発売日: 2009年9月8日
ジャンル: チルウェーブ、エレクトロニカ、ドリームポップ
アーネスト・グリーンのソロプロジェクトWashed OutのEPLife of Leisureは、2009年にリリースされるや否や、チルウェーブのムーブメントを象徴する作品として注目を集めた。わずか6曲というコンパクトな構成ながら、そのドリーミーでノスタルジックなサウンドは、ジャンルの代表作として多くのリスナーに支持されている。
Life of Leisureは、レトロなシンセサウンド、ループするビート、そして浮遊感のあるヴォーカルを特徴としており、聞く者をどこか懐かしい夏の日々へと誘う。ホームスタジオで制作されたDIY感溢れる音作りが、この作品の親密さと特別な魅力を生み出している。また、リードトラック「Feel It All Around」は、チルウェーブというジャンルを一般の音楽ファンに広く認識させるきっかけとなった。
トラック解説
1. Get Up
軽快なシンセサイザーとループするドラムマシンが特徴のオープニングトラック。曲全体に漂うリラックス感と心地よい反復が、アルバム全体の雰囲気を象徴している。シンプルなメロディが聴き手の心に穏やかな波を生み出す。
2. New Theory
優しいシンセパッドとフィルターをかけたヴォーカルが印象的な楽曲。夢見心地のメロディと穏やかなリズムがノスタルジックな雰囲気を醸し出しており、エレクトロニックと感情的な要素が見事に融合している。
3. Hold Out
ループするビートと反復するシンセフレーズが楽曲全体を支える。ミニマルなアプローチながらも、ヴォーカルのメロディが曲に深みを与えている。リスナーを穏やかなトランス状態へと誘うトラックだ。
4. Feel It All Around
本作の代表曲であり、チルウェーブの代名詞とも言える楽曲。80年代のイタロディスコをサンプリングしたゆったりとしたビートと、エコーの効いたヴォーカルが特徴。「漂うような感覚」を完璧に表現した一曲で、夏の夕暮れを思わせる雰囲気がある。
5. Lately
少し暗めのトーンを持つトラックで、内省的な雰囲気が漂う。柔らかなビートとループするシンセが、聴き手を深い瞑想の世界へと導く。歌詞はぼんやりと抽象的で、解釈の余地を残している。
6. You’ll See It
EPのラストを飾るトラックは、優しいギターサウンドとドリーミーなシンセが特徴的。終盤に向けて徐々に広がりを見せる構成が印象的で、リスナーに温かい余韻を残す。アルバム全体の締めくくりとしてふさわしい穏やかな一曲。
アルバム総評
Life of Leisureは、Washed Outの音楽的スタイルを確立しただけでなく、チルウェーブというジャンルそのものを定義付けた作品である。レトロなサウンドとモダンな感覚が融合し、懐かしさと新しさを同時に感じさせる不思議な魅力を持つ。ホームスタジオでのDIY制作という背景も、この作品の親密さと特別な空気感を支えている。
特に「Feel It All Around」のような楽曲は、ジャンルを超えた普遍的な魅力を持ち、多くのリスナーにとって夏のサウンドトラックとなるだろう。6曲という短さながらも、アルバム全体を通じて一貫した世界観を保ち、何度も繰り返し聴きたくなる中毒性を持つ。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
Toro y Moi – Causers of This
チルウェーブの代表作で、Washed Outと同じくドリーミーでリラックスしたサウンドが楽しめる。
Neon Indian – Psychic Chasms
レトロなシンセと浮遊感のあるメロディが特徴で、Life of Leisureのファンに響く一枚。
Tycho – Dive
アンビエントとチルウェーブを融合させたアルバムで、穏やかで瞑想的なサウンドが共通する。
Beach House – Devotion
ドリームポップの名作で、浮遊感のあるサウンドスケープがWashed Outの雰囲気に似ている。
Wild Nothing – Gemini
ノスタルジックなメロディとエレクトロニックな要素が融合した一枚。Washed Outファンにおすすめ。
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