発売日: 2004年
ジャンル: ソン、グアラーチャ、ダンソン、アフロ・キューバン・ジャズ
キューバ音楽の伝統を守りながら新たな領域へ—Afro-Cuban All Starsの熟成されたサウンド
2004年にリリースされたBajando Gervasioは、Afro-Cuban All Starsがキューバ音楽の伝統を受け継ぎつつ、よりモダンで洗練されたサウンドを追求したアルバムである。バンドリーダーJuan de Marcos Gonzálezのもと、本作は前作Distinto, Diferente（1999年）よりも、さらに深みのあるアレンジと多様なリズムが融合している。
本作では、ダンソン、ソン、グアラーチャといったキューバ音楽の基盤に加え、ジャズやファンクの要素が取り入れられており、カリブのリズムが色濃く反映されている。ホーンセクションの壮大さ、パーカッションの緻密なリズム、そしてヴォーカルの情熱が一体となり、聴く者をキューバの街並みへと誘う。
全曲レビュー
1. Bajando Gervasio
アルバムタイトル曲であり、エネルギッシュなホーンとリズミカルなパーカッションが特徴的なソン。まさにダンスフロア向きの一曲。
2. Me Voy Para Monterrey
カリブのリズムを取り入れた軽快な楽曲。ギターとトレスが心地よく響く。
3. Reconciliación
ボレロの影響を受けたバラード調の楽曲。感傷的なヴォーカルが美しく響く。
4. Homanaje A Ruben
伝説的ピアニストRubén Gonzálezに捧げるインストゥルメンタル。ジャズとキューバ音楽が見事に融合した楽曲。
5. Fiesta Conga
アフロ・キューバンの要素が濃厚なダンサブルなナンバー。コンガのビートがリズムを牽引する。
6. Adivinador
ヴォーカルの掛け合いが楽しいグアラーチャ。軽快なリズムが印象的。
7. Mi Corazón No Puede Olvidarte
メロディアスなソンのバラードで、失われた愛を歌う感傷的な楽曲。
8. Suavecito
ジャズの影響を受けた洗練されたアレンジ。心地よいグルーヴが際立つ。
9. El Divorcio
ユーモラスな歌詞が特徴の楽曲で、軽快なパーカッションとブラスが楽しい雰囲気を演出。
10. Para Los Pinareños
アルバムの締めくくりにふさわしいエネルギッシュなナンバー。ダンスミュージックとしても秀逸な一曲。
総評
Bajando Gervasioは、Afro-Cuban All Starsが伝統とモダンなアレンジを絶妙に融合させたアルバムであり、前作よりもジャズの影響が色濃く出ている。本作の魅力は、純粋なソンやダンソンだけでなく、アフロ・キューバンのリズムやジャズ的なアプローチを採用し、より幅広い音楽的要素を取り入れた点にある。
Juan de Marcos Gonzálezのプロデュースにより、キューバの歴史と文化を感じさせながらも、現代のリスナーにも響く洗練されたアレンジが施されている。ダンスミュージックとしても、リスニングアルバムとしても楽しめる作品であり、キューバ音楽の奥深さを堪能できる一枚だ。
おすすめアルバム
-
Buena Vista Social Club – Buena Vista Social Club (1997)
キューバ音楽のクラシックな名盤。 -
Rubén González – Chanchullo (2000)
ジャズとソンの融合が光る、名ピアニストのアルバム。 -
Ibrahim Ferrer – Buenos Hermanos (2003)
伝統的なボレロやソンをモダンな解釈で収録。 -
Eliades Ochoa – Sublime Ilusión (1999)
アコースティックなキューバン・ソンを堪能できる一枚。 -
Chucho Valdés – New Conceptions (2003)
ジャズとアフロ・キューバン音楽の融合が本作と共鳴。
“`
コメント