Another 45 Miles by Golden Earring（1969）楽曲解説

1. 歌詞の概要
2. 歌詞のバックグラウンド
3. 歌詞の抜粋と和訳
4. 歌詞の考察
5. この曲が好きな人におすすめの曲
6. Golden Earringにとっての意義

1. 歌詞の概要

「Another 45 Miles」は、Golden Earringが1969年にシングルとして発表した楽曲で、オランダ本国で大きなヒットを記録した作品である。彼らの国際的成功を導いた「Radar Love」（1973）以前に、すでに「ロードソング」の要素を備えた重要曲であり、後のスタイルを先取りしている。

歌詞は「あと45マイル走れば家にたどり着く」という状況を描き、疲労や孤独を抱えながらも帰路を急ぐ旅人の姿を浮かび上がらせている。長距離ドライブの比喩を通じて「人生の旅路」「故郷への憧れ」「愛する人のもとへ帰りたい気持ち」が込められており、シンプルながらも普遍的なテーマを歌い上げている。

2. 歌詞のバックグラウンド

Golden Earringは1960年代半ばからオランダ国内で人気を集めていたが、「Another 45 Miles」は彼らがよりシリアスで国際的なロック・バンドへと脱皮する契機となったシングルである。1969年末にリリースされ、オランダのシングル・チャートでトップ10入りを果たし、後の「Radar Love」に続く「旅＝人生」をテーマとするバンドの代表的モチーフを形作った。

この曲はGeorge Kooymans（ギター／ヴォーカル）がリードを取り、哀愁漂うメロディとブルージーなギター・サウンドが印象的である。当時はまだ「Golden Earrings」という名義を使っていた時期であり、60年代のポップ色を脱ぎ捨て、70年代以降のハードロック／ブルースロック路線へ移行していく過程に位置する重要な作品だった。

ライブでも定番曲となり、後年に至るまで演奏され続けた。観客にとっては「Radar Love」「Twilight Zone」と並んで、Golden Earringのロードソング三部作的な存在として記憶されている。

3. 歌詞の抜粋と和訳

以下に「Another 45 Miles」の一部を抜粋し、英語歌詞と和訳を併記する。
（歌詞引用：Genius）

Another 45 miles to go
あと45マイル走ればたどり着ける

And the highway’s all I know
僕が知っているのは、このハイウェイだけ

I’m still on my way, she waits at home
僕はいまだ道の途中、彼女は家で待っている

Another 45 miles to go
あと45マイル走らなければならない

歌詞は繰り返しによって「距離」と「帰路」のイメージを強調し、主人公の疲労と焦燥を聴き手に伝える。

4. 歌詞の考察

「Another 45 Miles」は、単なるドライヴ・ソングにとどまらず「人生のロードムービー的寓話」として読むことができる。

「あと45マイル」という具体的な距離は現実的だが、象徴的にも響く。帰りたい場所が近づいているのに、まだ到達できないというジレンマは、人生における「目標や夢までの道のり」を暗示しているようでもある。また、歌詞に登場する「彼女」が象徴するのは、単なる恋人ではなく「安らぎの場所」「愛と帰属感」を意味しているのかもしれない。

音楽的には、ブルースロックに根ざしたギターのリフが旅の単調さと力強さを表現しており、George Kooymansのヴォーカルには哀愁と切実さが宿っている。曲全体に漂う「疲労感」と「希望の光」が、ロードソング特有の感覚を生み出している。

後の「Radar Love」が「走り続ける快感」を描いたのに対し、「Another 45 Miles」は「疲弊しながらも帰りを急ぐ切実さ」を描いた対照的なロードソングであると言える。

（歌詞引用：Genius）