アルバムレビュー:E•MO•TION: Side B by Carly Rae Jepsen

※本記事は生成AIを活用して作成されています。


発売日:2016年8月26日

ジャンル:シンセポップ、ダンス・ポップ、80sポップ、インディー・ポップ、Sophisti-pop

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概要

E•MO•TION: Side Bは、カーリー・レイ・ジェプセンが2015年のアルバム E•MO•TION に続いて発表したコンパニオン作品であり、一般的な意味での「余りもの集」や単なるデラックス盤の延長として扱うには、あまりに完成度が高い。ポップ・ミュージックにおいて“Side B”という表現は、本来シングルの裏面や本編からこぼれ落ちた素材を想起させるが、本作においてその語は、中心作を補足する付録ではなく、むしろ本編と並走するもう一つの感情の回路を意味している。結果として E•MO•TION: Side B は、カーリー・レイ・ジェプセンの作家性を理解するうえで、本編と同等か、それ以上に重要な作品として受け止められてきた。

カーリー・レイ・ジェプセンのキャリアを振り返ると、2012年の“Call Me Maybe”によって、彼女は一躍グローバルなポップ・スターとなった。しかし、その巨大なヒットは同時に、彼女を「一発屋」的な軽いイメージの中へ押し込める危険も抱えていた。その後の彼女が行った最も重要な仕事は、そのイメージを否定することではなく、ポップ・ソングの書き手としての精度を作品単位で粘り強く証明していくことだった。E•MO•TION はその決定打であり、1980年代的なシンセポップ、洗練されたメロディ、切実で少し不器用な恋愛感情を組み合わせた、現代ポップの一つの到達点となった。そして E•MO•TION: Side B は、その創作が偶然の一枚ではなかったことを示す、極めて説得力の強い続編なのである。

本作の最も興味深い点は、メイン・アルバムの延長上にありながら、微妙に異なる感触を持っているところにある。E•MO•TION が、80年代ポップの再解釈を通じて「高揚する恋愛の瞬間」「感情が駆け出す速度」「夜のネオンに照らされたロマンス」を鮮やかに描いていたとすれば、Side B にはそこから少し時間が経過した後の気配がある。夜はまだ続いているが、人の数は少し減り、光は少し柔らかくなり、感情はより親密で、より私的なものとして響く。つまり本作は、本編が持っていたダイナミックなポップ性を受け継ぎながら、それをより親密で、より内向きの密度へと移し替えている。

音楽的背景としては、80年代のシンセポップ、ニューウェイヴ、Sophisti-pop、さらには90年代以降のスウェディッシュ・ポップやインディー・ポップの感覚が巧みに混ざっている。だが、カーリー・レイ・ジェプセンの強みは、そうした参照元を「引用」として目立たせるのではなく、あくまで現在進行形のポップとして自然に機能させることにある。本作でも、きらめくシンセ、跳ねるリズム、透明感のあるコーラス、切ないコード進行といった要素は豊富だが、どれも懐古趣味に閉じない。むしろ、過去のポップの理想形を現代の感情のために使い直している印象が強い。

歌詞面では、カーリー・レイ・ジェプセンの作家性が特に明確に表れている。彼女の恋愛ソングは一見すると非常にシンプルで、「会いたい」「触れたい」「確かめたい」「気づいてほしい」といった直感的な言葉が多い。だが、そのシンプルさの奥には、感情の速度差、関係性の曖昧さ、自分から踏み込むことへのためらい、あるいは高揚の裏側にある孤独が繊細に配置されている。本作はその繊細さがより濃く、しかも無理なく表れている。大仰な失恋ドラマや過度に自意識的な告白へ向かわず、あくまでポップソングの中に感情の微妙な温度差を閉じ込める。その上手さが際立つ。

本作が後のポップ・シーンに与えた影響も見逃せない。2010年代後半以降、いわゆる“批評家に愛されるポップ”の文脈において、カーリー・レイ・ジェプセンは重要な位置を占めるようになった。その理由は、単に良い曲を書くからだけではない。彼女はポップ・ミュージックを、アイロニーや過剰なコンセプトで武装しなくても深くなりうるものとして提示したのである。E•MO•TION: Side B はその証明として理想的な作品であり、「サイド盤」でありながら作家性の純度が極めて高い。後続のアーティストにとっても、本編からこぼれた楽曲集が単なる補遺ではなく、一つの独立した審美的世界を持ちうることを示した点で意義深い。

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全曲レビュー

1. First Time

オープニングを飾るこの曲は、本作の空気を非常に端的に示している。タイトルの“First Time”は、初めての経験の眩しさを思わせる一方で、カーリーの歌においてはしばしば「初めてのように感じたい」「慣れたはずなのに慣れない」といった感情の反復も含意する。本曲はその両義性を抱えたまま進み、恋愛の高揚を祝福するのではなく、その高揚の繊細さをそっと撫でるような作りになっている。

音楽的には、柔らかいシンセの層と軽快なビートが心地よく、派手に爆発するのではなく、じわじわと気分を上げていくタイプのポップソングである。メインの E•MO•TION にあった大きなサビの推進力に比べると、こちらはやや内向きだが、そのぶん親密さが強い。カーリーのヴォーカルも、無理にドラマを作るのではなく、感情の手触りを自然に残している。オープニングとして非常に巧みで、「これは本編の残響でありながら、少し違う夜のアルバムだ」と感じさせる。

2. Higher

本作の中でも特に人気の高い楽曲であり、カーリー・レイ・ジェプセンのメロディセンスがよく表れた一曲である。“Higher”という言葉は、恋愛の高揚感、相手に引き上げられる感覚、あるいは感情が日常の平面を越えていく感触を示している。カーリーの楽曲にはしばしば、感情が身体を少し浮かせるような瞬間があるが、この曲はまさにそれを音にしている。

ビートは軽快で、シンセのきらめきも絶妙だが、決して過剰には盛られていない。そのため、楽曲の魅力はプロダクションの派手さより、メロディの滑らかさとフックの強さによって成立している。サビの開放感は大きいが、同時にどこか切なさも残る。この「上がっていく感じ」と「落ちそうな不安」の同居が、カーリーらしい。単なるポジティブ・ソングに終わらないからこそ、繰り返し聴きたくなる。

3. The One

タイトルからして、運命的な恋人像をめぐるポップソングの王道を連想させるが、この曲はその王道を非常に現代的なニュアンスで処理している。「その人」が本当に唯一の存在なのか、自分がそう思いたいだけなのか、その境界がわずかに揺れているのだ。カーリーの恋愛ソングは、いつも感情に対して真剣でありながら、その感情が絶対であるとは言い切らない。この曲にも、その微妙な留保がある。

サウンドはきわめて洗練されており、80年代風のシンセポップ感覚と現代的な軽さがうまく共存している。大げさなバラードにせず、あくまでダンサブルなポップとして進行することで、「運命」という重たいテーマが軽やかに扱われているのも面白い。ここにはカーリー特有の品の良さがあり、ロマンスを誇張しすぎず、でも冷笑もしない。中庸ではなく、絶妙な真剣さが保たれている。

4. Fever

この曲では、恋愛感情がより身体的な熱として描かれる。“Fever”という語はポップソングにおいて古典的な比喩だが、カーリーはそれを過度に官能的にも、逆に清潔すぎるものにもせず、ちょうどよい熱量で扱っている。体温が少し上がるような、思考が少し曖昧になるような、その程度の熱。その繊細さがこの曲の魅力だ。

音楽的には、ややミッドテンポ寄りのグルーヴが心地よく、シンセの質感も少し艶を帯びている。本作の中では比較的“夜”の気配が濃い曲であり、クラブの高揚というより、帰り道の余熱のような雰囲気がある。カーリーのヴォーカルも、前のめりに迫るのではなく、熱に浮かされたまま距離を保つような歌い方で、楽曲のムードと非常によく合っている。

5. Body Language

タイトルが示す通り、この曲は言葉ではなく身体の動き、距離、視線、しぐさといった非言語的なコミュニケーションを主題にしている。カーリー・レイ・ジェプセンの楽曲では、恋愛はしばしば会話の前段階、あるいは言葉が足りない状態で描かれるが、この曲はその傾向が特に強い。相手の“ボディ・ランゲージ”を読み取ろうとすることは、期待であると同時に誤読の危険も含んでいる。その曖昧さが非常にポップ的だ。

サウンドは軽やかで、リズムの跳ね方も魅力的である。アルバム全体の中では比較的明るく開かれているが、内容的にはかなり繊細だ。カーリーはここでも、恋愛の本質を「大きな告白」ではなく、「まだ言葉になっていない信号のやり取り」に置いている。だからこそ、この曲は多くのリスナーにとって自分の感情と重ねやすい。ポップソングとしての普遍性が高い一曲である。

6. Cry

本作の中でもとりわけ感情の傷が前景化する曲であり、タイトルのシンプルさがかえって強い。だが、ここでの“Cry”は、ドラマチックに泣き崩れるようなイメージではなく、泣きそうになる境界にとどまる感情として響く。カーリーの音楽にはしばしば、爆発しきらない感情の美学がある。この曲もまさにそうで、涙そのものより、涙が出る前の空気が重要だ。

音楽的にはメロディが非常に美しく、プロダクションも抑制が効いている。そのため、歌詞の感情が必要以上に煽られず、むしろ静かに沁みてくる。E•MO•TION 本編に比べると、この曲にはより深い孤独がある。しかしそれは絶望ではなく、ポップソングとしてきちんと形を持っている。感情を崩壊させず、美しい輪郭のまま残す。その手腕が光る。

7. Store

本作の中でもっともユニークな曲の一つであり、カーリー・レイ・ジェプセンの作家としての奇妙なセンスがよく出ている。タイトルだけ見れば日用品の買い物に関する歌のようだが、実際には「ちょっと店に行ってくる」と言って関係から距離を取る、あるいは別れを曖昧に言い換えるような、非常にねじれたラブソングである。この発想がまず見事だ。別れや逃避を、大げさな宣言ではなく、妙に日常的なフレーズへ落とし込むことで、楽曲は不思議なユーモアと切なさを同時に獲得している。

音楽的にもこの曲は軽やかで、どこか可笑しみを含んだポップソングとして成立している。しかし、その軽さは表面だけで、内実はかなり苦い。カーリーの作家性の重要な一面は、こうした「明るい音で少し残酷なことを言う」感覚にある。この曲はその代表例であり、本作の中でも特に忘れがたい。

8. Roses

終盤に置かれたこの曲は、本作の中でも特に洗練された哀感を持つ。バラというモチーフはポップソングにおいてあまりに古典的だが、カーリーはそれを陳腐にせず、むしろ感情の繊細な比喩として機能させている。美しさと痛み、贈り物と終わり、香りと枯れゆく時間。そうした複数のイメージが静かに重なっていく。

サウンドは滑らかで、ややSophisti-pop的な気品さえ感じさせる。アルバム全体が持つネオンの輝きが、ここでは少し落ち着いた色合いに変わっているのも印象的だ。カーリーのヴォーカルは最後まで過剰にならず、感情を抱えたまま丁寧に歌う。その抑制が、曲の美しさをいっそう際立たせる。本作が単なるポップ職人の副産物ではなく、非常に高い情緒設計を持つ作品であることを、この曲が証明している。

総評

E•MO•TION: Side Bは、コンパニオン作品という位置づけを超えて、カーリー・レイ・ジェプセンの核心を非常によく示したアルバムである。本編 E•MO•TION が持っていた80年代ポップの鮮やかな再構成、高揚感、恋愛の躍動を受け継ぎながら、本作はそれをより私的で、より繊細で、より夜更けに近い感情へと変換している。そのため、本編を「表」のアルバムとするなら、こちらは単なる「裏」ではなく、感情の陰影をより細かく描いたもう一つの主作品と呼ぶべきだろう。

音楽性の特徴は、シンセポップのきらめきとメロディの親しみやすさを保ちながら、テンションをわずかに下げ、そのぶん感情の細部を前に出している点にある。大きなアンセム感より、親密さ。確信より、ためらい。派手な展開より、余韻。その選択が、アルバムに非常に独特の魅力を与えている。しかもそれは地味さではなく、むしろポップ・ミュージックにおける「小さな感情」の豊かさを際立たせる方向に働いている。

カーリー・レイ・ジェプセンの真価は、恋愛感情の軽視されがちな瞬間――気づいてほしい気持ち、少しだけ浮かれた高揚、まだ形にならない関係、別れを直視できない弱さ――を、極めて精度の高いポップソングとして結晶させるところにある。本作はその資質が凝縮された一枚であり、彼女が単なるヒットメーカーではなく、現代ポップにおける最も優れたメロディ・ライターの一人であることを改めて示している。

おすすめアルバム

1. Carly Rae Jepsen – E•MO•TION

本作の中核となるメイン・アルバム。80年代ポップの再解釈と恋愛感情の高揚が最も鮮やかに表現された代表作で、Side Bとの対比で双方の魅力がさらに際立つ。

2. Carly Rae Jepsen – Dedicated Side B

後年のコンパニオン作品であり、本作と同様に“副盤”の枠を超えた完成度を持つ。カーリーのBサイド美学が継続的なものだったことを確認できる。

3. Robyn – Body Talk

シンセポップ、ダンス・ポップ、切ない感情の共存という点で非常に近い重要作。感情の傷をクラブ・ミュージックへ昇華する手法が響き合う。

4. HAIM – Days Are Gone

80年代的な光沢と現代的な感情表現を自然に結びつけた作品。ポップの洗練と親密なソングライティングという点で共通項が多い。

5. Bleachers – Gone Now

ノスタルジックなシンセ、夜の都市感覚、感情の過剰さを現代ポップとして再構築した作品。E•MO•TION: Side B の夜更けの感触と相性が良い。

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