要な曲である。MC5はデトロイトのガレージ/プロト・パンクを代表するバンドであり、その攻撃的なロックンロールは英国パンクにも大きな影響を与えた。The Damnedがこの曲を取り上げることは、自分たちがパンク以前のガレージ・ロックの系譜にいることを示している。

The Damnedの演奏は、原曲の荒々しいロックンロール性を尊重しながら、自分たちらしい高速で鋭いパンクへ変換している。ギターは激しく、リズムは前のめりで、曲全体にライブ的な爆発力がある。

歌詞は、視線、欲望、相手への執着を中心にしている。だが、この曲において重要なのは歌詞の細部以上に、ロックンロールの衝動そのものだ。見ること、欲すること、音を鳴らすことがほとんど同じエネルギーとして表現されている。

「Looking at You」は、本作の中でThe Damnedが自分たちの先祖を確認する曲である。パンクは突然生まれたものではなく、MC5やThe Stoogesのような荒々しいロックから続いている。その流れをThe Damnedは明確に受け継いでいる。

10. Liar

「Liar」は、嘘、欺瞞、不信をテーマにした楽曲である。パンクにおいて「嘘つき」は、個人だけでなく、政治家、メディア、宗教、音楽業界、社会全体を指すことが多い。この曲も、その不信感をThe Damnedらしい荒々しさで表現している。

サウンドは速く、攻撃的で、非常に直接的である。ギターとドラムが前へ突進し、Dave Vanianのヴォーカルは怒りと冷笑を含んでいる。曲の構造はシンプルだが、そのシンプルさがメッセージを強めている。

歌詞では、相手の嘘に対する怒りが歌われる。嘘は人間関係を壊すだけでなく、社会を支配する道具にもなる。パンクは、そうした嘘を暴く音楽として機能した。この曲では、その役割が非常にストレートに表れている。

「Liar」は、本作の中で初期パンク的な怒りを担う楽曲である。複雑な比喩よりも、短く鋭い言葉と演奏で不信感を叩きつける。The Damnedの基本的な攻撃性がよく出ている。

11. Smash It Up (Part 1)

「Smash It Up (Part 1)」は、終盤の大きな流れを作る導入部であり、インストゥルメンタル的な性格を持つ楽曲である。タイトルは「ぶっ壊せ」を意味し、パンクの破壊的なスローガンとして非常に分かりやすい。しかしPart 1では、すぐに暴力的な爆発へ向かうのではなく、むしろサイケデリックで美しい導入が作られる。

サウンドは、The Damnedの音楽的な幅を示している。ギターはメロディアスで、少し夢幻的な響きがあり、60年代サイケデリック・ロックへの愛着も感じられる。パンク・バンドが「Smash It Up」というタイトルで、いきなり壊し始めるのではなく、美しい前奏を作る点が興味深い。

この曲は、Part 2への準備であると同時に、The Damnedが単にスローガンだけのバンドではないことを示している。破壊の前に、奇妙な美しさがある。そこに本作の成熟がある。

「Smash It Up (Part 1)」は短いが、非常に重要である。アルバムの終盤に広がりを与え、次曲の爆発をより効果的にしている。

12. Smash It Up (Part 2)

「Smash It Up (Part 2)」は、The Damnedの代表曲のひとつであり、パンクの破壊衝動とポップな完成度が見事に結びついた楽曲である。タイトルの「Smash It Up」は、権威、規則、退屈、既存の価値観を壊せという、非常にパンク的な宣言である。

サウンドは明るく、キャッチーで、非常に強いフックを持つ。パンクの攻撃性はあるが、曲は単なる騒音ではなく、ポップ・ソングとしても完成している。コーラスは一緒に叫びやすく、ライブでの一体感を生む。The Damnedのユーモアと反抗心が最も分かりやすく表れた曲である。

歌詞では、社会への不満、退屈への怒り、破壊への欲望が歌われる。ただし、この破壊は完全な虚無ではない。何かを壊すことで、自分たちの存在を示し、停滞した世界に穴を開ける。The Damnedは深刻な革命思想ではなく、もっと直感的で、遊び心のある破壊を提示する。

「Smash It Up (Part 2)」は、The Damnedのパンク精神を象徴する曲である。怒り、笑い、メロディ、破壊衝動が一体化している。アルバムの終盤に置かれることで、本作は非常に強いカタルシスを獲得する。

13. Ballroom Blitz

「Ballroom Blitz」は、一部の再発版やボーナス構成で関連づけられるThe Sweetのカバーであり、The Damnedのグラム・ロックへの親近感を示す楽曲として重要である。The Sweetは1970年代前半のグラム・ロックを代表するバンドのひとつであり、その派手さ、コーラス、演劇性はThe Damnedにも影響を与えている。

The Damnedがこの曲を演奏すると、原曲のグラム的な華やかさはより荒々しいパンクのエネルギーへ変換される。曲の持つショー的な興奮、観客との一体感、暴動寸前のダンスホールのイメージは、The Damnedの世界観と非常に相性がよい。

歌詞では、ボールルームでの混乱、熱狂、暴走が描かれる。これはグラム・ロック的な祝祭でありながら、パンク的な暴動にも近い。The Damnedは、パンクがグラムの演劇性や馬鹿馬鹿しさを受け継いでいることを隠さない。

「Ballroom Blitz」は、本編の中心曲ではない場合もあるが、The Damnedの音楽的背景を理解するうえで有用である。彼らはパンクの硬直した純粋主義ではなく、グラム、ガレージ、ホラー、ポップを取り込む雑食性を持っていた。

総評

Machine Gun Etiquetteは、The Damnedの代表作であり、英国パンクが初期衝動から次の段階へ進む過程を示した重要なアルバムである。1977年のDamned Damned Damnedが荒々しいガレージ・パンクの爆発だったとすれば、本作はそのエネルギーを保持しながら、より多彩で、暗く、メロディックで、実験的な方向へ広げた作品である。

本作の最大の魅力は、パンクの勢いを失わずに、音楽的な幅を大きく広げている点である。「Love Song」「Machine Gun Etiquette」「Noise, Noise, Noise」「Liar」には初期パンクの速さと攻撃性がある。一方で、「I Just Can’t Be Happy Today」「These Hands」「Plan 9 Channel 7」には、後のゴシック・ロックやポスト・パンクにつながる暗いムードがある。「Smash It Up」では、破壊衝動とポップなフックが見事に融合している。

Captain Sensibleがギターを担当したことは、本作の音楽性を大きく変えた。Brian James時代のThe Damnedは、より直線的なガレージ・パンクだったが、Captain Sensibleのギターはよりメロディックで、サイケデリックで、色彩豊かである。彼の演奏によって、The Damnedはパンクの枠を超える自由を得た。荒々しさだけでなく、曲ごとの表情が大きく広がっている。

Dave Vanianの存在も重要である。彼はパンク・シンガーでありながら、怒鳴るだけの人物ではない。低く演劇的で、吸血鬼的なイメージを持つ彼の声は、The Damnedを他のパンク・バンドから明確に区別している。彼のヴォーカルは、後のゴシック・ロックの美学に直接つながる。The Damnedがゴスの源流の一つとされる理由は、本作を聴くと非常によく分かる。

Rat Scabiesのドラムも、アルバムの推進力を支えている。彼の演奏は非常にパワフルで、時に乱暴だが、単純ではない。高速のパンク曲だけでなく、サイケデリックな展開や暗いムードの曲にも対応できる柔軟性がある。Algy Wardのベースも、曲に重さと荒々しさを与えている。

歌詞面では、The Damnedの反権威性、ブラック・ユーモア、悪趣味な演劇性がよく表れている。The Clashのように政治的な明確さを持つわけではないが、彼らの社会への不満や不信は十分に強い。ただし、それは真面目な声明ではなく、笑い、ホラー、皮肉、破壊衝動として表れる。The Damnedは怒りながら笑うバンドであり、その点で非常に独自である。

本作は、1979年という時代の変化をよく反映している。パンクはもはや単純な「速く、短く、怒る」音楽だけでは存続できなかった。多くのバンドがポスト・パンク、ニュー・ウェイヴ、ゴス、スカ、ダブ、実験音楽へ向かう中で、The Damnedは自分たちなりの方法で変化した。Machine Gun Etiquetteは、その変化が最も自然で成功した例のひとつである。

また、本作のポップ性も見逃せない。The Damnedは攻撃的なバンドであると同時に、非常に優れたメロディメイカーでもある。「Love Song」や「Smash It Up」は、反抗的でありながら、歌として非常に強い。これは、後のポップ・パンクやメロディック・パンクにもつながる重要な要素である。破壊的でありながら、耳に残る。そこにThe Damnedの強みがある。

一方で、本作は洗練された意味での統一感を持つアルバムではない。曲ごとに方向性が大きく変わり、パンク、ゴス、サイケ、ガレージ、カバー曲的な要素が入り混じる。しかし、その雑多さこそがThe Damnedらしい。彼らは純粋なジャンル美学を守るバンドではなく、好きなものを悪趣味に混ぜ、勢いで成立させるバンドである。その混合が本作では非常に高いレベルで成功している。

日本のリスナーにとって、Machine Gun Etiquetteは、英国パンクの広がりを理解するための必聴作である。Sex Pistolsの破壊的な一撃、The Clashの政治性、Buzzcocksのポップな焦燥とは異なり、The Damnedはホラー、ユーモア、サイケデリック、ゴシック性を持ち込んだ。その独自性が本作に凝縮されている。

総合的に見て、Machine Gun Etiquetteは、The Damnedが初期パンクのバンドから、より多面的なロック・バンドへ進化した決定的なアルバムである。機関銃のような速度、悪趣味な笑い、暗い美学、ポップなフック、サイケデリックな広がりが一体となっている。パンクの破壊力が、次の時代の音楽へ変形していく瞬間を記録した名盤である。

おすすめアルバム

1. The Damned — Damned Damned Damned

1977年発表のデビュー作であり、英国パンク初期の衝動を代表するアルバム。「New Rose」「Neat Neat Neat」などを収録し、荒々しく高速なガレージ・パンクが全編を貫く。Machine Gun Etiquetteの進化を理解するための原点である。

2. The Damned — The Black Album

1980年発表の次作で、Machine Gun Etiquetteで広がったゴシック、サイケデリック、ポスト・パンク的な要素をさらに拡張した作品。「Curtain Call」のような長尺曲も含み、The Damnedの実験性と暗い美学がより強まっている。

3. The Clash — London Calling

1979年発表の歴史的名盤。パンクを基盤にしながら、レゲエ、ロカビリー、スカ、ロックンロール、ポップへと広げた作品である。Machine Gun Etiquetteと同じく、パンク以後の拡張を示した重要作として比較して聴ける。

4. Siouxsie and the Banshees — Join Hands

1979年発表のポスト・パンク/ゴシック・ロック初期の重要作。The Damnedよりも冷たく儀式的な暗さを持ち、パンクからゴスへ向かう流れを理解するうえで関連性が高い。Dave Vanianの演劇的な暗さと比較して聴くと興味深い。

5. MC5 — Kick Out the Jams

The Damnedが「Looking at You」をカバーしたMC5の代表作。ガレージ・ロック、プロト・パンク、政治的ロックンロールの爆発が記録されている。The Damnedの荒々しいロックンロール的ルーツを理解するうえで欠かせない作品である。

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